この仮設の道路板の真下ではただいま絶賛トンネル工事中。この部分はちょうど千里中央からの地下区間が終わって地上区間になる境界部分にあたる。線路の高さ自体は変わらないものの、千里丘陵がこの辺りで終わって道路が激しくアップダウンするため、目の前には建設中の線路と新御堂筋、奥には箕面の山とショッピングモールが見えて、開業したら絶景の撮り鉄スポットになるかもしれない面白い場所である。
「見晴らしええな」
「ネットで資料を漁ってたら見つけたんですよ。ポテンシャルめっちゃありますよ」
言ってまたもやカメラを構えてモードに入る。ただ、この時は2、3枚撮っただけですぐにモード解除。「早くいきましょうよ」と催促してくるので彼女について行きその場を後にする。
「「あ、暑い・・・」」
うん、完全に舐めてましたね。船場過ぎたら高層ビルがなくなるから今、8月の日差しを一身に浴びてます。しかも雲ひとつない青空。端的にまとめるとめっちゃ暑い。
「あー、じぬぅー」
横を見ると香里奈がだらだらと汗を流し、端正な顔立ちからは想像もできないような声を出して暑さを訴えている。まるで野獣の咆哮みたいなってる。
「香里奈・・・いくら暑いからってそんな声出してたらあかんって。ほら、そこにコンビニがあるからさ・・・」
「あ、ホントだ・・・じゃあ、そこ行きましょうかねぇ」
道中にコンビニを見つけたので休憩がてら入る。そこでスポーツドリンクとかを買っておいてまた歩き始める。
さっき高台から駅の方を見た時は道路の幅が広かったので近く見えたが、意外と遠かったようだ。
「ていうか、日傘とか持ってないんか?お前やったら持ってそうやけど」
「私意外とそういうの気にしないんですよ・・・たまに日焼け止めは塗りますけど」
「たまにやのに全然日焼けしてへんのんのは驚き桃の木やな・・・」
「ふふん、体質ですよ」
香里奈が自慢げに鼻を鳴らしてドヤ顔を作る。ホンマにそんな体質があったら世の女性はみんなお前を羨むと思うで・・・。そんなことを話していると新御ほどではないものの、それなりに大きな道路に出る。
国道171号、京都から神戸を結ぶ通称『イナイチ』とか『西国街道』とかで呼ばれる北摂の主要道路である。
北急の線路もここを跨ぐので早速信号を待ってから見に行くと、この辺りの高架の部分はほぼ完成していて、今作っているのはさっき見た地下トンネルとの接続部分と、これから行く箕面萱野駅の部分のようだ。
「ほら、香里奈。頑張れ頑張れ、後もう少しや」
「ええ・・・あそこまで行けばモールがありますからね」
そこからは仮設の歩道を進んでいき、ついに箕面萱野駅の予定地に到着。
下から見上げる形になるが、駅の基本的な構造は大体完成しているように見える。
ここからは真正面に位置しているショッピングモールにかかる橋を使って上に移動。ちなみにこの橋の名前は『かやのさんぺい橋』というらしい。
「かやのさんぺい?誰でしょう?」
「確か、この近くで生まれた萱野重実っていう赤穂藩士の通称からとってるって聞いたな。何ならこの近くのバス停の名前も『萱野三平前』やし」
「へー、そうなんですね」
「まあ、バス停の名前を聞いてちょっと調べただけなんやけど」
これ読んでる奴らも気になるんやったらWikiで調べといてくれ。そっちの方が細かいこと載ってる。
・・・話が脱線してもうたな。
上からは駅の様子がよく見えていて、すでにホームやコンコースの構造部分はほぼ完成していた。
「いやー。もうあと2年したらここに電車が通るんですね」
「せやな。まあ、受験シーズンが終わってからになるからゆっくり乗れそうやし」
「そうですね。その時は一緒に一番電車に乗りにいきましょうか」
「いけるかなぁ。まあ、頑張るわ」
この後、撮影をしてバスで千里中央まで戻って帰宅の途についた。
〜千里中央にて〜
「あ、総一さん!」
「何や?そない驚いて」
「また会えました!」
香里奈が指差す方向を見てみるとそこには行きの電車で乗った1124編成が止まっていた。そういえば元トプナンの車両があるから撮りたいって言ってたな。(第二十四話参照)
「良かったやん。これで撮れるな」
「はい!」
香里奈が微笑む。その表情はどんなものにも例えられないほどの素敵な笑顔だった。そして、ホームドアがまだない東三国駅まで待って1724号車を撮影。これでミッションコンプリートだ。
いかがでしたでしょうか?
今回で北急編が終わって次回はいつか話したコスプレ回の続きです。
最近の外出自粛で、全然工事現場を見に行けなかったんですよね・・・。実際に行ってたらもうちょっと中身の濃ゆい話が作れたかも・・・?
それでは次回。リクエスト待ってまーす