「おし、全員揃ったな」
東京に出発する二日前の8月5日、鉄道部五人は久しぶりに部室に集合していた。その理由は・・・
「千代崎さんからコスプレ衣装が出来たって連絡が来たからな!今日は是非試着をしてもらおうと思ってここに呼んでん」
「え、出来た?確保出来た、じゃなくてですか」
「せやねん。漫研って裁縫部と繋がりがズブズブでな、先方の厚意で作ってもらったって」
「ズ、ズブズブって言い方・・・」
「まあ、事実だしねー」
「そんな訳だから」コンコン
「あ、噂をしてたら・・・」
ノックの音がしたのでどうぞと声をかけると両手に袋を何袋も持ち、ゼエゼエと息を切らしている漫画研究部部長、千代崎澄香が姿を見せる。
「お、お待たせしました・・・」
「あ、千代崎さん。お疲れ様です」
「「「「お疲れ様でーす!」」」」
「ハハ、ホントですよ・・・」
「それでこれがコスプレ衣装ですか・・・」
千代崎さんが持って来た紙袋を見つめながら香里奈が呟く。
「はい、早速お二人とも着替えてくれますか?もしサイズが合ってなかったらすぐに直しておくので」
「おーし、じゃあ着替えるから、諸君にはご退出ねがおー」
「へいへい」
そう言って俺と部長、圭人の三人は部屋の外に出て女子の着替えを待つ。
それから十数分後・・・
「皆さん、終わりましたよ」
中に入る千代崎さんから入ってもいいと許しを得たので、中に入る。
「「「えっ・・・」」」
俺たちはその姿に絶句した。
彼女たちが纏っている衣装は紫と黒を基調に、所々に金色の刺繍が入っている高級感あふれるドレス。
そこにいたのは朝潮香里奈と平林紗里・・・のはずなのだが、カラコンをつけ、カツラまで被っているのでどこをどう見ても白金燐子と今井リサにしか見えないのだ。まあ、よく見るとリサに扮している紗里は少し垂れ目になっていて元の面影を残しているが、香里奈はものの見事に燐子になりきっていて、まさに二次元の世界から不気味の谷を超えた状態で飛び出して来たと言わざるを得ないほど似ているのだ。一応、彼女たちが所属しているRoseliaというバンドは声優さんがリアルバンドを組んでるんやけど・・・
「これ見たら、その人たち顔真っ青にして、泣いて逃げ出すんちゃうんか?」
「・・・そ、そうですね。似てるっていうか・・・これ本人ですよ」
「本家は商売上がったりになるんちゃうんか・・・」
「ど、どうですか?」
「いやぁ、香里奈。えぐいくらい似てるわ。これやったら集客力抜群やないか?」
「もー、香里奈ばっかり見るのもいいけど、あたしの方も見てよー」
紗里が頬を膨らませて俺に言ってくる。そんなこと言われてもなぁ・・・
「ハハハ、何も知らんで見たら、完全にアニメキャラを侍らせてるようにしか見えへんな」
「部長、そないなこと言わへんで、何とかしてくださいよぉ」
そんなこんなで、この二人がコスプレをするととんでもないクオリティになることが分かった今回の試着会だった。
試着会を終えて、二人は元着ていた服に着替えて、再び全員で机を囲って座る。
「さあ、いよいよ後二日で東京遠征や。今日は試着のこともあったけど、遠征前の最終の打ち合わせでもしておこうかなって」
「なるほど、では、漫研は準備はどうですか?」
「もうこっちは印刷会社に刷ってもらいました。もう宅配便で直接会場に届くようにしたのであとは受け取るだけで大丈夫ですよ」
「そうですか。では・・・」
こんな感じに話し合いが進んでいき・・・
「じゃあ、休みを挟んで明後日の7時に集合ってことでいいですか?」
「「「「「異議なーし(ないです)(ないよー)」」」」」
話し合いは終了。終わったのは17時前のことだった。
「ふう、これでやること全部決まったな」
「いよいよですね」
「明日休みだから、体力温存しないとねっ⭐︎」
「じゃあ、また明後日」
いよいよ明日から待ちに待った東京遠征が始まる・・・