プロローグ 日常の終わり、そして
空が暗む、地面に赤い亀裂が走る。
全身に言いようのない悪寒が走り、心が破れそうになる、そして身体が紫色に割れ始める。
悲鳴が聞こえる。言葉にならない叫びが聞こえる。そして多くの人々の体を食い破り何かが生まれる。
何故、こうなったのだろう?
なんでこんな目に遭わなければならないんだろう?
生命の危険に晒されるなか、少年の頭の中は驚くほど冷静にこれまでの事を思い返していた。
時間は少し巻き戻り2010年3月某日正午
世間では新しい年度に向けての準備をするこの時期には珍しく学生服を着た2人組の男女が歩いていた。少年の方は黒髪で青みがかった瞳をしており、少女の方は赤いロングヘアーを後ろで結びポニーテールに髪の色と同じ赤みがかった瞳をしていた。15歳程の2人、本来なら中学生はこの時期学年末の試験や授業を受けているのだが2人の制服に付いている装飾から卒業式を行った事が読み取れた。
?「これで、中学も卒業か」
少年の方がそう口に漏らす
?「まぁ、この時期色々とお互い大変だったからねぇー」
少年の発言に対して少女も言葉を返す。
そうこの2人は兼ねてから通っていた学舎たる中学の卒業式を終えて帰路に着いていた。そんな中、少女が少年に対して声を発する。
?「ねえ春人。前から気になってたんだけど本当にサッカーのスポーツ推薦蹴ってもよかったの?あの高校だったら全国制覇も夢じゃないし、もしかしてプロになれたかも知れないのに?」
少女の言葉に春人と呼ばれた少年は
春「あーその事。ぶっちゃけるとずっとさ、サッカーは中学までって前々から心の何処で考えてたんだ。で、中学総体でベスト8に入れなかった事でさ、キッパリと諦めがついちゃってさ、」
自虐的に笑いながら彼はそう言う。
?「春人。」
春「おいおい、翼何不安そうな顔してんだよ。」
翼と呼ばれた少女の不安そうな声に春人はこう返していた。
春「まぁサッカーに未練が無いって言えばさ嘘になるけど。でも自分の中では良い区切りだと思ったんだ。ああ自分はここまでなんだなって不思議と腑に落ちてな。でもサッカー続けても怪我とかでプレイできなくなる時もあるかも知れない。そんなことで居候先のお前の家に心配させれないだろ?」
翼「いや、居候って側からか見ればそうだけどさ、お父さんもお母さんも春人を実の息子みたいに思ってるんだからそう気にしなくても。」
そう言う翼の発言に対して春人は
春「まぁ5年前の事故で母さんと父さんを亡くした俺にとってさ、おじさんもおばさんはもう一組の両親だって俺も思ってるよ。翼にも良くしてもらったし。でもいつまでもお世話になるだけじゃダメだなぁてのも思ってたんだ。」
その言葉に対して翼はハッとした様に
翼「もしかすると一人暮らしするって言ってたのって!」
春「ほら俺もさ来月から高校生で、アルバイトとかができる年頃だろ?いくらまだ子供だからと言ってもさ、少しづつ自立の準備とかしていかないと行けないと思ってさ。」
翼「そっか。色々と考えてたんだ。ずっと一緒に暮らせると思ってたのにな。」
春「えっ最後の方なんて?」
翼「ん?ううんなんでも無いよ。それよりも・・
そんなたわいもなくごくありふれた日常的な話を続けてると
春「ん?翼なんか変な匂いしないか?」
翼「え、本当だ。なんだろう?この・匂・い」
春「翼?」
会話の途中甘い様な臭い様な匂いが漂ってきた。すると、翼の様子がおかしい為春人は翼の方を向くすると
翼「すぅー、すぅーzzz」
春「翼?なんでこんな所で眠ってるんだ?」
彼女の方を向くと何故か道端で倒れ込むかの様に眠りに落ちていた。さらに、周りの様子を見ると周りの人達も眠っていた。
春「一体なにがっ、て、まずい・・俺も・・・段々と・・・眠た・・・く・・・・すぅーzzz」
そして、彼も眠りに落ちていった。
波の音が聞こえる。冷たい風が頬に打ちつけて、目を覚ます。
春「ん、ん、ここは?海岸?」
見渡すと彼は夕暮れの海岸にいた。辺りには自分の様に目を覚ました人達が戸惑いながらも周りを確認しており、中にはまだ眠っている人達もいる。
春「そうだ、翼は!」
そう思い、周りを見渡すと少し離れた場所で彼女、翼が眠っていた。彼女を見つけた春人は彼女に駆け寄った。
春「おい、翼起きろ!おい!」
翼「ぅぅん、何よもう?こっちはぐっすり眠ってたのにって春人?あれ?私達下校途中なのになんで眠ってたの?てか、ここ何処!」
欠伸をしながら目を覚ました彼女は春人の姿を見て状況を理解した様だ。
春「わからない。俺も目が覚めたらここにいて」
そう言って彼は翼の手を引き立ち上がらせるすると
「おい!空を見ろ!」
誰かの大声が辺りに響き渡る。それに釣られて自分達を含めた周りの人達も空を見ると
翼「え、あれって」
春「日、蝕?」
海岸線に沈みつつあった太陽が突如として時が巻き戻るかの様に空に登り、正午から少し過ぎたくらいの位置に達した時太陽に影が差し日蝕が発生し、辺りが闇に包まれていく。
「日蝕?」「何よ今の!」「ママぁー!怖いよぉぉ!」
周りからも戸惑いの声や、現実的にありえない様子に泣き叫ぶ子供の悲鳴も聞こえる。その時畳み掛けるかの様に更なる異変が起こる。
翼「うわっ、春人足元が!」
その声を受けて足元を見ると、まるで地割れを起こしたかの様に無数の赤い光が海岸を覆っていた。周りの誰もが発生した怪奇現象に戸惑う中
その時は訪れた
「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁ!」
突如として誰かの凄絶な悲鳴が聞こえる。悲鳴の方を向くと1人の男性の体に紫色にヒビが入り始めていた。そして、事態を飲み込む暇も無く彼らの体にも異変が起こる。
春「っが、!」
翼「いっ!」
まるで全身が躍動するかの様な衝撃が全身を走り、うつ伏せに倒れる。そして2人の身体にもさっきの男性の様に紫色のヒビが入る。2人だけではない、海岸に居合わせた老若男女問わず全ての人達にも同じ現象が起こっていた。
体の芯から想像を絶する痛みが走る。あまりの痛みで声も出ず、気を失うことも出来ない。
そしてヒビが全身に及んだ人達の体を食い破るかの様に異形の怪物達が次々と生まれだしていた。そして、2人にも
春「が、あぁぁぁ!」
翼「ひぃ、いぁぁぁ!」
春人の背中からはまるで御伽噺のドラゴンの様な、翼の背中からは巨大な紫色の翼が自分達と言う殻を破るかの様に生え出してきた。
逃れられない死が迫る中。
痛みとは裏腹に春人の頭は不思議と冷静だった。
(なんで、こんな事に?)
今の自分達の状況を見てこれまでの事を思い返す。自分達は来月から高校生になり、新しい夢に向かって歩み出すはずだった。そんな未来がこんな理不尽によって踏み躙られようとした。にも関わらず怒りが湧かない。湧いてこない。まるでこの現象が怒る事を許さないかの様に
(俺は、死ぬのかな?)
状況的にそうだ。もう既に周りの人々の殆どは怪物を生み出して死んでいる。残っているのは自分達の様に体の一部が変わり始めた数人だけそしてその数もどんどん減っていっている。目の前に視線を移す。目の前の■は片目も割れ始めて、もう殆ど意識が無い状態だった。
(ああ、そうか死ぬんだな俺、随分と短い人生だったなぁ)
もう殆ど意識も無く記憶も曖昧になりばしめ、右腕も砕けてドラゴンの腕が生え始めた。そして少年の脳裏に今までの人生が走馬灯の様に駆け巡っていた。
(おじさん、おばさん、ごめんなさい。育てくれた恩返せなかったです。みんなもごめん成人したらまた会おうって約束守れないみたいだ。たく、本当後悔ばっかりだな、こんなんだったら■に告白しとけば良かったな。多分、兄か弟みたいに思われてたから玉砕されるだろうけど)
段々と自分の意識が消えていく自分と言う存在が消えていく
(父さん、母さん。俺もそっちに行くよ。)
そして終わりを受け入れるかの様に少年が目を瞑る。その時、少年の脳裏に死んだ両親との最後の言葉が思い出す。
『春人、お前は私達の希望だ、だから生きて。』
(あぁ、そうだ!あの日約束したんだ父さんと母さんの分も生きて幸せになるって!)
朦朧としていた意識の中、春人の目に光が戻る。そして目の前にいる翼を見る。
春「つば、さ!」
彼女の背からは巨大な鳥の翼が生え、左手と右足は既に割れ、異業の者に変わっていた。しかしまだ僅かに意識が残っていた様で
翼「は、、る、と。」
春「大丈夫俺がついてるだから翼もさ、生きるのをさ、諦めないで。」
そう言ってまだ無事な左手を前に出す。彼の思いが伝わったのか翼もまだ無事な右手を前に出してお互いに掴むその時、お互いの体が黄金に輝き始めた。
同時に海岸を中心に燻んだ色をした虹色の竜巻が彼らを飲み込んだ。
こうして、彼らの日常は終わりを告げた。ここより語られるは、希望の魔法使いとその側に並び立つ4人の魔女達の英雄譚彼らの物語はここから始まる。
現在公開可能な情報
・竜堂 春人 15歳
今作の主人公年齢の割には大人びてる主人公
ヒロインの赤羽 翼とは幼馴染
10歳のころ事故で実の親を亡くしており、兼ねてから交流のあった赤羽家に居候している。
翼を異性として好きなのだが「家族として暮らしていた時間が長過ぎた。多分同い年の兄か弟としか思われてねぇーわ」と思っているので告白はしていない。
・赤羽 翼 15歳
今作のヒロインその1
春人とは幼馴染
彼の事が異性として好きなのだが「多分、同い年の姉か妹としか見てないんだろう〜」と思っているので告白はしていない
なんだこの無自覚両思いは
これから各話毎に簡易的ですがキャラ設定や世界観設定などを公開可能情報として後書きに書いていきたいと思いますので今後ともよろしくお願いします。