Assalut Lily/Zero one ~serial conculusion ark~   作:レティス

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アサルトリリィ、まさかのリリカルなのはとのコラボ決定とは畏れ入った。








゛こんな奴らのために、これ以上誰かの涙は見たくない!皆に笑顔でいてほしいんです!
だから見ててください…俺の!変身!〝  ーー五代雄介





変身

side ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、早速テスト開始だね。」

 

 

百合ヶ丘から離れたところで、岩倉玖流達が動き出したのを確認すると、私も行動に移る。

■■■■■様から渡されたアタッシュケースを開くと、9枚のうちの1枚、紅白を基調としたプログライズキーを手に取る。

 

 

「全ては■■■■■様のために。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Barrage!』

 

 

 

 

 

 

 

            ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          Episode 2 変身

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 玖流

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「梨璃さんさえいなければ…玖流さんさえいなければ…夢結様と二人きりなのに…。」

 

 

合流して早々、楓さんのこの愚痴である。俺達は史房様からヒュージ捜索の依頼を受け、四人で捜索しているのだが、ずっと楓さんはさっきの件で拗ねているようだ。

夢結様とシュッツエンゲルの契りを結びたいのは分かるけど、もっと穏便に済ませような?…ってか然り気無く俺にも飛び火かい。

 

百合ヶ丘女学院から出てしばらく歩き、俺達は廃墟と化した町並みを探索していた。道路のあちこちが穴だらけ、瓦礫と化した建物の数々、生い茂る雑草、そして爪痕。どれも長きに渡るヒュージによる襲撃の影響だ。

 

 

「すごい…これ、ヒュージと戦った痕ですか。」

「学院自体が、海から襲来するヒュージを積極的に誘引し、地形を利用した天然の要塞となる事で、周囲の市街地への被害が及ぶ事を防いでいるのですわ。」

 

 

廃墟群を見ている梨璃に、楓さんが解説した。50年も続いているヒュージとの戦い。終わりの見えないから戦いだからこそ、復興できずに元の自然に戻ったのだろう。その自然も、ヒュージの襲来で殆ど踏み荒らされてしまうのだが…。

ヒュージは基本的に海上にネストを作る。電車に乗ってた時にも見えた、海と空を繋ぐ光の柱みたいなのがそうだ。

襲撃される度に復興って訳にもいかないからな。町ごと自然に戻して砦として扱う…まさに逆転の発想だ。

 

 

 

 

 

 

            ■■■

 

 

 

 

 

「何ですのこれは?」

「切通しといって、千年以上も昔に作られた通路よ。」

「はぁ…歴史の勉強になりますわね…。」

 

 

ヒュージ探索の中、森が生い茂る切通しと呼ばれる通路までやってきた。

夢結様の言う通り、この通路はヒュージではなく、昔から存在する千年以上前の…所謂鎌倉時代に切り開かれた通路だ。無論、現在でこそヒュージによって掘削された穴も幾つかあるが、それでもこの地域が防衛に適した場所なのは間違いない。源氏の将軍が幕府を建てたのも納得いくな。

 

 

 

 

 

 

 

            ■■■

 

 

 

 

 

 

 

しばらく探索したが、ベンチのあるところで一旦休憩する事になった。周囲の堆積層には至るところに穴が空いている。いつヒュージが襲いかかってきてもおかしくない。

 

 

「入学式前からくたびれましたわ…。」

 

 

ベンチに座ってそう呟く楓さん。その近くでヒュージが来ないか見張っている夢結様、近くの堆積層沿いを歩いて探索する梨璃。

俺はその場でアタッシュケースを地面に置いて開く。いつヒュージが襲いかかってきてもおかしくないからな…備えないと。

 

 

「…岩倉さん、それは?」

「これが俺の戦う術ですよ。まだCHARMを持ってないですけど、これでも十分戦えます。」

 

 

夢結様の質問に答えながら、俺はゼロワンドライバーを取り出し、更にバッタ、ハヤブサ、シロクマのプログライズキーを取り出してポケットに入れる。

 

 

「それで貴方はどうヒュージと戦うつもり?」

「戦闘になれば分かりますよ。」

 

 

まだ試した覚えはないが、とりあえず夢結様にはそう答えた。流石に本格的な戦闘になるとCHARMが必要になるけど、標本用のヒュージなら等級も高くないからゼロワンでも倒せるはずだ。

 

 

「いないですね…もうちょっと奥まで進んでみますか?」

「この辺りにはいないんじゃないですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギィィィィ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!梨璃、後ろだ!」

「…っ!?一柳さん!」

 

 

梨璃と楓さんのやり取りの中、唐突に聞こえた謎の声に俺は反応し、咄嗟に振り返って梨璃に警告する。夢結様も感づいていたか、同じく警告していた。丁度同じ時、梨璃の後ろにある堆積層の穴の中から一体のヒュージが出てきた。やっぱり潜伏してたか…!

 

 

「えっ…?うわぁ!?で、出たぁ!?」

「おどきなさい、梨璃さん!」

 

 

楓さんは革製のケースから高級感溢れる緻密な彫刻が施されたハサミのようなCHARMを取り出し、刃を開いて銃口を展開すると、穴から出てきたヒュージに銃口を向ける。一方、梨璃もCHARMを起動しようと触れる。しかし

 

 

「動かない!?」

 

 

あいつ、まだ契約を済ませてなかったのか…!

梨璃がもたついている中、ヒュージが振り上げた触手の刃が梨璃の右上腕部を掠めた。ヒュージはそのまま梨璃目がけて刃を振り下ろそうとした。

咄嗟に動いたのは夢結様だった。夢結様は制服のボタンを一つ千切ると、そのままボタンを地面に叩きつけて後ろへ下がった。刹那、激しい閃光が発生した。どうやら百合ヶ丘の制服にはフラッシュバンが仕込まれているらしい。

閃光に乗じて俺達は一旦引こうとした…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ババババババババンッ!!!

 

 

 

「「「!!?」」」

「今度は何ですの!?」

 

 

突然、俺達の近くに弾幕が着弾した。上空を見てみると、そこには人型のヒュージが飛来した。もう一体も出てきた…あれも標本用…じゃないよな?方角的にネストからか?……………いや、そんな事考えてる場合じゃない!

 

フラッシュバンが2体目のヒュージの出現で不発に終わり、戦うざるを得なくなった状況…使う時がきたな…転生特典を!

俺はゼロワンドライバーを取り出すと、そのまま腰に当てる。ドライバーからベルトが出現し、俺の腰に固定された。

 

 

『Zero-one driver!』

「…っ!」

 

 

刹那、俺の脳内に膨大な情報量が光の速さで入ってくる。だけど最初の時のように激痛を伴うものじゃない。むしろすーっと自然に入ってくるような感覚だ。

ドライバーを装着してからは…キーを起動してからドライバーに認証、そしてキーを展開して挿入か…。キーに記載されているアビリティの特性…必殺技…“ドライバーが教えてくれる”というのはそういう事か…!

 

 

「…ラーニング完了。」

 

 

俺はゼロワンドライバーを装着して一瞬で一通りの操作手順、各プログライズキーの特性等をラーニングした。時間はドライバーを装着した直後までしか経っていない…短時間の内に準備が完了したのは、ドライバーのおかげだ。

 

 

『Jump!』

 

 

俺はホッパーキーを取り出して起動し、ドライバーの認証装置にかざす。

 

 

『Authorize.』

 

 

認証させたキーを展開する俺。その間にも、人型のヒュージは札状の弾幕を俺に向けて弾幕を放ってきた。

 

 

「玖流君!」

「岩倉さん!」

「何突っ立っていますの!?」

 

 

大丈夫だ、そこも“想定内”だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォォォォン!!

 

 

 

 

 

 

 

俺に向けて放たれた弾幕が、空から転送されてきた何かに阻まれた。

 

 

『キュオオオオオオオン!!』

「「「!?」」」

 

 

それは、機械的なフォルムをした巨大なバッタだった。ドライバーにプログライズキーを認証すると、そのキーに保存されている動物型ロボット【ライダモデル】が転送されてくる仕組みになっている。これで変身を妨害されそうになっても、ライダモデルがそれを防いでくれるって事らしい。

バッタのライダモデルが地面を飛び跳ねながら二体のヒュージを踏みつけている。俺の正面には、未来的なパネルが展開された。『ライズアーキテクター、転送準備完了』『ライダモデル、変換準備完了』と、変身準備が整った事を示していた。

 

 

「変身!」

 

 

俺は展開したホッパーキーをドライバーの右側に挿入した。それと同時にカバーが左側にスライドし、中央にはバッタのマークが表示された。

 

 

『Progrize!飛び上がライズ!Rising hopper!』

 

 

パネルが通過すると、俺の身体には真っ黒の強化スーツが装着された。そして飛び跳ねていたバッタのライダモデルが俺のもとまで来ると、頭上で空中分解。蛍光イエローの装甲になって頭部、胸部、背部、太股から脚部に転送・装着された。そして更に、右手には黄色い斜めのラインの入ったアタッシュケースが転送された。

 

 

『"A jump to the sky turns to a riderkick."』

 

 

変身が完了した。黒いボティに銀色のライン、赤い目に蛍光イエローの装甲。未来的ながら、サバクトビバッタを彷彿とさせる姿…これが仮面ライダーゼロワン…!

 

 

「姿が変わった…?」

「どなた…ですの…?」

「…仮面ライダーゼロワン、俺はそう呼んでいる。」

 

 

俺が変身したゼロワンの姿に空いた口が塞がらない三人。まぁ、仕方ないか。そもそも俺も初めて変身するし。

 

 

『『ギィィィィ…!』』

 

 

だが、ヒュージはそんな事を黙って待っているはずもない。再び攻撃を仕掛けてきた。

 

 

「っ!夢結様、二人を連れて安全なところへ退いて下さい!」

「岩倉さんは?」

「こいつらを遠ざけてから行きます!」

『Blade rize!』

 

 

俺は夢結様にそう言いながら右手の“剣”・アタッシュカリバーを展開し、バッタの特性を活かして跳躍。浮遊している人型のヒュージとの距離を詰める。

 

 

「せい!はああああっ!おりゃあああ!!」

『ギィィ…!』

 

 

俺はアタッシュカリバーで連続で斬りつけた後、そのままヒュージを地面に蹴り落とした。脚の力半端ねぇなこれ。

 

 

「さぁ早く!」

「…ここは任せるわ。行きましょう、楓さん。」

「分かりましたわ!」

 

 

怪我した梨璃を抱えた夢結様は、楓さんと一緒にその場から移動していった。しばらく殿を努めないとな…!

 

 

「さぁ…来いよ。」

 

 

俺は二体のヒュージに挑発する。すると、球体型のヒュージがこちらに触手の刃を伸ばしてきた。

 

 

「ふんっ…!はあっ!」

 

 

最初の一発をアタッシュカリバーで下に押さえつけ、二撃目は脚で蹴り払う。俺は押さえつけた触手を伝ってヒュージ本体のところまでいく。

だが、人型のヒュージが後ろから弾幕を放ってきた。

 

 

「…ちぃ…!」

 

 

舌打ちをしながら触手から飛び降り、弾幕を弾きながら着地する。すると人型は、今度は左右に浮遊している陰陽玉のようなビットを用いてマギを収束し始めた。やばそうだな…いや、あいつを利用するか。

 

俺は人型ヒュージの射線上に球体型ヒュージが入るところまで跳躍する。

 

 

「飛んでけ!!」

 

 

再び脚に力を入れ、球体型ヒュージをもう一体の方へ蹴飛ばす。

 

 

『『ギィィィィィ!!』』

 

 

すると、二体のヒュージが衝突。そのまま激しい土煙を上げて地面に落下した。だいぶ時間は稼げたはずだ。三人のもとへ行こう。

 

俺は付近にあったアタッシュケースを忘れず回収すると、三人が行った方向へ跳躍した。

 

 

 

 

 

            ■■■

 

 

 

 

 

 

俺が移動してると、その先の橋の下に三人がいた。そこに一旦退避してたらしい。

 

 

「岩倉さん。」

「夢結様、無事でしたか「あなた、CHARMも使えないで、一体何をなさるおつもりでしたの!?」…。」

 

 

ふと見ると、楓さんが梨璃に壁ドンしながら先程の件を咎めていた。無理もないだろう、CHARMとの契約を済ませていないにも関わらずヒュージと戦おうとしたからだ。流石に無謀過ぎたんだ。

 

 

「ご、ごめんなさい…私…。」

「か、楓さん。とりあえず、お咎めはそこまでに「玖流さん、これは貴方にも言っていますわ!」…ですよね…。」

 

 

まぁ、こればかりはしょうがないか…今回はたまたまゼロワンの力が通用しただけであって、本来ヒュージに対して有効打となるのはCHARMだけだからな…。

 

 

「いいえ、一柳さんをそこまでの初心者と見抜けなかった私の責任です。それに、岩倉さんが足止めを努めてくれなければ、確実に死者が出てました。」

「それは…そうですけど………自重すべきでしょう、あなた達は。」

「「…。」」

 

 

結果オーライとはいえ、ぐうの音も出ないのは確かだ。

夢結様は携帯電話を取り出して学院に連絡しようとしたが、圏外になっているようだ。電波が安定しないのだろう。

 

 

「楓さん、岩倉さん、少しの間、周りの警戒をお願いします。」

「分かりました。」

「え?は、はい。」

 

 

夢結様から、ヒュージの急襲に備えて警戒を依頼された。俺と楓さんはそれぞれ反対の方向を見張る事にした。

 

 

「まだCHARMとの契約を済ませてないんでしょう?略式だけど、今してしまいましょう。」

「は…はい…。」

 

 

一方、梨璃は夢結様の指示に従って、まだ完了していないCHARMとの契約を略式で行っていた。

CHARMを持った右手の指輪に、先程の傷口から流れてきた血が指輪に流れていく。血液に反応して指輪にルーン文字が浮かび上がり、CHARMのマギクリスタルコアが輝きを増していく。

なるほど、普段の契約は指輪を介してCHARMにマギを一定量流し込む事で完了するんだな。あの略式契約は、血液をマギに変換して流し込むって訳か。確かに、血液は簡易的な魔術触媒になる。

それにしても、あの“巫女のような姿をした人型のヒュージ”、何処から飛んできたんだ…?ネストから直接飛来したか、もしくはケイブが出現したか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギィィィィィィ!!

 

 

 

 

 

 

「っ!来た!」

「来ましたわ!」

 

 

どうやら先程のヒュージが追いついてきたようだ。楓さんの方には球体型、俺の方には例の人型ヒュージだ。

 

 

「いくぜ…!はあっ!」

 

 

バッタの跳躍力を用いてジャンプし、再び距離を詰める。だがヒュージは、今度は距離を取って弾幕による引き撃ちに徹し始めた。そうそう同じ手は通じないか…。

 

 

「くっ…!」

 

 

初撃をかわされた俺は一旦着地し、ヒュージから放たれる弾幕をアタッシュカリバーを用いて弾いていく。俺の背後には梨璃と夢結様がいる。俺が今その場を動いたら弾幕が当たってしまう。

 

 

「ふんっ!…はっ!」

 

 

一方、楓さんはCHARMを用いて、球体型ヒュージに華麗に舞うように戦っている。CHARMから出力されたマギが、リリィの身体能力を飛躍的に高めているのだ。今のように変身もせずに生身でアクロバティックに立ち回れるのはこのためだ。逆に言えば、CHARMが起動してなければ身体能力強化のアシストが受けられない。

つまりこの状況、夢結様は動けるかもしれないが、梨璃はあの弾幕を避けきれない。CHARMがまだ起動してないからだ。

 

 

「っ……!」

 

 

俺がCHARMとの契約が必要なのにはもう一つ理由がある。それはゼロワンには銃などの飛び道具が殆どないからだ。あるにはあるのだが、それを使うには現状隙が大きい。

弾幕が途切れる瞬間…そこを狙えば防戦一方から転じる事ができるはずだ…!

見極めろ…弾幕が途切れる瞬間を……………………!

 

 

「ここだ!!」

 

 

弾幕の発射が一瞬止まった隙を見て、俺はすかさずヒュージの反対型までジャンプする。これで弾幕の射線がこっちの方へ向くと思ったその時だった

 

 

 

 

 

 

 

 

グキィィッ!

 

 

 

 

 

 

 

「「!?」」

「夢結様!」

「!?…くそったれ!」

 

 

どこぞの巫女はこう言った。“常識に囚われてはいけない”と。あいつが人型だったために俺はすっかり固定概念に囚われてしまっていた。

人型ヒュージは“首だけ”を俺の方に向いたまま、反対側…つまり、梨璃と夢結様のいる方向には収束が完了した陰陽玉を発射した。

まずい…!楓さんはもう片方のヒュージに手一杯だし、陰陽玉の弾速的に夢結様の対応も間に合わない!

 

 

『Charge rize!』

「間に合え!」

 

 

アタッシュカリバーをアタッシュケースの状態に戻し、もう一度脚に力を入れ、先程の場所までジャンプする。

 

 

「ぐうっ!?…っぁぁ…!?」

 

 

着地と同時にすぐさま振り返り、陰陽玉をアタッシュケースで防ぐ。だが、着地したばかりでバランスが悪い状態で構えたために完全には防ぎ切れず、真上に受け流す事で陰陽玉を回避した。その衝撃に耐えられず、俺はぶっ飛ばされた……っ…!?

 

 

「くっそ…!」

 

 

立ち上がった時、脚に激痛が走った……やっちまった…さっきの無理矢理の跳躍で…脚が…!

 

 

「っ…!そこを…おどきなさい!」

『ギィィィ…!』

 

 

楓さんはこちらへの救援に行こうと、球体型ヒュージを弾き飛ばした…しかし

 

 

 

 

 

プシューーーーッ!

 

 

 

 

「なっ!?ガス!?」

「大丈夫、ただの目くらましよ!」

 

 

球体型ヒュージは、弾き飛ばされながらガスを噴出。辺り一帯の視界を眩ましてしまう。

目くらましだけならまだよかった。問題は…

 

 

「くっそ…どっから撃ってきてるんだよ!?」

 

 

人型ヒュージの放つ弾幕が見えづらくなってしまった事だ。発射音が聞こえるのはまだ幸いだけど、…それにしても視界が悪過ぎる!

 

 

「これじゃ、夢結様に私のかっこいい姿をお見せできないですわ!」

「言ってる場合か!」

 

 

楓さん、こればっかりは流石にタメ口で突っ込むぞ。こんなやばい状況なのにいつまでシュッツエンゲルに拘ってんだよ!?

 

ガスのせいで視界が悪い中、再び防戦を強いられる俺達。この状況の中、夢結様も自身のCHARMに手を伸ばそうとし…

 

 

「待って下さい!」

 

 

何かを察した梨璃は夢結様を引き留める……ん?何だ?この高速で接近してくる風切り音は……ヒュージがこっちに……って!?

 

 

「夢結様!?」

 

 

楓さんだった。

CHARMを構えた楓さんはそのまま俺達の間を横切っていった。どうやらヒュージに向かって突撃した際、勢い余ってこちらまで来てしまったらしい。あのヒュージ、闘牛士みたいに楓さんを誘導しやがったな…。

 

 

『ギィィィィ…!』

 

 

ここで、球体型ヒュージが俺達の真上から触手刃を構えて降下してきた。

すると夢結様は、唐突に梨璃の制服からリボンを外すと、それにマギを流し込んで硬質化させた。

 

 

「っ!」

 

 

夢結様がリボンにマギを流し込む光景を見た瞬間、再びラーニングが起こった。強い集中力が必要だけど、マギを物体に流し込めばゼロワンの装備でもある程度ヒュージに有効打を与えられるのか………ラーニング完了…!

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュッ!  グサッ!

 

 

 

 

 

 

『ギィィッ!?』

 

 

夢結様が投げたリボンが球体型ヒュージの複眼に突き刺さる。眼を潰された球体型ヒュージはそのまま別の方向に落下した。

 

 

 

 

 

            ■■■

 

 

 

 

 

 

ガスに乗じて一旦別の場所に退避した俺達。途中、例の人型ヒュージが弾幕を乱射してきたが、俺がなんとか防いだ。

 

 

「申し訳ありません、夢結様…!」

「あのヒュージ、私達の相討ちを狙ったわ。」

「まさか。ヒュージがそんな知恵を?」

「目くらましといい、その中での弾幕といい、ここまでの知能を持ち合わせても可笑しくない。さっきの人型がいい例だ。」

「一柳さんにお礼を言うべきね。一柳さんが私を止めなかったら、貴女今頃真っ二つになっていたところよ。」

 

 

あのガスの中、下手したら俺達が串刺しになる、もしくは楓さんが真っ二つになるかという洒落にならない事態になっていた。梨璃が咄嗟に気づいてくれたおかげで事なきを得た。

それなのに、楓さんは手柄を取られたと思い込んで悔しそうな表情だった。

 

 

「貴女、眼はいいのね。」

「あはは…田舎者なもので、視力には自信があるんです。」

 

 

楓さんに皮肉を言われた梨璃。田舎育ちだから視力がいいのかは分からないけど、視界不良の中で捉えられたのだから相当いい方なのだろう………っ!?

 

 

「…うっ…!」

「大丈夫?玖流君…。」

「ああ…けど、あの跳躍はもう止めた方がいいな…。」

 

 

梨璃に心配されながら、俺は負傷した脚の方に視線を向けていた。さっきの無理な跳躍のせいで脚を痛めてしまった。これ以上は脚が使い物にならなくなる。

そういえば、別のプログライズキーをホルダーに付けてたな…この状況で人型ヒュージに対応できるやつは…

 

 

 

 

 

 

 

 

プシュー!

 

 

 

 

「な、何っ!?」

「またガスか…。」

 

 

どうやらヒュージが追い付いてきたようだ。今度は最初から目くらましを行い、弾幕で一掃するつもりなんだろう…そう何度も使わせはしない!

 

 

『Wing!』

 

 

俺はドライバーのカバーを戻してホッパーキーを外すと、右腰のホルダーからファルコンキーを取り出し、スイッチを押してドライバーにかざす。

 

 

『Authorize.』

 

 

 

 

 

 

『ピィィィィィィッ!』

『ギィィィッ!?』

 

 

認証と同時に転送されてきたハヤブサ型のライダモデルが飛来すると同時にガスを風圧で振り払い、更に弾幕を放とうとした人型ヒュージをぶっ飛ばした。

丁度その時、球体型のヒュージがこちらに向かってきていた。ガスに紛れて急襲しようとしていたのだろう。

 

 

「はあああっ!」

 

 

夢結様は携行していたコンテナをパージし、そこから“刃がついた大筒のようなCHARM”を手に取り、それを触手刃を構えて突撃するヒュージに叩きつけた。

その間に、俺はファルコンキーをドライバーに挿入した。

 

 

『Progrize!Fly to the sky!Flying falcon!』

 

 

ライジングホッパーの装甲が側頭部、肩、脇腹、脚部側面へと展開していく。そこへ俺のもとまで旋回してきたハヤブサのライダモデルが目の前で空中分解。マゼンタの装甲に変換され、展開して空いた部位に転送・装着された。

 

 

『“Spread your wings and prepare for a fotce.”』

 

 

翼を広げたハヤブサを模したマゼンタの装甲に緑色の目が特徴の姿になった。

ハイブリッドライズ…ゼロワンの基本形態・ライジングホッパーに別のライダモデルを追加で付加する機能だ。プログライズキーを入れ替える都合上、バッタ由来のアビリティは失われてしまうが、装甲が増す分、防御力が上がる。

俺はハヤブサの飛行能力で飛翔する。脚にダメージを負った状態で、尚且つあの人型ヒュージと対等に戦うにはこれしかない。

 

 

『ギィィィ!』

「てやあっ!はっ!」

 

 

人型ヒュージが生成した槍と俺のアタッシュカリバーがぶつかり合い、火花が散る。

 

 

『ギィィィッ!』

 

 

その最中、夢結様と交戦している球体型ヒュージがこちらに触手刃を飛ばしてきた…こっちは飛べるとはいえ、横槍は鬱陶しいな…!

 

 

「はっ!」

 

 

俺は背中のブースターを点火して、触手刃や、それに乗じて人型ヒュージが放ってきた虹色の光線を高速飛行で避ける。跳躍の時でさえ一瞬視界がぼやけたのに、この姿の時は殆ど視覚障害が起きない。それどころか呼吸も楽だ。

 

一方、夢結様は球体型ヒュージの触手刃を弾いていく。その過程で徐々に空中に打ち上げられていく。

そして空中へ上昇していった夢結様を、球体型ヒュージは触手の束で包み込んだ。

 

 

「夢結様!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシャン!ガシャン!

 

 

 

 

 

 

「あっ…!?」

 

 

刹那、梨璃の持っているCHARMのコアが輝き、ルーンの文字が出現。それと同時に銃形態から変形していき、槍形態になった……ついに起動したか!

 

 

「ふっ…一撃でしてよ。そのくらい出来まして?」

「うん!」

 

 

楓さんと共にCHARMを正面に構える梨璃。そんな中、人型ヒュージは二人に向けて弾幕を放とうとしていた。

 

 

「邪魔は…させるかよ!!」

『ギイッ!?』

 

 

俺は人型ヒュージを脚で掴み、回転して勢いをつけて投げ飛ばす。ぶっ飛ばされた人型ヒュージは、夢結様を拘束している球体型ヒュージの触手の束に絡まった…今だ!

 

 

「今だ!突っ込め!」

『Jump!』

 

 

二人にそう叫ぶと、俺もホルダーから再びホッパーキーをアタッシュカリバーに挿入する。

集中しろ…あの時、夢結様が物体にマギを流し込んだ時のように…。俺はこの世界に入ったばかりで、マギの感覚を把握するには時間がかかるし、俺にリリィとしての適性があるかもどうかあやふやだ。だけど、この世界で皆を守れる力が…俺にもあるなら…!

 

 

『Progrize key confirmed. Ready to utilize. Grasshoppers ability.』

 

 

アタッシュカリバーに黄色いエフェクトが出現した。それと同時にドライバーから眩い光が生じ、アタッシュカリバーの輝きが更に増していく…っ!これだ…これがマギの感覚…俺にもリリィとしての力があるって事か…!いけるぞ!

 

 

「「やああああああああっ!」」

「うおおおおおおおっ!」

『Rizing kaban stlash!』

 

 

             

             

             

             

             

             

             

             

             

             

             

             

             

             

 

 

 

 

 

 

ブースター全開で高度を下げ、突撃する梨璃達に速度を合わせる。触手に絡まった人型ヒュージに向けて、俺達はマギを帯びたそれぞれの得物を叩きつけた。

 

 

『ギィェェェァ……!!!』

 

 

触手とともに斬り裂かれた人型ヒュージは、青白い光を発して爆散した。

触手から解放された夢結様は、残った球体型ヒュージを一撃で斬り裂いた。

今度は爆散しなかった球体型ヒュージは、そのまま近くの壁に激突。落石を生じさせながら息絶えた…っ!?

 

 

「梨璃!楓さん!」

 

 

落石の近くには、梨璃と楓さんがいた。そしてラーニングの結果、有害と判定されたヒュージの体液が降りかかろうとしていた。

 

 

『Progrize key confirmed. Ready to utilize.Bears ability.』

 

 

梨璃が楓さんを近くの穴に突き落とし、そこへ夢結様が駆けつけて梨璃を庇うようにして体勢を低くする。俺はすぐに梨璃達のもとへ着地する。その間にアタッシュカリバーに新たにベアーキーを挿入する。

 

 

『Freezing kaban stlash!』

「はああっ!!」

 

 

俺は二人のもとへ着地し、頭上に円を描くようにアタッシュカリバーを振るうと、その軌跡から氷の障壁がドーム状に展開されて俺達を覆った。氷の障壁は落石や有害なヒュージの体液を遮断していく……………はぁ…………間に合った………な………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ………崖の上……誰だ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“赤いメッシュの黒髪の女性”は………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ■■■

 

 

 

 

 

 

 

「う……ん……?」

 

 

目が覚めると、そこは保険室だった……そうか…俺、障壁を張った後、無茶が祟ってそのまま気絶しちゃったのか。それで、救援が駆けつけて学院まで運ばれたって訳か…。

感覚的に脚のダメージはある程度治ってるな……そういえば何か忘れてるような………あっ…。

 

 

「…ドライバーとプログライズキー…。」

 

 

思わず呟く程の重要な事だった。俺が気絶してる間、当然ドライバーとプログライズキーは学院側に回収されているはず…。まずいな、転生した事と神様からもらったなんて事はこの世界の秩序的に言っちゃいけないからな…見知らぬ人からもらったって誤魔化すか…。

 

 

「やぁやぁ、こちらの方も遅くなってごめんね。別のところの検疫とお話でちょっと時間かかっちゃって。」

 

 

誰かがそう言いながら入ってきた。黒髪に眼鏡をかけた上級生の少女だ。フード付きの制服からして、あれは工廠科の生徒かな?

そしてその手には俺のアタッシュケースが……あの人が持ってたのか…。

 

 

「あ、いえ。自分も今目覚めたので。えーと…。」

「工廠科二年の真島百由よ。よろしくね。」

「はい、よろしくお願いします。」

 

 

工廠科二年の百由様と挨拶を交わす俺。

 

 

「貴方の事聞いたわよ。何でも、CHARM無しで2体のヒュージを相手取った上にヒュージを倒しちゃうなんて。」

「いえ、倒したのは俺だけの力じゃないですけど。」

 

 

百由様にCHARM無しでヒュージを倒した事を評価されたが、これは俺だけの成果じゃない。最初こそ優位に立ち回れたが、跳躍力を活かせない場面では苦戦を強いられたし、何よりヒュージの予想外の連携に圧倒されたのは事実。梨璃と夢結様、楓さんの協力がなければ勝てなかったかもしれない。

 

 

「はいはい、そう謙虚にならないの。それにしても、標本にするはずだったヒュージが、まさか厚さ50cmのコンクリートをぶち破るとは思わなかったわ。」

「コンクリート程度じゃ閉じ込められないって事ですね。」

「まあ、想定外の事態に慣れておくのは基本よ。」

「自分はヒュージの脱走よりも、2体目が現れたのが予想外でしたけどね。」

「ヒュージは大抵、ネストから飛来するかケイブを通るかして現れるけど、あくまで大まかにであって本当はこの二択に限った話じゃないわ。前に現れてずっと潜伏していた個体が突然…というパターンもあるわ。」

 

 

何の前触れもなく出現…ネストから飛来した訳でもなく、ケイブを通った個体でもない…それ以前に出現して潜伏していた個体なのか、もしくはもっと別のアプローチで出現したものか…倒した後じゃ分からないな…。尤も、ヒュージはステルス性が高いから推測するだけ時間の無駄だな。

 

 

「そういえば、貴方が持ってきたこのバックルとカードキー、これでヒュージと戦ってたって聞いたけれど。」

「はい。まだ自分のCHARMがないので、それを使ってヒュージと戦いました。あくまでも強化スーツを装着するだけなので、それだけだと本格的にはヒュージには対抗出来ないんですけど。」

「ふむふむ…確かに先程調べたところ、今の技術じゃ作れないオーバーテクノロジーの塊ね。これは宝の山よ。」

 

 

百由様はゼロワンドライバーとプログライズキーに興味津々のご様子だ。この感じなら、CHARMについて何か聞けるかもしれない。

 

 

「そうだったわ、重要な事を忘れてたわ。実は検疫の際、貴方の身体を診断してもらったんだけど、男性にしては高いスキラー数値とマギ保有量を有していたわ。リリィとしては申し分ない程の数値よ。だけど、一つ問題があってね…。」

「問題?」

「どういう訳なのか、保有しているマギの大部分に何らかの“封印”が施されているのよ。」

「えーと、つまり…顕在するマギ保有量が少ないって事ですか?」

「そういう事なのよ。代わりに潜在マギ保有量は極めて高いのだけど、その“封印”をどうにかしない限りはCHARMすら起動できないマギ量なのよ…。」

 

 

どうやらここで壁にぶつかってしまったようだ。俺の検疫中、同時に診断されたようだが、CHARMの使用とレアスキル発現に重要なスキラー数値、及びマギ保有量は高いと診断された。これだけなら男性ながらリリィとしての素質が高いように聞こえるだろう。しかし、そのマギ保有量に問題があった。

どうやら顕在マギ保有量と潜在マギ保有量は別らしく、俺の顕在マギ量はかなり少なく、逆に潜在マギ量は極めて高い状態だという。その潜在マギには原因不明の封印が施されている状態らしく、その封印を解かない限りはCHARMを使用できないのだという。つまり、俺には通常のCHARMは使用できないという事らしい………ん?…待てよ?そういえばヒュージとの戦闘の時、アタッシュカリバーにマギを流し込もうと意識した時はスムーズに流し込めてた…それに梨璃と楓さんと一緒に突撃する際、俺の背中には“翼”のような光が輝いてた…それらの現象はいずれもゼロワンに変身してた時だ…もしかして“封印”の解除方法って………っ!

 

 

「…一つ目処があります。」

「え?」

「百由様が持ってる俺のゼロワンドライバーとプログライズキー、それを使えば俺専用のCHARMが作れるかもしれません。」

「それは本当!?」

「はい。さっきの戦いでも、変身してた時は難なくマギを使用できてました。もしかしたら封印は、変身してる時…もっと言うと、プログライズキーを使用してる時のみ解除される…謂わば暴走を抑えるセーフティーの役割だと俺は思うんです。」

「なるほど!つまり、プログライズキーの使用を前提にしたユニークCHARMを作ればいいって事ね!」

「はい。ですが、自分はまだCHARM について全く知らなくて…。」

「大丈夫よ。私が基礎からCHARMについて教えてあげるわ!今日は時間的に無理だけど、明日から教えてあげるわ。」

「そうですか、ありがとうございます!」

 

 

潜在マギの封印解除方法が判明したところで俺の…謂わばゼロワン専用のユニークCHARMを作るという形で話がついた。やっぱりCHARMとの契約にゼロワンの力が関わってくるという推測は間違いなかったんだな。

 

 

「そういえば、このドライバーとプログライズキーは何処で手に入れたのかしら?」

「それは…俺を助けてくれた人がくれたんです。」

 

 

この際、命の恩人からもらったものだと誤魔化した。その命の恩人の正体が神様だというのは何としても避けたいからだ。

 

 

「失礼します。」

 

 

ここで、史房様が保険室に入ってきた。

 

 

「岩倉玖流さん、理事長代理が貴方と話をしたいと。理事長室まで来て下さい。」

「理事長代理が?…分かりました。」

 

 

どうやら理事長代理が直々に俺と話がしたいというらしい。

俺はベッドから出ると、近くに掛けてあった制服の上着を羽織る…“フードがついていた”が、つまりはそういう事だ。

 

 

「あ、玖流君。後で君の部屋にCHARMの資料を送っておくから、あらかじめ目は通しておいてね。」

「分かりました。」

 

 

百由様と挨拶を交わすと、俺は理事長室へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

            ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

コンッコンッ!

 

 

 

「岩倉玖流です。」

「入りたまえ。」

「失礼します。」

 

 

しっかりノックをして理事長室に入る。俺の目の前には理事長代理・高松咬月が座っていた。黒い袴姿が歴戦の雰囲気を醸し出している。何だろう…声からして何処か愉悦のようなものを感じるのは俺だけか?

その横では史房様が立っていた。

 

 

「真島君から聞いた。君はCHARM無しでヒュージと戦ったというのは本当か?」

「はい。ですがゼロワンの力だけでは本格的にはヒュージと戦えません。」

「君がリリィとしての素質を持っているのは知っておる。この学院に在籍しているという事は君もリリィの一人じゃ。」

「そのために急遽、自分を工廠科に編入させたって事ですね?」

「そうだ。君が所持していると聞いたあのカードキー…それらを使えば、君自身が問題なく扱えるCHARMを製作する事が出来るじゃろう。」

 

 

俺は理事長代理から工廠科に編入という事を伝えられた。ユニークCHARMを製作するからには、工廠科に入ってCHARMの知識を得るのが最適だと理事長代理は考えたのだろう。俺の制服がフード付きになっていたのも納得がいく。

 

 

「分かりました。こちらも現状、ユニークCHARM製作に目処が立ったところです。」

「そうか。何かあった場合は真島君を頼ると良いじゃろう。彼女ならきっと力になってくれるじゃ。」

「分かりました。それでは、失礼いたします。」

 

 

俺は高松理事長代理にしっかり挨拶を交わすと、理事長室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 高松

 

 

 

 

 

 

 

 

 

儂は目の前の少年、岩倉玖流と対面した。ノインヴェルト戦術が主流になり、デュエルが廃れて以降姿を消した男性のリリィ。それが突然、このガーデンに入学してきた。

彼は男性ながら極めて高いスキラー数値とマギ保有量を有しており、リリィとしては希少な逸材だった。しかし、そのマギ保有量に問題があり、通常のCHARMは使えないと真島君は言っていた。だが岩倉君はこう言った。「目処は立った」と…。

50年続くヒュージとの戦いの中、恐らく彼は革命をもたらすかもしれない…。

 

 

「理事長代理、本当によかったのでしょうか?」

「どうしたのだね、出江君?」

「男性のリリィを採用したとなると、"G.E.H.E.N.A."がどう動くのか…。それにあのバックルとカードキー…私達ですら知らない代物です。」

「そうも言ってはおられん。ヒュージが現れてから50年、以前として進展はない膠着状態じゃ。」

「…。」

「そういえば、確かこんな噂を聞いた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレンスゲ女学院に、“四人の男子生徒”が編入したという噂が。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 玖流

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は何かと忙しい一日だ。入学式の日にヒュージ襲来、ユニークCHARMの製作の話、そして理事長と対面。転生初っぱなから多忙だよ本当に…。

高松理事長代理との対面が終わり、俺は講堂へ向かっている。とはいっても、もう夕焼けだ。入学式もとっくに終わっている頃だろう。

そんな気分の中、講堂前まで到着した。

 

 

「あ、玖流君!」

「よう、梨璃。それに楓さん。」

「あら、玖流さん。先程どちらに?」

「理事長代理と話してた。」

「「理事長代理と!?」」

「うん…それはそうと…もう入学式終わっている…よな?」

「うん。もうこんな時間だし…。」

「いいから入ってみて下さい、梨璃さん。」

 

 

もう時間帯的に終わっているはずなのに、楓さんは講堂へ入る事を促した……あれ?楓さん、さっきまで梨璃を邪険してたのに、なんだあの距離感…?

 

 

「誰もいませ……あっ!」

「!」

「居たーーーーーっ!入学式はこれからですよっ!」

 

 

梨璃がドアを開けると、そこには二水や他の生徒達が座っていた。何でだ?とっくに終わっていると思ってたのに…?

 

 

「二水ちゃん!」

「あれ、どういう事?」

「今日一番の功労者の為にって、理事長代理が時間をずらしてきれたんです!」

 

 

どうやらヒュージ捜索と討伐に貢献した俺達の事を考慮して、理事長代理が時間をずらしてくれたらしい…。

 

 

「おう有名人!初陣でCHARMと契約してヒュージを倒すとは、やらかしおる!そっちの方も、“変身”して“空を飛んで”ヒュージを倒したとな!それもCHARM無しで!」

「わ、私は足を引っ張っただけですよ!」

「そんな事ございません!梨璃さんはご立派でしたわ!」

「ちょっと待って、変身とか空飛んだって、誰から……ん?何だこれ?」

 

 

俺は薄紫色ツインテールの少女が持っている新聞に視線を向ける。そこには梨璃や俺の活躍が大きく書かれていた。そしてその新聞には、俺がフライングファルコンの状態でヒュージと空中戦を繰り広げている写真があった。

 

 

「私が刷りました!週間リリィ新聞号外です!」

「この写真、いつ撮ったの!?」

「数時間前です!たまたま外に出たら、ヒュージと“何か”が飛んでいたのを見たので、カメラを撮ってみたら、あのバックルが玖流さんのだと分かったので!」

 

 

すごいなおい!?ってか、短時間でここまで情報集めて新聞刷る才能もなかなかだな!?…やっぱすげぇよフミは…。

 

 

「ところで何でヌーベルさんは梨璃さんと腕を組んでいるのですか?」

「そういえば、さっきとはまるで態度が違うような…。」

「これには深~い訳がありますの!すりすり~。」

 

 

そう言って梨璃に頬擦りする楓さん。さっきまでは梨璃の事を散々皮肉っていたはずの楓さん。今ではこんなデレっぷりである。梨璃もそうだし俺も困惑してる……ふむ、何でだろうな?




OP[Sacred world]
ED[遠い叫び]









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