ラブライブ! スピンオフ A-RISE   作:watton

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前回のA-RISE!!

 ショートカットでおでこがチャームポイントなツバサです!
 英玲奈に電話したら一瞬誰かと思ったけど本人でびっくりしたわ。
 その英玲奈が発見した練習時間確保の方法、それは授業時間の振り替えだったの。
 後は生徒会に申請すればいいだけよ!


5話 練習時間を確保せよ! 後編

 UTX高校で最も重視されているテーマが「フロンティア精神」だ。

 

 フロンティア精神とは、開拓していく際の様々な苦難を乗り越える意思という意味に近い。

 

 生徒のフロンティア精神を高める為に、UTX高校は挑戦する生徒に寛容だ。

 英玲奈がホームページからダウンロードした書類もその一環である。

 やろうと思えば何でもできる。逆にやらなければ何もできないのも、UTX高校だ。

 ツバサ達は、その前者に該当する。

 

 

 UTX高校は22階までと屋上がある。

 芸能科の他に、普通科、演出科、音楽科、文芸科等があり、

 芸能科のA-RISEを近くで見たくて入学して来る者も少なくない。

 人気のある芸能科は当然ながら、上の階層に位置している。

 

 RISEの3人でエレベータに乗ると、ツバサは芸能科3年生の20階を押した。

 

「緊張してきたわ……」

「綺羅さんでも緊張するんだね」

「やっぱり先輩の階って空気が違う気がするからね」

「確かに」

 

 エレベータから降り、生徒会長の千音寺あずさ(せんのんじあずさ)がいる教室へ向かう。

 

 千音寺あずさ。UTX高校芸能科1期生の中でも容姿端麗かつ頭脳明晰という並外れたスペックを持つ少女。

 責任感も人一倍高く、生徒会長として必要な資質を全て持ち合わせている。

 

 教室の正面に立つと、ツバサは軽く深呼吸した。

 

「いきましょう」

 

 コンコンコンとノックを3回。

 ツバサは略式のマナーでノックをすると、自動ドアの開くボタンを押した。

 

「失礼します、1年の綺羅です。生徒会長の千音寺さんはいらっしゃいますか?」

「おーい、あずさー! 呼んでるよー」

 

 ちょうど近くにいた先輩が、生徒会長を呼んでくれた。

 窓際に座って数人で会話していた2人が気づいて歩いてくる。

 1人はロングのストレートヘアで綺麗な髪が特徴の生徒会長、千音寺あずさ。

 三つ編みでアレンジして髪を可愛くまとめている方が副生徒会長の本田智美(ほんださとみ)。

 

「おはようございます。1年の綺羅です、後ろの二人は統堂さんと優木さんです」

「おはよう。私が、生徒会長の千音寺よ。そしてこっちが副生徒会長の本田さん」

「本田です。よろしくね」

 

 挨拶が済むと、生徒会長のあずさは3人をキョロキョロ見て記憶を呼び覚ます。

 

「あなた達は……1年総合オーディションで選ばれたRISEの皆さんね」

「ありがとうございます! よくご存知ですね」

「私も見てたから」

 

 あずさがにこりと笑う。つられてツバサも笑顔をみせる。

 ツバサ達が手に持っているクリアファイルを見てあずさは3人に尋ねた。

 

「ところで、何となく察しはつくけど何の要件かな?」

 

 ツバサは練習時間がほしいから申請に来たと説明する。

 ふんふんと、話を最後までしっかり聞くとあずさは答えた。

 

「そうホイホイ、はいそうですかと認めるわけにはいかないの。勉学は生徒の本分だからね。

 簡単に許可がおりたら学校でサボりたい人が次々と申請にくるでしょう?」

「ここまで来るのに簡単な道を通ってきたとは思っていません」

「確かにあなた達にはRISEになった実力がある。でもそれじゃ足りない」

 

 辛口な生徒会長あずさに、堂々と対抗するツバサ。

 緊張しているなんて言われなければ気づかないぐらいツバサの声は落ち着いていた。

 

「何が足りないと?」

「1回だけ、その申請は受理します」

「あずさ!」

 

 副会長の智美が簡単に受理したことに驚いて声をあげる。

 生徒会長は話を続けた。

 

「それでもし"今回の学年対抗でA-RISEになれなかった時"は二度と許可をだしません。それでいいですか?」

 

 あずさは"二度と"の部分でピースをして強調する。

 

「構いません、二人はどう?」

「最初からそのつもりだ」

「私もよ」

 

 3人の選択に迷いはなかった。

 その姿勢を見てあずさは感心した。

 

「……あなた達、いい目をしているわね。午後からできるように手配しておきましょう」

「ありがとうございます!」

「じゃ、それ預かるわね」

「よろしくお願いします」

 

 持ってきたクリアファイルを手渡すと、あずさは全ての書類に目を通した。

 

「うん、不備はないわね。確かに受け取りました」

 

「「「ありがとうございました」」」

 

 そう言うとツバサたちは満足そうに帰っていった。

 あずさは手をふって3人を見届けた。

 

 また元の窓際の席に2人が戻ると副会長は疑問を会長にぶつけた。

 

「ちょっと甘かったのでは? あの条件なら誰でもやるって言いますよ」

「ええ、でも3人とも可愛かったから。とっても応援したくなっちゃった」

「……まさか"洗礼"をするつもりですか。あずさも人が悪いですね」

「悪いって何よ。今のA-RISEだって私が育てたんだからね」

「……」

 

 

---

 お昼休み、ツバサの提案で校内のカフェテリアで3人一緒に昼食を取ることになった。

 カフェテリアは黄色と白をベースとしたシックなデザインで、間接照明にも工夫が凝らされている。

 創設間もないということもあり、豪華な作りだ。

 カウンター越しに食券を渡すと、料理を出してもらう点は他校と変わらないが、

 サラダ用食券を渡すとサラダ用のお皿がもらえて、サラダバーで好きな野菜をとれるのが、UTX高校ならではの特徴だ。

 サラダ用の皿でサラダバー。ということだ。決して早口言葉ではない。

 UTX高校が人気な理由はここにもある。

 

 それぞれランチをカウンターで受け取るとツバサ、英玲奈、あんじゅの順番で左から横一列に並んで席についた。

 

「えー、皆さん。集まっていただきありがとう!」

「皆って3人だけど」

 

 ツバサにツッコミを入れる英玲奈。

 

「細かいことは気にしない! この度、統堂さんの功績によって、

 ライブまでの今日合わせた残り6日間、授業時間を練習時間に充てることができるようになったわ!

 その功績とライブの成功を祈願して、かんぱーい!」

「「乾杯!」」

 

 皆健康に気を使っているのか、飲み物は烏龍茶で統一されていた。

 注文したメニューは、ツバサと英玲奈が魚料理がメインディッシュの日替わりA定食、あんじゅは肉料理がメインディッシュの日替わりB定食だ。

 あんじゅは今朝のことを素直に感心しながら英玲奈に伝えた。

 

「統堂さん、書類本当に助かったよ」

「たいしたことじゃない。誰でもできる」

「そんなことないわよ。統堂さんがいなければ今日の午後から練習時間にあてられなかった。きっとね」

「何か今朝も似たようなこと言ってたような」

「気のせいよ」

 

 ツバサは昨日の帰りに、あんじゅと約束したあのことを思い出す。

 あんじゅとアイコンタクトをとると、ツバサは英玲奈に話しかけた。

 

「そうだ、統堂さん、私のことツバサって呼んでいいわよ!」

「わかった。ツバサ」

「統堂さん、私のことはあんじゅって呼んでね」

「わかった。あんじゅ」

 

「「……」」

「?」

 

 英玲奈は鈍かった。

 ツバサとあんじゅがいくら待っていても、求めていた答えがでてこない。

 これはこちらから手を打たないとダメね。

 そう思ってツバサは自分から仕掛けていく。

 

「……統堂さんは……英玲奈ちゃんって呼んでいい?」

「あ、あぁ、英玲奈でいい。ちゃんは馴染みがないから呼び捨てのほうがいい」

 

 それよ! それ!! 心の中で喜びの声をあげるあんじゅとツバサ。

 ツバサは英玲奈に握手しながら名前を呼んだ。

 続いてあんじゅもそこに手を重ねて愛称を付けて呼んだ。

 

「改めて、よろしくね! 英玲奈!」

「えれなっち、よろしくね」

「えれなっち……? よろしく」

 

 愛称の「っち」はどうなのかと考える間もなく、流れで受け入れてしまう英玲奈。

 ツバサは嬉しくなって声をあげた。もちろん、公共の場だから控えめに。

 

「これでやっとスタートラインよ、後は突き進むのみ! がんばりましょう!」

「おー!」

「お、おう」

「えれなっち、おー!」

「おー!」

 

 あんじゅに注意されて英玲奈は慣れない応を言い直す。

 ツバサはいいことを思いついた。思いついたら即実行だ。

 

「そうだ、皆で写真とりましょ!」

「いいね!」

「ふむ、悪くない」

「はいっ、チーズ!」

 

 パシャッ。ツバサはスマホで3人笑顔の写真を収めた。

 こうして、3人の結束が深まって、仲良くお昼を過ごした。

 

 ――これがA-RISEの伝説、桃園の誓いと呼ばれる原点である――

 

 お披露目ライブまで後6日。

 

 

 

 

 




 短いので早めのアップです!
 今日は帰宅後ずっと書いてました。


 次回、生徒会長の刺客現る(嘘

 お楽しみに!
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