忍と灰と焚べる者と狩人とダンジョン 連載編 作:noanothermoom
神々が地上に降りてきてから
人々の生活全ては神々の無聊を慰める余興となった
それは
故に
しかしファミリア間での争いとはかつての人と人との、国と国との争いよりも遥かに激しい物となった
或いはそれでも
SIDE ヘスティア
ボクは今迎えの馬車に乗っている。
何でも長いオラリオの歴史の中には【
【
だからボクは一人でこの馬車に乗っている。
何とも退屈だ。
ボクの耳に届くのは車輪が回るガラガラと言う音だけ。
何とはなしに窓から外を見る。
「さあ、賭けろ賭けろ。勝因、敗因、時間。なんだっていい当たれば大儲け!」
「ヘスティア・ファミリアに50!」
「ヘスティア・ファミリアに100!!」
「これアポロン・ファミリアに賭ける奴いるのか?」
「今回の【
「どうした急に。
まあ確かにな。本来攻砦戦において制限時間いっぱいまでもつれ込むことはほとんどない。
その前に大勢が決まるからな」
「その通り。
だが、今回は別だ。
つまり
「おい、まさか...」
「アポロン・ファミリアに500!!」
オラリオとその住
馬車に乗っていてもその熱気は感じられる。
あちらこちらから賭け事に興じる声が、或いは賭けの説明も兼ねているのだろうか今回の【
「他人事だと思って...」
小さくため息を漏らす。
幸いと言うべきか灰君達は【
「それでもこれから行くところよりはマシなんだろうなぁ」
神々が集まり【
それを思えば気も重くなるという物。
だが、馬車がそんなボクの気分をくみ取ってくれるはずもなく、無慈悲に目的地へと向かう。
馬車で迎えをよこすというのは正しい選択だよ。全く。
ボクが会場に入ると同時に四方八方から声の洪水が襲い掛かる。
「今日の主役の登場だ!」「何を見せてくれるんだ!?」「アポロンが可哀そうだと思わないのか!」
聞こえる限りの歓声、声援、罵倒を全て無視して中央、【
ボクに突っかかってきていた神々も、ボクが腕を組み目を閉じて反応をする気がない事を示せば、各々好き勝手な話を始める。
「やあ、ヘスティア」
「...アポロンかい」
そのまま開始までの時間を潰すつもりでいたのだが、そんなボクに話しかけてくる神がいた。
目を開ければこの騒動の
そのままボクの隣に座ろうとし...怯えたような表情になると少し離れた所に座った。
その態度には拭いきれない怯えこそ見える物の、
それこそ途中で泣き出したり、笑いだしたり、気の触れた様子での御登場も想定していた身としては驚きを隠せない。
故に隠すことなくその理由を尋ねる。
「意外だね?もっと見苦しい様子を見るものだと思っていたよ」
「そうかね?ならば私の虚勢もあながち捨てた物でもないようだ。
今全身全霊をもって勝利を掴もうとしている子ども達に顔向けできないような姿を見せる訳にはいかないと、なけなしの精神力を振り絞っているのだよ」
事ここに至れば、
だが、今
「他所のファミリアから子ども達を奪ってきたにしては随分と殊勝な言葉じゃないか」
「それは違うぞ、ヘスティア」
だからこそ常ならば噤んだろう言葉を
言うまでもない事だが、未知との出会いを求め地上に降りてきた
その子どもを奪う真似は
だが痛い所を突かれたはずのアポロンはむしろ強い意志を感じさせる瞳で反論した。
「確かに私は多くの子どもを他所のファミリアから奪った。それは認めよう。
だが私はこの子どもとならばより強力な絆が結べると
そうでなければ誰かの元より子供を奪うような真似はしないよ。
だからこそ私は誰よりも私の子どもと私の
アポロンは一片の曇りもない口調で言いきった。
...ボクはアポロンと、そのファミリアのことを少し誤解していたのかもしれない。
アポロン。
天界でボクと
彼は
自分の
その在り方は正しく全ての者を平等に
そしてその眷族達もその愛に応えようとしている。
間違いなくオラリオでも敵対した時の容赦のなさで言うのならば最悪の相手を敵に回すことになってもアポロンの子ども達はアポロンの命に従い、或いは敵対した今でもボクの知る限り脱退するだとか諦めることなく勝利を掴もうとし続けている。
それは
だが、眷族達にアポロンの
或いは
それが確かに目の前にあったかもしれない。
「仮にも
だが、それはそれとしてとりあえず一発殴っておく。
ボクがアポロンに殴りかかったことで【
何時もならばお昼休憩の訪れを告げる鐘は僅かに常よりも早い。
それは今回の【
「ウラヌス、神の力の使用の許可を」
『許可する』
いつの間にか
それと同時に目の前のスクリーンに、いやオラリオの街中、酒場、ギルド、ファミリアの拠点、ありとあらゆる場所にに今回の【
「さあ始まります!オラリオ中が注目する世紀の一戦。
アポロン・ファミリア対ヘスティア・ファミリアの【
実況はこの私。
ガネーシャ・ファミリアの喋る火炎魔法こと【
解説は我らがガネーシャ様です」
ガネーシャ。
オラリオの住人からの信頼厚い群衆の主を自称する男神、いやそれを自称することを許されるだけの実績を持つ好漢と言うべきか。
いや別にガネーシャ本
「先ほども言ったが最早事ここに至って、私に出来ることは子ども達を信じる事だけだ。
だが宣言しよう。
最後に笑うのは私で、勝つのは
「...そうかい。
正直言えば君が何を考えているかも、何の勝算があって
ボクが言えるのはただ一つ。
最後に笑うのはボクで、勝つのは
ボクとアポロンが互いに睨み合い冷たい空気が周囲に振り撒かれる。
だが、アポロンが言った通りだ。ボク達に出来ることなど子ども達を信じる事だけだ。
大人しく再び席に着く。
それと同時に再び鐘が鳴り正午を告げ、一際大きな声でイブリ君が叫ぶ。
「さあ、【
それと同時にオラリオ中から音が消える。
否、オラリオ中が固唾をのんで映像に見入っているのだ。
画面に注目するあまり身じろぎの音も、いや呼吸すら忘れて時間が過ぎる。
一秒、二秒...。
だが何も起きない。
十秒ほど経った時、止めていた息が
オラリオ中でされている賭けの大本命。
開始と同時に灰君がルールを無視して一撃を叩き込むことを
「どうやら...何も起きない「ドゴオン!!」何がっ!?」
映像が砦の外壁、未だ黒々とした煙が立ち上がる現場へと
「あれは...誰だ!?」
そうして画面に映し出されたのはフードを被った人影。
その体に密着するような服から浮かび上がった
「だ、誰...?」「えっ...?本当に誰?」「まさか灰の
「それはない」
完全に予想外の人物が現れたことで神々は騒然とする。
恐らくはオラリオの街の中でもあちこちで騒ぎになっているだろう。
「ヘスティア!?彼女は!?」
「助っ人さ。禁則次項には助っ人を禁じる項目は無かっただろう?」
ボクの言葉にアポロンは、否この場にいるすべての神の口があんぐりと開かれ
「「「「「す、助っ人!?」」」」」と声が響き渡る。
灰君によるアポロン・ファミリアへの逆襲撃によって灰君達の戦闘力は周知された。
それは間違いなくこの【
だからこそ、
騒がしい神々の声を無視してボクは食い入るように画面を見つめる。
結局のところこんな小細工を弄する必要があるのもボクが【神会】で多くの制約を結んだからだ。
そのことを後悔していると知れば
ならばボクのするべきは後悔じゃない。
画面の中、マスクで口元を隠し、フードを被ったリュー君を見つめる。
その下に隠れている顔を、「初めて見ました、狩人のあんな表情は」と楽しそうに笑った、ベル君のためにとその刀を振るってくれるエルフ君の顔を思い出し、再び見つめる。
アポロンは一ついい事を言った。
「頑張れ、みんな」
小さな呟きは神々の声に掻き消されはしない。
SIDE 【
【
砦の中に籠っていたアポロン・ファミリア達はまるでハチの巣をつついたかのような騒ぎだった。
「っ!!
エルフだと!?魔剣だと!?助っ人だと!?
馬鹿な!!」
「信じないのはお前の勝手だけど早くどうにかしろよ!!」
そもそもヘスティア・ファミリアにおいて最も警戒するべきは灰達だ。
だがその灰達が
だというのに現実は
反射的に情報を持ってきた
「とにかく反撃しろよ!!」という悲鳴めいたルアンの叫びにあわただしく準備を始める冒険者達。
運命の【
(流石、と言うべきでしょうか)
砦の壁を魔剣を使って爆破したリュー・リオンは心の中で独りごちた。
魔剣を打てる鍛冶師の一族クロッゾ、そのクロッゾを引き入れ魔剣の力によって多くの国を侵攻した
ラキア王国が侵攻した中にはエルフの住む郷も含まれている。
故に未だ同胞の郷を焼いた魔剣を厭うエルフは多い。
だが彼女の心の中にあるのは称賛だけだ。
彼女が称賛するのは魔剣であり、その魔剣を作った
ヘスティア・ファミリア...と言うよりもヘスティア・ファミリアが間借りしているロキ・ファミリアの一室での短い間であったが、
それでもなお魔剣を打ったのは
手の中で朽ちていく魔剣を投げ捨て、新たな魔剣を手にする。
(あなたの込めた意志の為にも確かに仕事を果たしましょう)
一室で任された役割を果たす為にリューは強く魔剣を握った。
「さあ、自分を倒せるものはいないのか!!」
リューの襲撃と時を同じくして命も又ヴェルフより託された魔剣を使い砦への襲撃をかけていた。
これが
...正道ならば。
「...天より
【フツノミタマ】!!」
一際大きく命が
これこそ命の魔法、フツノミタマ。
その正体は結界内の物を押しつぶす重圧魔法。
その威力は18階層に現れた
人の身に抗う術がある訳もなく。
アポロン・ファミリアの冒険者と命は地に伏す。
そう、
この
命はリューと同じく先鋒を任された。
だが、先ほども言った通りリューと比べれば命の実力は劣る。
故に命が自身に割り振られた役割を果たす為に取った
それは命もまた同じくして、
(任されたこの大役確かに果たしましょう!)
だが、命の表情に苦悶の色はない。
むしろ浮かぶのは笑み。
抱え続けるベルへの大恩。
今こそ、それを返す時だとなお強く奮う。
「さあ、自分にしばし付き合ってもらいますよ?」
同じく地に伏した冒険者達へと命の力強い宣言が降りかかる。
SIDE ヘスティア
「ぐっ、ぬぬぬぬ...。
だがどうした!私の子ども達はまだいる、砦も健在だ!あれを越えられない限りどうとでもなる!!」
画面に映る
事実、リュー君と命君の襲撃はアポロン・ファミリアの早急な対処によって抑えられ、砦に被害らしい被害はない。
そういう意味ではあの二人の襲撃は失敗と言っていいだろう。
だが、画面の中に映る砦の入口、その重厚な扉が開いていくのを見てアポロンは、いやこの場にいる神々は口をあんぐりと開ける。
そうして開いた扉を悠々と潜っていくのは鎧を纏った人影。
「くっくっく...フハハハハ...ハーッハッハッハ!
真打登場...と言う奴だなぁ?」
画面の中、愉快そうに高笑いをするのはアポロンが最も恐れたボクの
灰君が高らかに宣言した。
どうも皆さま
私です
お盆です
また時は巡りお盆の季節がやってきました
去年のお盆に想定外の休みをもらい上がったテンションのままに
小説を書き始めた私にとってお盆とはちょっと特別な意味を持ちます
出来ればお盆の間沢山更新したいなぁ
その為にも応援よろしくお願いいたします
...なんちゃって
それではお疲れさまでしたありがとうございました