「ほな部長、次はどこ行きます?」
「うーん、ちょっと早いけどまずホテルやな。この荷物をどないかしないかん」
「そうですね、もう持ってるだけでしんどいですもん」
「あたしも、さっさと荷物置いて自由行動したいからねっ」
「・・・僕もそう思います」
全員の意見が一致したのでこれからホテルに向かう。しかし・・・
「これ・・・またあそこまで戻るん?」
「「「「うわー、やってもうたなこれ」」」」
忘れてる人がいるといけないので先に言っておくが、今俺達がいるのは京葉線ホーム。
そう、最早東京駅と呼ぶのもおこがましいほど他の路線のホームと離れているあの京葉線ホームだ。(ここに来た経緯は第三十三話に書いたあるから、それ見てくれ)
「どうする?もうそんなに体力残ってへんし」
「ていうか、めちゃくちゃタイムロスなりません?こうなったら一旦京葉線乗ってもうて、八丁堀か新木場で乗り換えるってのも・・・」
「総一さん、それもいいですけど、もう有楽町まで歩きませんか?」
「「「有楽町・・・ああ、その手があったか」」」
香里奈が名案を示してくれた。実は、東京駅の京葉線ホームから山手線とかのホームまで行くより、一駅となりにある有楽町駅まで歩いた方が速いのだ。事実、新橋・品川方面から有楽町駅と京葉線の東京駅まで、またはその逆の経路との間には改札外乗り換えの特例があるほど近いのだ。逆に、どれだけ他の東京駅から離れているかがこれで分かる。
「ほな、有楽町まで歩く?」
「そうするか」
「・・・仕方ないですね」
ここまで来てしまったら、もはや歩く以外で京葉線以外の路線に乗る手段が存在しないので仕方がない。
そんな訳で、有楽町まで歩くことに。ただ、土地勘は全くないのでその乗り換えを取り上げているブログを見ていると、どうやらルートはこのまま、東京国際フォーラムを突っ切って有楽町駅に行く方法と、地上に出て線路沿いを歩き続けて有楽町駅に行く方法の二つあるらしい。個人的にはここから少し歩いた京葉地下八重洲口から出る少しレトロな雰囲気を味わえるルートが好きだ。
「なあ、俺ちょっとこっちのルートで行ってみたいんやけど」
「え?こっちからですか」
「え、それ、ちょっと遠回りのルートやん。俺はこっちのルートで行きたいんやけど」
まあ、そら近い方行きたいですよね。そんな訳で、八重洲口ルートで行きたがっているのは俺だけだった。ただ、どうしても諦めきれないので俺は八重洲口ルートで、後の4人は東京国際フォーラムから有楽町駅まで向かうことにした。
京葉丸の内口から少し歩いて着いたのは京葉地下八重洲口。地下の改札なのでさっきとあまり変わらないように見える。
ただ、地上へと上がる階段を登って振り返ってみるとそこにあったのは申し訳程度にJR東京駅と書かれたちっさいアーチ状の建物だった。
「これほんまに東京駅か?ちょっと信じられへんな・・・」
足元にはお菓子のゴミもあって、テレビとかで丸の内や、八重洲の駅舎を見慣れている俺にとっては、ほんまにここが同じ駅なんかと疑いたくなるほどの閑散ぶりだった。
ただ、ここは地下街増設や新線ホームの増設など、ブクブクと拡張を続けた東京駅の果てなんや。何はともあれ、ここから有楽町駅までは線路沿いに歩くことになるが、途中にはレトロな店も多く、個人的には結構楽しい。さらに・・・
「うわっ、ここめっちゃええやん」
途中で丸三横丁というめっちゃディープな通りを見つけたのでちょっと寄り道して写真を撮る。こういうディープな雰囲気は新梅田食道街とか、阪神とJRの連絡通路に最近まであったアリバイ横丁とかを思い出して、ちょっとだけノスタルジーな雰囲気になれた。
そこから、薄暗い高架下の商店街を抜けて有楽町駅に到着。既に時刻は6時半前で西日が傾き始めていた。
「総一さーん!」
他の4人は既に到着していて、香里奈が手を振って俺を呼んでいる。
「いやぁ、お待たせお待たせ。結構レトロで楽しかったわ」
「ほな、全員揃ったことやし、今度こそホテルいこか」
「「「「はーい!」」」」
いかがでしたでしょうか?
今回のタイトルの意味は宮澤賢治の詩からとった『私は私で一人で行くよ』という意味のフレーズでした。その通り、総一は一人で行きましたね。
次はホテル回の予定ですが・・・大丈夫かな、ホテル着く前に終わりそう。
感想くれたらモチベーションがちょっと上がります。くれたら嬉しい。
それでは次回。