夜の魔術師   作:R.F.Boiran

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2-8. 魔術回路(前編)

意識を取り戻した僕は二人を軽く諫めた後、二人を連れて屋敷へと戻り、これまでの経緯を二人に説明した。

 

僕の行った降霊術は英霊の召喚に失敗。

逆に僕がきれいなお姉さんに意識を持って行かれ、彼女の依頼を受諾することになった。

依頼は泰山府君祭の核となっている彼女自身、本体の破壊。

破壊する理由は祭壇を悪用された場合に霊災が大挙してこちら側に押し寄せてくるから。

それを懸念した彼女の望みが、核となっている彼女自身の破壊だった。

彼女の理想を追求し昇華させたものが泰山府君祭という彼女と彼女の同胞達のためのシステムだった。

彼女には彼女の理想があり、その理想を悪用されることを彼女は良しとしない。

そのことは僕も共感できる。 だから彼女に協力することにした。

彼女からはその見返りにプロイキッシャーと呼ばれる使い魔をもらった。

その後のことは鈴鹿と京子、二人にタックルされて気を失って今に至る、といったところだ。

 

「要するに碧が考えなしに召喚儀式を行ったせいで、下手したら死ぬところだったワケね」

 

「まてまて、今の説明でなんでそうなる?」

 

「だってそのきれいなお姉さんに意識奪われて昏睡してたじゃない」

 

いや、まあ……その通りといえばその通りなのだが……。

魔術回路を不用意に繋げたせいで五感を乗っ取られてしまうなんて素人みたいなことをしてしまったのだ。

……しかし危険はなかったのだから、その、死ぬということはなかったような……。

 

口には出さないが言い訳を頭の中で考えていると、京子が微かに震えながら言った。

 

「碧くんっ!」

 

「は、はいっ!」

 

びっくりしたぁ……

今まで見せることがなかった凄みのある表情と声で呼ばれた。

京子ってこんな表情をすることがあるんだな。

やっぱり今回のこと怒ってるのかな……?

 

「あたし、碧くんのこと好きだけど……ううん、好きだからあえて言わせてもらうわ。 

 碧くん、今回の行動は少し軽率だったと思うわ。

 魔術のことについて詳しいことはわからない。 でも、死ぬかもしれないようなことを、あたしたちに大した相談もせずに不用意にやるのはよくないと思うの」

 

「そうそう。 キョーコの言う通りだわ」

 

「こらっ、鈴鹿は煽るんじゃない!」

 

まったく鈴鹿は……

火に油を注いで面白がってるし……僕も人のことは言えないが。

しかし、困った。

苦手なんだよな……こういうの。

 

「あたしね、碧くんが倒れたとき、呼びかけても反応が無いし……本当に、死んじゃったって――――」

 

嗚咽を漏らし、そして、ついにはぽろぽろと涙を零して泣き出してしまった。

しかし、そんなに泣く程までに心配になるくらいの時間、反応が無かったのだろうか?

僕は鈴鹿に聞いてみた。

 

「なあ、鈴鹿。 僕、そんなに長いこと反応無かった?」

 

「時間にしたら10分程度よ。 でもキョーコ、すっごく青ざめちゃってさ。 あ、あたしは碧のことだからなんとなく大丈夫だとは思ってたけどっ。

 ――――でもね」

 

「でも?」

 

鈴鹿は目元に涙を溜め込み、一呼吸した後、

 

「あたしだってキョーコと同じよっ! 2~3分ならともかく、10分も反応がなければ、あたしだって心配になるわよっ! 碧のアホっ!!!!」

 

鈴鹿の手元の近くにあった座布団を投げつけた。

 

「おわっぶ――――!」

 

座布団は僕の顔面を見事捉えることに成功し、それを見届けた鈴鹿もまた溜まっていたものが決壊し、すすり泣き始めた。

京子、鈴鹿の反応を見るに、どうやら二人には大変な心配をかけたみたいだった。

ここは下手な言い訳をせず素直に謝っておこう。 うん、それがいい。

僕は姿勢を整え二人に真っ直ぐと向き直った上で頭を下げた。

 

「京子、それに鈴鹿。 心配かけて本当にごめんなさい」

 

シンプルで飾り気の無いものだが、二人への素直な気持ちで謝った。

それから二人が落ち着くまで、ぎこちないながらも宥めることに終始した。

 

 

 

 

 

 

彼女たちがようやく落ち着きを取り戻し、普通に話せる状態になった頃には、日が傾き始めそうな時間になっていた。

 

「もう一人で危ないことはしないこと」

 

切り出したのは京子だ。

泣き止んで落ち着いたのか、先ほどの錯乱状態とは打って変わり、有無を言わせないような断定的な言葉だった。

しかしどんなに注意を払ったところで魔術という行為自体が死と隣り合わせなのだ。

危ないことをしなくても、結果的に危ないことに足を突っ込むのである。

京子の気持ちは分からないでもない。 しかし――――

 

「京子の言いたいことはわかるけど、魔術を扱う以上は今日みたいなことはよく起きるよ。 それは以前に説明したとおりだ。

 魔術っていうのは常に死と隣り合わせなんだ。 そしてそれは僕に限らず京子と鈴鹿、二人にも言えることだよ」

 

「っ――――」

 

鈴鹿は息を呑み、京子は何かを考える仕草で反応する。

 

「僕の姿を見て怖くなったのなら、やはり二人が魔術を覚えるのは辞めたほうがいい。 僕はそう思う」

 

これは二人にとってはよく考えて欲しい問題なのだ。

僕はさらに二人に考えてもらうために、過去に魔術に関わろうとした人物の話をした。

 

「――――7、8年前だったかな。

 僕が魔術を覚えてからというもの、ある人にことあるごとに魔術を教えて欲しいと言われててね。

 ……でも当時の僕は誰かに魔術を教えようとは思わなかった」

 

魔術の本質は隠すことだからね、と僕は続けた。

 

「ある日、僕は魔術の鍛錬中に魔術が暴走したことが切っ掛けで、骨折や深い裂傷などの瀕死の重傷を負ったんだ。

 幸いこの刻印のおかげで死ぬことはなかった。 ……いや、それでも1週間程度の入院をすることになったんだけど」

 

魔術刻印によって生命活動が止まることはなかったが、重傷なのには変わりが無い。

全身に刻印を刻めば瞬時に復元することも可能なのだろうが、あいにく僕の魔術刻印はそこまでの復元能力を備えていない。

 

「問題なのは、重傷を負った僕の姿を目前でその子が見ていたことなんだ。

 その子は当時は10に満たない子でね。 その僕の姿というのが堪えたんだろうね。

 しばらく心身自失っていうのかな。 憔悴してひどい状態に陥ってさ」

 

僕はあの日のことを思い出す。

傷も癒え家に帰ると、あの子が食事も殆ど取らずに自室にこもったままだと聞かされた。

直ぐに様子を見に行くと、その子は僕を見るなり、やつれた顔のまま泣き出した。

そしてごめんなさい、ごめんなさいと呪詛のようにずっと言い続けた。

それを見かねた僕は父さんにある事を相談した。

今のままでは体力的にも精神的にも潰れかねない。

だからあの日のことを忘れさせることにした。

そして父さんから了承をもらったあと直ぐに実行に移し、魔術による暗示であの日の記憶を全て忘れさせた。

同時に魔術を覚えようと思考が向かわないようにもした。

 

「結局のところあの子は以前の状態を取り戻た。 その代わりあの子が魔術を覚えることはなかったけどね」

 

ここまで話したところで京子が疑問に思っていたことを言った。

 

「その子って、やっぱり、夏目くんのこと?」

 

「うん。 今でこそ元気な姿でいるけどあの時は本当もうダメかと思ったよ」

 

「夏目っちにそんな過去があったなんてねぇ……」

 

「トラウマっていうのは心身を容易く壊すんだ。 感受性の高い年頃なら特にね。

 ……繰り返しになるけれど、京子も鈴鹿も今回の件で少しでも魔術が怖いと思ったのなら、今からでも遅くはない。 魔術のことは諦めた方がいい」

 

だが彼女たちにはこの問い自体が愚問だったようだ。

先に切り出したのは京子だ。

 

「……あたしは、諦めたくない。 ううん、今回のことでその思いは強くなったわ。

 あたし、あの時、碧くんが倒れたとき、何も出来なかった自分がすごく嫌だった。

 もしもあの時、あたしが魔術を知ってたら碧くんを助けることができたかもしれないって。

 たらればの話ってことは分かってるっ! でも、でも……もう、あんな思いは嫌なのっ! 碧くんの隣に立って共に歩んでいくためにも、あたしは魔術を知りたい!!」

 

やや感情的になりながらも自分の無力さを嘆き、それをよしとしない京子。

そして京子の胸の内を聞いた鈴鹿が続けて言った。

 

「あ、あたしも、もちろん魔術は諦めないわよ。 怖くなっただなんて愚問ねっ!」

 

京子に気圧されたのか、少しどもりながらも魔術を諦めたくないという鈴鹿。

まあ二人とも諦めるつもりは、さらさらないらしい。

 

「はぁ……」

 

姉さんのことを話したら気が変わると思ったが、彼女たちはそんなに弱くなかったようだ。

……いや、もうやめよう。

散々言ってきたことなんだ。

彼女たちの意思はもう十分すぎるものだ。

 

「わかったよ。 悪かった。 試すようなコトしてごめん」

 

 

そんなやりとりをしていると僕の頭上から声が聞こえてきた。

 

「ご主人もたいへんッスねー」

 

声が聞こえてきた方向に目を向ける。

しかしその方向には何もいなかった。

だがその代わりに僕の方向に視線が二つ。

京子と鈴鹿が僕を凝視していた。

 

「え……? な、なに?」

 

その視線に戸惑いを隠せずにいると、鈴鹿が僕……いや、僕の頭上を指さしながら、

 

「碧……その、頭の上の青いの、何?」

 

頭の上とは何だ、と思いつつも手を頭上にやり、そいつをむんずと掴んだ。

 

「ぎゃふっ!」

 

あまりにも有り体な断末魔をあげる青い物体。

ああ、なるほど。 これが彼女の言っていた――――

 

「おまえ、プロイキッシャーってやつか?」

 

「そ、そうッス……。 あの、ご主人。 その手を早く放してもらえるとありがたいッス」

 

「ああ、すまん」

 

そういい手を放すと青い鳥は宙に舞い再び僕の頭に留まった。

解せぬ……。

 

「……なんで僕の頭に留まる?」

 

「いやー、ご主人の頭、なんとなく留まり心地がいいッス」

 

「……はぁ。 まあいい。 それで? おまえ、僕の使い魔っていうカテゴリーでいいわけ?」

 

「あ、それで合ってるッス。 それとお前じゃないッス。 ロスト・ロビン・ロンドっていうマイ女神に付けられたちゃんとした名前があるッス。 ロビンって呼んで欲しいッス」

 

「あれ? プロイキッシャーが名前なんじゃないの?」

 

「プロイキッシャーは自分を含めた使い魔たちの総称ッス」

 

「使い魔たちってことは、ロビン以外にも似たようなのがいるんだ?」

 

「そのとおりッス。 でも、こちらの世界には自分しかいないッスからその括りも不要ッスね。 ハハハ――――」

 

「ふーん」

 

「ああっ! そのまるで興味がないような返答! ご主人が聞いてきたのにあんまりッス!!」

 

「いや、まあ、実際あまり興味ないし……」

 

「ひどいッス! 自分、ご主人の使い魔なのに……」

 

「それだけ分かれば十分だよ。 一応ラインの繋がりも感じるし、僕の使い魔というのは間違いないみたいだ。 まあ、用があれば呼ぶから外で遊んできな」

 

「わー。 使い魔にもプライベートな時間を提供する配慮。 ご主人優しい人ッスね。 わかったッス。 お言葉に甘えて呼ばれるまで外で待機してるッス」

 

騒がしいのが翼をばたつかせて外へ出て行った。

どうやら言われたことを都合のいいように解釈する脳をしているようだ。

もっとも僕にとっては扱いやすいため、その方がいいわけだが。

しかし、なんだ。

初めての使い魔があんな訳の分からないヤツになるとはなぁ。

視覚等の共有もできないみたいだし、でもそのくせあの規模の使い魔にしてはそれなりの魔力を使っている。

一般的な使い魔ではないのかもしれないな。

……あまり気は乗らないが今度ロビンからそのあたり聞いてみるか。

 

僕が使い魔のことで考え巡らせていると、それまで僕とロビンのやりとりを唖然として見ていた二人が気になったことを聞いてきた。

 

「碧くん、あの青い鳥はなに?」

 

「んー、僕も詳しくは分からないんだけど、先ほど話したお姉さんからもらった使い魔、陰陽術的に言うなら、護法式のようなものだよ」

 

「あっ、あれ護法だったんだ? てっきり本物の鳥かと思ったわ」

 

「……本物の鳥はしゃべんないわよ、キョーコ。 それで、あの鳥は何ができるの?」

 

「特に何もできない、かな。 感覚共有もできないし、戦闘に長けているわけでもなさそうだし。 あれをくれた彼女が言うには殺されることだけは得意っていってたよ」

 

「殺されることだけは得意って……何の役にも立たないじゃない」

 

「そだね」

 

「なんでそんなのを護法にしたのよ?」

 

「いやぁ、彼女が僕にやるっていうものだから。 じゃあ、貰えるモノは貰っておきましょうということで」

 

「……そんなんでいいの?」

 

「いいんじゃない? まあ、ロビンは会話による意思疎通ができるし、鳥の形をしているから偵察くらいは出来ると思うよ」

 

「そう。 碧がそう言うのならもういいわ。 ――――でもさ、根本的に碧の問題は解決していないわよ? ほら、強いやつを使役するって話」

 

「あっ……」

 

「はぁ……忘れてたわけね……」

 

「ふふっ……碧くんって意外とそういうところが抜けてるのよね」

 

鈴鹿には呆れられ京子には笑われてしまった。

 

完全に頭から抜けていた。

そうだ。 鈴鹿の言う通り僕が降霊術をしたのは近接戦闘の強い使い魔を使役するためだった。

彼女の依頼やロビンのことにリソースを取られ、当初の目的が頭から完全に消えてたよ……。

だが、どうする……?

英霊を召喚することはもはや不可能。

……ならばやることは一つしかないな。

 

「……造るか」

 

ボソッと呟いた言葉に、

 

「造るって何を……?」

 

ごく自然な反応を鈴鹿がした。

何をって、そりゃあ衛兵(センチネル)に決まっている。

幸いその手のものには詳しい。

ならばヒトガタの衛兵(センチネル)を造ればいいのだ。

最初は穏便に使い魔(ファミリア)のカテゴリ内で収めておくように考えていたが致し方ないだろう。

少々物騒な代物ではあるが、全ては僕を困らせた鏡が悪い。

文句なら鏡に言ってくれ。

ふはは、これで勝つる。

 

……とは言ったものの、素体や道具は手元にはなく、実家に厳重に封印してある。

少々手間だが取りに行くか。

 

「ああ、いや、なんでもない。 独り言だよ。 ――――この話は忘れよう。 いずれにしても英霊の使役が無理だと分かった以上、どうすることもできないのだから」

 

「そう?」

 

ヒトガタの制作過程はエグいものがある。

制作過程を見せたくないというのが僕の本音だ。

鈴鹿と京子にこれを見せるわけにはいかない。

 

しかしタイミングのいいことに二人はこれから魔術を覚えていく。

その第一歩として魔術回路を強制的に開いてもらう。

この工程を踏むと恐らく二人とも一、二週間は身動きが取れないだろう。

そうなれば僕個人の十分な時間を取ることが出来る。

ならばその間に造ってしまえばいいのだ。

 

よし、方針は決まった。

ならば善は急げだ。 早いところ計画(おもいつき)を実行に移そう。

 

僕は二人に「少しここで待ってて」と言い残しある物を取りに部屋へと戻り、再び居間へと戻った。

そして二人へ持ってきたものを見せて、

 

「二人には今日の夜から魔術について覚えてもらうよ。 その第一歩としてこれを使ってもらう」

 

二人に見せたのは親指サイズのやや大きめの青と赤の宝石。

これには僕の魔力が溜め込んである。

余談ではあるが僕はこの宝石を使って魔術行使をすることはできない。

石に魔力を溜め込むことはできても、系統の異なる魔術系統では、そこから発展させることが出来ないからだ。

だが、なにも宝石を使った魔術が使えなくても、この宝石には他の使い道があるのだ。

 

「わぁ……きれいなサファイアとルビーねぇ。 ――――どうしたのこれ?」

 

「ホント、やけに高そうな宝石ね……」

 

高そうではなく、相当に高い。

宝石の値段など知らなかった僕を驚かせるのに十分なものだった。

ならばゴミくずのような宝石でもよかったのではないかと思うだろう。

僕も最初はそう考えてゴミくずのような宝石で魔力を溜められるかやってみた。

しかし結果は失敗。

結論としては値段に比例するごとに魔力を溜めることができるということが分かった。

もちろん単純に高ければいいというものでもない。

しかし高いものにしか魔力を溜めるのに適した宝石がないのだ。

魔力を溜め込むことのできる適正のある宝石というのが、長年日の光を浴びることのなかったものに限定される。

こういった宝石というのは、それなりの値段になって市場へと流れてくる。

ともすれば高くなるのは必然。

僕は少なくない金額を払って魔術的には最高級の宝石を手に入れたのだ。

 

しかしそれは決して無駄ではなかった。

宝石魔術についてド素人の僕が、この宝石に魔力を溜め込もうとしたところ、すんなりと成功したのだ。

値段に見合った宝石であるということは、このことからいっても十分と言えた。

 

「高いのは否定はしない。 でも値段に見合ったものだと言えるよ」

 

僕はこの宝石に対する率直な評価を言った。

だが、その言葉を違った形で受け取った人物がいた。

 

「こ、これ、あたしたちが貰っていいわけ? な、なに、プロポーズのつもり?」

 

その鈴鹿の言葉を聞いた京子が素早く反応。

 

「えっ!? そうなの、碧くんっ!?」

 

言い方がまずかったのか、どうやら二人とも斜め上の反応をしてしまった。

申し訳ないがその幻想はブチ壊す。

 

「勘違いしているところ悪いんだけど、プロポーズではないよ。 そもそもそれが理由なら宝石を装飾もしないで渡すわけがないよ」

 

それはそうだと納得する二人。

そう、これはプロポーズなどではない。

 

一般的には投薬によってじっくりと魔術回路を開くのがセオリーなのだろう。

しかし陰陽師というのは変に魔力を使っているせいもあって、投薬によるものでは十分な成果が得られない可能性があった。

宝石ならば本人たちに負荷は掛かるかもしれないが確実だ。

なにより手間が少なくて済む。

彼女たちが魔術回路に悪戦苦闘している間に、僕は僕の目的のために行動をする必要がある。

ならば方法としては、これ以外にありえない。

 

「今日の夜くらいから京子と鈴鹿には、この宝石を使って魔術回路を強制的に開いてもらう」

 

僕は高らかにそう宣言し、計画(おもいつき)を実行に移そうとしていた。

 

 




前後編に分けます。

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