仮面ウィザードalternative   作:コーンモロコシ

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後編です。なお、各ライダーの詳しい外見情報などは今回以降オリジナルライダーやオリジナルフォーム初登場以外は描写しません。(思ったより表現するのが大変だった。)
さて、そのうち前書きでも何かミニコーナーを始めようかな?


第1話 魔法の目覚め 後編

走る。 走る。 走る。

森の中に逃げ込んでも、なおあの猪は追いかけてくる。

木を盾にしても木に登っても追ってくる。やたらと執念深い。

翼「はぁ、はぁ、はぁ、」

俺も翼も、もう殆ど体力が無い。森の中を裸足で駆け回ったせいなのか足の裏に小石や枝が突き刺さって血が流れている。痛みこそあれどまだ走れはする。だが、恐らく長くは持たないだろう。今は生い茂った茂みと木の影の間に座り込んで隠れているがあの執念だ、すぐに見つかってしまうのだろう。専用の知識がある人なら良い打開策がここで思いつくだろうが、こっちは喧嘩や殺し合いとは無縁の人生を送ってきたんだ、浮かぶ筈が無い。だけど逃げても埒があかないと言うのは俺も翼も理解していた。だからこそ考えろ。この状況を逃れる方法を。

まず今の自分達の状況だ。俺はさっきから変わりは無いが足の裏からだいぶ血が出ている。今はハンカチを当てて止血をしているが正直応急処置にすらならない、持っている物はポケットの中にあったハンカチとあの指輪くらいだカバンが有れば教科書とか筆箱とか携帯とかで何とかなったかも知れないが生憎俺も翼も持ち合わせて無い。翼の方は逃げる最中残っていた片方の靴も脱げてしまい左足のニーソもボロボロだった。正直今の自分達だけではなす術がない。

じゃああの猪の方はどうだ。まずあのデカさ、あまり動物に関する知識が無いから実際にいるかもしれないがあの巨体は普通ありえない。全高約170〜190センチくらい全長は2メートルもあるそんな猪が何度も何度も追いかけてくるんだ精神的にもまいる。それにスタミナも尋常じゃないさっきから殆ど全力疾走しているのにも関わらず疲れた様子が殆ど無い。動きを止めている時があるとするなら隠れている俺たちを見つける為に匂いを嗅ぐ為に止まる。その止まってる間に動けば僅かな音を聞き分けて突進してくる。木を一撃でへし折る突進を喰らえばこっちはひとたまりも無い。

春「はははっ。」

余りにも絶望的状況で正直笑うしか無い。でも生き残る手段が無い訳じゃ無い。そう言って隣にいる翼に目をやる。

今の彼女は必死に息を殺している。今茂みの向こうには猪が鼻で匂いを嗅ぎながら首を左右交互を振っていた。見つかるのも時間な問題だ。だから俺は今まで頭によぎりながらも考えないでいた(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)可能性を猪に気づかれない様な小さな声で彼女に向けて口にする。

春「翼、聞こえる?

翼「何。春人?まさか何か思いついたの!

春「翼落ち着いて聞いてくれ、よく考えたんだが正直に言う。2人とも生き残るのは不可能だ。

翼「そんな。

絶望的な表情をして彼女は顔を下に向ける。大丈夫少なくとも君は死なさせない(・・・・・・・・)

春「大丈夫。手はある。

翼「本当!

そう言って彼女は顔をあげる。汗と涙で汚れながらも何かに縋る様な表情をこちらに向ける。正直こんな事は言いたく無い。恐らく彼女にとっては最悪に近い可能性だ。でも生き残るにはもうこれしか無い。

春「俺が、囮になる。

翼「え!ちょっと、それ、どう言う

信じられない様な顔でまるでいま自分が聞いたのは何かの間違えであってくれと言うかの様な声を上げる。

春「冷静に考えろ。正直お互いの足の状態的に2人揃ってあの猪から逃げ切るのは不可能だ。だからまだ走れる俺が囮になってその隙に翼は逃げろ。

翼「駄目、だよ。そんな事しちゃ!」 

そう言う翼に対してある俺は猪に気づかれない様に、かつなるべく強く彼女に言い聞かせる。

春「お前もわかってるんだろ!このまま2人で逃げても遅かれ早かれどっちも死ぬ!他に手段が無い以上どっちかが生き残る為の手段を選ぶべきだ!頼むわかってくれよ翼!

頬に冷たい感触がする。恐らく泣いているんだろう。正直俺だって2人揃って生き残りたい。でももうコレしか無い。

翼「でも、でもぉっ!

彼女は泣きながらカッターシャツの袖を掴んで離さない。だから俺は嘘をつく事にした。

春「大丈夫だ翼。死ぬつもりは無い。

嘘だ。囮になれば死ぬ。

翼「春っ、人。

泣いている彼女の頭を撫でながら更に自分は嘘を重ねる。

春「なんとか、やり過ごしてみせるよ。だから翼は早くこの森を出て助けを呼んできて欲しい。そうすれば何とかなる。

嘘だ。時間稼ぎはできても、とてもじゃないがやり過ごす事なんて出来やしない。仮に助けを呼べたとしても助けが来る頃にはきっと俺は死んでいる。

でも、少しは効果はあったみたいだ。翼は涙を拭きながら何か言いたい言葉を飲み込みながら頷いた。

春「ありがとう翼。じゃあ約束だ。

そう言って俺は小指を出す。翼も何をすれば良いかわかったかの様に小指を出してお互いに絡める。

春「俺は必ず生き残る。だから翼も生き残る為に逃げてくれ。

翼「春人。、、、わかった。私、春人が助かる様にすぐ助けを呼んでくるから!

そう言って俺たちは指切りをする。多分翼もわかってるんだろう。俺は生き残れないって、でもそれが今できる最善だからと自分自身に言い聞かせて守れない約束をお互いにする。

春「よし。じゃあ行ってくる。

そう言って猪に気づかれない様に俺はそのまま移動する。猪は、よしさっきの位置からは多少離れているな。猪の位置を確認しながら、足元の小石を拾おうとした時。

翼「春人!絶対に生き残ってよ!約束だからね!

逃げる準備をしている、翼の声が聞こえた。ああ、任せろ!必ず逃げ切る時間は稼いでみせる!

 

 

 

息を殺す。音を抑える。

あれから猪はまだそこにいるであろう俺たちの臭いを嗅いでいた。位置取りを確認する。今の俺は猪の左後方の茂みの中に何個か小石を左手に持った状況で潜んでいた。視線を翼の方にやる彼女は今俺の向い側の目算数メートル程先の茂みの中にいた。彼女の準備はできたみたいだ。後は俺だけだ。

深呼吸をして高揚する自分の心を落ち着かせる。右手に小石を持って立ち上がりそのまま猪に向かって投げる。

「ブモォ!」

意図しない衝撃に猪は反射的に声を上げ、こっちを向く。よし後は、

春「おい!猪こっちだ!来てみろよ!俺はここにいるぞ!」

猪を挑発する様に思いっきり声を上げる。

「ブモォ!ブモォォォォォォォオ!」

猪は怒り狂い、こっちに突進してくる。よし!挑発に乗った。そう思いながら俺はギリギリで猪の突進を避ける。そのまま真っ直ぐに木にぶつかって木をへし折りながら急停止する。どうやら起こった場合は方向転換が出来ず真っ直ぐにしか進めないみたいだ。

猪に注意を向けながら翼の方に目をやる。茂みから出ていない。まだタイミングを見計らっているようだ。

「ブモォオオオオオオオ!」

猪がまた突進してくる。俺はそれを避けてもう一度石を投げる。

「ブモォ!」

春「あ、」

思わずそう声をあげてしまった。なんせ投げた石が猪の目に当たったんだ。

「ブモォ!ブモォ!ブモォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

猪は完全に怒り狂っている。もう俺しか視界に入っていないかのように。俺は直ぐに茂みにいる翼に向かって叫ぶ!

春「今だ!翼!

声を合図に翼は逃げる。猪の方は、

「ブモォォォォオオ!」

よし、翼の方に気づいてはいない。後は、彼女が逃げ切るまで、足止めをっと!

再度行われた猪の突進を回避する。よしこの調子で、そう思っていた。

だがその時

翼「キャッ!」

春「え、!」

翼の悲鳴が聞こえ、反射的に意識をそっちに向けてしまう。それが命取りだった。

「ブモォォォォオオォォォオオ!」

春「しまっッ、ガァッ!」

回避しながらだった為直撃ではなかったものの猪の突進を喰らってしまう。

春「ガッァ、ア、、、」

一瞬の浮遊感の後地面に叩きつけられる。全身の凄まじい激痛が走る!いくら直撃じゃなかったとはいえ、木すらへし折るほどの突進を喰らったんだもう恐らく動けない。声がでない、意識が飛びそうになる。

春(そうだ、猪は。)

残った意識を猪の方に向ける。猪はその怒れる瞳を俺ではなく、別の方に向いていた。

春(まさか、あの方向には!)

かろうじて動く視線を向ける。その視線の先には

翼「痛ッ、た、」

翼が転倒していた。何で?と疑問に思う前にその答えは彼女の足元にあった。

春(あれは、木の根?まさか!)

そう彼女は逃げるさい、地面から露出していた木の根に足を囚われ転倒していたのだ。さっきの悲鳴はその際に発してしまったのだろう。

視線の先の翼は必死に立ち上がろうとしているが立ち上がれないでいた。

春(まさか、転んだ時に足を!)

最悪な状況だった。自分は猪の突進を喰らい動けず、翼も転倒した際に足を怪我して動けずにいた。

「ブモォ、ブモォ、」

しかも猪は俺ではなく翼の方に興味を示してしまった!さすがに突進するほどの体力は無いようだがその重たい足音を響かせながら翼の方にゆっくりと歩み寄っていた。

翼「イヤァ、イャ!」

翼も必死に逃げようとしているが足の怪我だけでなくどうやら腰を抜かしてしまっているようでまったく進まない。

絶対絶命とはこの事だろう。せっかく覚悟を決めて囮になったのに結局状況は変わらない。嫌、逆に悪くなってしまった。

春(ここまでなのか、俺達は)

あの怪奇現象に巻き込まれて、命の危機から脱したと思ったら、見知らぬ土地でまた命の危機に瀕している。もうコレまでなのか。

【そうだ、諦めろ。】

何処からかそんな声が聞こえる。

【安心しろ、お前もあの女も自分では無くなるだけで(・・・・・・・・・・・)命は助かる。そのままお前は死への恐怖で絶望してしまうだけでいい。】

普段なら絶対に無視するその言葉が何故か今は甘く心地よく聞こえた。

春(そうか、彼女は助かるのか、ならもう良いかな)

そうして俺はその何かに全てを委ねるかなのように目を瞑ろうとした。その時、

"これから先、君の身には想像を絶する程の災難や試練が押し寄せてくる筈だ。だけど恐れる必要は無い。君にはそれを乗り越える力がある。いや、あの瞬間手にしたと言った方がいいのかな?だから君は絶望せず希望を抱いて進みたまえ"

あの時の夢で聞いた言葉を思い出す。

春(手にした、力?)

そう思った時頭の中でパズルのピースがはまるような感じがした。

春(まさか!あの指輪とバックル!)

手にした力、あまりにも抽象的でわからないが状況的にアレしない。いつのまにか聞こえなくなっていた甘い声を振り払って自分の右手を見る。その中指には相変わらずあの手形のような指輪が嵌められていた。

春(バックルと同じ装飾。翳せば良いのか?)

悩んでいる時間はない、今にも猪は翼の方に迫っている。俺は痛みに耐えながら右手の指輪をバックルの手形に翳す。

《ドライバーオン!プリーズ!》

そんな音声とともにバックルにも変化が訪れる。

バックルの手形は2回りほど大きくなり、銀色のベルトになって腰に巻きつく。

不思議と全身に力が入る、そして頭の中にこのベルトの使い方が流れ込んできた。

春(そうか、コレならば!)

俺は立ち上がり、ベルト上部のスイッチを押して手形の向きを右手側から左手側に変える。

《シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!》

騒がしい音声共に、そんなフレーズが鳴り響く

春(うるさ、)

内心そう毒づくすると、

「ブモォォォォオオ」

翼に近いていた猪が再びこちらを向き、突進の準備をしていた。翼はまだ無事の様だ。

春(後は、この指輪を)

そして、ポケットの中に入っていたもう一つの赤い指輪を左手の中指に嵌る。その瞬間を見逃さず猪が突進をしてくる。

「ブモォォォォオオォォォオオ!」

翼「春人ォォォオオ!」

翼の悲鳴が聞こえる。命の危機が迫り来る中不思議と冷静だった。周りの風景がスロー再生の様にゆっくりに感じる。そしては俺は脳裏に浮かんだ言葉と共に左手の指輪をベルト嫌、ドライバーに翳す。

春人「変、、、身!」

《フレイム! プリーズ! ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!》

目の前に炎の様に揺らめく様な赤い魔法陣が現れる。 

「ブモォ!」

突如として現れた魔法陣に衝突した猪はそのまま後方かつ翼がいない方向に吹っ飛ばされる。そして魔法陣が俺の体を潜る様に移動する。

魔法陣が通過した後の俺の体に変化が生じていた、全身を覆う黒いインナースーツに膝、肩には銀色のプロテクター上半身は黒いロングコートの様な鎧が取り付けられており、両手首、両足首、胴体には赤い宝石の様な装飾が備え付けられ、頭を覆うヘルムは右手の指輪のデザインがそのままマスクになったかの様な姿に文字通り変身していた。

翼「春人?なの?」

翼の戸惑う声が聞こえる。当たり前だいきなりこんな非常識な現象を見せられたら俺だって困惑する。と、そんなことより。

「ブモォォォォオオ!」

吹っ飛ばされた猪が怒り狂いながら突進してきた。

翼「春人!」

春「大丈夫だ!今の俺なら、あれくらい!」

そう言って俺は足に力を入れると、足から炎が発生し、炎を纏う。そのまま猪の突進に合わせてボレーキックの容量で蹴りを放つ。

「ブモォォォォオオ!」

蹴りを受けた猪は業火に包まれながら、後退りそしてそのまま断末魔の様な叫びを上げて沈黙した。

春「はあ、はあ、はあ、おっと!」

まるでガラスが破れたかの様に変身が解除され、緊張の糸が切れたのかその場に倒れ込む。

翼「春人!大丈夫なの?」

春「多分。あ、ヤベ、今になって痛みがぶり返して来た。」

翼「えぇぇ!わわわ、どうしよう!今私も足挫いて動けないし、どうすれば良いの!」

春「何、少し休んだらまた変身してこの森を抜け出せば良い。」

今はものすごく疲れていた。だから休みたかった。だが、

「ブモォォォォオオォォォオオ!」

翼「え、そんな!」

まさかと思い翼の視線の先に目をやると、全身黒焦げになりながらも猪が立ち上がっていた。

春「くそ、トドメさせてなかったのか!なら、もう一度!」

そう言って再びドライバーを起動させ様とするが

《エラー》

春「はっ、エラー!どういう事だよ!それ!」

何度も何度も翳してみるがエラーという音しかしない。ああ、何でこんな時に

春「ふざけんなよ!何でこんな肝心な時に動かないんだよ!」

翼「あ!春人危ない!」

春「ッ!」

怒り狂った猪が今度こそ俺たちにトドメを刺そうとして突撃する。万事休すか。だがその時、

《アロー!ナウ!》

そんな音声と共に無数の光の矢が猪に殺到する。

そして猪は断末魔をあげる暇もなく今度こそ絶命した。

翼「!これって」

春「助かった、のか?」

困惑する状況の中

?「大丈夫かね?君たち。」

後ろから声が聞こえ、そっちに振り向くと、魔法使いの風貌をした馬に乗った壮年の男性がいた。まさか、助けてくれたのか?それを確認しようするが

春(ヤベ、意識が)

「春人?春人!」

消えかける意識の中で翼の声が聞こえる中俺は今度こそ完全に意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春人と翼が森の中で猪と駆け引きをしている中それを森の外から遠目で見ていた人物がいた。

白いフードとローブの様な鎧を纏い。琥珀の原石の様な仮面の人物。白い魔法使いと言ってもおかしくない人物が彼らの戦いを見つめていた。

?「これでまた1人目覚めたか。」

そう言った後、その人物は左手にまったく別の指輪をつけてこう言った。

?「だが、あれは将来的にもサバトには使えんな。せいぜい使えるとすれば他の人柱どもの覚醒の為の呼び水か、まあ良い。これで計画の第一段階は成功した。これから第二段階に入る。」

その人物は、誰かに答える様にそう言った後左手の指輪をドライバーに翳す。

《テレポート!ナウ!》

その音声と共にその人物はその場から消え去った。

後に彼が起こす数多の事件が春人とそれを取り巻く人間達の運命を大きく動かしていく事になる。

 

 

 

 

 




現在公開可能な情報
仮面ライダーウィザード フレイムスタイル(ver alternative)
スペック
身長:163㎝
体重:50kg
パンチ力:推定45t
キック力:73t
ジャンプ力:35M
走力:100Mを5秒
※上記の数値は基準値であり、変身者の魔力に応じて瞬間的に増幅できる。
今作における仮面ライダーウィザードの基本ステータスパンチ力とキック力は原点のウィザードの10倍近くになっているが身長体重は減少しているが、これは春人の年齢に合わせてドライバーが調整を行ったため。なおステータスこそ変化しないが現象のウィザードはドライバーオンとフレイムスタイルの指輪しか使えないため魔法面ではまだまだ未熟な段階。


次回予告
目を覚ますと見知らぬ寝室にいた俺は、俺と翼を助けてくれ男性に会う。彼に連れられ俺たちは自分達の現状を知る事になる。
次回 第2話 「現状、そしてこれから」
え、俺たちと同じ様な境遇の人が後3人いるのか!
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