自分より強いのがいないから育てた 作:師刃
ロドスにおいて最強は誰か。言い出したのは誰だったかは知らないが、そんな話がロドス内で話題となっていた。
ある者は言った
「山崩しとも恐れられる彼女、スカジさんこそが最強だ。並の重装では盾ごと吹き飛ばされ、足を止めることすら叶わぬあの力。アレに敵うものなどいない」
ある者は言った
「シルバーアッシュ様こそが至高。近づく前に斬り殺し、囲まれようとも全てを斬り伏せる。やはり真銀斬⋯!! 真銀斬は全てを解決する⋯!!」
ある者は言った
「オイラだよ! オーイーラー!」
「はいはいケーちゃんお菓子できたよー」
「やったー!」
「なにアレ可愛い」「ケオベさん可愛い」「餌付けしたい」「ケオベさんが最強でよくない? 可愛いし」「いいかも・・・」
ある者は言った
「可愛さで言えばスズランちゃんだろうが。周りへの気遣いの良さ、よく見せてくれる笑顔、俺たち職員にもニコニコと笑顔で話してくれたりするんだぞ」
「そうだった危ない」「いやいやけどケオベさんのあの無邪気さもいいんだよ」「「「「それな」」」」「便乗やめろください」
少し話が脱線しつつも話が進む。基本はエリートオペレーター、だがそれ以外でも強い者はいる。
アンブリエルは超長距離からの狙撃ができ、気付かれる前に殺せるから強いだとか、スカイフレアによるメテオは当たったら一撃で死ねるだろとか。
そこでふと1人が言う
「そういや、メランサさんも強いよな」
「あー、そういやそうだな」「重装兵の盾を斬り裂いたってほんと?」「俺医療班だけどメランサさんが来たことないし、攻撃全部避けてんじゃね?」「アーツを斬り捨てて術師を伸したって聞いたけど」
一人一人情報が違うものの、その全てがあり得ないだろと笑われそうなものばかり。だというのに、誰も笑わなかった。見たものが数人、それに戦闘記録にも残っているからである。
「メランサさんっていえばさ、知ってるか? あの娘の師匠のこと」
「あー、聞いたことあるぞ。けど、本当か?」「いやあれはなぁ⋯」「見たことないからわからん」「けどメランサさんもああ言ってるしな⋯」
曰く、山を斬り谷を造った。曰く、天災の中から現れた。曰く、天気が悪いからと雲を斬り払った。曰く、一国の軍隊を無傷で無力化した。
そのどれもが信じられないものばかりだった。
だからだろうか、疑問を口にしていた彼らの近くに彼女が来たのは
「みなさん、師匠のことを疑っているのですか?」
「「「「「「「「「「!!?!??!?」」」」」」」」」」
バッと声の聞こえた方を向くロドス職員達そこには今噂にしていた師匠の弟子、メランサであった。
全員、しっかりと食堂内に誰がいるかを把握していたはずだった。
(ちょっとまて誰かメランサちゃんがここに入ってくるとか見たか!?)(見えてなかったよそもそも入り口はずっと見てたぞ俺!)(はえー特殊オペレーター並みとか分かるわけないじゃないですかやだー)(((言っとる場合か!)))
「師匠のことを疑っているのですか?」
(ヤバいぞこれ死ぬぞ!?殺気ダダ漏れだぞ!?)(おいおいおい)(死ぬわ俺ら)(馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!)(そう言ってるこいつ白目剥いてるな)(死んだんじゃないの〜?)
とんでもな殺気に死を幻視する職員達。その中の一人が走馬灯により頭を高速回転させた。
「さっきまで最強は誰かってのを話し合っててその流れでメランサちゃんの師匠ってどんな人なのかなーって思いまして話し合っていたんですよ」
「なるほど、そういうことだったんですね。なら納得です。師匠を実際に見た人は余りいませんから」
(((((((((ナイスゥゥゥ!!!)))))))))
「あぁけど、噂は一部を除き本当ですよ。疑ってただけなので今回は別にいいですけど。もし馬鹿にでもしていたら」
細切れにしてあげます
ゾッとする。殺意が詰め込まれた言葉を聞いて全員が漏らしそうになった。顔色が悪くなっていない者はいない。
片手間に自分達を殺すことのできる者からの殺意。漏らさなかっただけでも称賛ものだろう。
と、唐突にクンクンと匂いを嗅ぎ始めるメランサ。
目をカッと見開いた彼女は
メランサは風となって走り去った。
殺意に当てられた職員達は冷や汗を流し、ため息を吐いた。
「しぬかとおもった」
「小並感だけど同意」「しこうまわらん」「生きてることが、ましてや五体満足とか奇跡でしかないから」「デスヨネー」「手が震えて飲み物飲めない」「なんか弟子がすまん」
1人が飴をみんなに配り、優しい甘さに心が休まった。
そしてこう思った。今後こんな話はしないと。
レユニオンの盾を斬った→重装兵の盾を斬ったに変更しました。
ちょっとふざけて書いてるのに支障が出そうだったので・・・申し訳ない。
重装兵の盾は、レユニオンの重装兵の盾と同じ物と思ってもらって大丈夫です