忍と灰と焚べる者と狩人とダンジョン 連載編 作:noanothermoom
冒険者の中でも自身が戦うのではなく、他者の戦いをサポートする者たち
多くのサポーターは心が折れ、挑戦することを止めた者である
それ故に冒険者の中にはサポーターを嘲り馬鹿にする者も少なくない
彼らがそのことを後悔するのはサポーターの牙に気が付いた時
即ち自身へとその牙が届いた時だ
「それで...どうだったんだ」
「はい。エイナさんがギルドでサポーターの募集をかけてくれるそうです。また明日以降応募してきてくれた人と会って、雇うかどうかを決めてほしいと」
狼さんだけではない、神様や九郎さん、灰さん達もこちらの様子をうかがっている。
僕がエイナさんに相談した結果、サポーターの募集をかけたことを伝えると、僕の悩みに明確な解決策が出来たからだろうか、地下室の中にほっとしたような空気が広がる。
「そうか、これから一緒にダンジョンへと潜る仲間だ。信頼できる奴が来るといいな」
「そうなんですけど...誰も応募してくれなかったらどうしましょう」
灰さんは僕の肩を叩きながら朗らかに言う。
だけど僕は今日一日ずっと頭から離れない、恐ろしい予感があった。
それは、
僕がそのことを伝えると地下室の時間が止まる。
ぎこちない動きで再び動き出した神様が「いや~流石にそんなことはないだろう...ないよね?」と灰さん達に確認する。
灰さんは分かりやすく顔をそらし、狩人さんも瞳をそらす。
焚べる者さんが「流石にそんなことは...あるかもしれない」と深刻そうな声で言う。
「落ち着きましょう。まだ誰も来ないと決まったわけでもないのですから」
「そ、その通りだよ。もしかしたら明日サポーター志望が沢山来て、サポーターを誰にするのか選ぶのに大変かもしれないぞ。あっ、でもかわいい子がいたからその子にした、なんて言ったら許さないぞ」
先ほどまでの朗らかな空気から一転して、お通夜みたいな空気になった地下室。
その空気を振り払うように九郎さんが明るい声で明るい未来を語る。空気を換える為だろうその言葉に神様も乗って、僕に釘を刺すような言葉を投げかける。僕も「そんなことしませんよ~」なんて大げさに反応する。
そう、そんなことはないだろう。サポーターが一人も来ないことなんてある訳が無い。不吉な予感を振り払って、夕食を終えて日課を済ませたのち眠り、翌日ギルドへと向かった結果は...
「だ、誰も来てくれなかった...」
「あー、えっとベル君そんなに落ち込まないで?まだ一日目だしこれから来てくれる人がいるかもしれないし」
思わずギルドの床に手と膝をつき、悲しみに打ちひしがれる僕へとエイナさんは落ち込まないように言葉をかけてくれる。確かにそうかもしれない、だけど「本当に来てくれると思いますか?」と僕が顔を上げて聞くとエイナさんはすっと目を逸らす。
「うう...覚悟はしていたけれど、本当に誰も来てくれないなんて」
悲しみに打ちひしがれてギルドの床を濡らしていた僕。だけど何時までもそうしているわけにもいかない。
立ち上がり、ダンジョンへと向かう為にギルドを出る。
...後ろから聞こえる「頑張ってくださいね」というギルドの職員さんの言葉が今の僕には追い打ちに聞こえる。
トボトボと哀愁漂わせながら歩いている僕。
爽やかな朝に似つかわしくない姿に、周囲の人たちも遠巻きに見ている...いやきっと気のせいだろう。落ち込んでいるからそんなことを思うんだ、気分を入れ替えろ、今から行くダンジョンはそんな気分で潜っていい場所じゃない、自分で自分を鼓舞する。
立ち止まって気分を入れ替えた僕が一歩を踏み出そうとすると、大きな荷物が喋った。
「お兄さん、お兄さん、そこの白い髪のお兄さん。サポーターはどうですか?」
「...えっ」
一瞬あまりにも落ち込みすぎて、頭がおかしくなったのかと思ったが違う。大きな荷物だと思ったのはバックパックで、そのバックパックに埋もれるようにして少女が立っていた。
荷物に話しかけられたのではなく、荷物の陰にいた少女に話しかけられた。そのことを理解し、かけられた言葉にまで頭が回り始めると僕は再び驚愕する。
サポーターを募集したのに誰も来てくれなかったことに落ち込んでいた時に、サポーターはどうですかなんて言葉をかけられるなんて、...まさか落ち込みすぎて幻聴でも聞いたんだろうか。
僕が自分のほほをつねって夢でないことを確認していると、混乱していると思われたのか少女は自身の宣伝を始める。
「混乱しているんですか?確かに急にこんなこと言われても困ってしまいますよね。だけど簡単なことなんですよ?強い冒険者さんのおこぼれにあずかりたい貧乏なよわっちいサポーターが売り込みに来ているんです。どうですか?まずは仮契約でも...うわ!?」
「本当にサポーターになってくれるんですか!?ありがとう、ありがとう!!」
少女が口にする宣伝を聞いているうちに、固まっていた頭が回りだす。
サポーターさんが来てくれた。そのことを理解すると同時に、僕はまだ喋っていた少女を思わず抱きあげ喜びを発散する。...あれ?
「君、昨日の
「と、とりあえず降ろしてください~」
持ち上げたことでフードから見えた顔は、昨日追いかけられていた小人族の子と同じ顔。
僕が漏らした疑問に、女の子はじたばたと藻掻いて降ろしてくれるように頼む、そりゃそうだ。
ごめんなさいと謝り、女の子を下ろす。
乱れたローブを直した後、少女はフードを取ってその頭に生えている耳を見せながら、自分は
とにかく僕と少女は近くにあった噴水のふちに座って話をする。
「えっと、リリさんでしたっけ。なんで急に僕なんかに?」
「さっきも言いましたけど、リリはお金がいるんです。だけどよわっちくて、ダンジョンに一人で入ってお金を稼ぐことが出来なくて。そんなときお兄さんが道をぶつぶつ呟きながら歩いているのを見てこれだっと思ったんです」
サポーター業をしようと思っていたのなら、ギルドの出した募集に応募しなかったんだろうか。
そう思った僕の疑問はリリさんの答えによって解決する。確かに、サポーターをしようと思っている人でなければギルドの募集を見ることはないだろう、僕も見たことが無い。それに僕がショックでぶつぶつ言っている姿を見られていたのか、恥ずかしい。
そんなことを思っているとリリさんは「それに男性の方にリリの大切なものをあんなに乱暴にされてしまうなんて、もう責任を取ってもらわないといけませんね...?」と赤みが買った顔で話す。...待ってほしい如何わしいことをしたわけではない、ただ耳を触っただけだ。...その手つきが激しかったと言われれば否定はできないけど。
とにかく僕にとって、リリさんの申し出は願ってもないことだ。
とは言えいきなり「毎日お願いします」という訳にもいかないだろう、とりあえず今日一日のサポーター業を頼む。
そうこれは願ってもない申し出だから受けただけだ、決してリリさんにしたことを言いふらされたくないからではないんです、そんな目で見ないでください。想像上の神様達に言い訳をしている僕に、眩しいほどの笑顔でリリさんはお礼を言う。...罪悪感が凄い。
「ベル様、左から来てます」
「ベル様、まだいますよ」
「あんなにいたのに、ベル様凄い」
ダンジョンの中リリさんと一緒に戦う、いや正確には戦っているのは僕だけで、リリさんは周囲の探索だとか、魔石集めだとか、サポートをしてくれているのだが、これが非常に戦いやすい。
これまであったような、戦いが終わったと気を抜いた瞬間のモンスターによる不意打ちをが無いように周囲の警戒をしてくれたり、倒したモンスターの死骸に足を取られるといったことが無いようにモンスターの死骸を集めてくれたり。
ヘスティア・ナイフを手に入れてから、モンスターを倒す速度が上がったと思っていたけれど、それ以上のスピードでモンスターを倒している。
それでも魔石の量を気にしないでいられるのは、リリさんが背負っている自分の体より大きなバックパックのおかげだ。
リリさんは「こんなのを担ぐぐらいモンスターと戦うことと比べたら全然大したことないですよ」なんて言っていたけど、僕がモンスターと戦っているときも、モンスターに狙われないように隠れながら、モンスターの死体を動かしたり、モンスターが生まれるのを確認して居たり。
それに物知りでもある。
今も戦いが終わって、僕は休憩と装備の確認を、リリさんは魔石を集める、その前に荷物の中から刃物を取り出す。
そしてそれでがりがりとダンジョンの壁をひっかいて傷をつける。最初それを見た時は何をしているのかと思ったけれど、これはモンスターが湧かないようにする為だ。
ダンジョンというのは生きている。
というのはよく例え話に使われる言葉だけど、実際の所はどうか分からない。
神様達なら何かを知っているのかもしれないけれど、これまで何人もの人がいろんな神様にダンジョンのことを質問してきた、だけど有意義な答えが返ってきたことはないらしい。
閑話休題
とにかく、ダンジョンというのは壁や床を傷つけても修復していくのだ。
この為、例えばある階層の壁をくりぬいて次の階層までの道を作ろうだとか、壁に傷をつけて通った道に印をつけるだとか、といった試みは全部失敗に終わっている。
だけどそういった失敗のおかげで、床や傷が治っている時は、その周囲でモンスターが生まれない、ということが分かったのだ。
だからダンジョンに潜っている冒険者は、戦いが終わって休んだり、魔石を拾い集めたりする無防備になるときは、あらかじめ壁なんかに傷をつけてモンスターが湧かないようにするらしい。...初めて知った。
「ベル様ってとってもお強いんですね。それにそのナイフ、凄い切れ味ですね?」
「ありがとう、だけどまだまだなんだ。
このナイフは贈り物なんだけど、今の僕には不釣り合いなナイフでね。今の僕の目標はこのナイフに釣り合うぐらい立派な冒険者になることなんだ」
魔石を集めているリリさんから話しかけられる。
本当は僕もリリさんを手伝おうとしたんだけれど、リリさんから「戦うのは冒険者の役目、魔石を集めたりだとかはサポーターの役目です」と断られてしまった。しかしてきぱきと手際よく魔石を回収しているのを見ていると、僕が手伝おうとした所で、かえって邪魔になったかもしれない。
リリさんが注目したのは
僕は膝の上に置いたナイフを見る。どう考えても僕の身の丈に合っていない武器だ。
それでもこれが僕の手元にあるのは、神様と神様の友神が僕に期待してくれているということの証拠で、僕はそれに応える必要がある、そうでなければ僕の夢に対して僕は胸を張れなくなる。
そんなことを答えていると、リリさんが困ったような声を上げる。どうしたんだろうか。
僕がのぞき込むと、こちらを見上げたリリさんが申し訳なさそうな声で告げる。
「申し訳ありませんベル様。リリのバックパックがいっぱいになってしまいました」
「そうなんだ、まあいっぱいモンスターと戦ったしね。じゃあ今日はこれで上がりにしようか」
見ればリリさんと同じくらい大きいバックパックがさらに大きくなって、背負っているリリさんはほとんど押しつぶされているように見える。
こんなに魔石が拾えるくらい戦っていたなんて、というかリリさんは大丈夫なんですか!?
僕の心配の言葉に帰ってきたのは、「リリにはスキルがあるので大丈夫です」という言葉だった。
とはいえ、物理的にバックパックに隙間が無いのなら、これ以上の狩りは意味が無いだろう、地上に帰ることにする。...本当に大丈夫ですか?
三万ヴァリス。
それが今僕とリリさんの前にある二つの袋の中に入っているお金で、今日僕がリリさんとダンジョンに潜ったことで得たお金だ。
今日は何度か【ドロップアイテム】(倒したモンスターの体の一部が灰とならずに残った物、基本的に魔石より高く売れる)を拾ったことを含めて考えても、これまでの僕の一日の稼ぎを大きく上回る収入だ。それもこれもリリさんがいてくれたからだ。
「ありがとうリリさん」
「いやあ、ベル様がお強いからですよ」
「いやいや、リリさんがサポートしてくれたおかげだって」
「いやいやいや」
リリさんにお礼をする。
リリさんは、僕が沢山モンスターを倒せるくらい強いからこれだけ稼げたんですよ、とほめてくれる。でもどう考えても、リリさんがモンスターの増援に気が付いてくれて、モンスターの死体をどけて戦いやすくしてくれて、魔石やドロップアイテムをたくさん運んでくれたおかげだ。
僕とリリさんは互いに、いやいやリリさんのおかげです、いやいやいやベル様が強いからですよと褒めあう。
三万ヴァリウス。
これだけあれば、帰りにちょっと買い食いをしたりだとか、【豊穣の女主人】によっても問題が無いだけの稼ぎだろう。...だけどいいんだろうか。
僕のしたことと言えば戦っただけ、リリさんの方がずっと沢山働いていた。なら
サポーターが見つかったことで舞い上がって、報酬について決めていなかったことを反省しながら、リリさんへと報酬の話をしようとすると、僕の鼻は嗅ぎなれた臭いを捕まえる。
「ベルか。今帰ってきたところか?」
「狩人さん。はい今帰ってきた所で...そうだ見てくださいよこれ、今日の稼ぎですよ」
「ほぉ、新米にしてはなかなかの稼ぎだな。...ん?そちらの人物は?」
「あっ...ごめんなさい。今日僕をサポートしてくれたリリさんです。リリさんこちら僕のファミリアの先輩狩人さんです」
まるで頭からつま先まで血塗れになったような。いや僕は一度頭からミノタウロスの血を被ったことがあるから断言できるけど、もっと濃厚な。それこそにおいが漂ってくるのが目に見えるくらい強い血の臭い。
先程まで、周囲で今日の稼ぎや、冒険について話していた冒険者がそそくさと立ち去っていく。
僕が冒険者が逃げてきた方角に目をやると、そこには狩人さんが立っていた。
僕が駆けよると、狩人さんは僕の体を見ながら無事を確認してくる。
落ち着いて考えればかなり恥ずかしいことだと断言できるが、今日の稼ぎに浮かれていた僕は、狩人さんに今日の稼ぎを誇る。
狩人さんは目を細めて僕の頭をなでながらなかなかの稼ぎだ、と褒めた後僕の後ろを見て疑問の声を漏らす。
そうだ、リリさんを置いてきぼりにしてしまった。
改めて狩人さんにリリさんを紹介して、リリさんにも狩人さんを紹介する。
「べ、ベル様は、か、狩人様の後輩...?」
「あれ?言ってなかったけ。
僕はベル。ベル・クラネル、ヘスティア・ファミリアの新入りなんだ」
「~~~~っ!!!リ、リリは用事を思い出しました。失礼します!」
「あっ、ちょっとリリさん報酬、報酬!!」
リリさんは狩人さんを見ると、震える声で僕に本当に狩人さんの後輩なのか尋ねてくる。
僕がそれを肯定すると、リリさんは明らかに挙動不審になった後、逃げ出すようにその場から立ち去る。その姿にポカンとしてしまったが、リリさんにまだ報酬を渡していなかったことを思い出した僕は、急いで追いかける。
「はぁ、はぁ、待ってよリリさん」
ギルドから出ると、裏道の方に消えていくリリさんのバックパックが目に入る。
それを追いかけてしばらく走ると、膝に手をついて息を整えているリリさんを見つけることが出来た、追いついたようだ。
僕がお金の入った袋を鳴らしながら走ってきたからだろう、ぎょっとした表情でこちらを見てきたリリさんに声をかける。
「べ、ベル様?な、何の用でしょうか...リリは何もしていませんよ?」
「え...?いや、今日一日僕のサポーターをしてくれたじゃないか。その報酬だよ」
「ほう、酬?...ベル様はサポーターが報酬をもらう前に逃げ出したのですから、報酬なんて払わなくてもいいじゃないですか。それをどうしてわざわざ追いかけてきてまで支払おうとしたんです?」
リリさんは何をしに来たのか、と警戒しているかのような目つきで僕の方を見てくる。
報酬を渡しに来ただけだけど...?
しかし、リリさんにとっては理解に苦しむことだったようだ、それどころかリリさんが報酬を受け取る前にどこかへ逃げ出したのだから、そのままにしておけば今日の稼ぎを独り占めできたのにと言ってくる。
「う~ん。なんて言ったらいいかな。
ほらリリさんも逃げ出したってことは、
そんなファミリアに所属する僕が、サポーターさんを雇っておいて報酬を支払わなかった、なんてことがあったらこれから僕のサポーターをしてくれる人なんていなくなるじゃないですか。だから僕は報酬を支払わなくちゃと思ったんですけど...」
「だ、だとしてもこの量は多すぎます。リリのしたことはベル様のサポート。リリが直接戦ったわけでもないのに、半分は貰いすぎです。ベル様は相場というものが分かっていないんです」
「いやでもさあ、考えてもみてください。
僕のファミリアはヘスティア・ファミリアですよ?そんな所の冒険者である僕のサポートをしてくれる人はいなかったんですよ。そこにリリさんが来てくれて僕としては大助かりだったわけですよ。だったら相場よりも多く払うべきじゃないですか!少なくとも山分け、半分ずつが妥当だと思います」
しかしそもそも僕が今朝落ち込んでいたのは、誰もサポーターの募集に応募してくれなかったからだ。
こんなことを言うのは嫌だけど、間違いなく理由は
「そもそもサポーターと冒険者様は平等では無いんです、そこの所を間違えると今度はリリの方が、今後ダンジョンに連れて行ってくれる冒険者様がいなくなるんですよ?それにその敬語も止めてください」
「いやそれを言い出すと、ヘスティア・ファミリアの冒険者である僕がサポーターさんに横柄な態度をとっていたなんて言われれば、本当に今後僕と一緒にダンジョンに潜ってくれるような人は居なくなりますからね!後僕は様付で呼ばれるような人間じゃないです。リリさんこそ、その様を止めてください」
僕とリリさんの口論はだんだんヒートアップしていく。
そもそも、僕は様付けで呼ばれるような人間じゃない、と僕が言えば。リリさんは冒険者に横柄な態度をとるようなサポーターは誰にも相手されなくなるから仕方がないでしょう?ベル様こそその敬語を止めてください、と返す。いや僕がサポーターさんに敬意を払わなければ、それこそ一緒に潜ってくれる人は居なくなりますから、リリさんこそこの報酬を大人しく受け取ってくださいと僕が返す。
僕とリリさんの口論の結果は、リリさんは報酬を受け取る代わりに僕のことを様付でこのまま呼ぶ、僕は報酬を半分渡す代わりに敬語とさんづけを止める、というものになった。
やった、やりましたよ神様!僕リリさん、いやリリにしっかりと報酬を支払いましたよ...あれ?
口論が終わって落ち着いてみれば、何とも奇妙な話であったことに気が付き、僕とリリが笑いだす。
その笑いを引き裂くように狩人さんの声がした。
「何をやっているんだお前たちは」
「ヒッ!!」
「...狩人さん。狩人さんって暗い場所で見るといつもよりずっと怖いですね」
「...うるさいぞベル。そしてお前がリリ...だったな?」
「はっ、はいそうです。リリに何か?」
「いや、ただこれからもベルと仲良くしてほしいと、それを伝えようと思ったのだが。おまえたちが訳の分からない口論をしていたのでな」
日も暮れた薄暗がりから現れた狩人さんに、リリが引きつったような声を上げる。
まあ気持ちはわかる。
正直見慣れている僕でもちょっとびっくりした。何も知らない人が見たら漏らしそう...何がとは言わないが。
思わず考えていたことを口に出すと、狩人さんは軽くこちらをにらんだ後リリに声をかける。ビクッと大げさに反応するリリ。そんなリリに狩人さんは、僕と仲良くしてほしいと頼む。
やめてくださいよ狩人さん、恥ずかしいじゃないですか。僕が思わず言うとリリはさようならと告げて逃げるように立ち去る、いや本当に逃げたのかもしれない。
僕はその背中に「リリ!明日もあの噴水で待っているからね!!」と声をかける。来てくれるだろうか、来てくれるといいなぁ。
「さっきからあのリリとかいう少女に避けられている気がするんだが...」
「リリは犬人ですから。狩人さんの獣人に対する噂を聞いていたんじゃないですかね」
「そんなこと...ないとは言い切れないな」
どこか落ち込んだように狩人さんが呟くが、狩人さんの日頃の行いの所為だろう。
いや例えそうじゃなくても、血の匂いがするような人と仲良くしたくはないと思います、と思ったことを口にすると、肩を落とし小さく呻く狩人さん。珍しい、この人がこんなに傷ついている所は初めて見た。
少し可哀そうになった僕は狩人さんに何かおごってあげることにして、屋台の出ている方へと狩人さんを引っ張っていく。何を買おうか考えていた僕には、狩人さんのつぶやきは聞こえなかった。
「
どうも皆さま
実はリリの登場の為に色々と伏線を張っていたりした私です
お気に入り数500ありがとうございます
沢山感想をいただきやる気が溢れた結果
下書きを二話分一日で書いたときは
自分のことながら現金すぎて笑いました
そんなことよりも困りますよね
どう考えてもリリというかソーマ・ファミリアの人物とか
近づいてきただけで灰達のぶっころ対象ですよ話が始まりません
そんな灰達を少し大人しくさせるために色々伏線というか
色々即ぶっころしない理由付けをしてきたのです
...なんかその分予定しているリリ視点ではリリがどんどん追い詰められているのですが
...なんででしょう?
いただいた感想でもリリのことを心配する物ばかりで笑います
安心してくださいリリは死にません
少なくとも身体的には大怪我をすることもないでしょう
...えっ?精神的にはどうかって?
(無言でエイナさんを見て首を振る)
この話の構想を練っているときリリがベル君をだますために犬人のふりをしていたことを思い出したときは自分が書くだろうことながらリリが可哀そうになりました
この話の中でベル君がダンジョンの壁を傷つけて休憩する方法を知らないことが明かされましたが
灰達が初めてダンジョンに潜った時に
灰「そろそろ休憩にするか?確かダンジョンの壁を傷つけるとモンスターが湧かなくなるんだったな?」(レドの大槌を取り出す)
狩人「そうだな」(パイルハンマーを貯めながら)
焚べる者「同意する」(グレートクラブを構えながら)
狼「...」(不味いんじゃないかなーと思いながらも口には出さない)
ダンジョンが思いっきりぶっ壊されたことで【ジャガーノート】と呼ばれる特殊なモンスターが現れるがボコる
灰「...でこいつは何だ?」
狩人「知らん」
焚べる者「音に引き寄せられたか?」
狼「ダンジョンを無闇に壊すなと言われた気が...」
灰「マジで!?じゃあこいつがいたことバレたら怒られる?」
狩人「知られなければ問題はないだろう」
焚べる者「じゃあ無かった事にするか」
狼「そうしよう」
ということで灰達にとってダンジョンの壁を傷つけたりについては禁句になったのです
それではお疲れさまでしたありがとうございました。