第七十二話「次元の壁を飛び越えて」
『ステーション・メモリーズ!』
音声が流れ、色とりどりで様々な意匠の衣装……フィルムをその小さな身に纏った少女達が映ったタイトル画面が現れる。
『ステーション・メモリーズ』……通称『駅メモ』。2014年に配信されたゲームで『でんこ』と呼ばれるキャラクターを集めてGPS機能で全国各地の駅を訪れ、他のプレイヤーと競い合う位置情報ゲーム……原理としては国盗り合戦に近い。
そしてそれを眺めるのは、これからやってくる夏の季節に備えた半袖シャツに身を包む男子高校生……
どうもどうも、長堀学園2年3組出席番号28番白庭総一でございます。
えっ、半年間どこで何してたんやこの野郎って?
話すと長くなるよ?それで一話潰れるよ?まあ、あとがきで書くから勘弁してぇな。
「独り言がうるさいです!ここ電車の中ですよ?」
「そーだよ(便乗)」
「いやおめーらも大概やからな?」
そしてそれに便乗する俺のツレ、名家出身のお嬢、朝潮香里奈と熾烈な鉄道クイズの末に降臨した我らが鉄道部のボス、平林紗里。
「全くもう……半年のブランクがあってもマスターは変わらずお調子者ですね」
そして……えっ?もう二人の紹介終わったんやけど。
「二人共、何か言うた?」
「いいえ(いやぁ)」
「あれえ?おっかしいなぁ……」
「マスター!ここです!ここ!」
「いやなんか聞こえるわ。どっから聞こえんの?」
乗っている電車の中を見回しても、両隣の二人以外に声をかけている人の様子は見られない……ってか、マスターって言ってへんかった?まさか……いや、まさかな。
「見下げてごらん♪」
「ん……うわっ!」
声のする方に視線を下げると、そこには額の部分に何かの社章みたいなものが貼っついた巫女衣装の女の子が画面の向こうに向かって両手を大きく振っていた。
「マスター!やっと気づきましたね!」
「えっ!しゃ、喋っとる!」
画面の中にいる少女はマスターたる俺の動きに反応する。そんな機能は無かったはずなんやけど……
「マスター?どこぞのグランドオーダー?」
「違います。『駅メモ』ですよ……って、このキャラ!」
「おっ、気づいたか。こいつはな……」
「ああちょっと待ってください、私が紹介しますから!」
画面越しに少女が制止して……うん?何で画面の端に手を掛けてんの?おいおいまさか……
「よいしょっと」
何と、次元の壁を飛び越えてスマホから飛び出してきた!某めだかの師匠もビックリ!
「「「うわっ!」」」
「私の名前は北神弓子、神戸市営地下鉄北神線のマスコットキャラクターです!」
「北神……弓子?」
「違います!『ゆみこ』じゃなくて『きゅうこ』です!」
そう自己紹介した少女……弓子が紗里の間違いを指摘する。
「ていうか、これっていつ手に入れたんですか?」
「弓子は普通は手に入らへんキャラなんやけど、復刻ガチャで手に入れてん。3500円飛んだけど……(泣)」
「3500円……確定ガチャの方を回したんですね」
「まあ、ピックアップ一人だけやし……」
何千円払って出ませんでしたより3500円で絶対出る方が安いやん?
「言われてみれば」
「確かにね〜、ていうか弓子ちゃん忘れてない?」
「も〜う、ひどいですよマスター!」
俺達に忘れ去られていた弓子が頬を膨らませる。うん、怒ってるんやろうけど、掌サイズっていう彼女の大きさも相まって可愛く見えてまうわ。
「すまんすまん弓子、わざわざリアルの世界まで出てきてどうしたん?」
「いやー、なんかGPSで阪神本線を通ってるって情報が入ったんですよ。折角神戸に行くならって事でスマホから出て来ちゃいました♪」
などと話す弓子。えっ、そんな気軽に出て来れるもんなん?
「スマホから出て来たって……」
「そーくん、フィクションなんだし気にしちゃダメだよ?」
『三宮、神戸三宮です……』
「ほらほら、もう降りる準備しなきゃ」
「さあ行きましょう、トンネルの向こう側へ!」
ドアが開くと三人が一目散に出て行く。俺もそれに続くのだった……。
いやー、お待たせしました。
いやね、鉄旅はしてたんですけど、別の小説書いたりモチベの問題で長いこと筆が離れてたんです。
でもエタることはないので安心してください。ただ高頻度の投稿は厳しいですね。リアルが忙しくなりますし、『鉄のハーレム堪能記』の投稿頻度を犠牲にしちゃうので……モチベによっちゃ連日もありえるけど。
まあ、超絶不定期投稿になりますのでそこを理解してくれればありがたいです。
それでは次回、またお会いしましょう?