関西人の関西人による関西人のための鉄道旅行記   作:柳芽帆奈

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第二十九話「座れば天国、座れなけりゃ地獄」

 新快速を降りた俺達は次に乗る8時46分発の普通大垣行きに乗ろうと急いで荷物を持って8番のりばへ移動する。この滋賀県と岐阜県の県境を挟んだ米原〜大垣間は東海道本線の中でも一番本数が少なく、電車も大半が4両という短い編成の上、座席数の少ないクロスシート車のため、この18きっぷのシーズンには非常に混雑する。俺達にとっては座席を確保出来ないと、約30分間大荷物を背負って混雑した車内で立ったままでいることになるのだ。

 

 しかし、荷物を背負っているせいで走ってもなかなかスピードが出ず、結局車内に入る頃には8両編成にもかかわらず、座席はすでにいっぱいになっていた。

 

「ああー、どないしよう」

 

「・・・僕、この荷物で、大垣まで立ってられる自信ありませんよ・・・」

 

「ほな、これの次のやつ乗るか?総一、ちょっと調べてくれへんか」

 

「あー、分かりました」

 

 俺はショルダーバッグから時刻表を取り出し、次の列車の時刻を調べる。

 

「・・・えーと、8時46分がこれやから、次は9時18分ですね。しかも、これで豊橋まで直通で行きますね」

 

「よし、ほなそれ乗ろう。それやったら大垣で乗り換えんでええし」

 

「そうですね。総一さんもそれでいいですか?」

 

「まあ、早よ行きたいんやけど、席ないと困るからな。待つよ」

 

 結局、次の特別快速豊橋行きに乗ることを決め、普通を見送ることに。そして、

 

『8番のりばから普通大垣行きが発車します。ドアが閉まります、ご注意ください』プシュー

 

 満員の客を乗せた大垣行きの普通は定刻通りに出発していく。次の電車が来るまで20分ちょっと時間があるのだが、もうすぐ次の大阪方面からの新快速が来るので場所取りをしておかないといけないのでこのまま電車の到着を待つことに。

 

 そうしていると、俺達はあることに気付く。

 

(((((そういえば、飯買ってへんかったな)))))

 

 大阪で電車の時間が迫っていたので朝飯の調達を後回しにしていたのだ。

 

「買いに行きたいけど、場所取りもしておかへんとあかんしな」

 

「ほな、ジャンケンで二人決めて買い出しして、残りは待機でいいんやないですか?」

 

「ほなそれでええか」

 

 5人でジャンケンして負けた部長と香里奈が駅ナカのコンビニへ。それと同じくらいのタイミングで大阪方面からの新快速近江塩津行きが到着。乗客が続々とこちらに向かって来て、ホーム上に人が増え始める。

 

『・・・名古屋方面豊橋行きが8両でまいります。危ないですから黄色い点字ブロックまでお下がりください・・・』

 

 二人が戻る頃には、ちょうど入線放送が流れて電車が入ってくるところだった。やって来たのは東海管内ならばそこら中で見かける313系を2本繋いだ8両編成。

 

「313系かぁ。どうせなら311系の方が良かったなぁ」

 

 紗里は311系をご所望だったようだ。

 

 幸い、先頭で並んでいたので席は容易に取ることができたが、それ以外の席はすぐに埋まってしまう。

 

「もしみんなで買い出しに行っていたら、危なかったねぇ」

 

「ていうか、こっちの方が大垣で乗り換えんでいいからさっきの普通より混むんちゃう?」

 

「言われてみれば・・・」

 

 気が付けば座席はおろか、通路まで人がいっぱいになっていた。

 

「これ、朝飯食われへんね」

 

「えー、また朝ごはん食べられないの?」

 

 部長のつぶやきに紗里が絶望した顔になっていく。

 

「我慢してください、平林さん。こんなに大勢いるのにご飯食べるのはマナー違反ですよ」

 

「それは分かってるけど・・・」

 

 まあ、紗里の気持ちも分からんことはない。俺もさっきのじゃ⚪︎りこで腹が持つとは思えんからな・・・

 

 とりあえず、10秒チャージのパックゼリーを買ってきてもらったのでそれを流し込む。なんせこれから2時間座りっぱなしになるので、栄養補給ぐらいはしておかな。

 

 そうしていると発車時間を迎え、電車はゆっくりと動き出す。

 

 築堤で北陸本線を越えて留置線群が終わると、一気に山深くなり、醒ヶ井、近江長岡と過ぎていき、大阪と兵庫にもある事でお馴染み、滋賀県最東端の柏原(かしわばら)駅に到着。ちなみに大阪の方は柏原(かしはら)、兵庫の方は柏原(かいばら)と読む。この駅を過ぎると、すぐに県境に突入して、やって来たのは天下分け目の合戦でお馴染み、関ケ原。『ヶ』やないよ、『ケ』なんやで。ここからは路線は次の垂井まで二手に分かれるが、一方は米原方面に向かう特急や貨物列車しか使わず、ほとんどはもう一方の線路を使用している。

 

 ここで一緒に景色を眺めていた香里奈がある事を言い出す。

 

「そう言えば、このあたりで逆走をする電車があるって聞いたことあるんですよ」

 

「逆走?それホンマか?」

 

「ええ。なんでも始発電車がそれにあたるとか・・・」

 

 ・・・なんか気になるな、今度調べてみよ。

 

 垂井を過ぎると景色が開けてきて、養老鉄道の線路を越えると藤沢の高校生カップルが一夜を共にした街、大垣はもう目前。車両区にある電車群を横目に9時53分に大垣に到着した。

 

 




いかがでしたでしょうか?
この小説で初めて2000字を超えました!いやー、会話のパートはそんなに困らないんですけど、電車に乗ってる時の描写が難しいんですよね。あんまり書き過ぎるとくどくなりますし。
それでは次回、よければ感想お待ちしてまーす。
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