ロザリオとバンパイア~真祖の眷属~   作:sisufiria

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二話目投稿です。


2.朱染の吸血鬼

吸血鬼の身体は成長するものなのか。

そう聞かれたのならばこう答えようYESだ。

といってもある程度人間でいう20歳前後からは老化はほとんど見られず、若々しい姿を保てるという。

 

といってもどうやらすべての吸血鬼に当てはまるというわけでもないらしい。

ここ3年で得た知識として、我が主エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルその例外のうちの一人だ。

600年もの間10歳の少女の身体で過ごしてきたという。詳しいことはわからないが真祖の吸血鬼化という魔法術式をかけられ真祖の吸血鬼になったのだと彼女は話した。

 

もともとの吸血鬼がどうかはわからないが人間から無理やり魔法的な術式をかけられ、転生。しかし術式が不十分だった為か肉体の不死化により、成長することができなくなったのでは無いかと私は考えている。

600年も昔の術式だ。今でも吸血鬼化の魔法があるか知る由もないが今ほど魔法も解明されていないだろう。

 

 

「おいルフナいつまで待たせる気だ!紅茶はまだか!」

 

 

つい考え事をしてしまっていた。

ヤカンからお湯が吹きこぼれていた。私はそのまま火を止めポットにお湯を注ぎ、我が主様のもとへと急いだ。

 

私はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの眷属として転生し、吸血鬼という妖怪になった。

髪の色は人間だったころの黒色に金色のメッシュが入り、蛇のような紅い縦長の瞳。吸血鬼化の影響か人間だったころのあどけなさがあった顔は幼いながらも整った造形をしている。

私の人間だったころの記録は今代の両親と共に死亡扱いとなっており、ある意味人間から吸血鬼の転生ということでマスターから『ルフナ』と名付けられた。

 

 

 

 

 

「…遅い!」

 

 

猫のようなツリ目をした金色の少女がアンティーク調の椅子に座ったまま怒りを露わにしている。心なしか妬みの視線も入ってる気がする。

 

 

「申し訳ありませんマスター。少々考え事をしていまして」

 

 

「考え事だと?どうせつまらんことでも考えていたのだろう?」

 

 

カップに注いだ紅茶を受け取りながら目を細めて私をにらみつける。

 

 

「いえ…そうですね。たしかにつまらないことです」

 

 

身体の成長というのは彼女にとって禁句の言葉だ。

人間に比べ成長の遅い私でも、確実に成長しているのだ。600年もの少女の身体でいたマスターにとって羨ましいことなのだろう。

 

 

「本日はどうされる予定なのですか」

 

 

私は空になったカップに紅茶を注ぎ、彼女の答えを待つ。

 

 

「今日は客が来る。というよりルフナお前にも関係することだぞ」

 

 

「ああ、今日でしたか…まだ3年ですがこうしてマスターと別れる日が来るとは思ってもみませんでした」

 

 

「仕方あるまい。そもそも眷属など作る予定ではなかったのだ。それに貴様には自衛の手段として魔法を教えたかったのだがな」

 

 

エヴァンジェリンは、魔法世界でも畏怖の対象で、「闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)」や「人形使い(ドールマスター)」などと呼ばれている600万ドルの賞金首だ。

その眷属ともなれば狙われる事もあり自衛の手段として魔法を教わることになったのだが、どうも私には魔力という物が無く、かわりに妖怪でいう多量の妖力が備わっているという。

エヴァンジェリンにも妖力はあるが魔力ほどではなく、今まで魔力での生活を送っていたため妖力を使うという機会がほとんど無かった。

そのために自衛というほどの手段を私に教えられなかったのだ。

といっても肉体のスペックは人間の身体を遥かに超え、吸血鬼の不死性のおかげで怪我を負ったとしても直ぐに完治してしまう。

 

しかし、世の中には不死殺しを専門とした専門家たちがいる。それら以外にも妖怪…化け物の世界では弱肉強食が全て。

せっかく助かった命だ。そうそうに死ぬつもりなど無かった。

 

 

「確か日本のバンパイア『朱染(しゅぜん)』の者ですよね…」

 

 

『朱染』日本唯一のバンパイアの拠点であり、日本のバンパイアのほぼ全てがこの朱染家の関係者とされ、闇社会では「問題処理組織」としても名が通っている。純粋な戦闘種族であり最強と恐れられるバンパイアが多数いる悪魔城であり、中国の闇社会でも「朱染」は畏敬を込めて語られる名である。

 

 

「そうだ今の当主は朱染一茶(しゅぜんいっさ)そして…不死(ノスフェラトゥ)のアカーシャ。私が後天的な真祖だとすれば奴は先天的の真祖だ。それと…いやこれは知らなくても言いことだな」

 

 

エヴァンジェリンはそういってカップを置き、深く椅子に座りなおす。

 

 

「それにしても吸血鬼とはいえ、別の眷属の吸血鬼…私を養子に加えようとしましたね?」

 

 

「真祖アカーシャは詳しくないが朱染一茶、奴には色々と貸しがあってな私の頼みといえば断らない」

 

 

忍び笑いをしながら不敵に笑むその姿は人の弱みをどう活用しようかというような見事な悪役の顏だった。

 

 

私が言葉をかけようとしたとき、来客を告げるベルが鳴り響いた。

 

 

「来たか…ルフナ出てくれ」

 

 

「わかりました」

 

 

マスターに一礼してから玄関の戸を開く。

そこには長めの黒髪でヒゲを生やし、洋風の貴族服を着ている厳然とした物腰の壮年の男性が立っていた。

 

 

「お待ちしておりました朱染一茶様。マスターエヴァンジェリンがお待ちです。どうぞお入りください」

 

 

日本唯一のバンパイア集団朱染家当主、朱染一茶その人の姿がそこにあった。

 

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