ラブライブ! スピンオフ A-RISE   作:watton

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前回のA-RISE!

 あんじゅです!

 授業時間の振替申請もできた!
 英玲奈っちも入れて、3人で下の名前で呼び合えるようになった私たち。
 これで真っ直ぐ突き進んでいけるね!


6話 神社で成功祈願!

 お披露目ライブまで後2日。

 

「そろそろね……」

 

 ツインテールがチャームポイントな少女、音ノ木坂学院1年生の矢澤にこ(やざわにこ)は朝早くからUTXビジョンを一番見やすい位置にきていた。

 既ににこの周りには人だかりができている。

 スクールバッグに入ったスマホを取り出し時間を確認する。

 

 UTX高校の交通広場に面したビル南側正面には、540インチの屋外大型ビジョン(UTXビジョン)が設置されている。

 そのUTXビジョンは、学校の宣伝や、在校生による番組、ライブ配信など、様々な用途に使われている。

 予定の時刻になるとUTXビジョンの画面が切り替わる。

 

「UTX高校へようこそ! 私たちは、RISEの綺羅ツバサ」

「優木あんじゅ」

「統堂英玲奈」

「この3人でA-RISEに挑戦します!」

「私たちのことをもっと知ってもらう為に、明後日の日曜日、午後2時からここ、UTX高校の2階屋内スペースでライブをします!」

「皆さんぜひ来てくださいね!」

 

 にこみたいに背が低いのに1年生代表でしかもセンター! 格好いい……。

 そう思うと同時に、なぜ自分がそこにいないのかと考えてしまう。

 UTX高校行きたかったな……そうすればにこだって、ううん。にこならどこだってアイドルになれる!

 

「それじゃちょっとだけ、お見せしちゃいます!」

「「「"PrivateWars"!」」」

 

 UTXビジョンに、ツバサ達の練習用ルームで撮影されたライブの様子が流れ始める。

 

 矢澤にこは、3日前からネットのUtubeで何度も見ていた。

 自分がスクールアイドルを目指していると同時にスクールアイドルオタでもある矢澤にこは、ネットのスクールアイドル掲示板に張り付いて毎日のチェックを欠かさなかった。

 最近結成された、RISEのツバサ、あんじゅ、英玲奈を初めて動画で見た時は、この子たちは違う!と思った。

 明らかに異質、生徒らしいキャピキャピしたものではなく、大人っぽい雰囲気を出す少女達に、にこは惹かれていた。

 

 そんなにこは、昨日の掲示板でUTXビジョン版は違うと話題になっていたのが気になって来ていたのだ。

 ほんとだ、ちょっと違う。見に来てよかったー!

 

「ツバサちゃぁああん!」

「僕は優木あんじゅちゃん!」

「俺は英玲奈ちゃんのこと中学時代から応援してたし」

「見に行くしかねーな!」

「私も!」

 

 にこも絶対見に行くわよ!

 

 

---

 UTX高校、昼休み。生徒会室。

 生徒会長のあずさと副生徒会長の智美はツバサ達について話し合っていた。

 

「ここ5日間での1年代表RISEの報告をします」

「どうぞ」

「月曜日、昼休みに職員室へ挨拶回り。先生方へ授業の振替についてと、今後のフォローですね。さらに……」

 

 放送委員へUTX屋外大型ビジョンの予約、屋外ビジョンとネット向けに映画研究部へCM作成依頼、お披露目ライブに携わってくれる方々への挨拶等など。

 学校側でお膳立てされているものまで全て自分たちでチェック。

 他にも、校内放送を使って生徒たちへの宣伝、昼食で多くのクラスメートと食事をとるなど、地盤固めもしっかりしている。

 映画研究部が作成したCMは無事屋外ビジョン、ネット配信を実施。

 ネット配信のアクセス数は3日も経たずに10万アクセス突破。

 

 通常であれば、お披露目ライブは内々で終わるものであったが、RISEの活動はその枠を超えていた。

 一般客が相当数来ると予想されるところまで来ている。

 

「なるほど。普通じゃないわね。誰の入れ知恵かしら……」

「主に綺羅さん自身が主体となってやってますね」

「授業振替の申請に来た時は只者じゃないと思ったけれど、まさかそこまでとはね」

「それで、洗礼のほうはされるのですか?」

「もちろん」

 

 眉をあげて答えるあずさ。

 智美が再度確認をとるも、やはりあずさは洗礼をやめるつもりはなかった。

 むしろ洗礼をするのが楽しみで仕方ないと言った感じだ。

 

「お披露目ライブは"失敗"に終わらせてあげるわ。麦は踏んで強くしないと!」

「いいのですか? ……用意したものが完璧なものほど、失敗したときの衝撃は大きくなります。

 それが自分たちではなく外的要因だったとしてもですよ。

 このまま行けば大成功、もし洗礼などしたら、彼女たちの可能性を詰むことになるかもしれない。

 見守ってあげることも必要かと思います」

 

 智美は調べていくほど、一生懸命活動しているツバサ達を評価していた。

 それに対し、"洗礼"をするのはあまりに酷だと思った。できることならしたくないと。

 あずさは鋭い視線を智美に向ける。

 

「……私を誰だと思っているの?」

「ドSですね。あずさ」

 

 

---

 ツバサ達は午後の練習をひと通り終えて、放課後にさしかかろうとしていた。

 

「残すところあと1日ね! 明日の土曜日の予定はステージを借りてリハーサル!」

「あんじゅもよくここまでできるようになったな」

「馬鹿にしないでよ、私だってやればできるんだから」

「……」

 

 ツバサはあんじゅが疲れてツンツンしているのに気づくと、休憩がてら気分転換を提案した。

 

「息抜きに近所の神社にライブ成功を祈りにいきましょうか!」

「いいね! 行こう行こう!」

「私はそういうものを信じていない。本番に実力をただ示すのみ」

「いかないの?」

「……行ってもいい」

「決まりね!」

 

 英玲奈が素直じゃないことを一緒に過ごしたツバサもあんじゅもわかっていた。

 多少強引に連れて行ってほしがっているのだ。

 

 

---

「お掃除日和やな! 捗るわー」

 

 神田明神でホウキを使ってお掃除しているのは、東條希(とうじょうのぞみ)、音ノ木坂学院1年生のおっぱいが大きめな女の子。

 普段は2本のおさげだが、今は巫女服の1本おさげだ。

 希は石段を駆け足で登ってくる3人に気づく。

 

「ん? お客さんやんな」

 

 背の高いロングヘアのスラっとした女の子が一番に着く。

 次いで、ショートヘアのおでこちゃん。

 最後にセミロングのゆるふわパーマなお嬢様だ。

 

「はぁっはぁっ……英玲奈早いわね……っ」

「UTX高校で毎朝階段を使っているからな」

「えっ……道理で……」

「待ってぇええ……はぁっはぁっ……」

 

 少し休憩すると、手水舎で手と口を清め始める3人。

 この子らはちゃんと参拝方法をわかっとるやん。

 希は同い年ぐらいの子に気になって横目でチェックする。

 

 

---

 ジャラッ。ガランガラン。お辞儀を2回。パンッパンッ。合掌してお辞儀する3人。

 

「二人とも、何をお願いした?」

「今度のライブが成功しますようにってしたよ」

「私はA-RISEになることを約束した」

「神様と約束したの?」

「そうだ」

「ふふっ」

 

 信じていないと言っておきながら神様と約束って面白いわね。

 ツバサはクスリと笑った。

 

「ツバサは何をお願いしたの?」

「私は、3人一緒にずっと友達でいられますようにってお願いしたわ」

「ありがとう!」

 

 ツバサに勢いよく抱きつくあんじゅ。

 ツバサは小柄なだけに抱きつきやすい。

 英玲奈も微笑ましそうにそれを見ていた。

 

 ツバサがここに来た理由はもう1つあった。

 それは学校で噂になっているあの件だ。

 

「そういえば、ここの巫女さんね、占いできるって友達から聞いたの!」

「面白そう! 占ってもらおうよ」

「どんな結果がでようと、本番に実力をただ示すのみ」

「じゃやめましょうか」

「……やってもいい」

「決まりね!」

 

 英玲奈も女の子だ。占いが嫌いなわけがない。

 それをわかっててツバサは英玲奈の口からやりたいと言わせたかった。

 やってもいいって本当はやりたいんでしょ! このこの!

 

「こんにちは、巫女さん!」

「こんにちは~」

 

 ツバサから巫女の姿をした希に声をかける。

 

「巫女さん、噂で聞いてきたんですけど、占いやってるって本当ですか?」

「やってるよ~、占ってほしいん?」

「お願いします!」

「ふっふっふ……一度出た占いは変えられへんよ?」

「何だかすごそうね!」

 

 希はタロットカードを裾から取り出すと、素早くシャッと扇状にして目の高さに持ってくる。

 ツバサが噂で聞いた通り、おっぱいの大きい巫女さんが占いをやってくれるのは本当だった。

 巫女さんが占いって何だかすごく当たりそう。3人の期待が高まる。

 

「何を占おっか? 名前と占ってほしい内容教えてね」

「私は綺羅ツバサよ。あと優木あんじゅと統堂英玲奈。今度の日曜日私たち3人でライブをやるの。

 それでうまくいくかどうかと、今後の私たちの活動についてが占ってほしいわ」

「お、すごいね! それはしっかり占わんとな~。それじゃ、過去、現在、未来で占ってみよか。

 うちのカードによるとー……」

 

 手際よくタロットカードをシャッフルする希。

 慣れた手つきは熟練を思わせる。

 

「まず1枚目やん」

 

 希はシュピッと1枚取り出すと3人に見せた。

 女帝のカードが逆さになっている。

 

「過去、一度落ち着いて今後の策を考えるべき時期があったみたいやね。

 不機嫌になって周りに八つ当たりしたらいかんよ。控えめに接することがプラス!

 必要以上を求めず無駄を省くのが無難。そう思ったことあらへん?」

 

 思い当たる節があった3人。

 初めて3人で練習部屋に行った時のことを思い出していた。

 

「何となく心当たりあるわね」

「誰か不機嫌になったん?」

「それは私のことだろう。ただ、無駄と思ったものは無駄ではなかった」

「でも、今はいい関係を築けているみたいやんな。ということは、何か策を考えた?」

「ご明察! 流石巫女さんね!」

「当たるやろー? 次いくでー」

 

 希は褒められて嬉しくなると、ノリノリで次の占いを始めた。

 シュピッと1枚取り出す。

 月のカードが正位置を示していた。

 

「現在、これは明後日のライブも含まれるよ。あなた達が変われば"全て"が変わる。

 周りに振り回されても柔軟に対応することが必要やね。自分を偽らず行動するとええやん。

 でもでも、騙されることもあるから十分注意してね」

「柔軟に対応か……いい事言うわね。その"全て"って私たちにとってA-RISEのことかも」

「A-RISE? もしかしてあなた達はUTX高校のA-RISEなん?」

 

 希もUTX高校については知っていた。

 ラブライブ優勝校とはそれだけ影響力が大きい。

 知っていただけに、希は有名人と会えたような気分になった。

 

「まだ1年生の代表なの。A-RISEを選ぶ対抗ライブが4週間後ぐらいにあるわ。それで選ばれればA-RISEになれる」

「おぉー! 先にサインもらっとかな! っと、占いの途中やった。何か気になったことある?」

「騙されることもあるってところが、ひっかかる」

 

 気になったところを指摘する英玲奈。

 すっかり占いにハマっている様子だ。

 1枚のカードを持ちながらあごに手を当てて考える希。

 

「んー……振り回されていないときは騙されているかもしれんね」

「なんだろう」

 

 あんじゅも気になって一緒に考えている。

 答えのでないことを考えても仕方ないので希が助言を付け加える。

 

「それもあなた達が柔軟に対応すれば切り抜けられるよ」

「そう言ってくれると助かるわ」

「最後いくでー!」

「お願いします!」

「えーい!」

 

 掛け声と共にシュピッと1枚取り出す。

 吊るされた男のカードが逆位置を示す。

 何で最後だけ掛け声がいるんだろうと思いつつも結果に耳を傾ける3人。

 

「未来! 知らないうちに傲慢な態度になって物事がうまく行かなくなる。

 その態度が仇となってそれまでの努力が無駄になりそうやん。

 何でもうまく行くと限らないから他の可能性を探ることが、道を切り開く近道……。

 つまり謙虚に務めることが大事やんな」

 

 ここにいる3人は皆自分が特別だと思っているだけに、傲慢さが出るのは当然だ。

 心当たりがある3人はそれぞれ思いを口にした。

 

「……確かに私は傲慢なところがある……と思う。

 ハターキ先生の時もああは言ってたけど、実際調子に乗ったつもりじゃなくても、

 そういう風に捉えられてもおかしくない。気をつけなきゃいけないわね」

「私も……」

「A-RISEを目指す為に傲慢さも必要だ。一概に悪いということではない」

「そうやね、バランスよく謙虚さと傲慢さを保つとええね」

 

 最後に、希が英玲奈の言葉をうまくまとめあげた。

 長年の積み重ねた業である。

 

 

---

「以上、スピリチュアル占い終わり!」

「ありがとう! うまく行きそうな気がしてきたわ!」

「巫女さん、お名前聞いてもいい?」

 

 自分と似たような属性を感じたあんじゅは、おっぱいの大きい巫女さんに名前を尋ねた。

 にこりと笑うと希は答える。

 

「うちは音ノ木坂学院の東條希。よろしくね」

「音ノ木坂学院! 近いですね!」

「そうやね!」

 

 あんじゅは音ノ木坂学院と聞いてテンションがあがる。

 すぐご近所なだけに、親近感がわいていた。

 

 ツバサは希から話題を引き出す為に他愛のない質問をしてみる。

 

「東條さんはこちらでバイトしてるんですか?」

「うちのうちやねん」

「うちのうち……ふふっ、あなた面白いわね」

「わかってくれたかー! 流石やん! 本当はバイトであってるよ。えりちはロシア育ちやからわかってくれなくてなー……あ、こっちの話やん」

「ロシアの友達がいらっしゃるんですか?」

「えりちはすごいんよ。ロシアでは常にバレエコンクール上位!

 今は音ノ木坂学院に一緒に通っててな~……。はっ、えりちの話はここまでや」

 

 希は絵里の話になると止まらなくなる。

 絵里とは、絢瀬絵里(あやせえり)、希の同級生のことだ。

 口止めされていたことをついうっかり言いそうにというか言っているわけだが、そこで話をぐっとこらえて止めた。

 

「あなたとその子でスクールアイドルやれば人気でそうね!」

「ふふっ、うちがスクールアイドルか~、それも面白そうやね」

 

 冗談めかして言う希。

 まさか本当に自分がスクールアイドルになるなんて思って……いたのかもしれない。

 楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、ツバサは別れの挨拶を切り出した。

 

「それじゃ、そろそろ練習に戻るわ」

「そうやね! また縁があったらよろしくな~」

「ありがとね! 東條さん!」

「楽しかった。よかったらぜひ東條さんもライブも見に来てほしい」

 

 英玲奈はさり気なくライブに誘う。

 

「行けたらいくわー」

「それ行かない時に言う台詞よ」

 

 希の答えにツバサがツッコミを入れる。

 希はてへっとしながらぺろっと舌を出した。

 

「あれ、ばれちゃった? 行くやん行くよー!」

「絶対に来てね!」

 

 あんじゅは念を押して伝えた。

 占ってくれた希に見てほしいと思ったから。

 

 

---

 石段を駆け下りていく3人を見送る希。

 希はA-RISEたる王者のオーラを3人から感じ取っていた。

 

「あの子達、すごいオーラでてるやん……スピリチュアルやね……」

 

 

 




 そろそろ、μ'sのメンバーとの絡みがほしいかなと!
 のんちゃんを入れてみました。

 のんちゃん可愛いですね。

 だいぶ日数飛ばしましたが、間違って読み飛ばしたと勘違いしないでね。
 あってます!

 ここまで読んでくれてありがとう!

 次回! リハーサルでついに洗礼の内容があかされる!(かもしれない。

 お楽しみに!
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