関西人の関西人による関西人のための鉄道旅行記   作:柳芽帆奈

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第三十一話「私のお父さん、実は・・・」

 豊橋からはいよいよ18きっぱーなどから散々難所だなんだと言われている静岡県区間へと入っていく。人によっては、この区間の一部を330円の座席指定券を払って、ホームライナーや、たっかい金を払って新幹線に乗車することを選ぶようだが、前者は運行時間外、後者は単に予算がないので、俺達は大人しく各駅停車に乗る。

 

 ただ・・・個人的にはまだこの区間は恵まれている方だと思う。確かにロングシートが続き、使える電車が普通とホームライナーしかない(正確には金曜・休前日の深夜1本だけ臨時快速がある)のは18きっぱーとしてはつらいが、こんなもん、芸備線末端区間や宗太郎越えに比べたら何百倍もマシな方である。

 

 次に乗るのは11時42分発、5944M 浜松行き。さっきの電車の半分以下の3両編成である。ここからは浜松ともう一駅で乗り換えをして、熱海へ向かうルートをとる。ちなみに、話は戻るが、俺達は米原で座席を確保し損ねて一本電車を見送ったんやけど、さっきの特別快速に乗っている途中、暇潰しに時刻表を見ていたら元々の予定の電車に乗っていたらあと2回余分に乗り換えがあったらしい。何度も言うが、俺達は大荷物を背負っているわけで、体力の無い奴がいる以上、乗り換えは出来る限り避けたかったので、かえって乗れなかったほうが良かったかもしれない。

 

 車内はもちろんロングシート。しかもこいつは211系なのでトイレがない。

 

「あ、ごめーん。ちょっとトイレ行ってきていいー?」

 

 そんな訳なので、紗里が手を合わせて言ってくる。まあ、しゃあないよな。

 

「ああ、ええよ。でも8分ぐらいで出るから早めにな」

 

「はーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分後、紗里が戻ってきてそれと同じぐらいのタイミングで発車ベルが鳴り、豊橋を出発。次の二川を出ると、いよいよ静岡県に入る。

 

 しばらくは畑の中を走っていき、新居町の辺りで新幹線の線路が合流してきて、鉄橋を渡る。

 

「あ、浜名湖ですね。昔、よくここでお父さんと写真撮ってたんですよ」

 

「え?香里奈って、この辺りに住んでたのー?」

 

「いや?生まれも育ちも宝塚ですよ?」

 

「・・・ど、どういうことですか?」

 

 いつの間にか反対側の席に座っていた部長と紗里と圭人も話に参加してくる。

 

「私のお父さんがこういうのを持ってて・・・」

 

 そう言ってスマホを見せてくる。あ、そうや。香里奈のお父さんって・・・

 

「あれ?これ議員パスやないか」

 

 そこに写っていたのは国会議事堂をバックに、『鉄道乗車証』と『旅客鉄道会社全線』・・・まあ言い換えればJRのことやな。そして『衆議院議員 朝潮金次』の文字が印字されたカード。

 

「もしかして、朝潮の親父さんって国会議員なん?」

 

「はい、兵庫県第6選挙区選出、日本進歩の会の現職です!」

 

 部長が問うと、香里奈が誇らしげに返す。ちなみに日本進歩の会というのは大阪で設立されて、長年その辺りを地盤に絶大な支持を集めている政党である。

 

「す、すごい・・・」

 

「でも、その議員パスって基本的には公務以外には使ったらあかんっていうルールのはずなんやけど・・・」

 

「はい、だからお父さんが浜松にちゃんとした用で行く時に連れってってもらったんです。そしたら、新幹線代が私の分だけで済んじゃいますからね。まあ、『私用で使いまくってる人も知り合いにおるよ』って言ってるんですけどね」

 

 などと苦笑いしながら言う。いやいや、完全にアウトやろ。

 

 そんな会話を交わしているとあっという間に電車は西浜松駅(貨物駅)まで来ていたので急いで支度をして扉の前に向かう。

 

 俺達がいるのは2両目の真ん中の扉だが、両端の扉にもきっぱーと思しき人が陣取っている。

 

 そして扉が開き、いっせいに走り出す。

 

 しかし、やっぱり荷物が重く、走りにくい。次の電車は12時27分発の興津行きだが、さっきの電車と同じ211系5000番代(3両編成)が単独で来やがったので、車内に入った時にはもう既にほとんどの座席が埋まっていた。

 

 何とか2席分は確保出来たので、荷棚に荷物を上げて、交代で座る事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『次は、島田です。We are stopping at Shimada・・・』

 

「よし、準備」

 

「あーい」

 

「分かった」

 

 アナウンスを聞いて俺達は支度を始め「あ、あの!」何や、圭人か。

 

「どないしたん?」

 

「ここで・・・降りるんですか?まだ、終点じゃないですよ・・・」

 

 確かに圭人の言う通りや。次の島田から終点の興津までは11駅と、まだまだ距離はある。

 

「確かにまだ終点ちゃうけど、今から島田始発の電車に乗り換えるんやけど、実はな、ここで降りても、興津で降りても乗る電車は結局同じやつになるんよ」

 

「そうなんですか?」

 

「そーだよ。しかも、静岡とか清水を通るから大体満席になっちゃうからね。だから席を確保したいならここで降りたほうがいいんだ。JRのホームページにもここ乗り換えを推奨してるからねっ☆」

 

「へえ、そうなんですね・・・」

 

 理由を聞いて、どうやら納得してくれたようだ。

 

「ほな、降りるで」

 

「「「「はーい」」」」

 

 

 

 




お待たせしました!二日ぶりの投稿です。
本当は昨日投稿するはずだったんですけど、香里奈パパの設定を思い出して議員パスの設定を加えたら延びちゃいました。
多分次の話で東京まで行くかもしれないです。もしかしたら、また遅れるかも・・・
それではまた、感想お待ちしてます。
ちなみにこの話の字数、実は・・・
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