忍と灰と焚べる者と狩人とダンジョン 連載編 作:noanothermoom
何かを祝う或いは区切る為の催し
非日常であるが故に人々はその枷を外し
常よりもなお自由となる
だが世にはその時よりも
準備をしているときが楽しいという言葉が流れる
或いは先を見通す知恵を得たが故の感情か
カズゴウ様誤字報告ありがとうございます。
「なるほど、つまりお前はこう言いたいわけだ。
「ベルを監視していた神で、今回の騒動の黒幕を見つけたが、そいつと
...そうだな?」
ヘスティア・ファミリアのホーム廃教会。
その地下にある扉から繋がる異空間。そのうちの一つ、灰と焚べる者の部屋に静かな声が響く。
ただ事実を確認しているだけの冷静な言葉。否
その言葉には、ぎりぎりのところで踏みとどまろうとしている響きがあった。
例えば、一滴でも水を注げば零れるほどに、水が注がれたコップのような。例えば、そよと風が吹いただけで崩れるほどに、高く積み上げられた積み木のような。
僅かでも対処を誤れば、大変なことになる。
そう確信させる
「その通り。いやあ流石は人を止め、獣の愚かしさを克服した狩人。話が早い。」
その響きを聞けば、誰でも間違えないように、恐る恐る対応することだろう。少なくともまともな頭をしているのならば、わざと怒らせるような真似はしない。
だが狩人と相対する灰はまともではない。
むしろニヤニヤと嗤うような口調で、大げさな演技めいた動きで、狩人の逆鱗に触れるような言葉で、狩人の神経を逆なでするような真似をする。
「そうか、ではもう一度確認するぞ。お前は、神に、従うと。そう言いたいんだな?」
火薬庫の中で、火の着いた松明を振り回して遊ぶような、愚かしい行い。だがその行いに対して、狩人は冷静に対応している。
否それも欺瞞だ。堪えきれない怒りの証拠として、部屋の中に『ピチャピチャ』と水音が響いている。
ここは灰と焚べる者の部屋。
この部屋は、火の時代末期に灰が訪れた最初の火の炉。その記憶が元になりできた空間。
あるのは見渡す限りの灰と、空に浮かぶ穴とも思える黒い太陽だけ。ひどく乾いたこの部屋に、間違っても水音などするはずもない。
だが『ピチャピチャ』と、嵐のような激しさで、水底のような静けさで、この部屋に響く水音。
これが聞き間違え、或いは気のせいであるはずが無い。
この水音は狩人の黒いコートの中から響いている。
そのことに気が付いた狼は、背筋に走った冷たい悪寒から、それ以上の思考を止める。
葦名でも感じたことのある悪寒。
それは或いはかの地にて最も狼が死んだ要因であり、死も恐れない狼ですら恐れる物でもある。
怖気。
臆すれば死ぬ、という言葉がある。
戦場では一瞬の怯え、恐怖による一瞬の遅れによって命を失う、という意味の言葉であり。
或いは葦名一心の『迷えば、敗れる』という言葉にも通じる、戦場に立つ者は恐怖を克服する必要がある、という教えでもある。
だが葦名では違う。
葦名に眠る古い異形の者ら。彼らの力の中には、それを見る、聞く、知る、理解するだけで人の命を奪うものがある。それを知るだけで耐え難い恐怖を与える異形の恐怖。
それこそが怖気。葦名の戦士が恐れ、敬い、そして或いはその末路の果てに纏うもの。
それを狩人より感じる。
葦名に潜む異形異種が、狩人のいたヤーナムに、その起源を求めることが出来ることを、示しているのかもしれない。
だが狼にとってそんなことよりも、主の身が大事だ。
九郎にまだら紫の曲がり瓢箪を渡し、中身を飲ませる。
この瓢箪は墓場などの忌み場で芽吹き、育つ。故にか体より怖気を払い、また怖気に抗う力を与える。
狩人の放つ未知の怖気に、どれほど役に立つかは分からないが主に抗う術を施す。
薬を渡した狼は、必要ならば九郎の目と耳をいつでも防げるように構え。自身もまたいざという時は、焚べる者を盾に出来るよう位置取りをする。
「そんなに怒るなよ、獣に成っちゃうぞ」
「ふざけるなよ?いったい何のつもりだ」
そんな周囲の気持ちも知らず、灰は相変わらず狩人を煽るような言葉を続ける。
遂には狩人より『にちゃにちゃ』と、湿った音が、何か悍ましいものが蠢いているかのような音がしだす。
ともすれば、
「何のつもり、か。おまえこそ何のつもりだ?いったい何が気に入らないんだ」
「二度は無いぞ灰。
苛立たしい視線を
お前がその神と会いに行き自分勝手な約束を結んだこと。
なによりその神の名をお前が隠していること。
全てが気に食わない!」
だが灰に慌てるような様子はない。
それどころか何が気に食わないのか、と問いだす。
狩人はにちゃにちゃとした粘着質な音を響かせながら、その問いに答える。
激しい怒り、深い歎き、それを成した神への憎悪。
自身の感情をすべて露にしながら語るその言葉を、灰は鼻で笑い断ち切る「何様のつもりだ?」と。
「何様のつもりだ?だと。決まっている狩人だ。
忌むべき獣と傲慢な医療者、そして理解できぬ上位者をすべて狩り殺す者だ!!」
「それは何故?」
「人を護るためだ!当たり前だろう!!それが私の生きる意味!!!私が人に与えられる
先ほどまでの、表面上の冷静な様子すらかなぐり捨て、狩人は叫ぶ。人を護るためだと。
だが酷く冷たく吐き捨てる様に灰はその叫びに返す。
「そうやって上位者から与えられるだけの存在。堕落した情けない存在がどうなるか。おまえは知っているはずだがな」
時が凍り付く。
先ほどまで煩いほどにこの部屋に響いていた水音も粘着質な音も止まり、狩人もまたその叫びを止める。広いこの部屋に僅かな風だけが吹く。
「そうだろう。おまえは知っているはずだ、お前の世界はそれで滅びたからな。情けない、堕落した進化の果てはそんなものだ。
だがこの世界は俺やお前の世界じゃない。人が重ねていく世界だ。俺らの見てきた世界のように終わっている世界とは違う。
今回の出来事だってそうだ。オラリオは無茶苦茶になった。
だがもうこの街は終わりか?
お前のいたヤーナムのように、僅かな正気を保った人が獣を恐れながら身を寄せ合うことしかできないのか?
俺たちがいた火の時代のように、かつての栄光の残滓を見せるだけの廃墟となったか?
狼がいた葦名のように最早滅亡は避けられない所まで来たか?
違うだろう。この街は終わりじゃない。
悲劇はあった、嘆きもあった、二度と立ち上がれないと思うほどの挫折に見舞われた奴もいただろう。
だがこの街は終わっていない。人はあきらめきっていない。人はそこまで弱っていない。
なのに勝手に人を護ろうとするお前は何様だ?月の狩人。」
先ほどまでの激しい怒りをかけらも見せず俯いている狩人と、淡々とした口調で語る灰。
「...なるほど。少なくとも今回はお前に理があるようだ。」
「分かって貰えて嬉しい「だが、それは今回だけだ。次は無い。」...まあそうだな、それについては俺も警告しておいた。それでもなお、あいつが手を出すのならば、好きにすればいい。そこまで縛る権利は俺にもない。」
灰が狩人へと話し終わると、狩人はしばし考えこみ灰の意見に賛同する。
灰は両手を挙げて喜びを示すが、その言葉を遮り狩人は告げる、今回だけだと。
灰もまたその言葉に頷き好きにすればいいさと笑う。
ともすれば、幾度目か数えることの叶わない
「話は終わったか?では次はベルのスキルと成長についてどうするかだな」
先ほどまでの一触即発の空気を気にしていないのか、気が付いていなかったのか。焚べる者は次の議題へと進める。
未だ語る言葉は尽きず、夜は更けていく。
炎のような紅い館。
ヘファイストス・ファミリアのホームにして、世界にその名を轟かせる、ヘファイストス・ファミリアの
ここが工房である以上、ほぼ常にごうごうと炉に吹き込む風の音、じゅうじゅうと熱された鉄によって蒸発する水の音、そしてかんかんと鍛えられる鉄の音が響いている。
その音は慣れない者であれば、一時間もここに居れば耳がおかしくなるような騒音である。だが今更この建物の中で過ごす鍛冶師に、煩い程度で怒るような者は居ない。だが、今日はいつもと様子が少々違った。
「うおおおおぉぉぉー!! あの野郎また「灰だ!灰がいたぞ!!」
畜生!見つかっちまった!だがな縛られた程度で俺が負けるとでも...あっ、待って、一人ずつ順番でお願いしま、ぐぇええ!」
「何やってんだか...。」
「おお主神殿。今よりあのにっくき灰めを袋にする所であるが...主神殿も一発どうかな。」
「...遠慮しておくわ。貴方達が袋叩きにするというなら好きにしたらいいと思うけど。」
【怪物祭】中のオラリオの街にモンスターが現れ、暴れたことによって起きた被害。
それはヘファイストス・ファミリアの武器を扱っている商人にも及んでおり、その被害がどれほどのものか調べるために、この館の主であり、ファミリアの主神であるヘファイストスはオラリオの街中をあちらこちらと歩き回っていた。
彼女が直々に歩き回った甲斐あり、被害の補填にある程度の見通しが立ったことで、
だが彼女を迎えたのは聞きなれた鉄の音ではなく、灰の悲鳴と鍛冶師たちの怒りの声だ。
思わず彼女の口から洩れた、困惑の言葉に反応したのは、椿・コルブランド。
ヘファイストス・ファミリアの団長であり、ヘファイストス・ファミリアで最も優れた(当然ヘファイストスを除いた、だが)鍛冶師でもある。
彼女が言うには、いつの間にやら、オラリオ中の鍛冶師の怒りを買っている灰がこの館の中に居り、それを見つけた団員達と追いかけっこが始まった。灰はその常人離れした身体能力を生かし、慣れない場所でありながら数で勝る鍛冶師達を翻弄していた。だが遂に灰を追い詰め縄で縛り上げ、今から袋叩きにする所らしい。
そして鍛冶師達によって連行されている灰を指さし、椿は拳を作り「一発どうかな」とヘファイストスを誘う。
だが今日一日歩き周り、疲れ果てたヘファイストスはその誘いを断る。
その言葉に、担がれていた灰が助けを見出したか、その目を輝かせるが。続く
「おらっ!これはお前に追いかけ回された分だ!」
「これはお前が買ってそのまま死蔵している
「これはお前のせいで潰れた取引の分だ」
そのまま眷族たちの怒りの言葉を聞きながら、ヘファイストスは自室へと戻る。
ヘファイストスの自室。すなわち彼女の工房であり、彼女のテリトリーとでも言うべき空間。
そこに戻ったヘファイストスは何か違和感を感じる。
一体何がおかしいのか。
彼女は部屋の中を見渡し、そして何でもない物陰にその違和感の元を認める。
いっそのこと、誰か忠実な部下が待機している、とすら思えるほどの違和感のなさ。
だがそれでもヘファイストスが気が付いたのは、ここが彼女の城だから。
否、隠れている相手が気付かせようとしたから。そうでなければ、例え自身の工房であったとしても、ヘファイストスは気が付けなかっただろう。
あまりにも優れた隠密の業。
だがそれ故に、潜んでいる人物の正体を現していた。
「それで一体何の用かしら、今日はもう疲れてしまったのだけれど。」
「...お疲れのところ申し訳なく。されど我らが主神、ヘスティア様の買い物についてお話に参りました。」
物陰に声をかけるヘファイストス。
その声に反応して、物音ひとつさせずに現れたのは、渋柿色の衣を身に纏った厳めしい顔つきの男、狼だ。
狼はヘファイストスに非礼を詫びながらも、急ぎ話す必要があったのだと語る...それこそ居室へと忍び込むほどに。
それが武器狂いの灰の目に留まらない訳がない。
しかしながらベルを拝み倒してナイフを借りた灰は、そこにヘファイストスの刻印が刻まれていることに気が付き、ヘルムの下の顔を青くした。
ヘファイストス・ファミリアの構成員は、すべてが鍛冶師であると言ってもいい。
だが当然ながら、彼らが作った武器全てが、ヘファイストスの名を冠する世界最高峰のブランド品として認められるわけではない。
主神であるヘファイストスと、ファミリアの幹部が認めた品にのみ許される、その刻印が刻まれて初めて、そのブランドを冠することとなる。
その価値は凄まじいものであり、短刀でも800万ヴァリス。いかな灰と言えども、おいそれと手を出すことが出来ず、それほど持ち合わせていないといえばその価値が理解できるだろうか。
そのことを灰より聞かされたベルは真っ青になりながら、ヘスティアへと一体どういうことなのかと問いただし。
ヘスティアの友神割引で安く済ましてもらった、と言う言葉に誤魔化された。
だが灰らはそうはいかない。
ベルを除くヘスティア・ファミリアの眷族が────普段ならば傍観するか、諫める側の狼も、九郎が灰より「ナイフの値段が一億ヴァリスは下らないだろう」と聞かされ、卒倒したことで尋問する側へと回った────ヘスティアを囲み聞き出した値段は二億ヴァリス。
二億ヴァリス。
その値段は、ヘスティア・ファミリアの支払えないものでは無い。例えば灰達がダンジョンに数回潜れば払える値段ではある。
だが逆に言えば、
ヘスティアは
「ボクがお願いして作ってもらったものだから、ボクが働いて払うよ。そのために、ヘファイストスの下で働く話も、纏まっているんだ。」と言っていた。
しかし正直な話、ヘスティアが何年、何十年、働いたとしても。到底払いきれるものでは無い。
過去にヘファイストスと関わりがあり、その神格を知っている灰らですら、到底信じきれない言葉だった。
「そう。まあ、あの子が隠し切れるとは思わなかったけれど。もうバレたのね。」
「ここにあのナイフの代金、二億ヴァリスございます...。これでどうか我らが主神の負債を無しにして頂きたく。」
狼の語るヘスティア・ファミリアの事情。それを聞いたヘファイストスはどこか納得したように首を振る。
その様子を見た狼は、懐よりいくつもの袋を差し出す。
重く膨らんだ袋。
間違いなくヘスティアの眷族たちは、二億用意してきたのだろう。
そのことを理解しながら、ヘファイストスはそれを受け取ることを拒んだ。
「何故...?よもや足りないと?」
「違うわよ。いろんな理由があるの。まずはそれを収めなさい。
あのナイフについてだけど、そもそも二億というのは吹っ掛けたのよ。本当はもう少し安いわ。
それでもあの値段を付けたのは、
あの子がどれだけ
それに最近あの子ちょっと、だらだらしてるでしょ?
甘やかすとどんどんつけあがるから、そろそろしごいてあげる必要があると思ってたのよ。
だから仕事を紹介するって言って私の所で働かせるつもりだったの。
そもそもあの借金を負う際にヘスティアは私に約束したわ。どんなことがあっても自分で支払うと。
決して貴方達眷族にその重荷を負わせることは無いと、神の名に懸けてそんなことはしないとね。
なのにあなたたちによって、支払われてしまったらあの子の立つ瀬がないでしょう?
だから受け取れないの。」
「...」
まさか受け取りを拒否されるとは思ってもいなかった狼は、目を見開き驚愕する。
しかしヘファイストスが支払いを拒否した理由を説明すると、小さく唸る。
その唸りの中に、納得以外の物が混ざっているのを感じたヘファイストスは一体どうしたのかを問う。
「灰は
「
「そうなの、あの男がね...。所で、さっき家の子に縛り上げられていた灰を見たのだけれど、貴方何かしたの?」
「...あれは「
狼は灰について言葉を残したのち闇に消える。
最早ヘファイストスでも、追いかけることは不可能だろう。
今日一日の疲れがどっと出てきたような気がして、ため息を一つついた後、椅子に体を沈める。
だからこそ、彼女の眷族についてオラリオで知られている以上のことを私は知っている。
最初に出会った時、灰はどう見ても不審者だった。
だがそんな
鍛冶師は装備を見れば、その装備の持ち主について様々なことが分かる。
ヘファイストスは文字通り神の鍛冶師。装備から読み取れるものも桁違いである。
だからこそ自分の目を疑った。
灰の鎧を見れば、その困難という言葉ですら言い表せないこれまでの道のりが見えた。
灰の持つ数多くの武器を見れば、その武器が生まれた悍ましい理由が見えた。
灰だけではない。
焚べる者であったり、狩人であったり、先ほどまで話していた狼であったり。
後のヘスティアの眷族たちの装備が語る、彼らの物語はどれもこれもが酷いもので、本当に有った事だとは思いたくない程の物だった。
そんなものを見せられていつまでも冷たくできるほど、自身は冷酷な性格では無い。
だから警戒を解き、その人生に同情をした。そのことに後悔はない、全てを知っているわけではない、だが僅かに知っただけでも
そんなヘファイストスの様子を見て心を許したのが狼だ。
自身の部屋に隠された見事な、だが同時に鍛冶師として許すことのできない大太刀。
それを見ながら過去を思い出していたヘファイストスは、瞼が重くなり眠りが忍び寄っていることを感じ、それに抗うことなく眠りへと落ちていった。
館に響く灰の悲鳴は止むことがなく、夜はなお更ける。
不死斬り
抜けぬ刀として葦名に伝わる大太刀。赤い鞘と赤く光る刀身故に【赤の不死斬り】と呼ばれた。
不死を殺す力を持つが、同時に鞘から抜くだけでも命を失う刀。
何とも笑えないことに、不死を殺すための力を持ちながら、不死で無くば鞘から刀を抜くことすらできない刀なのだ。
狼は主の命によって探し、仙峯寺の奥の院に封じられていたこれを手に入れた。
だがオラリオへと来てからそれほど立たぬうちに手放し、ある女神へと預けた。
偏に主を害することが無いように願い。
どうも皆さま
なんか急に閲覧数とお気に入り数が増えて何が起きたかわかっていない私です
本当にビックリするを通り越して、ビビっております
お気に入り数300突破ありがとうございます。と言おうとしていますがこの後書きを書いている時点ですでに400に届きそうな勢いです。
追伸400を超えましたありがとうございます
何があったんでしょうか、ありがたいを通り越して怯えています。
評価や感想もありがとうございます。
人物紹介の前書きにある通り、私からの返信は考えておりません
私何書けばいいのかわからないので、
返信に何書くか頭を悩ませるくらいなら
その分本編の分を考えるのに使いたいと思っています
皆様からの感想は嬉しく読ませていただいております
疑問や質問も頂けると感想の返信という形では何もありませんが
今回みたいな間幕のネタになるので喜びます
とりあえず書いておかなくちゃと思って書いた間幕
それぞれに題名を付けるのなら
秘密の会談その2と過去を覗く火と言ったところでしょうか
今回もどんどん伸びました
おかしいですね?
秘密の会談その2の構想段階では
灰「そっかあ、君は堕落した進化が何をもたらすか知っているのに人を堕落させようとする上位者なんだね」
狩人「(#^ω^)」
狼「ヒエッ」(啓蒙が上がる音)
としか書かれてなかったんですけどね
以下はおまけです
前回までの短編に入れようとして入らなかった名前についてのちょっとした文です
本当は題名とこの文を対応させようとしたのですが
うまく入らなくて諦めた物を使わないのもな...と思っておまけにしたものです
つまるところ読まなくてもいい奴です
お暇な方はどうぞ
そうでない方はお戻りください
それではお疲れさまでしたありがとうございました。
火のない灰
火のない灰とはロスリックにて薪の王を狩る者の総称である
その胸に燃えていた使命を失い、旅の途中で心折れた者ら
だが彼らに眠りは与えられず、三度の目覚めを与えられた
その旅の果てに始まりの火を求める者らの呼び名
だがこの世界に始まりの火は無く
この名に意味は無い
しかし彼はこの名を名乗り続けている
それはきっと
火の時代につきものであった不死が
始まりの火が消され、火の時代が終わった後世にもいる
そのことへの彼なりの諧謔なのだろう
絶望を焚べる者
絶望を焚べる者とはドラングレイグを旅する者の呼び名である
火継ぎの旅はその過酷さから人足らしめる楔を捧げる必要がある
だがドラングレイグを進む物にはさらに過酷な旅が待ち受けている
故に人であった頃の記憶だけでなく、この旅で得た絶望すら焚べて先に進む者らの呼び名
だが最早彼はドラングレイグより旅立ち
彼の地での旅は終わった
しかし彼はこの名を名乗り続けてはいないが使用している
それはきっと
自身の進む道にとって絶望などは
道を照らすために燃やすもの程度の価値しかない
そう考えている彼の覚悟の強さを示しているのだろう
月の狩人
月の狩人とはヤーナムの獣狩りの夜に夢を見る狩人の呼び名である
幾たび死のうとも死を夢にして目覚めと狩りをやり直す狩人
その者から漂う知らないだが懐かしい香りよりつけられた呼び名
だがすでにヤーナムの永い獣狩りの夜は明け
その香りは狩人より失われた
しかし彼はその名を背負い続ける
それはきっと
月があらわす狂気を意味し
狂気全てを狩りつくすという狂気に満ちた
彼の決意の表れなのだろう
狼
狼とは彼の養父が名付けた物
忍びとは時として人とすら扱われず故に動物などの名を名乗ることもある
しかしその名を自身の梟に因んだ名にせず狼としたのは初めて出会った時の言葉故にか
だがすでに葦名は滅び
その名を呼ぶものは九郎だけであった
しかし彼はその名を自身を指すものとする
それはきっと
義父が自身に望んだ姿がそこにあると信じているからであり
その名が示す通り誇り高く、主に忠実な生き物として生きる
彼の数少ない主張なのだろう