忍と灰と焚べる者と狩人とダンジョン 連載編 作:noanothermoom
狭間の地
それは永遠の女王を戴く黄金樹の祝福が約束された地
しかしながら女王は消え黄金樹の根源たるエルデンリングも砕けた
かくして黄金の時代が終わり戦乱の時代が来る
褪せ人よ
祝福を失い狭間の地を追放された死人たちよ
今こそかの地に戻り祝福の導きに従え
しかし世界の理
律たる黄金樹が歪んだ今
世界は歪みその歪みより
「新しい協力者か?」
「ええ、直接戦うことはできませんが貴方のサポートをしましょう」
(やばいです、ヤバいです。
彼女は啓蒙を持ちソウルの業を修めた
嗚呼しかし
「なんですかあれ、何ですかアレ、何なんですかアレ!!」
「あれが世にも悍ましき悪魔であろうと、可愛らしいぬいぐるみであろうと倒さねばこちらの命が失われることには変わりない。
貴公、覚悟を決めたまえよ」
知るがいい来訪者よここは狭間の地
「なっ、デ、
「例え神を名乗ろうと、いや何者であったとしても殴れるのだ、殴れば血が出るのだ。ならば殺せる」
哀れなお前たちの常識など通じぬ選ばれた地
「こんな終わりって...あんまりです!!こんな、こんな...」
「貴公優しいのだな...だがこの地では命取りになる。心得たまえよ...」
祝福すら持たぬ呪われた身でこの地へ分け入った罪は絶望で償うがいい
しかし世界に楔は打たれた
ならばその縁を辿ることなど彼等には容易い
「
「知らぬ...だが邪魔立てするというのならば...切る!」
世界よ知るがいい
「貴方...懐かしい月の香り...いったい...何者かしら...」
「臭い、臭い、匂い立つ、たまらぬ香りで誘うものだ。
忌むべき冒涜者の臭い、穢れた獣の臭い、何よりあの悍ましい月の臭い。えずくじゃあないか、ええ?」
彼等こそ真の
「君は?あまり近づかない方がいい...この腐敗は君だって傷つけるだろう」
「...ならば語ろう我が旅路を。そして知るがいいミラのルカティエルの伝説を」
世界に反逆を翻す理の破壊者
「燃えカスにも為れなかった存在が!この玉座を呪いで汚すなど!!」
「ハハハハハ!!!外なる神に、出来損ないの半神共、おまけにろくでなしの人でなしとは、選り取り見取りまるで食い放題だな。ハハハハハ」
暗躍者にして殲滅者
語り部にして幕引き
「安心しろよおチビ。俺達は世界を終わりにするのは大得意なんだ」
「...安心できる要素が一つもないのでは?」
不条理と終焉
二つが交差するとき
忍びと灰と焚べる者と狩人とダンジョン外伝
小人と褪せ人と幾多の不条理と時々不死者達
2022年 夏公開予定
「相手が運命でも神様でも最後の最後まで抗う。それがリリの知っている
────その時確かな導きを得た
という訳でエイプリールフールのウソ予告と言う奴です
褪せ人出ます?という感想を頂いた時にぱっと思いついたものをネットで情報を調べてそれっぽく混ぜた物です
そもそもエルデンリングをする為には不死断ちエンドで心がおられてそのまま放置してあるセキロを終わりにしなくちゃいけないので
どれだけ時間があっても足りないんですよ
という訳でこの小説ではエルデンリングが出てくるのは今回だけです
ご了承ください
これ以降はこれだけでは味気ないかなと思って書いた小話です。
何時かの様にギャグ全振りなので何時かの様に時系列や統合性は投げ捨ててお読みください。
ヘスティア・ファミリアがしてはいけないことリスト
ギルドが製作した灰達がしてはいけないことが並べられたリスト
規則は社会を保つ為、秘密を守る為、或いは秩序を護るために必要な物だ
しかしながら禁忌と言うものは時として甘い香りで人を誘う
ましてや多くの秘匿を破ってきた者にとっては
隠された神秘へと誘う標にしかならないだろう
ベル・クラネルはヘスティア・ファミリアの団長である。
前団長である九郎よりその責務を引き継ぎ、ファミリアの運営を任された身である。
...と言えば聞こえはいいが、実のところヘスティア・ファミリアの団長という地位自体が
団長という言葉に込められた程の敬意を向けられるわけでも、他の団員への命令権を持つ訳でもない。
ギルドやほかのファミリアとのやり取りを押し付けられている。はっきりと言ってしまえば諸々の雑用係であると言ってもいい。
しかしながらベル・クラネルはそういった役職をこなすことに喜びを覚える性質であり、灰達が──約一名を除く──軽視する名声と言うものを人並みに欲する普通の価値観を持つ人物であり、他のファミリアやギルドとのやり取りをするにあたって問題を持たない程度には普遍的な常識を持つ。
そして最も重要な点として面倒くさい書類仕事などから逃げようとしない真面目さも持ち合わせている。
つまるところ新しい団長としての素質は充分であった。
その日冒険者達にとって最も利用する場所──それこそ生家よりも見た場所などと神は言う──ギルドにてベルがうんうんと唸っていたのは冒険者としてではなく、団長としての責務を果たす為だ。
数日前必死になって書いた書類に不備があったとかで自身の担当であるエイナ・チュールから呼び出され、指導されながら書類を書き直していたのだ。
「ふう、やっと終わった...うわっ!凄い人だ」
大苦戦しながらもようやく全ての書類を書き直し、顔を上げるとそこには人の海。
それもそのはず、ベルが書類と格闘している間に日は沈みダンジョンから冒険者達が帰ってくる時間帯になっていたのだから。
「う~ん。これは無理かな。ちょっと収まるまで待つか」
窓口から遠い個別面談用のスペースにまで人が溢れているのを見てベルは人波に突入するのを諦めた。
自身の先輩である灰達ならば迷うことなく突っ込んでいくだろうし、なんなら人混みの方から道を開けていくだろう。
しかしながら自分では
幾ら彼女がヘスティア・ファミリアの担当者と言っても本分はギルドの
利用者の多さからの同僚からのヘルプの叫び声を無視できず、
それもまた一つの冒険にして戦いだ。
幸いと言うべきか今日はこの書類仕事以外は特に用事もない身。
ならしばらくゆっくりとして余裕が出来たなら持っていけばいいとベルは考え、何か暇をつぶせるものがあっただろうかと周囲を見渡す。
目に留まったのは自身が先ほどまで格闘していた書類と資料に埋もれるようにして机に置かれた一枚の
「うん?これは...『ヘスティア・ファミリアの冒険者がしてはならないことリスト』?」
紙の一番上に書かれた題名を読み上げ、ベルは一人首をひねる。
ヘスティア・ファミリアの先輩たちをベルは尊敬している。
それは冒険者としての強さであったり、先輩としての立ち振る舞いであったり、何より様々な教えを受けている身としての礼儀として敬意を持つのは必然である。
しかしながら後輩であるベルから見ても、いや主神である慈悲深いヘスティア、温厚なヘスティア・ファミリア前団長九郎から見てもかなり問題のある人間(非常に柔らかい言い方)だ。
それでも最近灰達が非常に穏やかになった、と言う話を聞いたことがある。
その理由をベルと言う後輩に求める人物は少なくなくない。
しかしながら穏やかになったらしい灰達しか知らない自身からすればとてもそうとは思えない行いが多い。
一体どんな行いをしてきたのかと好奇心が疼かなかったと言えば嘘になる。
とは言え先輩である灰達が努めて隠そうとしているのならばあえて暴こうとは思わなかったし、話してもいいと思ってくれる時が来るといいなと思っていた。
しかしその隠された過去についてのヒントが思わぬところで自分の手の中に飛び込んできた。
「...これは僕がこのリストに反してないか調べる為だから」
言い訳を呟き周囲の目を気にしてこそこそとしながらその紙を引き寄せる。
これで
1
適正な理由が無ければオラリオでの喧嘩、戦闘をしてはなりません。
補足2 相手が獣人であると言うのは適正な理由ではありません。
...と言いますか差別的な発言は慎んでください
補足3 ミラのルカティエルの名前を広めると言うのは適正な理由ではありません。
ギルドへのご協力は感謝しますが程度と言うものがあります
補足4 女装した同じファミリアの団員を攫おうとしたと言うのは適正な理由ではないとまでは言いませんが、報復が過激すぎます気持ちは分かりますが。
──── エイナ・チュール
──── 火の無い灰
「...」
開いた本を閉じ空を仰ぐ。
室内なので見えるのはギルドの天井だけだが、そうせざるを得ないだけの破壊力があった。
まあ灰達だ。自身の先輩たちだ。ろくでもない事が書かれているだろうとは思っていたが、想像を超えていた。
先輩たちの隠している過去を暴く、という好奇心に従って読みだしたことを少し後悔するような内容。
尤も後悔したからと言って諦めるような意志の弱さならば英雄などに憧れない、ベル・クラネルはあきらめが悪いのだ。
再び本を開き読み進める。
2
ギルドオラリオで糞団子を投げてはいけません。
補足2 ダンジョンでの使用も控えてください
補足3 火炎壺を投げるよりはましではありません。どちらも投げないでください
──── エイナ・チュール
──── 火の無い灰
「ふー...」
本を閉じ大きく息を吐く。
そっかぁ。
しかもこの文を読むかぎり常習犯だったようだ。
いっそ
しかし相手は火の無い灰だ。
悲しいことにそんなことしないと言い切れない。そして逆にするかしないかならするだろう。
戦いに誇りなんぞないと公言し、大剣を担いでいるが無数の武器を使いこなし「大剣しか使えないと思ったか?」と相手を嘲笑い、近距離戦を不利と見て距離を取った相手を魔法で叩きのめし「魔法が使えないなんて言った覚えはないな」と馬鹿にする。
間違いなくヘスティア・ファミリアで一番性格の悪い戦い方をする人物だ。
趣味と実益を兼ね備えたその戦い方にどれだけぼこぼこにされてきたことか。
それを思えばうんこぐらい投げるだろう。
頭の中から「これでも喰らえ」とうんこを投げている灰を追い出し、ベルはさらに読み進めていく。
3
血塗れのままギルドオラリオの街を歩いてはいけません。
補足2 あなたの為にどれだけギルド職員が規定外の仕事をさせられているかわかりますか?
補足3 あなたの為に掃除業者を雇う羽目になったギルドのことも考えてください
──── 月の狩人
良くありません!!
──── エイナ・チュール
「...悪いことをしたなぁ」
ベルは本を閉じ昔を思い出す。
昔と言ってもそれほど前ではない。
自身が初めてアイズと出会った時のことだ。
アイズに助けられた後、その美しさに参ってしまいふらふらとさ迷い歩いた挙句、ギルドでエイナ・チュールに怒られた。
あの時ギルドの人が床を掃除する手際が妙に手馴れていたが、そんな理由があったからだなんて想像もできなかった。
そしていつも目に見えるんじゃないかと思う程濃密な血のにおいを纏う
4
明確な理由がない限り建物の上を移動してはいけません。
補足2 道に迷っているわけでもないのに高い所に昇りたがるのは何故ですか?
補足3 急に上から人が降って来た側の気持ちが分かりますか?
──── エイナ・チュール
──── 狼
「変わらないなぁ」
怒っているエイナ・チュールと正座している狼の姿が見える文字に苦笑するベル。
変わらないと言うよりは昔からそうだったと言う方が正しい。
狼に連れられて初めてギルドに向かう時も九郎が止めていなければ建物の上を移動していただろうし、ダンジョンでの初めての狩りの時も大量の成果をエイナに怪しまれて問い詰められた時に出てきた言葉は「...言えぬ」だけだった。
掘り起こされるとんでもない過去に逆に面白くなってきたベルは更に読み進める。
5
他ファミリアの拠点に如何なる建物であったとしても不法侵入して
自作の本をばら撒いてはいけません
補足1 【怪物祭】であることは不法侵入していい理由になりえません
補足2 補足1は【怪物祭】以外であればいいという事ではありません
オラリオのすべての祭りは不法侵入していい理由になりません
補足3 だからってオラリオ以外の祭りならいいわけじゃありません
全ての現存する祭りは不法侵入していい理由になりません
補足4 架空の祭りを作り上げれば不法侵入してもいい訳ではありません。
実在する、しないに関わらず全ての祭りは不法侵入していい理由になりません!!
補足5 何もない日なら良いという事ではありません。いい加減にしてください
──── エイナ・チュール
ミラのルカティエルです
──── 絶望を焚べる者
「...」
絶望を焚べる者。
問題児──とベルの立場からすれば言いたくはないのだが、そう表現するしかない人が多すぎる──が多いヘスティア・ファミリアの中でも、最も問題を起こす人物。
ミラのルカティエルと言う人物?の名前を広める為ならばなんだってする、何だってやる、何だってした人物。
諦めないという事に関してならば恐らくはヘスティア・ファミリア、いやオラリオでも最上位の人物。
後輩であるベルからすればその姿を頼もしく思うこともある、だが決してあきらめないその在り方は相手にする側からすれば悪夢でしかない。
ひょっとして合法的に物語を流布するために、ミラのルカティエル商会が立ちあげられたのだろうか。
あんまりにも恐ろしい想像にベルが震えていると周囲の人混みがまばらになっていることに気がつく。
ギルド職員は皆優秀な者ばかりだ。
無限に続くようにすら思える長い列も彼等にかかればあっという間に捌ける。
ならば何時までもこうしてはいられない。
幾ら予定がないとはいえあまりに遅くなれば
ベルはリストを元の場所に戻し、机から立ち上がった。
SIDE エイナ・チュール
「次の方どうぞ」
サクサクと仕事をこなし無限に続くのではないのかと思える人の列も消化されてきた。
毎日思うことだけれどこの時間帯がとてつもなく忙しいのはどうにかならないのだろうか。
忙しいという事はそれだけ冒険者が無事に帰って来たことではあるから嬉しい事なのだけれど。
「エイナさん。書類書き終わりました」
「ふん...ふん...これで大丈夫よ。お疲れ様ベル君」
なんてことを考えながら次の人を呼ぶとベル君が書類を持ってくる。
提出された書類を見れば間違っていた点はすべて直されていた。
冒険者と言う人たちは戦うことに長けている分、こういう書類仕事なんかを軽視する傾向がある。
だからこそベル君の様にファミリアの中でもある程度の地位につき、事務仕事をするようになった冒険者がミスをすることは少なくないのだけれど、その後の反応は大きく分かれてしまう。
即ち書類仕事に忌避感を抱くか、新しい冒険だと書類仕事に挑むかだ。
当然ギルド職員としては後者であってほしいのだが、残念ながらその数は少ない。
故にこそ新しく団長となったベル君にはしっかりと教育を施し書類仕事もできるようになって欲しい、そしてあわよくば
とにかく無事に終わったことを褒めるとベル君は何か言いたげにしている。
何か言いたいことでもあったのかしらとこちらから聞いてみれば、口を開けたり閉じたり何かを言うべきか言わざるべきか迷った挙句、覚悟を決めたように目を一度閉じこちらを見つめてくる。
「エイナさんって苦労しているんですね...これからも頑張ってください」
「えっ?ちょ、ちょっとベル君?それってどういう...」
力強い眼光に少し気圧されるがその口から紡がれた言葉は酷くありふれた物。
虚を突かれ、一体どういうことなのかと問いただそうとする頃にはベル君はすでにギルドの扉を潜った後で。
人が少なくなってきたとはいえまだまだ多くの冒険者が並んでいるこの状況。流石に仕事を放棄して追いかける訳にもいかず。
「一体どういうことなの...」
小さく呟いた言葉は雑踏の中に消えていった。
どうも皆さま
エイプリールフールの小ネタをどうしても仕込みたかった私です
楽しかった(子供並みの感想)
もしも来年も小説投稿をしていたらまた何かしたいですね
そんなことよりエルデンリング私持ってないんですよ
今回のウソ予告を書くために色々調べたらすごく楽しそう
でも時間がなぁ...
なんていっぱしの物書きのようなことを書いて今回の後書きはおしまいです
それではお疲れさまでしたありがとうございました