忍と灰と焚べる者と狩人とダンジョン 連載編   作:noanothermoom

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亡者狩りの大剣
焚べる者が振るう武器
正確にはそれに酷似した武器

火の時代において亡者に対して
死してなお忘れられぬ恐怖とその名を刻み込んだ
亡者狩りへの恐怖が形になったもの

もともとは灰のコレクションの一つだったのだが
焚べる者が所有する灰の時代には失われた
武器の数々との交換で焚べる者の物となった

これは焚べる者の行いが無駄でないことの証明であり
また正気では為せない偉業がある証拠である




悪夢

 「ミラのルカティエルです...」

 ────ミラのルカティエルシリーズ第一章始まり 第1節1行目より

 

 

 

 

 

 

 「あー!もー!イライラするー!」

 

 「ティオナ!そんな大きな声出すんじゃないの」

 

 ギルドの換金所、ダンジョンで得た魔石をヴァリスに換える場所であり、冒険者にとって最も通う場所でもある。

 

 そこに苛立ちの声がこだまする。

 声を上げたのはティオナ・ヒュリテ【大切断(アマゾン)】の二つ名を持つ冒険者だ。それを諫めるのはティオネ・ヒュリテ【怒蛇(ヨルムガルド)】の二つ名を持つ冒険者にしてティオナの双子の姉だ。そしてその声によって集まった視線を受け居心地が悪そうにしている────最も彼女と親密な仲でもなければ涼し気にその視線を受け流しているように見えるだろう────人物こそLV.2への最短記録を持つ冒険者にして【剣姫】の二つ名を持つアイズ・ヴァレンシュタインだ。

 

 オラリオでも最大派閥の片割れとして有名なロキ・ファミリアの幹部が三人も集まれば当然注目を集める、だが注目を集めている理由はそれだけでは無い。

 ロキ・ファミリアは主神であるロキの意向によって美男美女(或いは美少年美少女)揃いで有名だ、そしてその幹部ともなればその美貌と知名度から他の冒険者達のアイドル的存在となる。そんな存在が三人も集まっているのだ、視線が集まるのも無理はない。

 

 だがそんなことを知ったことではないと、ティオナはお金が入った袋を覗き苛立ちを隠そうともしない。

 袋の中にはダンジョン上層で稼いでいる冒険者達が一月で稼ぐよりもはるかに多くのヴァリスが入っている、そしてそれを一度ダンジョンに潜っただけで稼いだと知れば、生きる世界が違うとほとんどの者は思い知るだろう。

 だがこの結果にティオナは納得していなかった、ロキ・ファミリアの幹部である彼女らが集まり、ダンジョンに潜っていたのには理由がある。

 お金が必要であるという世知辛く、深刻な理由が。

 

 そもそもの話はロキ・ファミリアが行った【遠征】にまで戻る。

 ロキファミリアはダンジョンの最下層で新種のモンスターと出会い、苦しめられ、遂にはモンスター達に勝利したが、被害は大きく大半の物資を破棄せざるを得なかった。

 そしてその中には戦いの中で溶けてしまったティオナの武器【大双刀(ウルガ)】も含まれる。彼女が使う武器はとてつもない量のアダマンタイトを使用しており、その値段はすさまじいものになる、しかも装備を失ったのは彼女だけではない。つまり凄まじい数字の負債をロキ・ファミリアは抱えることになったのだ。

 

 いくら最大派閥の片割れであるとはいえこの負債を簡単に払いきることは出来ず、団長フィンや副団長リヴェリア・リヨス・アールヴなどは日夜、資金廻りに頭を悩ませていた。

 

 愛しのフィン団長の為にダンジョンで魔石を集め、自身等の装備の分だけでもその代金を用意し団長の心を掴む。

 そんな下心からティオネは妹のティオナと戦闘によって武器を破損してしまい一人でダンジョンに潜ることが出来ないアイズを巻き込みダンジョンに潜っていた。

 

 ティオナとしては団長云々はどうでもいいのだが、自分たちでお金を稼ぐことで武器が早く自分の手元に戻ってくるのなら異議はなかったし。アイズもほぼ日課のようになっているダンジョンでの戦闘を行うことが出来ず、困っていた所に一緒にダンジョンへ潜ろう、というティオネの提案はありがたい物だった。

 

 だが彼女らが普段振るう武器は今手元にない。

 あるのは代わりの武器であり、装備がそろっていれば容易く倒せるモンスターを倒すのにも時間がかかる。更に普段資金を稼ぐ為に潜る階層よりも浅い上の階層で稼いでいる為に、得られたお金は彼女たち基準で微々たるものであった。

 

 その為ついに苛立ちを隠せなくなったティオナ。

 だが目標金額(武器の代金)まで貯めるには幾度も潜る必要があるだろう、その度にこうも苛立たれていてはロキ・ファミリアの名前に傷がつきかねない。武器の代金を稼ぎ団長の心を掴むという計画を遂行するために、ティオネが導き出した答えは、近々ある【怪物祭】で思いっきり遊び、その鬱憤を晴らすというものだった。

 

 「ああ...どうして...せっかく誘えたのに」

 

 だが【怪物祭】当日ロキ・ファミリアのホーム【黄昏の館】には、陰気臭いめそめそとした歎きの声が流れていた。

 その声の主はレフィーヤ・ウィリディス、若輩者(エルフ基準ではなく普通の人間基準で)でありながらオラリオ一の魔法使いリヴェリアの弟子としてその名を轟かせる【千の妖精(サウザンド・エルフ)】の二つ名を持つ冒険者だ。

 そんな彼女が嘆いているのは今朝のこと、レフィーヤはアイズを【怪物祭】に誘うという彼女目線で超高難易度任務を達成し、その日が来るのを指折り待っていた。だがそんな彼女に告げられたのは、主神であるロキの用事に護衛としてアイズがついて行くこととなり、【怪物祭】に一緒に行けなくなったというものだった。

 

 アイズから私の代わりに楽しんできてという言葉を贈られ、ロキからもあまりのへこみっぷりにこの償いは必ずするからなと言われた。ロキがいたずらに眷族(子ども)を悲しませるようなことをしない...少なくとも悪意を持ってしないことを知っているレフィーヤは、ロキが護衛として連れて行くといったのならば本当に必要なことなのだろうと理解はしている、だが納得できるかは別の問題だ。

 故に彼女は【黄昏の館】内の空気を湿っぽいものにするという仕事を続けているのだ。

 

 「あー!もう!!レフィーヤいつまでもうじうじしてないの。行くよ」

 

 「行くって何処へ?」

 

 「決まってるでしょ、【怪物祭】よ」

 

 そんなここ数日のレフィーヤの浮かれっぷりと、その後の落ち込みっぷりを見ていた為に、遠巻きに見られながらもそっとされていたレフィーヤへ声をかけた者が居た、ティオナだ。

 その言葉に陰気なため息をつきレフィーヤはどこへ行くのだと聞き返す、そんなレフィーヤの手を取り引っ張るティオナは答える【怪物祭】だと。

 

 

 

 

 

 

 「ええぇ...それはちょっと露出が凄過ぎませんか?」

 

 「えー?フツーでしょ、普通」

 

 「あっ!これ美味しいティオネも食べる?」

 

 「私はこっちの方が好みねレフィーヤは?」

 

 「えっと、私もこっちの方が好みです...」 

 

 アマゾネス姉妹に連れられて【怪物祭】に連れられたレフィーヤ。

 最初こそうじうじと悩んでいたものの、二人に連れまわされているうちにだんだんと楽しみだし、【怪物祭】には三人の楽し気な笑い声が響いた。服を見てアマゾネスとエルフの文化の違いを感じたり、たくさん並んでいる出店を食べ歩きしたり、そうして遊び歩いた彼女らが目指すのは【円形闘技場】。

 【ガネーシャ・ファミリア】の冒険者たちがモンスターを【調教】している【怪物祭】のメインイベントを見に行く。

 

 「それでは素晴らしい調教を見せてくれた冒険者へ拍手を」

 

 魔道具の効果だろう、司会の声が円形闘技場に響く。

 その声に負けないほどの大きな拍手が円形闘技場を埋める、レフィーヤらも手を叩き続ける。

 

 「...ん?」

 

 「どうしたのよ」

 

 「あそこ、何かトラブルでしょうか」

 

 そうして調教を楽しんでいた彼女らだが、ふとティオナが疑問の声を上げる。

 それに反応したティオネとレフィーヤもどうしたのか聞きながらティオナの見ている方向を見る、そこでは【ガネーシャ・ファミリア】の冒険者と主神であるガネーシャが何か慌てているように動き回っていた。

 

 何か予定外の出来事でも起きたのだろうか、そう彼女らが思考を遊びから戦いへと切り替えた時、ある絶叫が響き渡る。

 

 「モンスターが逃げ出したぞー!!!」

 

 

 

 

 

 

 まるで悪夢のようだ。

 いまこの場にいる存在に共通する想いを言葉にすればそうなるだろう。

 逃げ惑う民衆、民衆を安全な場所へ避難させるギルド職員、そして逃げ出したモンスターに対応する冒険者。

 

 オラリオに暮らす一般人が、ダンジョンで行われる戦い。それを漏れ聞いた夜に見るその場所に放り込まれる夢のように。

 ギルドで働く職員がダンジョンでの異変に対応し、それが解決するまでの微睡みにみるモンスターがダンジョンから溢れる夢のように。

 冒険者が戦いから帰ってきた夜に見る、必要なもの(装備)を持たずモンスターと相対する夢のように。

 今のオラリオは悪夢に包まれていた。

 無関係なはずのモンスターに襲われ、安全なはずの場所(オラリオ)をモンスターが闊歩し、誰かを護る為(モンスターを倒す為)に鍛えた力を振るうことも出来ない。

 

 だが例え悪夢であってもそれに抗おうとするように。

 民衆(無力な者)は少しでもその命を繋ぐ為に逃げ出し、ギルド職員(責任ある者)は僅かでもできることを全うするために、逃げる群衆を誘導し、冒険者(力ある者)は何かの役に立つと信じ、例え鎧がなくとも武器が無くともモンスターの前に立ちはだかる。

 ロキ・ファミリア幹部ティオネ・ヒリュテとティオナ・ヒュリテそしてレフィーヤ・ウィリディスも、武器を持たずとも鎧を身に纏わずともモンスターの前に立つことを選択した者らだった。

 

 最大派閥の片割れロキ・ファミリアの冒険者である彼女らは、例え武器を持たずともそれなりの戦闘力を持つ。

 アマゾネス姉妹は無手でありながらも戦う(すべ)を持ち、レフィーヤも魔導士故に武器()を持たずとも魔法を使用することが出来る。故にこの騒動を鎮める為にモンスターへと立ち向かう他の冒険者達よりも前に出ており、その中でもティオナは無力な人々がモンスターの脅威に晒されていることに耐え兼ね一人先行していた。

 

 だが彼女一人ではどうしようもないことは多くある、武器も持たぬ彼女では特に。

 

 「っ!逃げて!!!」

 

 ティオナが進んだ道の先にいたモンスターと襲われている一般人。

その光景に思わず叫んだ言葉は意味をなさず、逃げようとした襲われていた人物はこの騒ぎでできたのだろうくぼみに足を取られ転んでしまう。そこに襲い掛かるモンスター。

 いくら駆けたところでそれを止められる距離ではない、無手である故に武器を投げて止めることもできない。無力さを嘆き、後悔しないために鍛え上げたこの力で何もできない。どうしようもない無力さに打ちのめされるしかないその事実。

 

だが世界には人の想定など役に立たない思いもよらないことが起きる。

 

 風切り音とモンスターから響く肉と血の音。気が付けばモンスターは頭部に大剣を生やし倒れる。

 一体何が、その光景に何が起きたのか把握しようとしたティオナの耳に()()()()()()()()()が聞こえる。

 

 「「「「「...です、...ミラの....ルです...ミラのルカティエル...です」」」」」

 

 その音がした方向へと向くと目に入ってきたのは()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 「ティオナ、ティオナ!ティオナ!!」

 

 「わっ...?ティオネ?」

 

 取りこぼしたモンスターが無いか探りながらティオネが進むと、そこには先走ったティオナ()が倒れていた。

 頭の中に最悪の事態がよぎるが、肩をゆすりながら声をかけると目を開く。心配から思わず怒りの言葉をティオネがかけていると、レフィーヤとアイズも後ろから追いつき、ティオナの体の調子を見る。どうやら大きな怪我をして倒れていたわけではないらしい。

 

 「えっと?何があったの?」

 

 「何があったの?はこっちのセリフよ」

 

 いつの間にかアイズが合流していることや、ティオネの怒りなど何があったのかわからないことが多すぎた所為だろう、ティオナが何かあったのかと聞く。

 それに対して「アンタが先走るからでしょうが!」とおさまらない怒りを露にするティオネと、ティオネを抑え何か覚えていることは無いか聞くアイズ。

 ティオナが自分の周りを見渡すと、自分の周りに覚えのないポーションがいくつか置いてある。その瓶には見覚えのある印...(ミラのルカティエ...)

 

 「ミ、ミラの...」

 

 「ティオナ?」

 

 その印を目にすると同時に脳内によぎる記憶。

 あまりにも暴力的ですらある狂気に、ティオナの口から押えきれない()()が漏れる。

 その様子にただならぬものを感じたか、ティオネが疑問の意図を込めて妹の名前を呼ぶ。

 

 「ミ、ミラの、ミラのルカティ、ミラのの、ルカティティティ...」

 

 それが引き金となったわけではないのだろうが、ガクガクと痙攣しながらティオナは自身の脳内に巡る狂気(ミラのルカティエル)を口より垂れ流しにする。

 明らかに正気ではない妹の様子に思わず「正気に戻れえぇ!!」とティオネの拳が炸裂する。その凄まじい勢いにティオナの脳内でお辞儀をしながら名乗っていたミラのルカティエルがどこかへと弾き飛ばされていく...「ミラのルカティエルでしたぁぁぁ」とドップラー効果を響かせながら。

 

 「わーん!ティオネが殴ったあ」

 

 「こっちに散々心配させておいて、何被害者面してるのよ。行くわよ!」

 

 「いくら何でもさっきのは酷い...」

 

 彼女達はワイワイガヤガヤ騒がしくオラリオの道を行く。

 少々、いやかなり大変な騒動もあったが、アイズという仲間と合流し、物資も充実した彼女らの心の中には先ほどまでの絶望は無い。未だにオラリオを暴れまわる悪夢(モンスター)へと立ち向かうために先へと進む。

 

 

 

 

 

SIDEミラのルカティエル商会

 

 (まあそうなるよな、俺だってそうなる、間違いなくなる)

 

 あまりの光景に頭の中が真っ白になってしまったのだろう、モンスターが倒されたことに反応し、こちらを見たティオナは口を開けたまま固まっている。

 投げられた大剣を集団の先頭に立っていたミラのルカティエル(焚べる者)が手に取っても、ティオナはピクリとも動かず固まっている。

 

 その様子を見ながら焚べる者に追いついたミラのルカティエルの一人────マノ────は無理もないことだと考える。

 

 数十人はいるだろうミラのルカティエル。

 それは焚べる者が分身したり増えたりしたわけではない。幾ら焚べる者とは言えそんなことはできないだろう...はずだ...多分きっと。

 

 閑話休題(話が逸れた)

 数十人はいるだろうミラのルカティエルの正体は、焚べる者の装備(ミラのルカティエルなりきりセット)を身に纏ったミラのルカティエル商会の従業員と【怪物祭】の為に雇われたマノのような冒険者達だ。

 

 話はマノたちが命の恩人の主神(ヘスティア)とダンジョンで出会ったウサギのような後輩(ベル)に支店を案内し終えて、二人(一神と一人)が買い物を済ませた後のことだ。

 

 案内という名目でミラのルカティエルなりきりセットを着てオラリオを歩くという罰ゲームを回避していたマノとそのパーティのメンバー。だがその相手が買い物を終わらせて立ち去った以上再びオラリオを歩く必要がある。

 

 マノ達はダンジョンで闇派閥によって嵌められ、あわやその命を落とす所を焚べる者に助けられた。それ以来、何かととんでもないことをする命の恩人に驚いたり頭を抱えたりした。

 だが間違いなく尊敬しているし、いつか誰かがダンジョンで困っている時には、同じように助けることが出来るようになりたいと憧れてもいる。

 

 

 だがそのこととミラのルカティエル(それはそれとして)なりきりセットを(こんなの)着て歩きたいかは別の問題だ(着て歩きたくない)

 

 「ミラのルカティエルです...」

 

 「うおっ!焚べる者さん俺たち別にさぼってたわけじゃ...」

 

 「ミラのルカティ...」

 

 そんなことをマノたちが考えていると聞きなれた言葉と共に焚べる者が姿を現す。

 何処から現れたのか、なんてことを今更疑問に思う人物はここにいない。マノたちは仕事をさぼっていたわけじゃない────まあ実際さぼっていたといっても間違いではないのだが────と言い訳する。

 その言葉に何か反論しようとしたのか、はたまた名乗ったのに違う名で呼ばれた(焚べる者と呼ばれた)ことで名乗りをやり直そうとしたのか、しかし焚べる者の言葉は途中で止まる。

 そのままある方向を見て固まる焚べる者に、マノたちはどうかしたのか尋ねようとし...外から聞こえた声に驚く

 

 「モンスターだあー!!」

 

 「...は?」

 

 モンスター、ダンジョンで俺ら(冒険者)が戦っている相手、ダンジョンから生まれる人類の敵。

 そのモンスターがダンジョン()でなく()に現れた、そう伝える言葉に頭がついて行かない。なんでモンスターが?ガネーシャ・ファミリアが連れてきたやつか?どうして逃げ出した?意味のない考えが頭の中を巡るマノたち。しかし更なる混乱が彼らを襲った。

 

 「ならば語ろう、ミラのルカティエルの救世伝説を」

 

 「は...?」

 

 モンスターが現れたと聞いた焚べる者は唐突に言葉を発する。

 意味は分からないが、文脈とその内容からモンスターに襲われているだろう人々を助ける気なのだろう、それは良いことだ...その手にあるもの(ミラのルカティエルなりきりセット)が無ければ。

 

 かくしてマノたちはこんな格好で、オラリオ中を駆け回り恐怖と混沌に陥れているモンスターを倒しているのだ。その姿からモンスター達とは別の方向で恐怖と混沌を振りまいている気がしないでもないが、気にしないことにした。

 とは言え戦えるものばかりではない。故に焚べる者が割り振った自身以外の仕事は、商品(武器やポーションなど)をモンスターと戦っている冒険者たちへ配ることだ。

 

 「ロキ・ファミリアのティオナ・ヒリュテさんですね、ミラのルカティエル商会です。今オラリオで暴れているモンスター退治をしている冒険者に無料で武器やポーションの配布をしています。何かいる物はありますか?」

 

 「...」

 

 そうしてオラリオの街中を爆走し、モンスターの頭をかち割り回っている焚べる者の後ろについて行っているマノは、モンスターと対峙していたティオナに声をかけるが帰ってきたのは無言だ。

 これまでの冒険者の中でも割とありふれた反応────驚きのあまり意識をどこかへと飛ばすのが6割、錯乱して逃げ出すのが3割、対応して物資を要求してくるのが1割だ────に最早手慣れたようにポーションを傍に置いておく。

 こんな有様で配った物資の対価が得られるとも思えないのだが、名前を売るという点においては間違いなく良案だ。そしてミラのルカティエルの名前を広めるためなら何でもする焚べる者はこのことを見通していたのだろう。

 

 「【怪物祭】セール、今なら対象商品を二つ買うとミラのルカティエルの伝説シリーズが一冊無料に...「はい!こっからは俺が引き継ぎますんで焚べる者さんは戦いに行ってくださいね」...ミラのルカティエルです」

 

 新しく見つけたモンスターとそれに立ち向かう冒険者相手に何故かセールストークを始めた焚べる者を戦場へと追いやり、マノは幸運な或いは不運な冒険者へと物資を渡す。

 

 これまでの名前を売る為に引き起こした多くの騒動と比べれば人を助ける物なだけまだマシだと、マノ達は自分を納得させてオラリオを恐怖と混沌のどん底に突き落としながら物資を配り歩く...羞恥心と戦いながら。

 

 

 

 

 

 ミラのルカティエル

 火の時代名前の前に出身地を付けることは一般的であった

 故にこの名乗りはミラという国のルカティエルという人物をさす

 

 彼女は恵まれた生まれではなかったが戦場で武功を立て騎士となった、

 だが呪われた印により全てを失い

 呪いを解く術と行方不明になった兄を求めドラングレイグを訪れた

 だが彼女の旅の終わりは呪いに打ち勝てずかの地にて得た友へと

 自身の名を覚えていてくれるように求めるだけであった

 

 それは己の名が失われることへの恐怖だけでなく

 この約束が助けとなることも願ったのだろう

 友が行く旅路にいずれ立ち塞がる困難を乗り越える助けとなることを

 

 しかし遂には彼女の願いは果たされ

 ミラの名が亡国として囁かれることも無くなった後世においても

 彼女の名は語り継がれている亡者狩りの恐怖と共に

 




どうも皆さま
 
実は一番焚べる者が好きだけど一番焚べる者が書きにくい...私です

悪夢もとい焚べる者編終了です

焚べる者のセリフを書くときはミラのルカティエルをキメて書くんですが今回はキメ足りませんでしたね
本当は灰、狩人はもっとイカれていた予定だったんですが本編が基本ベル君視点で進む以上後輩の前では大人しくしてます
その分焚べる者は暴れさせたいんですけどね

そんな焚べる者の代わりに色々喋ってくれるリーダーもといマノ
短編から続投している彼らの名前を並べると マノ トモエ ネイ ナタ ヨナ です
これを並び替えると ナマエノモトネタナイヨ 
ええつまりはそういうことです
なんで私五人も名前をでっちあげようとしたんでしょうね

まあ話を変えましょう
【神の贈り物下】においてミラのルカティエルなりきりセットが500ヴァリスが250ヴァリスと言われていますが原作では50ヴァリスあればお腹いっぱい食べられると書かれていたり【豊穣の女主人】のメニューなどから1ヴァリス=10円ぐらいで換算しました。

ミラのルカティエルなりきりセットは日曜の朝に放送している仮面でライダーなあれだったり戦隊でジャーなあれだったりプリティでキュアーなあれの変身グッズをイメージしています
高いと思われた方はきっと焚べる者が高品質な製品にしたんだとでも思っておいてください、安いと思った方は焚べる者が布教しやすいように値段を抑えたんだとでも思っておいてください。

これより下は私の独り言...創作上のメモです
お暇な方はどうぞ暇つぶし程度にはなりましょう
そうでない方はここでお戻りください
それではお疲れさまでしたありがとうございました 

絶望を焚べる者

武器 正統騎士団の大剣 亡者狩りの大剣 ラージクラブ

行動理念 ミラのルカティエルの名を広める

戦闘力 自身の不死性に頼ったごり押しが基本的な戦闘方法奇跡や魔術と言ったスペルを使いたがらない為最大火力は他のフロム主人公勢より低い
    滅多にないことだがミラのルカティエルを忘れるほどブチギレると全裸ラージクラブ二刀流で敵をぼこぼこにするミラのルカティエルという最後に残された人間性すら投げ捨てたその戦い方は狂気と衝撃を周囲に与えるその時の火力も含めると狼以上灰と狩人以下ぐらい

メンタル面 最強、そもそもこいつが折れるというかめげるのが想像もつかない実質無敵シリアスブレイカーにしてフラグブレイカー兼ジャンルブレイカー

自身から人に対して 善人であればミラのルカティエルの伝説を語る相手であり相手が悪人ならミラのルカティエルの伝説を作るだけなので興味が薄いといってもいい、まあ世界の行く末はお前にかかっていると言われたドラングレイグでの火継ぎをうるせー知らねーミラのルカティエルです...しているので当たり前と言えば当たり前

オラリオの住人より 神を含めたほとんどの住人よりなんだあいつとドン引きされている今回出てきたマノらのような命を救った相手や商会の従業員からは慕われもしつつドン引きされている


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