関西人の関西人による関西人のための鉄道旅行記   作:柳芽帆奈

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第十章「第四十二代鉄道部部長選抜問答」(正式名称)
第五十九話「見下げてごらん」


 アズナスの巡礼を終えた後、先の東京遠征などで懐が南極並みに寒くなっていたので、しばらくはいつも通りの日常に戻り、勉学に励んでいた。

 

 そしてある日、やるべきことを済ませて鉄道部の部室に入り浸れていると、

 

「なぁ、総一。これ見てみてや」

 

 同じく鉄道部員にして俺の親友、桜川隆太が俺にスマホの画面を見せてくる。

 

「どれどれ・・・京阪電車のダイヤ改正?」

 

 その内容というのは大阪府の北河内地域、京都府の中南部、滋賀県大津市にかけて路線を持つ関西五大私鉄の一つ、京阪電鉄のダイヤ改正に関するものだった。そういや、なんかどっかで小耳に挟んだな・・・どういうところが変わるんやろ?

 

「えーっと・・・うわ、なんやこれ」

 

「せやろ、俺も最初見た時は正気を疑ったわ」

 

 そこに書かれていたのは減便、減便、減便の嵐。

 

 まず、昼間時間帯は10分ヘッドから18年ぶりに15分ヘッドに減便(あぼーん)。さらにはラッシュ時間帯も減便(あぼーん)、作業時間確保の名目で最終電車の繰り上げなど終日にわたって減便(あぼーん)

 

 ・・・これ、大丈夫か?

 

「特に大阪市内とかやばいで。普通が15分に1本って、俺が使ってる谷町線の半分にもならへんやん」

 

「確かにせやな。ただな、この改正であるもんが出てくんのよ」

 

「ほう」

 

「快速急行が昼間に復活すんねん」

 

「えっ、快速急行が⁉︎」

 

 俺は目を見開いた。京阪の快速急行は中之島線が開業した2008年に出来た比較的新しい種別で、当初は出町柳〜中之島間で1時間に2本設定されていたが、中之島は知ってる人はわかると思うが、バリバリのビジネス街で、観光地らしきものは皆無に等しく、他路線との乗り換えも絶妙にしづらいというのもあって、全然人が乗らず、わずか1年でメスが入り始め、改正の度に減便や、淀屋橋への行先変更を繰り返し、中之島線の快速急行は現在、平日に樟葉行き1本のみ。土日は設定なし、というか土日ダイヤはそもそも優等種別すらない。

 

 そんな不遇な快速急行、今改正で普通や準急の減便の煽りを受けた大阪府内の主要駅の救済のために10年ぶりに昼間時間帯に復活するのだ。あ、勿論淀屋橋発着っすよ?

 

「まあ、今改正の目玉といえばこれとライナー増発ぐらいしかないんやけどな。後は最悪よ」

 

「確かにこれは京阪民にとっちゃあ阿鼻叫喚ものやな。でも、快速急行の復活はおもろそうやな。今度行ってみよ・・・あっ」

 

「?どうした」

 

「今、金がないねん」

 

 最初にも言うたけど、俺の懐は南極になってるからな。財布温暖化が進行するまで待っておかな。

 

「ああ〜、そういう事か」

 

 隆は苦笑混じりに納得した表情を見せる。

 

「やから、当分は大回りとか、安く行けるところやな」

 

「出かけない言う選択肢はないんかい」

 

「ないっ!」

 

「即答⁉︎」

 

 そんな話をしていると、

 

「すいません、遅れました」

 

「おっ待たせしましたー☆」

 

 香里奈と紗里の二人が同時に部室に入ってくる。

 

「よっす」

 

「おっ、こんにちは」

 

 俺達も挨拶を返す。

 

「「えへへ、総一さん♪」」ギュッ

 

「アハハ。ええな、総一。こんな可愛い彼女さんがおって・・・」

 

 隆が苦笑混じりに返してくる。その表情は少し悲しそうだった・・・

 

「そういえば、総一さん。なんか部長が話があるって言ってましたよ」

 

「部長が?そういえば部長、どこおんのよ」

 

ここや、ここ」

 

「え?あ、本当だぁ。さっきまで一緒に居たのに」「・_・ )(「・_・)"キョロキョロ

 

今もおんねん!」

 

「本当ですね。どこに行ったんでしょう?」

 

「・・・おーい、ここや!」

 

「あ、ぶちょーの声だ。でも、声しか聞こえないな」

 

「そうですね。あっ・・・ぶ、部長ー、どこにいるんですかー?」

 

「朝潮、目ェあったやん!絶対気付いてるやろ!ハァ、これ言わな先に進まへんのかい・・・『見さぁげてごらん』」♪

 

 部長の声のする方へ近づいて、顔を見下げてみると・・・

 

「「「「うわっ!」」」」

 

 なんとそこには部長の姿が!

 

「やっぱりこのネタか!俺は○だか師匠みたいに背は低ないで!ていうか、このネタはほんまに関西人しか分からんやつやん!圭人を見てみろ、何が起きてんのか全く理解できてない顔やん!」

 

 部長が指差す先には何が起きたか分からず、混乱している圭人の姿が。東京人には分からんかったか・・・。てか、いつの間にいたんや。

 

「「「「まぁまぁ部長、ウケたんやからええやないですか」」」」

 

「ようないよ!ハァ・・・」

 

「こ、これは一体・・・?」

 

「まあ、大阪人のボケよ、ボケ」

 

 頭上にはてなマークが浮かんでいる圭人に部長が疲れ声で説明する。

 

「あ、そういえば部長。大事な話があるって聞いたんですけど」

 

「そうそれや!やっと本題に入れるわ。実はな・・・」

 

 




えー、おまたせしました。水曜日以来の投稿でございます。
本当は京阪電車のARラリーを書こうと思ったんですけどね、久しぶりに休みが出来て、予定が空いたので『どうせなら実地取材してから書いてこう!』と言う事で大部分を練り直していました。なので、今回からは閑話を挟んでって、京阪のARラリー編は11月の初旬ぐらいに始められるようにしてきたいと思います。
グダグダ進行が続いていきますが、これからも応援してくれれば嬉しいです!
それでは次回!感想等お待ちしております!
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