346プロの雑用バイト君   作:焼肉定食

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10話 アイドルはすごい

 

 菜々さんと話して以降、どうしてもアイドルのライブに行ってみたいという気持ちが抑えられない俺は……

 

 

「と、取れたぞ……ライブのチケット!」

 

 

 ライブのチケットを申し込んでみた結果当選していた。

 

 

「おぉ……本当に取れてる、これって運がよかったのかな」

 

 

 少し気になったのでSNS調べてみたら、落選報告をしている人がそこそこいたので俺は運がよかったということだろう。

 

 

「……楽しみだな」

 

 

 まさかこんなにワクワクするとは……ちょっと前まではこんな気持ちになるとは思ってなかったなぁ……

 

 

「あれ? ライブって何か事前準備とかしなくていいのかな?」

 

 

 初めて参加するからまったくわからない…

 

 

 

 

 

 

「白石さんライブに来てくれるんですか?」

「うん、少し興味が出てね」

 

 

 次の日事務所で見かけた高森さんに頑張って声をかけてみた。 お前誰だっけ?みたいな反応されないか不安だったけどそれは杞憂だったみたいでよかった。

 

 

「嬉しいです♪ 私頑張るので是非楽しんで行ってくださいね?」

「あ、あぁ……うん。 頑張って!」

「はい♪」

 

 

 うーん、高森さんと話していると心が安らぐなぁ…… って和んでる場合じゃないぞ。

 

 

「それで質問なんだけど、ライブに行く時ってなにか持ち物とか覚えておくべきことってあるのかなって」

「うーん……そうですねぇ、 特には必要ないと思いますよ?」

「そ、そうなの?」

「はいっ♪ あ、でもペンライトみたいなグッズを買うのならお金は必要になると思いますよ」

 

 

 そっか…特に何も必要ないのか。 俺のイメージだとアイドルのライブって、観客もすごい踊ってるイメージがあったから振り付けとか掛け声とか覚えとかないと駄目なのかと思ってた。

 

 

「おはようございます! 藍子ちゃん、白石くん」

「菜々ちゃん。おはようございます」

「おはようございます菜々さん」

「はいっ! ところでお2人で何の話をしていたんですか?」

「白石さんが今度私たちのライブに来てくれるってお話ですよ」

「わぁ〜 そうなんですか?白石くん」

「はい。 それでライブに参加するにあたって何か準備とかは必要なのかなって高森さんに質問していました」

 

 

 丁度いいから菜々さんにも聞いてみよう。アイドルについて詳しそうだし。

 

 

「俺のイメージだとアイドルのライブってお客も声出したり踊ったりしてるイメージだったんで……」

「あ〜 確かにそういうライブもありますね〜 いわゆるオタ芸ってやつですね。 ああいうライブも楽しいんですけど、今度ナナたちがやるライブはそういう感じではないですね〜。なので特に準備は必要ないですよ!」

「そうなんですか……ありがとうございます」

 

 

 どうやら本当に準備などはしなくていいようで少しホッとした。

 

 

「それより白石くん! ライブに来てくれるんですね!」

「あ、はい。昨日菜々さんの話を聞いたら行ってみたくなって」

「嬉しいです〜! 是非楽しんでくださいね!」

「私も頑張りますね♪」

「すごく楽しみです!」

 

 

 

 高森さんと菜々さんのおかげでライブのことが少しだけわかったぞ……ペンライトとかは欲しいから当日はお金を持って向かうことにしよう。

 

 

 

 そしてライブ当日……

 

 会場の最寄駅に到着すると、既に大勢の人で溢れている。

 もしかしたらこの人たち全員ライブに行くのだろうか……流石にそんなことはないか。

 

 

 駅から少し歩いた会場近くには大きくアイドルたちが映ったライブ用のポスターが貼り付けてある。

 

 当たり前だけど全員綺麗だなぁ……衣装を着てると尚更そう思う。あ、あそこに菜々さんが、 あれは渋谷さんか…… ユッコに日野さんもいるぞ。 てかこれ見てたらキリがない……

 

 

 そしてそのまま会場に向かうと、その周りに物販コーナーのようなものが広がっている。今日はとりあえずペンライトを買うことにしているので、ペンライトのコーナーに寄って買っていこう。

 

 

「うぉぉ……広いなぁ」

 

 

 ペンライトを購入して会場の中に入るとまず会場の広さに驚く。

 会場のど真ん中にステージがあってその周りを観客席で囲んでいる。

 

 

「み、皆んなこんな中で歌って踊るのか…」

 

 

 しばらく放心していたがすぐに気を取り直して、自分のチケットに割り当てられている席へと向かう。

 俺の席はステージから近くも遠くもない真ん中ら辺だが、まぁ初ライブで最前列は流石に緊張するのでこのぐらいで丁度いい。後はライブが始まるのを待つだけだ。

 

 

 ライブ開始時刻が近づくにつれて虫食い状態だった観客席がどんどん埋まっていく。 いよいよ始まるんだと実感が湧いてきてドキドキしてきた……

 

 

『ご来場の皆様、それでは只今よりライブが開催されますので〜』

 

 

 ついに来たな…… すごいドキドキしてきたぞ

 

 

 照明が落ちて周りが暗くなると、ステージに光が集まりアイドルたちが集まってくる。

 

 

「みなさん!こんにちは〜! 私たち〜」

「シンデレラガールズです!」

 

 

 大きな掛け声がかかると周りの観客のテンションもどんどん上がっていく……大歓声だ。

 

 

「それでは聞いてください!一曲目は〜〜」

 

 

 

 

 

 

 

 それからはすごかった…… まさに夢のような時間だった。

 

 綺麗な衣装に身を包んだアイドルたちが華やかなステージでパフォーマンスをする…… 一曲一曲が終わる度に観客席からあがる大歓声、どんどん上がっていく会場のボルテージ、何よりアイドルたちの笑顔…… 全てが初めての体験で最高だった。

 

 

「すごかったな……ライブ。 これがアイドルか……」

 

 

 全員のパフォーマンスが最高だったけど中でも菜々さんのステージは印象に残っている。会場全体の一体感のようなものが凄まじかった。俺は掛け声がわからなかったから今日は見ているだけだったが、次もしライブに来れたら俺も掛け声をしてみたい。

 

 

「……まだ胸の高鳴りが収まらないな」

 

 

 そして俺はライブの余韻も抜けないまま帰宅して、風呂に入って飯を食って眠りについた。

 

 

 

 

 

 そして後日……

 

 

「菜々さん俺この前のライブめちゃくちゃ楽しかったです!」

「えっ!本当ですか〜! そう言っていただけると嬉しいですね〜」

 

 

 カフェでの仕事でまた一緒になった菜々さんに仕事後ライブの感想を伝えると、ニッコリと菜々さんは嬉しそうに笑う。

 

 

「俺ライブは初めてだったんですけど、初めてが菜々さんたちでよかったですよ!」

「そ、その言い方には語弊がありますが……楽しんでくれたならよかったです〜!」

「菜々さんの曲もすごかったですよ……会場が1つになってのウサミンコール!」

「ですよね〜 ナナも楽しいんですよ〜 ファンの皆さんには感謝の気持ちでいっぱいで〜」

 

 

 菜々さんって本当に人柄の良さが滲み出てる人だよなぁ……

 

 

「白石くんの初ライブ話を聞いているとなんだかナナも初めてのライブのことを思い出しますねぇ〜」シミジミ

「へぇ〜 聞いてみたいです」

「そうですね〜 確かあの日は〜」

 

 

 その後は菜々さんの思い出話を聞かせてもらった。

 なんか菜々さんは話しやすいんだよなぁ〜 オカン力が高いんだろうけど……これは菜々さんには言わないようにしておこう。

 

 

「でもナナは嬉しいです!白石くんがアイドルのこと好きになってくれて…!」

「そうですね……昨日ライブで聞いた曲以外も聞いてみたいです」

「ぜひぜひ! あ、ナナのソロ曲もCDショップで絶賛発売中なのでお買い得ですよ〜?」

「CDってそういえばあんまり買ったことないですねぇ、今はダウンロードしてる人が多いじゃないですか?」

「あぁ〜 ナナは逆にあんまりダウンロードとかには慣れてなくて…ナナが子どもの頃はそんなものは無かったので、新曲のCDが発売されるとみんなCDショップに……」

「な、菜々さん…ストップストップ。 世代が出ちゃってるから……」

「え、あ、あばばばばばば! こ、これはその違くて! ウサミン星では音楽をダウンロードする文化がなくって〜!」

 

 

 その後、いくつも自分で墓穴を掘りまくる菜々さんを落ち着かせるのはとても大変だった。

 

 菜々さんはこんな感じで割と危なっかしい人だけど、ステージに立った菜々さんは堂々としていてとてつもなく輝いていた…… それはもちろん他のアイドルも同じだ。

 

 初めてのライブの感想をまとめると、とても楽しかったのとアイドルはすごいということだ。俺はこれからもバイトを頑張ってお金を貯めて、またいつかライブに行きたいと心の中で考えていた。

 

 




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