忍と灰と焚べる者と狩人とダンジョン 連載編   作:noanothermoom

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神の宴
神々によって開かれる宴
時として数日間にもわたる宴は
その間神々がそれぞれ交流を深めるためという名目で遊びふける為のものだ

それが人に真似た人の世を生きる術だと言えばそれはそうだが


神の宴での一幕

 今朝ボクはファミリアのホームである廃教会で朝食時に【神の宴】へ出るから夕食がいらないと九郎君に声をかけアルバイト先であるジャガ丸くんの屋台へ向かった。

 かつて夕食が必要ないことを伝え忘れたときの九郎君は怖かった、すごくすごく怖かった。それ以降ボクはどこかで夕食を食べてくるときはあらかじめ伝えておくことを決して忘れないようにしている。

 

 「九郎君ベル君ボクは朝言ったように今日【神の宴】に出てくるから夕食は要らないよ」

 

 アルバイトを終えてホームに帰ってきたボクは、地下室にいた九郎君とベル君に話しかける、朝言っていたとしてももう一度言っておくぐらいがちょうどいい。ええ聞いていますよ、お帰りはいつごろでしょうか、そう九郎君が言うが...いつになるだろう。

 【神の宴】は参加している神によって、数日間飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎになることもある、流石にボク()でもそれを読むのは難しい。

 

 「神様、九郎さん【神の宴】っていったい何ですか」

 

 そうボクが悩んでいると、ベル君が【神の宴】とは何か聞いてくる、どうやら知らないようだ。

 【神の宴】とは何か、改めてそう言われるとなかなかに説明が難しい。

 

 例えばこれが【神会(デナトゥス)】であったならオラリオのこれからのために、ボク達(神達)がその意見を交わす会合とでもいえば格好がつくだろう...まあ実際にはそういう名目で遊んでいると言うのが実情なわけだが。では【神の宴】はどうだろうか、定期的に開催される【神会】とは違って遊びたいから、自慢したいからそんな理由で開催されている上に、これといったそれらしいお題目もない、いったいどうやってベル君にそのことを悟られずにうまく説明したものかそう考えながら【神の宴】の招待状を見ているといい考えが浮かんだ。

 

 「今回【神の宴】を開催するのはガネーシャ・ファミリアなんだけど、あそこは近くに大きな催し物をするらしいんだ。だからその宣伝と協力者を募るために、宴会を開くんだよ」

 

 まあ大体間違ってはいない説明を口にする、間違ってはいないただヘスティア・ファミリア(うち)に他所のファミリアの手伝いをできる様な眷族がいないことや、そんな理由がなくても遊ぶために或いは見栄のために開かれることを言わなかっただけだ。

その説明を聞いたベル君はへぇ~と感心したような驚いたような声を上げている、まあ予想が付かないのかもしれない。

 

 「ああそうですね、ではこちらの衣装をどうぞ」

 

 そうしてベル君に説明をしてホームを出発しようとしたボクを引き留めた九郎君の手には新しいドレス。

 いったいどうしたのかと聞けば、いつもの服で集いに出ては恥をかくやもしれない、そう思ってあらかじめドレスを買うためのお金を貯めて【神の宴】に出るために新しいドレスを用意してくれていたらしい。

 ありがとう九郎君、そう言ってボクの部屋で新しいドレスに着替えてボクは今度こそホームから出発した。

 

 

 

 

 

 

 今回の【神の宴】の開催場、ガネーシャ・ファミリアのホーム【アイアムガネーシャ】

 名前だけでもお腹いっぱいになりそうな名前だが、外見を見ればそんなものは食前酒ですらないと知ることになる。

 拠点の敷地内一杯に立つのは巨大なファミリアの主神が胡坐をかいた像(像の仮面を着けた半裸の男神の像)、それがこのホームの外見だ。

オラリオにおいても大派閥と言われ主神も【群衆の主】を自称し好感が持てる神物で眷族たちとの関係も良好なのだが、この拠点については眷族たちからすさまじく不評らしい、ある意味当たり前と言えば当たり前、神の姿をかたどった建物に対して文句を言えること自体が主神と眷族の関係が良好な証ともいえるだろう。

 ちなみにこの建物の入口は像の股間であり、ホームに出入りするたびにそこを通らなければならない眷族からの不満は必然ともいえる。

 

 自分のファミリアの拠点(廃教会)も大概だと思っているし、他所のお家についてとやかく言うのはどうかと思っているヘスティアをして、ちょっとどうなんだい、と文句の一つも言いたくなる建物の中に入ればワイワイガヤガヤそんな風に賑やかな場が広がっている。

 

 場内の視線がヘスティアに刺さる、だがその理由は新たな訪問者だからでも、ヘスティア自身が【神の宴】へ出るのが久しぶりだからでもない...眷族の一人絶望を焚べる者による【神会襲撃事件】が原因だ。

 

 天界から降りてきてすぐのころのヘスティアは眷族もおらず、そんな立場で【神の宴】への参加も馬鹿にされることが分かり切っていたので参加していなかった。だがファミリアを創り自慢の眷族が出来てから初めての【神会】

 それに鼻高々で参加したのだ、それがまさかあんなことになるとは天界にいたころならまだしも地上においては【全知零能】と言われる身では想像もできなかった。

 

 後のオラリオで三大問題児と呼ばれる灰、狩人、焚べる者を伴ないヘスティアは初めての【神会】へと参加した、当初危惧した灰や狩人の暴走もなく、【神会】の演目もとい議題が二つ名の名付けへと進んだ時事件は起きた。

 自身の二つ名【パンドラの箱(触るな危険)】を聞いた途端焚べる者が暴れだしたのだ。

 

 冒険者の二つ名それを名付けるのも【神会】の大切な余興もとい大切な仕事だ、そして新しく名前が売れた冒険者には洗礼の意味も込めて神の感性では非常に痛々しい二つ名が付けられる。大規模なファミリアともなればある程度手加減もしてもらえるが、そうでない中小ファミリアの主神からは毎回勘弁してくれと悲鳴が上がる。

 

 そんな中暴れまわった焚べる者、幸い大した負傷者もなく事件は終わったが、未だに語り草にされる拘束された焚べる者(犯人)のセリフ

 「ここで暴れればミラのルカティエルの名前が有名になると思った、後悔はしていない」

 に悪乗りした神々によって、ヘスティア・ファミリアは少なくない賠償金と<灰、狩人、焚べる者の【神会】及び【神の宴】への立ち入り禁止>を引き換えに、当時のヘスティアの眷族たちの二つ名を自己申告制にすることで、この騒動は決着となった。

 それ以来ヘスティアが【神の宴】或いは【神会】に参加するたびに神々から眷族を連れていないかの確認をされるのだ。

 だがあくまで参加が禁止されているのは灰らであり、九郎や狼を連れて参加すると言う選択肢もあることはあるが、どう考えてもろくなことにならないだろうと思い連れてきたことはない。

 だからこれまでヘスティアは一人で【神会】に参加していた、だがベルという新しい眷族が増えた。

 立派に着飾ったベルにエスコートされる自分を想像し、ぐふふなんて神としていや女性として漏れてはいけない声が漏れるヘスティア

 

 「あれ、ロリ巨乳のヘスティアだろ」

 「まじか、あのやばい連中の主神しているヘスティア?」

 「へ、へ、ヘスティアだぁ~ヘスティアが来たぞ~」

 そのヘスティアをみて各々言いたいことを言いたいようにしている神々

 「俺がガネーシャだ!!」

 そう叫んでいるこの建物の外見そっくりな男(このファミリアの主神)────あれでオラリオにいる神の中でも有数の神格者だと言うのだから神と言うものは見た目で判断できない...いやあんなのよりもひどい性格の神しかいないことを嘆くべきなのだろうか

 それら外野の騒音に正気を取り戻した(妄想の世界から帰ってきた)ヘスティアは一直線に目的地へと向かう、すなわち食事が置いてあるテーブルへと。

 

 「ふん、はふははふぁねーしゃふぁみりはりょうひもひっきゅうひん(うん、さすがはガネーシャ・ファミリア料理も一級品)」

 口に物を詰めたまま喋りなお次から次へと料理を口にするヘスティア、その姿に神の威厳どころか必要なマナーすら見当たらない。

 彼女が【神の宴】出たのは二つの目的がある、一つは出てくる食事────ヘスティア・ファミリアの家計は決して悪いわけでもない、だが思うまま美味しい料理と高級なお酒を好きなだけ飲めるかと言えば否だ。

 こんな機会でもなければ到底口にできないだろう料理に舌鼓を打つヘスティア。

 

 本来ならばタッパーにでも料理を詰めて眷族たちに持ち帰りたいところなのだが、九郎よりお願いですのでやめてくださいと懇願されて諦めた、その代わりに用意された料理を食べつくさんばかりに口に入れ続ける。

 

 もう一つの目的はとある神へとあるお願いをすることだ、そしてその神は彼女の背後より迫っていた。

 

 「ちょっといい加減にしなさい」

 そうヘスティアをたしなめる隻眼の神ヘファイストス────天界にいる頃からヘスティアと交流があった神にして、鍛冶を権能とする女神だ

 「久しぶりじゃないかへファイストス、ちょっと待っておくれよ話があるんだこれをもう少し食べたら...」

 だがそうへファイストスの忠告を聞き流すヘスティアに思わずその頭を掴み、その行動を止めさせるへファイストス。

 

 そのまま「あんたね、うちから独り立ちして、曲がりなりにもファミリアの主神してるんでしょ、今のあんたの姿見てあんたの眷族がどう思うかわかる」と持ち前の面倒見の良さからお説教を始めようとする。しかしヘスティアは少し考え込んだ後「灰君たちなら「ヘスティアに心配してくれる友神がいるとは」って感動するかな」そう答える。

 ふざけた言葉のようだが、ヘスティアの頭の中では嬉しそうにする九郎の姿、九郎へハンカチをそっと差し出す狼、ヘルムの上から目元を抑える灰、友神を大切になと書かれた手帳を見せている狩人、ミラのルカティエルの伝説について語る焚べる者の姿が鮮明に描き出されていた。

 

 だが当然そんなものは友神(ヘファイストス)の望んだ答えではない。

 ヘファイストスは怒り、ふざけないでそう叫びさらにそんなわけないでしょと続けようとする、だがその瞬間ヘファイストスの脳内でヘスティアの眷族たちがよかったよかったと頷いている姿が映し出される。

 結果としてそんなわけ...ある...かも、あるわね、うんあんたのとこのあいつらならそれぐらい言うわ、と途中で納得してしまう。

 

 かつて天界より降りてきたばかりのヘスティアは、天界で交流のあったへファイストスのファミリアにその身を寄せていた時期があり、その後灰達眷族を見つけファミリアを創った。

 そういった経緯がある分他の神よりもヘスティアの眷族について詳しかった、そのためへファイストスはヘスティアがふざけたり話を逸らしたりするためにそんなことを言っているのではなく、大真面目に眷族の言いそうなことを言っているのだと理解してしまったのだ。

 

 「...ってそれとこれとは話が別よ、あんたね外聞て物はないの?」しかしあくまでお説教が本分だと思いなおしヘファイストスは再びお説教を始めようとする、だがその言葉をかけられたヘスティアが俯いてフルフルと震えているのを見て思わず大丈夫か聞こうとし、がばっと勢い良く頭を上げたヘスティアに「そんなもの...今更うちにあると思っているのかい!!」逆切れされたことで「あっ!...ごめんなさい」勢いに呑まれ謝ってしまう。

 

 日ごろ眷族に振り回されもっとどうにかならないのかと苦言を呈しているヘスティア、だが曲がりなりにも()()()()()()()()()をできる時点で、ヘスティアも常識からずれている(彼らに染まってきている)所があるのだ。そんなヘスティア相手に説教をするにはヘファイストスはあまりにも常識的過ぎた。

 

 そんな風に戯れていると新たな神がヘスティアへと声をかける

 「おう、仲よく遊んどるとこ悪いけど邪魔すんで」

 緋色の髪に開いているのかわからない糸目、そしてまっすぐな壁を思わせる平坦な胸──ロキだ。

 しかし頭を掴まれながらも食事を食べようとするヘスティアから「邪魔をするなら帰ってくれないか」そう言われてしまいロキは思わず「そうかなら帰るわ、すまんかったな」

 そう言って踵を返し数歩歩き「...ってなんでやねん」そう切れのある突っ込みを返す。

 

 「用があるから来たんや、帰らすなや」

 怒りを見せながら用件があるから来たんや、そういうロキに対してヘスティアは、それで一体何の用だいとぶっきらぼうに聞く。

 

 ロキは口をヘスティアの耳に近づけ、「実のとこ用があるわけやない、けど手紙の件もあるからな()()()()()()()()()()()()()()()()()()()そう思ってな」と囁く、だがヘスティアは嫌そうに距離を取ると、なら今度こそ帰れよそう冷たく突き放す。

 この二神はとにかく馬が合わないというべきか、相性が悪いというべきかとにかく顔を合わせると喧嘩ばかりしているのだ。

 

 最初はロキもファミリアの都合もあり大人の対応をしていたが、こうも馬鹿にされれば当然大人しくしてはいない。

 「お~?いっちょ前の口きくやんけこのドチビが、そんなこと言うのはこの口か?」そう言いながらロキはヘスティアの口を引っ張る、なにふんだいそう言いながら負けじとヘスティアもロキの口を引っ張る。

 

 「お?なんだなんだ」

 「ヘスティアとロキがケンカしてるぞ」

 「お~し、ロキの勝利に五ヴァリス」

 「そんじゃあ俺はヘスティアの勝利に服を賭けるわ」

 「要らねえ~」

 騒ぎに何事かと様子を見に来た神々が二神のケンカをだと知ると掛けの対象にして口々にはやし立てる。

 ついにはヘスティアによるその胸じゃロリ巨乳じゃなくてロキ虚乳だねの一言によって、ロキは心に甚大なダメージをうけ「覚えとけよ~」と捨て台詞を吐きながら逃げて行った。

 

 そうして邪魔者がいなくなったことで再び料理を詰め込む作業に取り掛かろうとするヘスティアに「あらあら、賑やかなことね」そう新しく声をかける神がいた。

 容姿端麗な者が多い神の中で尚ひときわ目立つその美貌、美の女神フレイヤだ。

 そのことに気が付いたヘスティアから「ゲッ、フレイアいったい何の用だい」そう思わず嫌そうな言葉が漏れる。

 

 ヘスティアは竈の女神であると同時に処女神としての側面も持つ、一方のフレイヤは美の女神と言われるだけあって美しさと恋の多さで有名な神だ、どうにも価値観が違う。

 ロキのように顔を合わせれば喧嘩をするという訳ではないがヘスティアはフレイアのことを苦手としている、そのフレイヤから声を掛けられたのだ思わずゲッとも言ってしまう。

 

 ヘスティアのその様子を気に留めることもなくフレイヤは聞く「あなたのところに新しい子ども(新しい眷族)が入ったと聞いたのだけれど...今日は連れていないのね?」

 

 その言葉を聞いた周りの神たちもまた口々に叫ぶ

 「ヘスティアのとこに新入りなんて入るわけないだろ!!」

 「いや、うちの子からヘスティアの新しい眷族を名乗る奴がいるって聞いたぞ」

 「騙りだとしてもなんて命知らずな」

 「いやマジだろ、うちでも聞いたぞウサギみたいなやつだろ知ってる知ってる」

 「でも最近その()()()見ないって聞いたぞ?」

 

 神々がひとしきり叫び終わると「という訳でどうなのかしら、噂じゃあなたのところの他の眷族に食べられちゃったなんてのもあるけど」そうフレイヤが楽し気に聞いてくる、周りの神々もまた楽し気にヘスティアを見ている。

 

 「勝手にベル君を殺すんじゃないよ?!あとうちの子を人食いにするんじゃないよ!!そんなこと...しないに決まっているだろう...きっと...たぶん。いやそんなことよりベル君は最近先輩たちに鍛えてもらっているんだよ。だから外で見ないんだよ!!」

 そうヘスティアが激怒すれば「ふふふ、そうあなたの新しい子ども(眷族)はベルと言うのね」そう言ってフレイヤは納得したように笑う、神々もまた口々になんだつまらないなんて言って散らばっていく。

 

 「...ああ最後にいいかしら」フレイヤもまた立ち去ろうとしていたが立ち止まりヘスティアの方へ振りかえる「どうしてあなた(ヘスティア)彼女(へファイストス)に頭を掴まれているの?」と周囲にいた神々も抱いていた疑問を口にして立ち去る。

 

 頭を離すタイミングを完璧に見失っていたヘファイストスが手をようやく離すとヘスティアは「邪魔ものはいなくなったし、大切な話があるんだ」そう振りかえり友神へ声をかける。

 

 




どうも皆さま

解らんこれで必要な伏線をばらまくことはできたのか?書いてる途中で解らなくなってきた私です

ええこれまでヘスティア様の一人称を僕だと勘違いしていました、こっそり修正すると同時にケジメとして書き溜めから放出しました

実はある程度書き溜めがあるんですが他の作者様のように不定期更新と言いますか締め切りがない状態での更新が出来る気がしないので
週一更新をしながら書けるうちに書くだけ書いて書けなくなったらそれを使って週一更新を保とうと思っております

この話を書いている最中に【神会】と【神の宴】を混同していることに気が付き大幅に書き直すことになったりしましたが私は元気です

ともあれ神の宴終了ですこの話と次の話は時系列的には少々前後する予定です
読む際にはそのことを頭に入れていただけると幸いです

それではお疲れさまでした、ありがとうございました

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