関西人の関西人による関西人のための鉄道旅行記   作:柳芽帆奈

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第三十八話「さあ、本番だ!」

「ハハハッ、もう4時になってもうたわ」

 

「「「あぁ・・・眠い」」」

 

まさかの麻雀対決で『腹を割って話そう』の借りを返されてしまった俺達は疲労困憊の状態でコミバヘ向かうことになった。

 

「あ、あの、白庭先輩・・・」

 

「?」

 

「なんで・・・みんなこんなに疲れてるんですか?」

 

「そんなん気にしたらあかん。いよいよ本番やからな」

 

圭人の質問に俺は笑って返す。

 

そして、朝食のことだが、もちろんレストランなど開いているはずがないので事前に買ったおにぎりと10秒チャージのゼリーを食っていよいよホテルを出発。

 

まあ、出発するいうことはもちろんあのバリケードを通る訳で・・・

 

「あれ、君達こんな時間からそんな荷物背負ってどこに行くんだい?」

 

警察官に止められてしまった。

 

「今から始発電車でコミックバザールに行くんです」

 

「あぁ、あの始発電車で行くんだね。あの電車はとにかく混雑してるから気をつけて」

 

「はい」

 

「じゃあ、通っていいですよ」

 

事情を理解した警察の人が開けてくれた。いやぁ、理解のある人で良かった・・・

 

一応、乗換案内で調べたら目黒経由のルートと新橋経由のルートがあったが、今回は電車の時間が遅い新橋経由のルートで向かうことにした。目黒経由やったら17分待ちがあるからな。

 

という訳で本日最初の電車は銀座線の一番電車、5時11分発の浅草行き。

 

「誰もおらへんな・・・」

 

「銀座線って言っても一番電車ですからね」

 

そんなほぼ貸し切り状態の電車に揺られて3分ほどで新橋駅に到着。ここでJRに乗り換え、りんかい線の乗り換え駅、大崎駅まで向かう。

 

途中には最近開業した高輪ゲートウェイ駅や、田町車両センターの成れの果ての留置線群を眺めて、大崎駅に到着。

 

跨線橋を渡ってりんかい線のホームに着くと・・・

 

「うわっ、こらひどいな・・・」

 

「覚悟はしてたけど、ここまですごいとは・・・」

 

既にホームの上は人でいっぱいで、何とか歩けるぐらいの隙間しかなかった。まあ、埼京線とかは大崎からの始発は遅いが、山手線は俺たちが乗った外回りだけでも既に4本(始発除く)やって来ているので混雑は予想してたけど、まさかこんなまで混んでいるとは思わんかった・・・

 

「去年は7時ぐらいにゆりかもめで会場に行ってましたからね」

 

「ま、まあ、これのために来たんや。怖気ついてられへんわ」

 

そんな事を言っているとりんかい線の一番電車、5時40分発新木場行きが入線してくる。こいつはりんかい線内しか走らないが車両はJRのE233系だった。とりあえず出口に近い4両目の前から4つ目のドアから乗ろうとするとかなりギチギチになっていた。

 

「こ、こんな混雑、御堂筋線でも、見ませんよ・・・」

 

「そら、日本全国、下手したら海外からも来てると思うからな。ほら、見てみ」

 

俺が指差した方向には座席に座って困惑した様子で話す外国人と思しき男女二人組が。

 

・・・恐ろしきクールジャパンや。

 

『2両目と4両目は大変混雑しております、ご乗車のお客様は後ろの10号車をご利用ください・・・』

 

さっきからこんなアナウンスがひっきりなしに流れていて、発車間際になっても多くの人が編成中程に乗り込んでいた。あと、冷房がガンガン効いてるはずなのに暑い。心なしか、湯気が立ち込めている気がするんやけど・・・気のせいやろか。

 

〜〜♪

 

そんな事を考えていると発車メロディが流れて定刻通りに大崎を出発。

 

山手線と分かれてしばらくすると地下に潜っていよいよ地下区間がスタート。

 

ここから国際展示場まで約15分通勤ラッシュ並みの始発電車に乗るのだが・・・

 

『大井町、大井町です・・・』

 

電車は最初の停車駅、大井町に着いたが、ただでさえ乗車率が100何%ある電車に、京浜東北線と東急の乗換駅ということもあってか、ドアが開いた瞬間、雪崩の如く人が入ってきてあっという間にすし詰め電車が完成した。

 

「あかん、暑苦しい・・・」

 

「えぐすぎ・・・」

 

そんなこんなで時間は過ぎていき、一駅前の東京テレポート駅を出ると、にわかに車内がざわつきだす。いよいよ国際展示場駅名物、始発ダッシュの時間や。

 

「ええか?ここで歩いてもうたら、かえって後ろの人に突き飛ばされるかもしらんから、全速力で逃げるんやで」

 

「「「「はい」」」」

 

そして、

 

『・・・The next station is Kokusai-tenjijo, station number R03. The doors on the right side will open.・・・』

 

この放送が聞こえるとざわついていた車内は一気に殺気立つ。

 

「ヒ、ヒィィィィ・・・」

 

「圭人、気持ちはわかる」

 

そら、後ろには殺気立っている熱気ムンムンの男達が沢山いるからな。

 

そして・・・

 

ピンポン、パンポン♪〜

 

「「「「「「「「「ワァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」」」」」」」」

 

扉が開くと、一斉に車内から人が飛び出してくる。勿論、ドアの真ん前にいた俺たちはところてんみたいに人に押し出される事に。

 

しかも、後ろには大手サークルの同人誌や企業ブースで販売されるグッズなどの目当ての商品を手に入れるべく、一秒でも早くビッグサイトに向かいたい何百人もの人々。そんな光景を目にしたら・・・もう分かるやんな。

 

「逃げろー!」

 

俺達は一目散にエスカレーターを駆け上がり、すぐ上の改札口へ向かってダッシュする。

 

『危ないです!走らないでください!』

 

駅員さんがメガホンで注意しているものの、歩いていると後ろに飲み込まれてしまうので走らざるを得ないのだ。

 

ただ、俺は一番最初にエスカレーターを上がれたので、人が集中する中央部を避けて駅員室に近い一番端の改札を早歩きで通って、コンビニの方へと捌ける。

 

「ふう、何とか通れたけど・・・他の奴らやな」

 

「あたしはここだよー」

 

振り返ると後ろには紗里がいた。多分、俺の後をついて来たんやろう。

 

「あとは、部長と圭人と香里奈やけど・・・」

 

「お、俺はここや」

 

「私も」

 

部長と香里奈が揃って改札から出てきた。これで圭人が揃えば全員集合なんやけど・・・

 

ただ、既に改札口には人が沢山。もうしばらく出て来なそうやな・・・

 

圭人がやって来たのはそれから6、7分ぐらい後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、全員集合したんやけど、あまりにも朝早く来過ぎてもうたんで、あと2時間半ぐらい余裕があるんよ」

 

「何しましょう・・・」

 

「麻雀やるか!」

 

「「「いえ、それだけは!」」」

 

もう麻雀はさっきまでで充分やったから・・・

 

「うーん、ほな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜2時間後〜

 

「あれ?もう8時ぐらいなってる」

 

「どうしてでしょう?」

 

「ああ、それはな、作者が面d(しーっ、余計なこと言うたらあかん!)いや、何もない」

 

「「「「???」」」」

 

ううん、俺が言おうとおもたのに、主に口止めされてしまった。

 

「まあ、ちょうどええ時間やし、そろそろサークル入場口に行くか」

 

「「「「はい(わかったー)」」」」

 

そして、広い通路を歩いていくとビッグサイトが間近に現れて、サークル入場口に到着。係員にサークルパスを見せて中に入る。

 

「さて、今年も壁スペースが当たったからな。ジャンジャン稼いで部費の足しにしな」

 

部長が言う壁スペースと言うのは文字通り壁際に配置されたスペースのことで、基本的には長蛇の列が予想される超有名サークルのことで、俺達、長堀学園高校鉄道部はそんなに有名ではないものの、コミバの中でもトップクラスの連続出展回数を誇っているので、半ば年の功という形でスペースが与えられている。

 

スペースに行くと、そこには既にダンボールが7箱ほどが置かれていて、そのうち3箱には鉄道部、2箱には委託販売の漫研部の同人誌、後の2箱にはコスプレ衣装などその他諸々が入っている。一応、他にも荷物があるが・・・ギターケースっぽいのと細長い何かが置かれていた。

 

中身を確認したら、本の一部をデスクに載せて事前に作ったポップを置いていく。

 

「あ、香里奈と紗里。もう更衣室開いてる思うから着替えて来たらええんちゃう?利用券渡しとくわ」

 

「分かりました。じゃあ、後はお任せしますね」

 

そう言って二人は更衣室利用券と衣装を持ってどこかに向かう。

 

その後は釣り銭の準備などの作業を済ませ、二人の帰りを待つ。しかし・・・

 

「あれ?なんか遅ないか。もう更衣に行ってから40分ぐらい経つんやけど」

 

「k、更衣室が混んでるんじゃ・・・「「お待たせー!(しました)」」言ってたら来ました・・・」

 

「いやー。なんかね、着替えはスムーズに済んだんだけど、どう見ても本物のリサ姐とりんりんだっていろんな人に騒がれちゃって、その人達を撒いてたんだ」

 

似過ぎることの弊害がこんな所に・・・

 

「そうや、この荷物何か分かるか?」

 

「あ、それ私達の楽器です。せっかくガールズバンドのコスプレをするからには、楽器がないと話にならないじゃないですか」

 

「だから、自分が弾ける楽器を家から持って来たんだ」

 

ほら、と二人は自分の楽器を見せてくる。紗里は焦茶色のベース、香里奈は銀色のショルダーキーボード。担当楽器まで本家と一緒って・・・

 

「でも、調べてみたら楽器自体は微妙に違ってたんですよ。本家はベースは赤色、キーボードは肩掛けじゃない普通のでしたから」

 

肩がけはフィンランドのハーフが使ってますと補足して説明する香里奈。よう、そこまで調べたね。

 

全員揃ったので、両隣のサークルに挨拶をし、10時に一般入場が開始。

 

最初は何回も来ていると言う常連さん(大体40代くらい)達や元鉄道部の先輩方が買いにきてくれたが、時間が経つにつれ、二人のコスプレ姿を見た人達があれよあれよとやって来る。

 

「香里奈、大丈夫か?」

 

「は、はい。に、二回目、ですけど、き、緊張っ、します!」

 

「「「「おおー!」」」」

 

「今の、聞いたか?」

 

「ああ、本物に似過ぎてさむけがしたぜ!」

 

「はーい、ご購入の方はこちらでーす」

 

「は、はい。260円のお返しです・・・ありがとうございました」

 

撮影のついでにと買ってもらい、飛ぶように本が売れていき、昼ぐらいに漫研部の同人誌が完売。俺達の同人誌もほとんどが売れてそのまま16時前に終了。

 

急いで片付けと搬出を済ませて、会場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ゆりかもめ 東京ビッグサイト駅〜

 

「圭人、初めてのコミバはどうやった?」

 

「ネットでは見たことあったんですけど・・・全然違いました」

 

「せやろ、やっぱりリアルが一番やからな」

 

「じゃあ、総一さん。今からどこ行きましょうか」

 

「なんか東京名物でも食べたいな。もんじゃ焼きとか一回食ってみたいな。なんか皆ゲロみたいな見た目してるからまずそうって言ってたし」

 

「じゃあ、そこに行きましょうか」

 

「さんせーい!」

 

そんな訳で打ち上げはもんじゃ焼き店で行うことになった。

 

 




お待たせしました!
前話で更新した文字数を大きく上回って、なんと4000文字を突破しました!
本当はここは2、3話に分ける予定だったんですけど、どうせなら繋げてまえということで一話で投稿しちゃいました。
次回は東京観光を書きます・・・あかん、タイトル詐欺になって来た気がした。最近UAが減って来たのもこれが原因なんやろうか・・・
まあ、気楽に待っててください。
それでは次回。感想等お待ちしてます。
※始発ダッシュはかなり危険です。危ないので始発の時間にコミケに行く時はなるべく近隣の駅(東雲駅・有明駅など)を使いましょう。
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