もしも転生者が緑谷と爆豪を仲良くさせていたら 作:かっちゃ
あたしだよ!
というかもう二度と戦闘シーン書きたくない。カロリーくっそ使うし。ま、ヒロアカで戦闘シーン書かないとか許されないんですけどね、初見さん。
「知らない天井だ」
人生で一度は言いたかった言葉が言えた。にしたってここはどこだ? 消毒の匂い……ベッド……周りにカーテン……。病院? なにが……ああ、ああ! そうだ、敵共は、死柄木は!?
立ち上がろうとしたところ、酷い頭痛が走った。「っぅぅ……っ」という声にならない音が口から盛れる。そのレベルで痛かった。
というか、だ。感覚的にだが……個性が使えなくなってる気がする。事実、使おうとしても頭痛が走るだけで使えなかった。クソいてぇ。こうなったのは二回目だ。一回目はめっちゃ美人の幽霊のお姉さんいて、めっちゃくちゃ攻撃的だったから咄嗟に心を触ったときに一週間程度つかえなくなっていた。
心を触るとどうなるのかって? 簡単に言えばおれに向ける感情を帰れる。あくまでも一過性のものだけどね。
その時より成長してるはずだけどそれでもこれってことはあの脳無とやらのパスがそれだけ強いものだったってことだ。
というか、体中が痛い。身動ぎしただけでちょっと痛い。最後に吹き飛ばされたのがなかなか効いてる。脳無に殴られた右腕が痛む。というかぷらーんってなってる。もうマヂ無理……。
痛みで呻き声を上げていたらカーテンがビャッ! と開けられた。リカバリーガールじゃん、ここ雄英の保健室? さすがに病院だろここ。
「起きたのかい! ここは医大病院だよ。たっく、心配させるんじゃないよ」
「リカバリーガール……今何時ですか? 敵達は……?」
「オールマイトが倒したよ。主犯格には逃げられちまったけどね。
……あんたはね、2日も意識を失ってたんだよ? 本当に……心配させるんじゃないよ」
そういうリカバリーガールの目尻には若干の涙が溜まっていた。まだ話したことも無いのにここまで心配してくれるなんて生徒思いのいい先生だな。
でも……どこか違和感を覚える。おれを見ているようでおれじゃないような、おれを通して誰かを見ているかのような変な感覚がある。おれが入学した当初の相澤先生に似ている。
……おれは、なんなんだろう。あったこともない敵にありえない程の殺意を抱き、一部の先生方からは変な視線を向けられる。
まあいっか! 考察なんて感想欄の詳しい人にでも任せておれは復帰してみんなに甘やかしてもらおう。と、外を見るともう夕方。戻れるのは明日からかねぇ。
……一昨日は木曜日。2日も意識を失ってたということは、明日は土曜日……ってコト?!
はぁ。まだみんなには会えないらしい。ファッキン。とりあえずクラスラインに……おれクラスライン知らないや。いずくんとばくごーくんに聞いた。驚かれてそれどころじゃなかった。いずくんとか電話かけてきやがった。病院だっつの。
ちなみに2人とも知らないらしい。ぼっち乙(笑)*1。
いずくんが『麗日さんに聞いてみるね!』だって。なに女子とLINE交換してんの? おれジロちゃんとまだ交換してないよ?
どうやら出来たてらしいそれに入って一言『お騒がせしました、復活したよ』と送った。こんなときに@everyoneが出来ないのが不便すぎる。やっぱディスコやろ。
送った途端に眠気が襲ってきて、返事を見ることも出来ずにおれは眠りについた。
「俺たち三人ならなんでも解決出来ると思うんだ!!」
知ってる天井だ。というか二回目だ。辺りは少し暗くなってきた感じ。6時頃かな? ふと辺りを見てみると果物の入った籠が。字の感じからしていずくんとばくごーくん、あとは両夫妻と父さんかな。果物好きのおれからすればありがたいね。
誰か剥いてくれねえかななんて考えていると扉が開かれた。入ってきたジロちゃんと目が合った。ジロちゃんフリーズ。
「おはよ、ジロちゃん」
とりあえず挨拶。うん、固まってるね。バグかな? なんて思っているとジロちゃんが泣き出した。
待ってくれ、そんなに心配してくれてたのか!? やばい、慰め方なんて知らんしクソほど気まずいぞ。きまZだ。
「ほんと、バカ……っ!!」
「……ごめんね、でもほら生きてるから。とりあえずこっち来てよ。座って話そうぜ?」
無言でこっちに近付いてくるジロちゃん。お説教されそう。話逸らそうかな。
「ね、おれが気絶したあと何があったの? ききそびれちゃったんだよね」
大嘘である。全然聞いた。主犯格に逃げられたとか聞いた。まあバレなきゃいいか。
「……嘘つき。心音で分かるよそういうの」
ばれてーら。
「……あのあと、私が到着した時は相澤先生は最後まで個性で敵を妨害し続けて、梅雨ちゃんが雲渡を……っ、ボロボロの、雲渡をかかえ、てて……っ!
爆豪とか轟とかも参戦したけど、ウチらは、何も出来なくて……っ、オールマイ、トが脳みそむき出しのやつを吹っ飛ばして、先生方が来て主犯格が逃げていった。
ウチは、なにも出来なくて、ねえ、くもわた、り。何があったの……? あんたに、なにがあったの……?」
途中でまた泣き出したジロちゃんだったけど、最後にそんな質問をしてきた。……おれは、なんなんだろうか。
なにがあったのか。おれにも分からない。おれがなんなのか。おれには分からない。おれは、おれについてあまりにも知らなすぎる。
もしかして、あの死柄木とかいうやつはおれがこの体に入る前……おれの元々の人格と何かあったんだろうか。まだ7歳ほどの時に。
だとしたら、そんな仮説を話す訳には行かない。頭おかしいヤツ扱いされるかもしれないし、信じてもらったとしてもどっかから広まって最悪どっかの施設行きなんてのも考えられる。さすがに考えすぎだとしても奇異の目で見られるのは間違いないだろう。
だから、今はまだ言えない。おれはおれのために、このことをまだ言わない。
「……わからん。おれも、おれのことがわからないんだよ。なんであんなに死柄木に固執してたのかも、無茶な戦いを挑んだのかも、何も分からない。
でも……なんか、おれがやんなきゃいけない気がした」
「……そっか。
あのときさ、雲渡の心音、とっても怖い音してた。聞いたことはないけど、そこらへんの敵よりも怖かった。でも、なんだか悲しそうな音でもあった。
ウチは雲渡が何に縛られてて何と戦ってるのかわかんないけどさ。……ちょっとくらいは、背負わせてよ」
「うん、そうだな。いっぱい心配かけてごめん」
会話が途切れる。二人の間に気まずい時間が流れる。喧嘩別れしたカップルが次の日たまたま相席しちゃったみたいな、そんな気まずさがある。まあおれは付き合ったことなんてないんですけどね。クソが。
「あ、なんか果物でも食べる? ほら、こんなにあるわけだしさ!」
「あーじゃあマスカット撮ってもらえる?」
「ん、これね」
差し出されたそれに対して手を伸ばす。と、痛みが走る。マジでふざけんな、マスカット食わせろ。好物目の前にして待ったをかけられる犬ってこんな気持ちなんか。よーくわかった。
「腕、動かせないの?」
「腕というか体中だね。まあ右腕はかなりやばいんですけども」
「そっか……。あ、それじゃあさ! ウ、ウチが食べさせてあげようか……?」
「????」
紅潮した頬、少しだけ潤んだような瞳、そして手に持っているシャインマスカット。恐る恐る近づけられるそれにおれは口を開けて──
「今戻ったよ雲渡……って邪魔したみたいだね、出直してくるよ。そんじゃあごゆっくり」
「「………………」」
「リカバリーガール! 戻ってきて!!」
「リカバリーガール! ウチらそんなんじゃないから! はやく戻ってきてよ!!」
あとちょっとであーんチャンスだったのにそのチャンスをぶっ壊しやがって! 許さんぞあのババア! それはそれとしてこの空気に耐えられないので戻ってきて! そしてシャインマスカットを食わせて!
「……戻ってこないんだけど」
「あのババア……!!」
「やばい心音してるよ? ……口開けて、ついでに目も閉じて」
「なんで? まあいいや、はい」
そう言って開けた口に何かが入ってくる感触。目を開けると顔を真っ赤にしたジロちゃんがいた。ジロちゃんの指は俺の口の近く期あった。
「それじゃ、ウチ帰るから。早く良くなってよね」
「あ、うん。じゃあね」
「…………え?」
「若いっていいねぇ」
「リカバリーガール! あんたいつから……」
「ヒミツさ。謎多き女の方が魅力的なんだよ」
「あんたがいなくなったからくそほど気まずくなってたんですけど」
「知らないねぇそんなこと」
──弔、今回はどうだった?
──はは、そうか。してやられたか。今回はあの子の勝ちだね。
──ん? あいつを知っているのか、だって? よく知っているさ。だって彼は──
月曜日、右腕にギプスを着けておれは登校していた。身体を動かすだけでくそ痛かったのは現代医療ってスゲーとしか言えない。というか個性医療だけど。
リカバリーガールより治りやすくなるけどクソほど痛い。しかも麻酔やらなんやらも通じない。正直吹っ飛ばされたときよりも痛かった。死を覚悟したよね。*2
ただまあその甲斐あって今こうやって登校できてるわけで。うーん、相変わらずデケェ扉だなぁ。個性の多様化に配慮してるんやね。椅子だって峰田のは高くなってるし障子くんのはデカくて頑丈だしね。
尾白くんの制服とかも尻尾のところに穴空いてるし……あれって着る時大変じゃないのかな。どうやって履いてんだろ。まあいいや。
「おはよー」
「おは…………」
「雲渡(くん)!?」
「おれだぞー。今日から復帰でーす」
「怪我は!? もう大丈夫なの?」
「右腕以外は完治したよ。てか寄んな! 暑苦しい!」
「おはよう。って見斗くん!!?? 大丈夫だったの……うぁぁ!」
「泣くな! ちょっといずくん泣かないで? 昨日の夜家行った時も同じ反応してたじゃねえか!」
「いや、だって……夢がどお゙も゙っ゙で!!」
「やばいことなってるって! あ、ばくごーくんおはよう。いずくん泣き止ませんの手伝って!」
「ケッ、自業自得だろうが」
「ばくごーくぅぅぅぅん!!!!」
「おいお前ら席につけ……そこの水溜まりなんだ」
「いずくんの涙です!」
「……そうか。じゃあSHR終わったら掃除しとけ。それじゃあSHR始めるぞ」
いやー右腕折れてるって悪いことばっかじゃないね。みんなが甘やかしてくれる。これだよコレ。おれはヒモになりたいの。ヒモヒーロー。嫌な響きだ。
そういえばパチカスヒーローなんてのもいるけど意外と人気なんだよな。なんで??? 事務所の一階にパチスロ置いててタダで打てて景品交換とか換金とかはないただ回すだけのやつがあるらしい。賭け事が好きなんじゃなくてパチンコを打つのが好きなのかと思ったらどうやら金溶かすパチンコも競馬も競艇もすきなんだと。ダメだアイツ。
話が逸れた。腕折れてるといいことの一つとしてノートを周りがとってくれるってのがある。まあノートなんてなくても大体わかるんだけど取ってくれるならありがたいよね。
そんなふうに授業をキャリーしてもらいながら迎えたお昼。普段だったら迷わず食堂へレッツゴーなんだけど今のおれは片手がやばい。だから朝コンビニで買ったサンドイッチをいただく。やっぱ米よりパンよな*3。
教室で食ってる勢は……あ、ばくごーくんじゃん。絡みに行こ。
「へいばくごーくん、ぼっち飯かい? 可哀想だね!」
「何しに来た!」
「飯食ってる時に大声出すなよ、行儀悪いだろ?」
「──! ──ー!」
あ、声出さずに怒ってる。器用なことするねぇ。というか表情で怒ってるってわかるのすげぇよな。
クソどうでもいいことに感心していると、ばくごーくんが口の中の物を飲み込み、箸でこっちを指してきて一言。
「お前もだろうが」
「は? ぼっちじゃないが????」
「はっ、どう喚こうが俺がいなきゃお前一人だったろうが。1人で食えねえから俺んとこ来たんだろ?」
フッと小馬鹿にする感じで鼻で笑ってきたばくごーくん。…………………………あああああああ!! *4
「あまりおれを怒らせるなよ、手をつけられなくなる」
「はっ、小型犬ほどよく吠えるよな。なあ個性チワワのクソ目玉」
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」
もうキレた。完璧にキレた。許さん、こうなったらばくごーくんの黒歴史をクラスのやつらに暴露するしかない。なんかあったっけな…………ぼくのかんがえたさいきょうのヒーローごっこは
幼ばくごーくん「おれがいっちゃんつええ!」
って言ってたし、エロhじゃなくてお宝本はただの性癖暴露になるからおれが引かれるし、なんかあったっけな……。スマホになんか残ってないかな………………あ!!
「いいのかばくごーくん。そんなにおれをキレさせて。『粉砕! 爆砕! 大喝采! 爆殺王だぁ!! ……違うな。俺は全てを破壊し尽くす。お前の罪も。……俺の路線じゃねえな』」
「っめえ! それをどこで!!」
「目はいくつあってもいいもんだよなぁ!」
「消せ! 今すぐ消せ! 可及的速やかに消せ!!」
「謝罪は?」
「死ね!!」
ばくごーくん黒歴史No.わかんない、ヒーローになった時の名乗り口上の音声。おもしれえなぁ!!
ちなみにスマホは奪われてデータ削除された。まあPCにバックアップ取ってるんだけどね。
個性"視認"による影響
・脳の処理能力向上
・動体視力上昇
・視力15.0
・色合いとかがくっきり見える 等
作者はパン派だけど汁物がなにかによる派です。味噌汁とか豚汁とかなら米の方が好き