第二十二話「北へ!北へ!(前編)」
「ふわぁぁ・・・久しぶりにおかんとおとんの顔見たわ」
あの後、遥の誕生日を名古屋の両親とリモートで祝って、誕生日会の後片付けをしていると、ポケットに入れているスマホが震えているのに気づく。
キリのいいところまで後片付けを済ませてから通知を見ると、MINEのメッセージの通知だった。
開けると俺の彼女、香里奈からこんなメッセージが来ていた。
『明後日、暇ですか?もし良ければ行きたいところがあるんですけど、一緒に行きませんか?』
こんなこと言われて行かないなんて選択肢などない。俺はすぐにOKの返事と集合時間を聞いて、洗い物を済ませてすぐに寝た。
それから2日経った朝、いつもより早く朝食の用意をして家を出て、集合場所のJR大阪駅の御堂筋口に向かう。
「あ、総一さーん。おはようございます」
もう香里奈が先に着いていた。今日の服装はジーンズに白を基調にしたトップスとロング丈のレースガウンと動きやすい服装に茶色のカメラバッグと本当に撮り鉄なのか一瞬思ってしまうほど似合っていた。
「おお、おはよう。今日はどこに行くん?」
「今日はですね、北急に乗りに行きます!」
「北急か」
ちなみに北急とは言わずと知れた大阪の大動脈、御堂筋線と直通している北大阪急行電鉄という準大手私鉄のことである。まあ、準大手と言っても総延長は5.9kmしかないのだが。
「今、延伸工事やってますからね。撮りに行かなきゃ、一生の後悔です!」
そんな北急は、2023年に千里中央から2.5km先の箕面市の箕面萱野まで延伸するということで、絶賛延伸工事中なのである。香里奈はその現場を撮りに行きたいというのだ。
「ほな、今から行くんか?」
「いやあ、それが朝ご飯食べてないんで食べてから行こうと」///
「朝食ってへんの?何で?」
「え、えっと・・・」///
理由を聞くと急に顔を真っ赤にして歯切れが悪くなる。なんやなんや。
「・・・このコーデを考えるのに時間使っちゃって。好きな人と写真を撮りにいくんですよ・・・そりゃ張り切っちゃいますよ」///
「・・・ッ」///
思いの外、惚気のある理由だったので俺も恥ずかしくなってしまった。
数秒間、俺たちの間から会話がなくなって・・・
「・・・何というか、ありがとな」///
「・・・はい」///
その後は、マクドで朝食をとることになり腹ごしらえを済ませ、いよいよ駅へと向かう。
今回は特に乗り回しをするわけではないので、素直に千里中央までの乗車券を買って改札機に投入し、2番線ホームへ。階段を下っていると既に電車が止まっていた。
「・・・今やったら間に合う。香里奈急ぐで!」
「ちょっと待ってください。行き先、行き先」
走りかけたが、香里奈が何やら指差しているのでその方向を見てみるとそこには新大阪行きの文字が。
成程、確かにこれやったら北急線内には行かないな。危うく無駄な労力を使うところだった。
「すまんすまん、焦ってもうた」
「もう、本数は多いんですから駆け込み乗車はやめてください」
「まあ、次は4分ぐらい後やったはずやし、おとなしく待つか」
「ええ、その方がいいです」
本日二話目の投稿、柳芽帆奈でございます。
遠征編までにもう一個ネタをかまそうと思いましたが、ネタが出ず、紆余曲折の末に生まれたのが北急編です。ちなみに、第五章は各話のタイトルを繋げると替え歌になります。元ネタは章のタイトルです。
それと、最後になりますが、東京遠征編(仮称)後のリクエストboxを活動報告にupしました!
ぜひ、見ていってください
それでは次回。