忍と灰と焚べる者と狩人とダンジョン 連載編   作:noanothermoom

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秘密
隠されたもの或いは暴かれるもの
どれだけ隠そうとそれを暴こうとするものは絶えない
どれだけ暴こうとそれを隠そうとするものが絶えないように

暴くことは罪ではない暴いたことで罪に気が付くことはあれど

六色ダイス様誤字報告ありがとうございます


怪物祭の話
秘密の会談


【ヘスティア・ファミリアホーム 廃教会 地下】

 

 薄暗い地下に六人の人影が集う、そしてその人影の中で一番小さいものが口火を切る、いやこの表現は正しくないだろう。

彼女はヘスティア、このファミリアの主神であり人ならざる存在、神である。

 故に人影というのは適切な表現ではない、だがそれを言い出すと純粋な人間と言えるのはこのファミリアではベルのみになり少々ややこしいことになるので気にしないでほしい。

 

 「それで狩人君から見たベル君はどうだった?」

 

 「悪くない、少なくともヤーナム市街でカラス相手に石ころを投げていたころの私よりは技も覚悟もある、狼もよく鍛えた。あれにステイタスが追いつけばそれなり以上の冒険者になるだろう」

 

 主神であるヘスティアからの問いに黒いコートとマスクそして特徴的な帽子をかぶった男────狩人は少し考えた後答える、しかしその返答を聞いたヘスティアの表情が曇る。

 

 他の人影いやこの際明らかにしてしまおう、ベルを除いたヘスティアファミリアの面々は意外に思う、新入りであるベル・クラネルのことをこの神(ヘスティア)が好いているのは傍目から見ても明らかだ。

 そうでなかったとしても子ども(眷族)が優秀だと褒められて嫌がる神はいない。

 少なくともこのファミリアでよくある灰が何かやばい物を作っただとか、狩人がどこそこと喧嘩しただとか、焚べる者が何かとんでもないことをしでかしただとか、そういった頭を悩ませる話ではない明るい話のはずだ。

 お気に入りの新入り(ベル)が優秀であるというだけの話、それのどこに自身の主神が曇るところがあるのか、地下室に集ったヘスティア・ファミリアの眷族たちは疑問に思う。

 

 「冒険者のステイタスは同じファミリア内ですら本人に黙って知らせることは褒められたことじゃないんだけど」そう前置きをして一同の目の前に置いたベルの背中にあるステイタス、その写しが眷族の言葉無き疑問にヘスティアが示した答えだ。

ステイタスは本来神が使う【神聖文字(ヒエログリフ)】によって記されるがこの写しは【共通語(コイネー)】で書き直されていた、ヘスティアが神ならざる眷族でも読める様にと書き換えたものだ。

 その写しに注目する一同。

 ステイタス自体は俊敏が高い以外特別注目すべき点はない────これが冒険者になって未だ一年にもならないルーキーのステイタスであることを除けば...だが。

 

 「ベル(あいつ)一体いつから冒険者してたんだっけ?」

 

 「私達がダンジョン深層へ潜ってから帰ってくるまでの間だ、どれだけ長く見積もったとしても1ヶ月にも満たないだろうな」

 

 「ベルは体が小さい、故に力よりも速さを鍛えたが...」

 

灰がどこかすっとぼけたような口調で尋ねる、それに答えたのは狩人だ苦虫を噛み潰したような表情をしながらステイタスの写しを眺める、ベルを鍛えた狼もまた呟きながら眉間にしわを寄せる。

 

 【神の恩恵(ファルナ)】を神より与えられた眷族は【神の力(アルカナム)】が込められた【神血(イコル)】とその神の意志によって自身の体内に溜まった【経験値(エクセリア)】を体になじませることでステイタス更新をし肉体をより強くする。

 無論成長には個々によって違いがあり、種族によっても伸びやすい項目、伸びにくい項目がある。だがベルのそれ(ステイタス)はそんな範疇をはるかに超えた成長を見せていた。

 冒険者になってたった一ヶ月にもならない少年が、数年間は冒険者をしている者と同等のステイタスを持っている、オラリオの否、神が天界より降りてきて人と関わるようになってから今日まで続く常識を覆す出来事だ。 

 

 「なるほどな、これがヘスティアが俺らに頭を下げてきた理由か」

 

 「聞いたことのない“すきる”ですね」

 

 ベルのステイタス更新の後にヘスティアがお願いだから話を聞いてくれと、言葉だけではなく頭を下げてまで懇願した理由に納得した、そう言わんばかりに耐久や俊敏の下にあるスキルの部分を指さしながら灰は一人頷く、指さした部分には【憧憬一途(リアリス・フレーゼ)】そう書かれている。同じくスキルの部分を覗き込んだ九郎も首をかしげる。

 

 ステイタスを──例え写しであったとしても──他者に見せることは基本的に無い、それらは【神聖文字】で書かれておりほぼすべての人物にとっては何が書かれているかわからない文字の塊に過ぎないのだから、しかし【神聖文字】とはいえ文字は文字でありそれを読むことのできる者もいる────例えば長命で有名なエルフ、その中でも一部の特殊な教育を受けた王族などは読むことが出来るらしい────だがステイタスを知られるというのは冒険者にとって自分の手の内を知られるのに等しい、故にギルドはその行為を罪と定めている。

 それでも自身の子ども(眷族)を誇る神であったり、アドバイザーとして働くギルド職員であったり、そういった者から漏れ聞こえた情報と言うものは集めようとすれば集まる。

 だが九郎もヘスティアもファミリアの他の者らも【憧憬一途】の名前さえ聞いたことがなかった、間違いなく希少なスキル────レアスキルだろう。

 

 ファミリアの新入りがレアスキルを発現させ強くなった、将来性もある優秀な新人だよかったよかった...とはならない。

 神というものは刺激を求め地上に降りてきた存在、言ってしまえば未知というのは神の興味を強く引くのだ。

 そして神という存在は自身の欲を満たす為ならば無邪気に虫の足をもぐ子どものようにいくらでも残酷になる、むしろ自分の眷族のことを心配している人間に近い感性をしているヘスティアの方が神の中では少数派なのだ。

 その神たちにレアスキルを発現させた冒険者がいると知られれば、たとえほかのファミリアの冒険者(ヘスティアの眷族)であると言う事実があったとしてもその欲望を止めることはないだろう、ましてやそのスキルが自身の眷族の成長を早めるものならば、そのスキルの発現を再現するために手段を択ばない神などいくらでもいるだろう。

 

 「具体的な効果はもう判明しているのか?」

 

 「まだはっきりとは、だけど恐らくは憧憬する相手に追いつくためのスキルだと思う」

 

 狩人がヘスティアへと疑問を投げかける、ベル君の身に起きた出来事から推測する限りだけどねと言いながらヘスティアはスキルの効果を予想する。

 

 「...憧憬、憧れか。ならその対象は...」

 

 「アイズ・ヴァレンシュタインだろうな」

 

 狼がヘスティアの言葉をかみ砕き推測を口にしようとする、だがその前に焚べる者がその先を告げる、途端に不機嫌になり頬を膨らませるヘスティア。

 

 ベルに対して主神と眷族という関係よりもさらにその先の関係を望んでいる彼女にとっては他所の誰かをベルが想っているということは面白くないらしい。

 

 「だがそうでなければ発現した時期から火のない灰が憧憬の対象ということになるぞ」

 

 「...まあそれは今どうでもいいことだよ」

 

 狩人が言った言葉を聞きヘスティアは呻きながら頭を抱える。

 可愛い眷族(子ども)がよその女に惚れているのか、それとも自身の眷族であり人格破綻者に憧れているのか、どちらがましか必死に考え...その決断を先送りにした。

 

 「まあそうだな、今考えるべきはベルが誰に憧れているのか、じゃなくてこのスキルについてどうやって隠すかだな」

 

 「ステイタスそのものをファミリア外の者(私達以外)が見る機会はないだろう、今回の成長についても狼との訓練と私から学んだヤーナムステップによる恩恵として誤魔化せなくもない...だが」

 

 「これからも同じように成長していけば誤魔化しきれるものじゃない...よね」

 

 灰は深く突っ込めば話がそれると考え話を元に戻す。狩人はスキルを隠す上での問題とその解決方法を上げていくしかし急にその先を言い淀み、ヘスティアは苦しそうな表情でその先を口にする、今はよくとも将来はそうはいかないだろうと。

 

 「そうでしょうね、この前の“すていたす”更新ではこのように急成長は無かったのでしょう?」

 

 「その通りだよ、ステイタスの成長に変わった所はなかったよ。もっと早く強くなりたいなんてベル君が言うぐらいには」

 

 九郎も同意し、このステイタスの異常な成長の理由がスキルにあるものだと確認をする。ヘスティアは泣きそうな声で九郎の質問に答える、そして膝の上で握りしめられた自分の手を見つめ考え込む。

 

 「やっぱり...ステイタス更新をボクがしない...それが一番このスキルについて隠しやすくなるよね...」

 

 「それが一番隠すのにいいだろうな、だが良いのか?神ヘスティア、その選択はベルの夢を...」

 

 「良くないよ!よくないけど...ベル君が他の神に目を付けられるよりは...ずっと良いよ...」

 

 ついにヘスティアは泣き出しそうな声で自身の考えを打ち明ける、その考えに同意しながらもヘスティアへとそれで本当にいいのかと焚べる者が問いかける、しかしその言葉を遮るようにヘスティアが痛々しい声で語る。

 

 悲痛なヘスティアの決意だがそれをやりすぎだと言えるものはここにはいなかった、誰も彼も神あるいはそれに類する存在に目を付けられた人間の末路、それをオラリオで或いは自分がいた世界で嫌と言うほど見てそして体験してきたのだから。

 ベルを護るそのためならば【ステイタス更新をしない】それが最善とまではいわないが必要な決断だと誰もが思っていた────その決断がベルの夢と努力そしてその覚悟を踏みにじるものであったとしても。

 

 「まあいつまでもステイタス更新をしないままという訳でもねえだろうよ、ベルがヘスティア・ファミリア(うち)に馴染んだなら、むしろちょっと珍しい点がある方が()()と思われるだろうさ。そうなればちょっと成長が早いぐらい愛嬌みたいなもんだろ」

 

 「幸いと言うべきかベルはしばらくの間これまでのように一人でダンジョンに潜るのではなく私たちが鍛える予定だ、【モンスターと戦うのより経験値があまり溜まらないだろうからステイタス更新をしない】とでもいえばある程度ステイタスについての誤魔化しが効くだろう」

 

 部屋の空気がすっかり湿っぽくなってしまった、そう言いたげに灰が明るい口調で語る、狩人もまたそれに合わせて似合わない明るい口調で楽観的な未来を語る。

 

 「灰君、狩人君」

 

 涙を目じりに溜めながらヘスティアがそんな二人の顔を見る。

 

 「必要なら命じよ神ヘスティア、我らは汝の眷族。その命に従うは当然だとも」

 

 「ありがとう焚べる者君、だけどボクは君たちのことを家族だと思っている、だからこれは命令じゃないお願いだ。【ベル君を助けてほしい】」

 

 焚べる者が必要ならば命じればそれに従うと言うがその言葉にヘスティアは難色を示す、一方的に命令する関係じゃない、ボクと君たちは家族なんだと。

 

 「言われるまでもない...なんて俺が言っても説得力がないかもしれないが真面目に守るさ」

 

 「狩人は狩るもの。守るのは業務外だ。だがやってみよう」

 

 灰と狩人は守るのは苦手だと言いながらもその言葉を受け入れる

 

 「“へすてぃあ”様はかつて行く当てのない私たちの帰る場所になってくれました、その時にファミリアは家族だとも言っていました。なら“べる”はもう私たちの家族なのです」

 

 「戦場では戦友は親兄弟と同じです」

 

 「ならば魅せようミラのルカティエルの友、その義理堅さを」

 

 九郎、狼、焚べる者もまたヘスティアを励ますように言葉を重ねる。

 

 「ありがとう...ありがとう」

 

 そう言いながら泣き崩れてしまったヘスティアを九郎は部屋へと送る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私はまだ雑務が残っています。狼、手伝ってください」

 

 「おいおい、狼俺にこの間酒をおごる約束をしたのを忘れたのか?」

 

 「止めろ、仕事があると言っているんだ邪魔をするな。...焚べる者お前も手伝え」

 

ヘスティアを部屋まで送った後、戻ってきた九郎が仕事の手伝いを狼に頼めば、狼が返事する前に灰が狼の肩をつかみ動けないようにする、それを見た狩人が狼にしつこく絡み続ける灰をはがそうとするがはがれない、狩人は苛立ちと共に焚べる者へ助けを求める。

 

 その騒動を気にせずに部屋へと向かう九郎、自身に纏わりつく灰を無視してその後について行く狼、それを止めようとする灰と灰を止めようとする狩人と焚べる者は九郎と狼の部屋へと続く扉に一緒に姿を消した。

 

 「ここは一体どこだ?」

 

 「葦名城、私が狼に助けられた後ここで過ごしていました。...狼と共にここで竜胤を消し去る術を探したものです」

 

 「そんなことより異空間であるここならほかに話は漏れない、話を始めるぞ」

 

 部屋に入った途端狩人は顔を顰めながら灰から手を離し、部屋の主である九郎に問いただす、その問いに答えながらも過去を思い出すような顔をする九郎。

 そんな二人のやり取りをどうでもいいと一刀両断し、先ほどまでのふざけた様子が嘘のように真面目な態度で灰は話を始めようと言う。

 彼らはある程度ベルとその周囲について違和感を覚えており、ヘスティアとベル(お人よし二人)には秘密にして探っていたのだ。

 

 廃教会の地下にある三つの扉とその先にある部屋はただの扉と部屋ではない。

 扉は灰や焚べる者になじみ深い言い方をすれば篝火、狩人になじみ深い言い方をすれば灯り、狼と九郎になじみ深い言い方をすれば鬼仏であり。

 部屋は拠点、地続きの場所ではなく狩人の夢のように異次元に存在する空間である。

 

 もともと崩れかけだった廃教会を壊すたびに修繕と補修を行っていた灰たちだが、余りの回数についに苛立ちを抑えきれずソウルの業と神秘によって廃教会を覆い、廃教会自体が自身の今の状態を記憶し多少の破損なら夢であったかのように元に戻るようにしたのだ────その結果廃教会部分はどれだけ直してもボロボロの状態に戻ってしまうようになったのだが。

 そして眷族5人と主神が住むには少し、いやかなり手狭だとそれぞれの空間を作るために部屋────その部屋の主の記憶から思い出深い場所を再現する空間────も新しく創ったのだ、たとえ神であっても外から気付かれずにこの中を覗くことはできない。

 

 「話と言うと最初はやはり灰殿が感じたという視線でしょうか」

 

 「それが俺は一番気がかりだ、俺がベルと接触した時に感じたねちゃねちゃした視線、くそ野郎が見ていた(神が見ていた)のは間違いがないだろう。狩人はどうだ、今日何か感じなかったか」

 

 灰のその言葉に九郎が先日灰が気になることがあった、そう言って口にしていたことを議題にあげる、灰は珍しく少し焦ったような声音で肯定し狩人へと尋ねる

 

 「ああ確かに感じた、なめくじのような粘着質な視線をな、今のところベルの身の回りで一番怪しいのは【豊穣の女主人】の関係者だ。しかしなぜベルがそれほど注目されているのか、その理由が解らなかった...先ほどまでな」

 

 「...【豊穣の女主人】となるとその後ろにはフレイヤ・ファミリア...主神であるフレイヤがベルのスキルに興味を持ったと?」

 

 狩人は不快そうに眉をひそめながら答え、狩人の答えを聞いて狼もまた疑問を口にする。

 

 「ですが何故直接フレイヤ・ファミリアの方から接触せず【豊穣の女主人】を介した遠回りな接触を行ったのでしょう」

 

 「解らねえな、そもそも一番怪しい【豊穣の女主人】で最初にベルと接触したシルとかいう小娘はベルがレアスキルを発現させる少し前から接触してやがった。」

 

 九郎はその疑問に対して更に疑問を投げかける、わざわざそんな遠回りな方法を使わなくともベルに接触する方法はあったはずだと、情報をまとめていた灰もまた首をかしげる。

 

 現状で一番怪しいのは【豊穣の女主人】の関係者、その中でも【豊穣の女主人】と関わり合いになった発端であるシルである。

 しかしそのシルがベルと出会った時期はベルがレアスキルを発現した時期よりも前だ、いくら神とはいえ地上ではその【神の力】を振るえず全知無能と呼ばれる身、あらかじめベルがレアスキルに目覚めると知っていたとは思えない、いやそもそもあらかじめ知っていたのならもっと怪しまれない接触方法などいくらでもある。

 結局のところ疑問は同じ所へと戻る【なぜそんな方法で接触したのか】だ

 

 「その“しる”殿が偶々“べる”殿に接触しただけの娘であると言う可能性はどうでしょうか」

 

 「いやそれにしてはあまりにも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言うのが怪しい、ベルには魔石をため込むような必要がないからな、すべて手持ちの魔石は換金するはずだ。落とした魔石と言うのは口実で何かしらの目的があって接触したのだろう、だがそこから先が見えん」

 

 九郎がそもそもシルが無関係な人物である可能性を口にする、しかし狩人はベルとの出会いがあまりにも怪しすぎるとその可能性を否定する。

 

 例えばシルが単なる客引き目的でベルに近づいたとしても魔石を使うとなれば、冒険者と魔石がらみのトラブルを起こしかねない、ならもっとほかの方法があるだろう。

 そうなるとやはり何かしらの目的があったに違いない、だがその目的が解らない。

 

 「先ほどからシルとやらに肩入れしていないか九郎、何かあるのか?」

 

 「あーいえ何かあるわけではないと言いますか...はっきりと言ってしまえば“べる”殿と“しる”殿の関係を私は面白がっていたのですよ。かつては人の恋路にとやかく言うのの何が面白いのかと思っていましたが、傍から見ている分にはなかなか面白いものでして、だから“しる”殿が無関係だと思いたかったのでしょう」

 

 「...どうでもいいことでしょう...問題はこれからどうするかのはず」

 

 焚べる者は九郎が先ほどからシルを関係ない人物としようとしていないか?そう疑いの言葉を口にする、九郎は言いにくそうに二人の関係を面白がっていたのだと、だからそれとなく援助を行っていただから関係のない人物であると思いたかったのだろうと告白する、その様子を見た狼が主の危機とみてか話題を元に戻そうとする。

 

 「まあ狼の言うとおりだな、確かベルは弁当をそのシルから受け取っていたな。今日はどうだったんだ」

 

 「...【豊穣の女主人(あそこ)】には私の顔を知っている奴がいてな、私としても近づきたい場所でもなかったのでベル一人に行かせた。弁当自体にはそれほど怪しいものは入ってなかったが...駄目だな、こうして考えていても啓蒙無き身では真実へと到達することなどありえん。そうだな、シルとやらがフレイヤ・ファミリアの関係者で何かしらの目的でベルに接触してきたのであるならば、ベルとの接触をしばらく断つうちに不用意な動きもあるかもしれん、それを待つのはどうだろうか」

 

 灰が再び話を戻して狩人に聞く何か変なものは入っていなかったかと、狩人は特に気になるようなものはなかったと言い考え込む...が諦めたように考えるのをやめる、そしてベルとの接触を断つことで相手側の反応をうかがうことを提案する。

 

 「なら明日からはベルをダンジョンじゃなくて部屋で鍛えるか、こうモンスターを相手にするのはまだ早いとかいって」

 

 「そもそも先輩の付き添いもなしにダンジョンに潜るのが自殺行為だ、ダンジョンでの常識を教え込むとでもいえばいいだろう」

 

 灰が名案だと言わんばかりにホームの外に出ない理由を口にすれば、焚べる者が常識を語る。

 

 他の団員の気持ちが一つになる(お前にだけは常識を語られたくない)がちょうどいい口実であるのは事実だ。明日からしばらくベルを拠点から出さず、相手が何かぼろを出すのを待つ。その意見で合意した彼らはそれぞればらばらに自分の部屋へと帰っていった。

 

 もしもその様子を元の世界での彼らを知る者が見たのならば驚き、信じず、最後には自身が夢を見ているのだと思うだろう。

 彼らにとって他者とは信用せず、疑い、必要ならば(或いは必要なくとも)殺すべき存在だ。

 そこに程度の差はあれど無条件で相手を信じる様な()()()は自分たちの世界ですり切れた、しかし今彼らは【ベルを護る】という目的の邪魔になりうる存在を殺そうという選択肢すら挙げなかった。

 

 それはきっとこの世界に来てからであった(ヘスティア)が熱心に説いた命の大切さのおかげであり、オラリオと言う場所の温かさであり、故に彼らはかつての自分たちが聞けば鼻で笑うような緩やかな議論をしていた。

 

 その在り方(命を無闇に奪わない)はまるで彼らの世界では遠い過去の中にのみ見出せる英雄(何かを守り通せる者)のようであり、その姿を(ヘスティア)が見ればきっと笑みの花を咲かせるのだろう、そんなことは彼らには関係なくとも。

 




どうも皆様

書いている途中で皆ベル君のこと好きすぎじゃないそう思った私です
拠点のこと、九郎がベルにお金を気前よく渡したこと、その他いろいろの説明回でした

フロム主人公達にとって陰謀なり計画なんてものはそれを立てた存在ごとぶち殺せば済む話なのです、だからそれをしない理由付けですね。
なんだかんだ言ってみんなヘスティア様とベル君のことが好きなんです、オラリオと言う彼らの世界と比べればあまりにもなまっちょろいこの街が好きなんです、だからこそ彼らは彼らにとってなじみ深い方法(殺害)をしないように変わったんです、それが書けていましたでしょうか?

それではお疲れさまでした、ありがとうございました

以下は今日のエイナさん...と言うよりこの頃のエイナさんです
つまりは読まなくても問題ない奴ですお暇な方はどうぞ

仕事をしながら最近ベルの顔を見ないことを心配していたエイナさん
そんな時ギルドの問題児 灰、狩人、焚べる者よりしばらくベルがダンジョンに潜らないことを告げられる
なにかあったのかと心配すると【先輩の付き添いもなしにダンジョンに潜るなんて自殺行為をしていたことへの説教とダンジョンの常識を教える】と言われ宇宙猫状態になる
ついでにこのところ忙しかった理由であるダンジョンの異変について聞いた
エイナ「上層のとある小部屋にモンスターがすさまじい勢いで集まったらしいんですけど何か知りませんか?」
灰、狩人、焚べる者「しらん」
そう一蹴された
可哀そう

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