忍と灰と焚べる者と狩人とダンジョン 連載編 作:noanothermoom
誰しもが持つ心の澱
真実それが重要な物で無くとも
その悩みを持つ者にとっては重大なものとなる
不思議なことに幾ら潰そうとも新たに生まれる
或いはこれこそが人の世に生きる証拠か
新たな目標新たな悩み
ダンジョン五階層
キラーアントがその顎をガチガチと鳴らしながら近づいてくる。
僕はいつかのように怯えることなく、手に吸い付くように馴染むナイフを振るう。
狙うは足。
強固な外殻を持つモンスターだが、このナイフで足の節を狙えば歯が立たない、なんてことは無いだろう。
僕の狙い通り、新しいナイフの切れ味の前にはその外殻も意味をなさず、キラーアントの足を切り落とすことに成功した。
だが、虫系のモンスターであるキラーアントにとって、足を一本失ったことは痛手になっても致命傷にはなりえない。
だからこそ足を失ってバランスを崩した瞬間に、片側の足をどんどん切り落としていく。
これでキラーアントの機動力は大きく落ちた。
だがキラーアントの恐ろしさはこのモンスターが負傷してからにある。
キラーアント
このモンスターは外殻を持ちその強固さ故に、新しくこの階層に足を踏み入れた冒険者の前に立ちはだかる。だが真に恐れるべきは外殻では無い。
このモンスターは自身に危機が迫った時、仲間を呼びその危機に対応しようとするのだ。
これまで戦ってきたモンスター達と同じように思い攻撃するも、強固な外殻にとどめを刺し切ることが出来ず泥仕合に持ち込まれ、そのまま仲間を呼ばれたことで数によって押し切られる。
これは上層の中でよくみられる
だからこそこのモンスターは【新米殺し】と呼ばれるのだ。
足を切り落とされたことで不利を感じたキラーアントは仲間を呼んだようだ。この
このままグズグズしていれば数に囲まれてしまうだろう。
灰さん達からも、エイナさんからも、「数こそが最も恐ろしい」と耳が痛くなるほどに聞かされている。足を切り落としたキラーアントにとどめを刺し、新しい敵の襲撃に備える。
僕が戦闘をしていた部屋に新しいキラーアントがやってくる。
僕はそれを確認すると同時に、バッグから予備のナイフを取り出し、新しく現れたキラーアントへと投げつける。
だが拙いそれは、当然のように避けられる。いや当然だろう。
僕は投げナイフの練習をしたことが無い、投げたナイフも普通の切り付けることを目的としたものだ、そして何より僕はナイフを当てるために投げたわけじゃない。
僕が狙ったのは、投げたナイフをキラーアントが避けることによって生まれる隙。
狙い通り避けたことで生まれた隙に、キラーアントに接近してナイフを大きく振るう。
灰さんですら怯えるほどの価値のあるナイフは、その切れ味を発揮し、キラーアントは真っ二つになる。
だが一撃でキラーアントを倒したことに感慨を覚えている暇もない、更に寄ってくるキラーアントに対応する為僕はナイフを構えなおす。
倒されたモンスターが残した灰と魔石。
それがあちこちに散らばっている部屋で僕は周囲を警戒する。
ガチガチと顎を鳴らす音、チャカチャカと歩く音がしない。どうやら最初のキラーアントが呼んだ分の仲間は倒し終えたようだ。思わず「ふう」と息を吐く。
だが僕が気を緩めた瞬間、それを待っていたかのように頭上にモンスターが現れる。
だがこのモンスターの最も厄介なところは、空を飛ぶという点だ。
幾らダンジョンの中とは言え空を飛ばれればナイフは届かない。そして先ほどキラーアントに対して僕は持っていた予備のナイフを全部投げた。投げたナイフはまだ回収していないから、予備のナイフを投げるという手段は使えない。
対抗する手段が無いかに思える状況。
だが僕は落ち着いてカバンから石を取り出し、投げつける。
狙い通り石はモンスターに当たり、しかし止めを刺すには至らない。
だが投石を受けてバランスを崩したことでナイフが届く距離まで降りてきたパープル・モスにナイフを突き立てる。
更なる増援が来ないか再び警戒し、増援が来ないことを確認した後、地面に散らばっている予備のナイフや魔石を回収する。
僕が回収した魔石をバッグに入れようとすると、バッグはもうパンパンで、荷物を入れる隙間は無かった。
仕方がないので、投石用にあらかじめ拾った石を捨て場所を開けて魔石を入れる...がそれでもぎゅうぎゅうだ。
荷物もいっぱいになったことだし、今日の所は地上に帰ることにする。
「どうぞ、これが魔石の代金です。」
「ありがとうございます。」
ギルドの換金所。
そこで魔石をお金に換えた僕はギルドから出る。
灰さん達について来て貰わずに、僕が一人でダンジョンに潜っている理由を説明するには、少し時間を遡る必要がある。
シルバーバックとの戦いが終わりホームに帰ってきた後。灰さんによって、神様からの贈り物のナイフが途方もなく価値のある物──少なくとも僕の稼ぎじゃ何年たっても買える物じゃない──だと知らされて、ホームがひっくり返るような騒ぎになったりもしたけれど、その騒ぎも収まり落ち着いてくると神様が言った。
「ベル君。ステイタス更新をしようぜ」と
ステイタス更新というのは、神様達の力によって
だけど強敵であるシルバーバックとの死闘を制したことで、大きな経験を積んでいるからステイタス更新しておくよう神様は進める。確かにそれもそうだと納得し、神様と部屋に入り背中に神様の血を垂らしてもらう。
ステイタス更新が終わり、神様が書きなおした
確かに僕は灰さん達が地上に帰ってきてからステイタス更新をしていなかったから、僕には灰さん達との訓練とシルバーバックとの死闘によって得た経験値が蓄積していたはずだ。だけどそんなことで説明できないくらいの成長に、神様に何か理由があって僕にステイタス更新を進めたのか尋ねた。
神様が少し悩んで口を開こうとすると、それを遮り灰さんが口を開く。
真剣な表情をした灰さんは「よく聞けベル。おまえには新しいスキル。それもこれまでオラリオの歴史の中でも見た事の無いレアスキルが発現した。そのスキルによって成長が促進されている」なんて言っていたが...流石に僕だってそんなの信じませんよ。
つまらない嘘を吐いたからか、他の人に袋叩きにされている灰さんを眺めていると、神様は「今の君はこれまでの経験から、より成長できる時期に来た。いわば成長期だよ」と僕に話かけてきた。冒険者に成長期があるなんて僕は聞いたことが無いけど、神様の瞳は澄んでいて。きっとそうなんだろうと僕は納得した。
「だからベル君、できる限りの手助けを君にするよ。ボクだけじゃない、君の先輩たちも君が強くなるために手伝ってくれる。だから君の夢を諦めないでくれ」
「...?分かりました」
神様はその後少しわかりにくいことを言っていた。
神様も
疑問に思ったけど、いつの間にか灰さん達も僕の方を見見つめていて。僕への温かな視線を受けた僕はなんだか恥ずかしくなって部屋へと引っ込んでしまった。
部屋に戻った僕は考える。
僕はいろんな人に、いや人だけじゃない神様にも支えられている。
いろんな人が僕の夢を支えてくれている。僕が強くなれると信じてくれている。だから僕は
そうもう一度僕は決心をした。
【怪物祭】での騒動によってダンジョンに入るのに面倒な手続きがいる事と、神様から貰った新しいナイフに慣れる為に、僕はダンジョンに潜らずに灰さん達と訓練を続けていた。
僕が決心した日から灰さん達による特訓は激しさが増した。
いやそんな言葉では言い表せないくらいで、何度「あっ、死んだ」と思ったことだろうか、何度大きな川の向こう側にいるいなくなってしまったお爺ちゃんを見ただろうか。
訓練を初めてたった数日しか経っていないのに、僕の決心は幾度となく揺らぎそうになり、その度に神様の「ボクが君ならできるって信じているからさ」という言葉を思い出し立ち上がり...今思ったがあれって走馬灯と言うやつじゃないだろうか。
「あれ?手紙が来てますよ?」
「おはようベル君。手紙だって?」
「おはようございます神様。ええ、これです。」
「本当だ...お~い!誰か手紙が来るような心当たりがある人!」
とにかくそうして数日が過ぎたある朝のこと。僕が目を覚まして、ホーム前のポストを覗くと沢山手紙が来ていた。
僕がこのファミリアに入ってから初めて手紙が来たことに、疑問の声を上げる──このファミリアにくる手紙はほとんどが神様宛で、神様のバイト先に届けられていることの方が多い。正直なところ誰からも手紙なんて来ないんだから、ポストなんているのかなと思っていた──と神様が後ろから来て挨拶をした後、同じようにポストを覗く。
僕と神様は地下室に戻り、手に持っていた手紙を朝食のテーブルに乗せる。
神様は手紙に心当たりがある人がいるか聞く...が誰の手も上がらない。どうやら手紙が来るような心当たりは誰もないようだ。
「この“ふぁみりあ”に手紙など。いったい誰でしょうか」
「いつまでも見つめていたって、中身が透けて見えるわけじゃない。開けてみればいいだろう」
九郎さんも不思議そうに見ていたが、灰さんが一番上にあった手紙を取って開け...ヘルムの上からでも分かる位顔色が悪くなった。
何事かと思い僕たちが後ろから覗くと
「火の無い灰様、支払期限のお知らせ」という文字が見えた。
「灰さん?」「お前...」「灰君!?」
「えっ...?いや。いやいやいや、そんなこと有る訳...」
それを見た僕たちの冷たい視線が灰さんに突き刺さる。
灰さんは最初は心当たりがないのか否定しようとしていたが、「あっ...」と呟くと「やべぇ!」と叫び、朝食も食べずに部屋から出ていく。
階段を駆け上がっていく「ガチャガチャ」という音からして、急いで何処かへと行くようだ。
「大方また“つけ”で買った支払いを忘れたのだろうな。
今から支払いに行くのか、それともダンジョンで支払う為の金を作ってくるつもりなのか、どちらでもいいが間に合うのか?
...まさか残りの手紙も、あいつが忘れていた支払いの催促だとか言わないだろうな」
ため息を一つついた狩人さんは呆れたように呟く。
「「「ひえっ」」」とその内容に恐怖の悲鳴を上げた僕達を置いておいて、狩人さんは次の手紙を開き...笑った?
「なるほどな。狼、私とお前にギルドから依頼だ」
「...む?」
依頼? 疑問に思った僕たちがその手紙を覗くと
「月の狩人様、狼様両名への未開拓領域探索の依頼」と言う文章が見えた。
未開拓領域。
文字通り、ダンジョンの中にある探索されていないエリアのことだ。
ダンジョンというのはその姿を変える。
いや階層によって大きくその様子を変えるが、そういうことではなく。
例えば昨日まで無かったはずの道がある、昨日まであったはずの部屋が無くなっている、といったように同じ階層でも日によって変わるのだ。
その多くは
だけどなんでギルドは狩人さん達に未開拓領域の探索を依頼してきたのだろう。
手紙を読んだ狼さんは「なるほど」と納得したような声を出すが、手紙が見えない僕達には何が何だかわからない。僕の疑問に答える様に狩人さんが手紙を要約する。
「【怪物祭】の騒ぎの際逃げ出したモンスター。
その中に
【怪物祭】でモンスターに襲われて戦った僕としても、あのモンスターがどこから来たのかは気になるところだ。しかも逃げ出したと思われていたモンスターの中に、ガネーシャ・ファミリアの心当たりがないモンスターがいた、つまり誰かがつれて来たモンスターでは無くダンジョンから逃げ出してきたモンスターがいた、と聞けばなおのことだ。
ダンジョンの入口兼出口は一つしかない、というのがオラリオの常識というものだ。だがその常識が壊れるかもしれない。
ギルドの知らない所にダンジョンの入口がある。考えるだけで恐ろしいことだ。
ギルドに知られることなくモンスターを連れだしたり、オラリオで追われている犯罪者がダンジョンに潜って逃げたり、逆にダンジョンの中にいたはずの人物がオラリオに現れることが出来る。
僕でもいくつか悪いことに使う方法が思いつく。きっと本当に悪いことをするような人ならもっと恐ろしいことを思いつくんだろう。そう考えればダンジョンの入口が本当に有るのか無いのかを確かめるのは急務だ。だけど本当にそんなものあるんだろうか。
例えば覚えのないモンスターというのが、ガネーシャ・ファミリアが自分たちの失態を隠そうとした結果の言葉では?と思う。しかし狩人さんがガネーシャは自分のメンツのために、眷族や人を貶めるような真似をする神ではないと断言する。神様嫌いの狩人さんがそこまで言うんだ、信頼できる神様だしファミリアなんだろう。
狩人さんと狼さんは朝食を食べると、詳しい話を聞きにギルドへと向かっていった。
「ミラのルカティエルです...」
なら今日訓練をしてくれるのは焚べる者さんだろうか、と思って視線を向けると、残った最後の手紙を見た焚べる者さんがこちらに手紙を見せてくる。
そこには
「ミラのルカティエル商会代表取締役絶望を焚べる者様。【怪物祭】におけるミラのルカティエル商会の行動について」と書かれていた。
どうやらミラのルカティエル商会の方で問題が起きて、ギルドに行かなければならないから、あんまり時間が取れないらしい。
「...ダンジョンの中でも異常はみられていないようだ。ダンジョンに潜るのならエイナ女史への口添えぐらいはしよう」
仕方がないから一人で素振りでもしていようかな、と思っていると焚べる者さんがダンジョンに潜ることを提案してくる。
灰さん達がそれぞれの用事で忙しくて、僕と一緒にダンジョンに潜ることが出来ない。つまり僕がダンジョンに潜ろうと思ったら、一人で潜らなければならない。
それが危険な行為だと今の僕は理解している。狩人さんは言っていた「戦いにおいて取り返しのつかない失敗とは死だけだ」と。
それでも僕はダンジョンに潜りたい。ダンジョンに潜って経験を積みたい。経験を積んで少しでも強くなりたい。その思いを抑えきれず、気が付いた時には焚べる者さんの言葉に頷いていた
かくして僕は一人ダンジョンに潜っていた。
ステイタスの上昇とヘスティア・ナイフ、それに灰さん達との戦闘訓練。それらによってこれまでより強くなっているのを感じる。
潜る階層もさらに深くまで潜る様になり、稼げるお金も増えた。
順風満帆というやつ...なんだろうけど、僕には一つの悩みがある。
オラリオの街中を歩きながら考える。
空には
今日もそうだったけれど、僕の悩みとは、魔石を入れている袋がすぐ一杯になることだ
今まで戦っていたゴブリンやコボルトなんかと違って、五階層以降のモンスターはどんどん襲ってくる。特にキラーアントなんかは放っておくと、どんどん仲間を呼ばれて連戦になってしまう。だけどそれは数に押されることなく勝てるのなら、どんどん倒せるということだ。僕はモンスター相手にもっと戦い続けて経験を積みたいのだが、魔石を入れる袋には限りがある。
戦闘中ならともかく、倒したモンスターの魔石を放っておくことはよくないことだ。
他の冒険者の人が倒したモンスターの魔石と混ざってしまえば、盗った盗らないの言い合いになるし、もしも放っておかれた魔石をモンスターが食べてしまうと強化種と呼ばれる強化されたモンスターになる。そのモンスターは強化される前のモンスターと比べ物にならないくらい強いモンスターだ。だから僕は
別に魔石が拾えなくなったなら、モンスターと戦う時に魔石を狙って戦えばいいだけの話ではあるんだけど。どうしても魔石を砕くたびに僕の頭の中でお金の音がするというか、僕の小市民的なところが勿体ないと叫んでいるというか。できれば魔石を砕くだけ砕くというのはしたくなかった。
特にお金の支払いに追われている灰さんを見ていたからか、得られるお金を無駄にすることに強い拒否感を覚えるのだ。
かと言って、地上に戻ってギルドで換金すればもう一度ダンジョンに潜るには少し遅い時間にはなっている。
それにダンジョンの新しい階層に潜ることになった時に、エイナさんから無理はしないようにとくぎを刺されている。何度もダンジョンに潜るというのもばれたら怒られるだろう、そう思うとなかなか踏ん切りがつかない。
バッグを新しく大きいものにするというのも考えた。
でもこのバックは狼さんに買ってもらった大事なものだし、下手に大きいものにして戦いの邪魔になったら...と考えると、それもあまりいい考えではないように思える。
結局の所良い考えは浮かばない。
僕はいつもより早い時間にホームへの道のりを歩きながら、夕食の時間にでも灰さん達に何かいい考えは無いか聞こうと思ったのだった。
ヘスティア・ファミリアホーム【廃教会地下】──ベルが自室へと戻った後
その沈黙を破ったのはこのファミリアの主神ヘスティアだった。
「みんなごめん。身勝手な話だっていうのは解っている。
そもそもボクが言い出したことなんだ、それをみんなにもお願いしたのに、ボクがそれを破ったことは言い訳をするつもりもないよ。
だけど、...だけどあんな姿を見せられたら、ボクにはできなかった。
例えそれがベル君を護る為なら選ぶべき選択だと理解していても、ボクにはベル君に弱いままでいさせることはできなかったんだ。
本当にベル君を思っているのなら、あの時何とかしてベル君を説得して逃げ出すのが最善だったはずだ。
だけど傷つきながらも藻掻いて何とかして前に進もうとしているベル君を見たら。ステイタス更新をしないでいることなんてできなかったんだ。
さっきも言った通り、ボクが自分勝手なことを言っている自覚はある。ボクを嫌ってくれてもいい、だけどお願いだ。お願いだからベル君を...」
沈黙に耐え兼ねたかのように、言葉が溢れ出す。
謝り続けるヘスティア。彼女が謝るのは今日のこと。
【怪物祭】に出かけたベルとヘスティアはモンスターに襲われ、逃げる途中に足に怪我をしたヘスティアを護る為、ベルは自身にとって雲の上とすら言える格上のモンスター相手に戦いを挑み勝利した。
だが彼女が謝るのは、足を怪我してベルの足を引っ張った事ではない。ベルが戦いを挑んだ際ステイタス更新を行ったことだ。
ベルに発現したレアスキル
その希少性から他の神にベルが目を付けられることを恐れたヘスティアは、スキルを隠すためにしばらくの間ステイタス更新をしないことを決意した。
しかしその決意を自分で破ったことを謝罪しているのだ。
遂には彼女は自身を嫌ってもいい、だけど
「神というのはいつでも身勝手で、自分勝手なことばかり押し付けてくる」
「...最初から神などに期待などしない」
「神とは人の道理では計り知れぬもの。分かりあうことは困難でしょう」
「ミラのルカティエルです...神とはそういうもの。人に出来るのはそれを受けるか逸らすことだけ」
投げかけられる言葉は辛辣なものばかりで、覚悟をしていたとはいえその言葉に思わず泣きそうになるヘスティア。
「まあ、お前がそいういう神だと知っていたしなあ」
「だが、女神ヘスティアが私の知る神とは違うことを私は知っている」
「困難であれども、その道を進み続ければいつかは届くものはありましょう」
「されど我らは、遥か前から人ではない。ならばやりたいようにするとも」
しかしその後に掛けられた言葉は温かな言葉へと変わった物。
その言葉に落としていた顔を上げるヘスティア。
そこには笑顔で自身へと手を差し出す眷族たちの姿。
「み、みんな」
「今更一度失敗した程度で失望するとでも思ったのか?
お前に失望したからベルを見捨てるとでも思ったのか?
そんなわけないだろう。信じろ...とは言えないが約束は守るさ。」
苦笑したようにかけられた言葉に、滲んだ涙を拭いその手を取る。
強く握りしめられた手は決して離されることは無いと信じれる物であった。
その心強さに先ほどまでとは違う涙が浮かぶのを感じるヘスティア。
地下室に穏やかな空気が満ちる。
「所で話は変わるが。あのナイフいったいいくらしたんだ」
「...え?」
しかしその空気は灰が発した一言により飛んでいく。
間の抜けた声がヘスティアの口から洩れる。
いつの間にやら自身に向けられる温かな視線が、酷く冷たいものになっている。そのことに気が付いたヘスティアは何とか誤魔化そうとする。
「な、何のことかな?ボクにはさっぱりわからないな~。あはははー」
そしてそのまま手を振り切り逃げ出そうとするが、飛びついた扉の向こう側には、霧のような白い不透明な揺らぐ壁があり、通り抜けれない。
「...そんな言葉で騙されるのはベルぐらいのものだ。さっさと吐け。こちらとしてもあまり手荒な真似をしたいわけでもない」
「嘘だー!!後ろで焚べる者君と灰君が、おどろおどろしい武器を試し振りしているじゃないか。どう考えても手荒な真似をしようとしかしていないよ!
...ハッ!狼君、狼君からも何とか言っておくれよ」
「...ヘスティア様。私は今冷静さを欠こうとしております。私が私の腕を止めておける内に話すのが良いかと」
何とかしてその
何とかして自身の眷族を落ち着かせようと頭を回した結果、狼を仲間に着けようとしたヘスティアの目に映った物は、その背に
明らかにいつもと異なる様子に怯えたヘスティアへと「先ほどナイフの価値が一億は下らないだろうと灰より聞かされた九郎が卒倒してからあの有様だ」と狩人が肩をすくめながら語る。
最後の望みも絶たれたことで、絶望したヘスティアの絶叫は、何でもバベルの最上階まで届いたとか届かなかったとか。
どうも皆さま
分からんこれでいいんだっけ?分からなくなった私です
久しぶりにベル君視点の一人称文を書いていたら一人称とは一体...となり句読点すらわからなくなりかけました
何時も言っている気がしますが何も考えて書かないからこんなことになるんです何時にもまして拙い文章ですがどうぞ新章にもお付き合いいただければ幸いです
以下はおまけ...今日のエイナさんです
つまりは読まなくてもいい奴です
お暇な方はどうぞ
そうでない方はお戻りください
それではありがとうございました
ギルドでの仕事に追われる中ベルたちの対応をするエイナさん
そこで聞かされたことは七階層に行ったこととステイタスが急上昇したことだった
そんなわけないでしょと怒鳴りたいがヘスティア・ファミリアだしなあという考えもあり断言できない
おまけに今日の付添人は焚べる者だ
頑張れエイナさん負けるなエイナさんオラリオの平和は貴女の両の肩にかかっているぞ...割りとマジで
ちなみにこの後焚べる者の【怪物祭】での行動(自分と同じ格好をした従業員と救命活動をした())についてどう評価するか決める仕事もあるぞ
可哀そう