夢を見ていた。
目の前に映る景色は、懐かしいまだ父さんと■■■■が生きていた頃の風景。
今よりもうだいぶ幼い俺と翼、そして他の3人の女の子達との思い出。何気なくて、いつのまにか遠い所に行ってしまった、大切な記憶。そう言えばあの子達は今どうしているんだろうか?
そんな事を思っていると。
【ほう、これがお前の心を象る情景か。】
そんな声がする。声の方に振り向くとそこには
【成程、なかなかに普通で良い景色ではないか】
俺がいた。嫌、俺はここにいるじゃあ目の前の俺はいったい?しかもよく聞くとこいつの声は、あの時聞いた、諦めろ、と俺に言って来たあの声に似ている!
【あー、そうかお前はファントムとしての俺の声しか聞いていないのか。】
ファントム?なんだそれは?そう疑問に思っていると少しずつ目の前がぼやけて来た。
【おっと、目を覚ますみたいだな。まあ、俺の事やファントムの事はいずれ分かる筈だ。】
そうして、疑問を残しながら、俺の意識は途絶えた。
目を覚ます。視線の先には知らない天井がある。
何処だここは?そう思いながら体を起こして、まだ寝ぼけている頭を働かせて今までの事を思い出す。確か、猪に襲われてそれからあの指輪を使って、変身したんだった。
今思い返してみても訳がわからない。特に変身した事だ、あの時はとにかく無我夢中でやったが一歩間違えれば本当に死んでいた。そう言えばあんな怪我をしたのに痛みがないな。
そう思い今の自分の体を見渡す。今の自分の服装はファンタジーのRPGの一般人が来ているような服を着ていた。服をめくってお腹を確認するが傷跡が無かった。怪我をしたのは夢だったのか?だが次に目に入った物であの事が現実だという事がわかった。
春「指輪。」
そう、変身の為に使用したあの2つの指輪が指に嵌められたままだった。なんであんな事ができたんだと考えてると
?「おや、目が覚めたようだな。」
声の方を向くとあの時馬に乗っていた男性が部屋の入り口にいた。
春「あなたはあの時の」
?「おや、覚えていてくれたのか、記憶の方は問題ないようだな。体の具合はどうだ?私は魔法薬の調合はあまり得意ではなくてね。」
魔法薬?なんの事かはわからないが、何か薬のを飲ませてくれたのは確かみたいだ。
春「はい。痛みは無いです。」
?「そうか、あの子の魔法が良く聞いたみたいだな。」
春「魔法?」
心あたりはある、もしかするとあの変身も魔法だったのか?そうだそれより。
春「あの、そう言えば翼は、もう1人女の子がいた筈ですが彼女は!」
?「ああ、彼女なら今」
そう男性が答えようとすると
翼「春人!起きたの!」
男性の後ろから翼が入ってきた。手にトレーを持っていて、トレーの上にはお粥の様なものが器に入って乗せられていた。そして彼女が駆け寄ってきた。
翼「よかった、本当に。あれから丸一日眠ってたからどうしようかと思ったよ。」
春「え、そんなに眠ってたのか俺は。」
まじか、そんなに立っていたのか。そうだ
春「あの、助けて頂いてありがとうございます。」
助けてくれた男性にはお礼を言う
?「ああ、その事か。退役した身とは言え私も魔法使いだった。あれだけ弱っていたギガノボアくらいなら私でもなんとかなる。」
春「魔法使い?」
さっきから自分の常識じゃありえない言葉をいろいろとありすぎる。だからその意味を聞こうとしたのだが。
グルグルグルグル。
春「あ、これは」
この音は、自分の腹の音だ。丸一日眠ってたと言う事はあれから何も食べていないと言う事だ。
?「ははは、ずいぶんとお腹を空かせていた様だね。」
春「はい、そうみたいです。」
少し恥ずかしくなり頭を掻く。
?「何、色々と聞きたい事がある様だが、まずお粥を食べなさい。話はまずそれからだ」
そう言って彼は部屋を後にする。
名前聞いていなかったな。そう思いながら俺は翼と一緒にお粥を食べる事にした。
食事中にあれからどうなったのかのを翼に聞いた。あの男性、クルトさんと言うらしいがあの人があの森にいた俺たちを助けてくれたらしい。ここは彼が経営するお店兼自宅である「アクセサリー工房 ジュエル」と言うお店らしい。ただこのお店が何処にあるかとかは森から出るまでに日が暮れてしまっていた為わからないらしい。そう言えば。
春「翼、お前足は大丈夫なのか?」
翼「うん、あの子が治してくれたんだ。」
あの子、クルトさんも言っていたが誰の事だろう?その子にもお礼を言わないとな。すると
ク「どうやら食べ終わったみたいだな。」
クルトさんが入ってきた。
春「はい。美味しかったです。」
ク「お礼なら私では無く。その子に言いなさい。彼女はここに来てからずっとつきっきりで君の看病をしてくれのだから。そのお粥を作ったのも彼女なのだから。」
そう言ってクルトさんは翼に目をやる。そうだったのか、
春「ありがとな翼。」
翼「ううん。春人が元気になってくれただけで私は嬉しいよ。」
そう言って彼女は笑う。ああやっぱり悲しんでる顔より翼は笑顔が似合う。
ク「もう、すっかり元気な様だな。では、病み上がりで悪いのだが2人とも着いてきてくれはしないか?」
春「これは、」
クルトさんに連れられて工房から出た俺の口から思わずそんな言葉が漏れる。目の前にはまるでファンタジー世界からそのまま抜き取ったかの様な街並みが広がっていた。
ク「改めて紹介する。ここはセフィラ王国ケテル地区のライトレイ。私が生まれ育った町だよ。」
行き交う人々は笑顔に溢れ逞しく暮らしていた。見た感じ治安も良さそうだった。
しかし、セフィラ王国か。全く聞いた事が無い国だ。それにあの大きな猪と言い、魔法や魔法使いと言う発言と言い、こんなファンタジー世界をそのまま抜き取ったかの様な街。自分の中である可能性が浮かぶ。やめておこういくら状況的にそれしか無いとは言え、ありえない。
翼の方に目をやる。
彼女は初めて見るファンタジーな街並みに目を奪われながらも何か考え事をしているかの様な表情だった。おそらく翼も同じ考えが浮かんだのだろう。そうしたら翼がクルトさんに声をかける。
翼「あの、クルトさん。私達は今何処に向かっているんですか?」
ク「ああ、この先にある。ギルドと言う施設だよ。」
ギルド。自分の中の考えが更に確証に近づく。そう思いながら歩いていると。
ク「着いたぞ。ここだ。」
どうやら目的地に着いた様だ。目の前には立派な3階建ての建物が立っていた。クルトさんに連れられ扉をくぐり建物の中に入る。建物の中は大衆食堂の様に沢山のテーブルと椅子に多くの人達がいた。建物の中にいた人達はギルドのスタッフさん以外に全身に鎧を纏った人や、露出度の高い服装をした女性、まんま魔法使いと言う見た目の人など多種多様な人が多くいた。
周りの人に目を奪われながらもクルトさんに着いていくと。どうやら受け付けらしき場所に来た様だ。
「あら、クルトさん。お待ちしていました。その子達が例の」
ク「ああ、この子達がそうだ。状況を説明したい。何処か空いている部屋はないか?」
「大丈夫です。お先に来ていた子達も既に到着しているので、今から案内します。」
そうして俺達は受け付けの女性に案内される形で奥の部屋に倒された。
俺達が倒された部屋は応接室の様な比較的広めな部屋だった部屋の中央には長い机と複数の椅子が並べられており、既に3人ほど女の子が座っていた。すると、
?「あ、貴方は!怪我は大丈夫ですか?」
1人の女の子が駆け寄ってきた。髪は黒くショートカットで翼と同じくらい可愛い顔立ちをし、緑色の目をした、茶色っぽい服と短パンを履いた元気そうな子だ。だが俺の目に止まったのは彼女の左手の指輪だった。
春(指輪。この子もつけているのか?)
彼女も俺達の様な指輪をつけていた。でもデザインが違った。俺と翼は手形がついたデザインなのに対して彼女の指輪は六角形の銀色の扉が閉じているかの様なデザインの指輪だった。すると女の子が俺の顔をじっと見つめてくるのに気づく。すると、
?「ん?もしかすると、春くんとつばちゃんなの?」
翼「え?つばちゃんってその呼び方!まさか黄衣なの!」
え、黄衣ってまさか!もう一度彼女の顔を見る。小さい頃翼と一緒に良く遊んでいた3人の女の子そのうちの1人の面影が確かに彼女にはあった。すると、椅子に座っていた残り2人の女の子も声を出す。
?「え、ハルハルとツバツバ!マジ、久しぶりじゃん!」
?「あら、こんな偶然あるんですね。」
そう言って2人も駆け寄ってくる。
先に声をかけていた子は紫の髪を左側で結んだサイドポニーにして、髪の色とお揃いな色の服とスカートを履いた少し幼なげな雰囲気の女の子。
もう1人は紺色の髪を結ばずに肩まで伸ばしており、これまた髪の色とお揃いな色の服とスカートを履いた、年上の様な雰囲気のおとなしげな女の子。
この2人は瞳の色が水色で顔立ちがよく似ていた。
この2人も小さい頃遊んだ女の子の面影があった。
春「まさか、紫音と海美なのか?」
紫「やっぱ、ハルハルじゃん!久しぶり。」
海「春人さん、翼さんお久しぶりです。」
翼「紫音と海美も久しぶり。6、7年ぶりだっけ?」
ははは、まさかあの頃女の子達とまたここで会うなんて。そんな予期せぬ再会に喜んでいると。
ク「おや?知り合いだったのかな。」
クルトさんが声を掛けてきた。
春「あ、はい昔遊んだ事があったので。」
ク「そうか、だが積もる話もあるかもしれないがまずは席についてくれないか、色々と説明しなければならな。」
あ、そうだ。俺たちは急いで席に着く。(横1列に春人が真ん中になる様に奥から紫音、翼、黄衣、海美の順番で座る)
俺達が席に着くと向かいの席にクルトさんと受け付けの女性、そして良く鍛えられた二の腕をした壮年の男性が座った。
翼「あの、クルトさんこの人は」
ク「ああ、紹介しよう。彼はラゴウ。私の古い友人で、ギルドライトレイ支部の責任者だ。」
ラ「ご紹介に預かった。俺はラゴウ。ラゴウ・グランセだ。」
この人はラゴウって言うのか、
ラ「すまないが俺は、クルトと違って君達とは初めて会う。できれば君達の名前を教えてもらえないだろうか?」
そうして俺達は自己紹介をする。
春「えっと、春人。
翼「
黄「初めましてラゴウさん。私は
紫「私は
海「コラ、紫音!すいませんラゴウさんちょっとこの子は子供っぽいと言うか思った事を直ぐ口にする所がありまして、あ、私は
ラ「そうか、ハルトにツバサ、キイ。そしてシオにウミか。では早速で悪いが君達が何故それぞれあの場所にいたのか聞かせてくれないか?」
そう言って俺達はこれまでの経緯を話す。その中で驚いたのは、黄衣に紫音、海美もあの海岸にいたという事だ。そして全員が光ったと思ったら虹色の光に包まれて黄衣はライトレイの大通りで倒れていてに紫音と海美は街の川に浮いている所をクルトさんに保護されたみたいだ。要するに今の俺達は身元不明の人物という事になる。
一通り俺達の事情を聞いた、ラゴウさんが少し悩んだ様な表情をした後意を結したかの様に俺達に話す。
ラ「一通り君達の話を聞かせてもらった。まず結論から言おう、何となく気づいている子達もいる様だが、君達は、違う世界からこの世界にやってきた様だ。」
やっぱり、そうか。魔法や魔法使いにライトレイの街そしてギルドという施設明らかにファンタジー漫画に出てくる様な要素が見事に揃っていた。
どうやら事態は思ったより大変な事になっているみたいだ。
現在公開可能な情報
・仁藤 黄衣 15歳
今作のヒロインその2
春人とは小さい頃他のヒロイン達と遊んだ事がある
苗字から変身する仮面ライダーを察して欲しい。
彼女はこの世界に飛ばされ、ライトレイの中央大通りに倒れていた所をクルトさんに保護された。
・青野 紫音 15歳
今作のヒロインその3
ちょっと子供っぽいが春人と同い年
海美の双子の妹
姉の海美と一緒にこの世界に飛ばされてライトレイ内の大河を溺れているところを救助され保護された。
・青野 海美 15歳
今作のヒロインその4
紫音の双子の姉。
おとなしく自分から意見を出すのが苦手
この世界に飛ばされた際紫音と逸れてしまいライトレイを走り回っている時に救助された紫音を発見して一緒に保護される。
以上と春人、翼を合わせたこの5人が今作のメインキャラになります。
当初は幼馴染設定は、翼だけにする予定だったが、何故か他の3人にもその設定が生えてきた。
それでは次回もよろしくお願いします。
次回
「春人の誓い」
次回の投稿は遅くなる可能性があります。よろしくお願いします。