346プロの雑用バイト君   作:焼肉定食

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皆様のおかげで評価のバーに色が灯りました〜 本当にありがとうございます。
これからも色んなアイドル出しながらのんびりと続けていきたいなと思っています。


12話 子どもの体力は無限大

 今俺は結城晴ちゃんという女の子を仕事場まで車で迎えに行っている。 その後はもうオフということなので家にそのまま送り届けて大丈夫とのことらしい。 因みに俺も今日はそれで上がりの予定だ。

 

 

「ちょっと予定の時間より早く着きそうだな」

 

 

 まぁ早めに着いても俺が待ってればいいだけなんだけどね。

 

 

 

 

「えーっと……◯◯スタジオ、ここだな」

 

 

 こんな風にアイドルを送迎するのも2回目だなぁ。 1回目は城ヶ崎さんと大槻さんの時だったけど……なんか随分と昔に感じる。

 

 そんなことを考えながら建物に入ると、カメラを構えた人とそのカメラに撮られる女の子がいる。

 

 

「いいよ〜 晴ちゃん!もっと上目遣いな感じで〜!」

「う、上目遣い!? そ、そんなの意識してやったことねーよ……」

 

 

 恐らくあの女の子が結城晴ちゃんだろう。

 

 ほー……メイド服の撮影かぁ、似合ってて可愛いな。 てか小さな子ども用のメイド服ってあるんだなぁ。

 

 

「いいねー晴ちゃん! こりゃとんでもない写真ができるぞ〜!」

「う〜、スカートはやっぱスースーすんなぁ……」

 

 

 そんな風に進んでいく撮影を10分ほど見学していると、カメラマンさんが大きな声で終了だと告げる。

 

 

「おっけー! 晴ちゃん、お疲れ様だったね!」

「ふぃ〜 やっぱりヒラヒラした服は慣れないぜ…」

「僕はもっとヒラヒラした衣装でも似合うと思うがね!」

「う……つ、次はカッコいいやつがいいんだけどなぁ……」

「はっはっは!それは君のプロデューサー次第だな……って、君は?」

「あ、俺……私は346から結城の送迎を任された者です」

「おー! そうかそうか、待たせて悪かったね! それじゃ晴ちゃん、また次もよろしく頼むよ!」

「今日はありがとうございました! それじゃ行こうぜ?」

「あぁ…うん。 それでは失礼します」

 

 

 またなー!と手を振るカメラマンさんに一礼をして俺と結城晴ちゃんは更衣室へと向かう。

 

 

「アンタが今日は車で送ってくれるのか?」

「そうだよ」

「じゃあ早く着替えて帰ろうぜ……この服は落ち着かねぇんだ……」

「似合ってて可愛いと思うけど?」

「か、可愛いとか言うんじゃねぇよ! とにかく今から着替えてくるからちょっと待っててくれ」

 

 

 待ての指示を出された俺は大人しく更衣室の前で着替えが完了するのを待つ。

 

 

「おまたせ、じゃあ行こうぜ」

「ん?あぁ…別に待ってないよ……」

「ん?何だよ」

「いや、さっきの服とは印象が違うなと思って……」

「言っておくけどこっちが本来のオレだからな! さっきみたいな服着んのは撮影の時だけだ!」

「わ、わかったから……じゃあ車に向かおうか」

 

 

 どうやらヒラヒラした服を着ることはあまり慣れていないようだ。

 

 

 

「よし、シートベルトはした?」

「おう、よろしく頼むぜ」

「了解」

 

 俺は安全の確認をして車を走らせる。

 

 

「ところでアンタ誰なんだ? 誰かのプロデューサーか?」

「ん? あぁ…俺はただのバイトだよ。まだ18歳の学生」

「な〜んだ、通りでスーツじゃなくて普通の服なわけだ。で、名前は?」

「白石幸輝、よろしくね」

「おう、よろしくな幸輝!オレは結城晴だ!」

「よろしく晴ちゃん」

「おい、ちゃん付けはよしてくれ……むず痒い」

「でもカメラマンさんは……」

「あ、あの人は仕事相手だからな……それに多分言っても聞かないタイプの人だ」

「なるほど、じゃあ……」

「晴でいいぜ」

「よろしく、晴」

 

 

 流石に子ども相手では名前呼びも恥ずかしくないからね。

 

 

「そういえば晴は今日もう家に帰っていいらしいんだけど……どうする?」

「なぁ◯◯公園ってところに行くことはできるか?」

「え、どうして?」

「今日はこの後サッカーをする予定なんだ!珍しく梨沙が相手してくれるって……あ、梨沙ってのはオレの友達でライバルなんだけど……」

 

 

 晴は余程サッカーのことが好きなのか、先ほどまでとは声のトーンが違う。

 

 

「そういや幸輝はサッカーやってねぇのか?」

「ん〜 体育の授業でやったぐらいかな」

「え〜 勿体ねぇな〜 背高そうだからヘディングとか上手そうだよな。何センチあるんだ?」

「この前測った時は178センチだったな〜」

「羨ましいぜ〜 オレもそんくらいあったらヘディングでバシバシ決めるんだけどなぁ」

「まだこれから伸びるよ。 お、それよりもうそろそろ公園に着くよ」

「あ〜 早くボール蹴りてぇ〜」

 

 

 めっちゃウズウズしてる…そんなにサッカーがやりたかったんだな。

 

 

「よし、着いたぞ」

「サンキュー! あれ?梨沙からメッセージ届いてた……はぁ〜!?」

「どうかしたの?」

「り、梨沙のヤロ〜 少し遅れるって……」

「あぁ……そういう連絡か」

「うぅ〜 アイツも忙しいのはわかってるからしょうがねぇことなんだけど……はぁ〜」

 

 

 めっちゃため息ついてる……余程早くサッカーがしたかったんだろう。 うーん……これじゃ少し可哀想だな。

 

 

「はぁ……しゃーねぇか。1人でリフティングでもして待ってるか……てな訳でありがとな幸輝、送ってくれて」

「ちょっと待って…よし、返事が来たぞ。………晴、俺がサッカーの相手するよ」

「いいのか!? やったぜ! って……バイトはいいのか?」

「元々俺も今日はこれで終わりの予定だったんだよ。 それに今千川さんに、車返すの少し遅れてもいいかって聞いたら大丈夫だって連絡も来たからね」

「マジかよ! じゃあ早く車を駐車場に止めてサッカーやろうぜ!」

「よし! じゃあ行こう!」

 

 

 俺はその後車を駐めて晴と一緒に広場へと向かう。 サッカーするのなんてかなり久しぶりだから少し心配だけど……

 

 

 

 

 

「おら!」

「おっ、コントロールいいね〜」

「当たり前だろ〜!ほらパス!」

「ほっ!」

 

 

 俺と晴は今、2人正面に立ってパスを出し合っている。

 

 

「こんな風にパス出すくらいしか出来ないけどこれでもいいの?」

「相手がいるのといないのとじゃ大違いだぜ…ほらっ!」

「おっと…本当に正確なパスだなぁ」

「ボールはほぼ毎日蹴ってるからな! ん?ちょっとタンマ! 梨沙からメッセージだ」

「なんて書いてあったの?」

「もう着くってよ! 今公園が見えてるって……あ!おーい梨沙ー!」

 

 

 晴が大きな声を出して手を振る方向には小さな子どもたちが………あれ、なんか多くない?梨沙って子以外にも何人かいるぞ。

 

 

「遅れちゃって悪かったわね……ってアンタ誰よ?」

「ん?あぁ俺は……って!その手に持ってるのはなに!? まさか防犯ブザーじゃないよね!?」

「いいから早く誰なのか説明しなさいよ」

「おいおい梨沙、こいつは別に不審者とかじゃないぜ。えーっと……あれ、なんだっけ?」

「ちょっと!バイトだよバイト!」

「あ、あぁ〜! そうだそうだ! こいつはウチの事務所でバイトしてる幸輝だ」

「バイトぉ……?」

「本当だからその防犯ブザーを閉まってくれないかな……ほら」

 

 

 俺がちひろさんに貰ったバイト用の社員証のようなものを見せると女の子もようやく納得してくれたようで……ようやく防犯ブザーをしまってくれる。

 

 防犯ブザーを突きつけられるってあんなにドキドキするんだな……

 

 

「……幸輝……久しぶり」クイクイ

「あ、雪美ちゃん。久しぶり」

 

 

 雪美ちゃんがクイクイと服を引っ張ってくる。うーん、出会った時のことを思い出すなぁ……

 

 

「なんだ、幸輝は雪美と知り合いだったのか?」

「まあね」

「一緒に……クレープ食べた……あーん……した……」

「アンタ不審者じゃなくてロリコンだったのね」

「そうそう俺不審者じゃなくて……ってロリコン!?」

「なによロリコン」

「ろ、ロリコンとかあんまり言わないでくれないかな?周りに聞かれたらどうするんだ……!」コソコソ

 

 

 急にロリコンとか言うからびっくりしたわ……よくそんな言葉知ってるなぁ。

 

 ていうか不審者はアウトでロリコンはセーフなの? 基準がよくわからない……

 

 それでこっちのウズウズしてる3人は……

 

 

「市原仁奈でごぜーます!よろしくですよ!」

「龍崎薫だよー!よろしくおねがいしまー!」

「横山千佳だよ!ラブリーチカって呼んでね!」

「よろしく、俺は白石幸輝っていうんだ」

 

 

 自己紹介をすると大きな声でよろしくお願いしまうと言う。 元気が有り余ってるみたいだな。

 

 

「おい、梨沙。なんで仁奈たちもいるんだ?」

「ここに来るって言ったらついてきちゃったのよ。 まぁ人数多い方がいいでしょ?」

「まぁそりゃそうだな」

 

 

「今日は幸輝おにーさんが遊んでくれやがるですか!?」グイグイ

「わーい!薫とも遊んで遊んでー!」グイグイ

「楽しみ〜♪ あとで魔女っ娘ごっこやろーね!」グイグイ

「ちょ、ちょっと待ってくれ……」

 

 

 ちびっ子3人が目から遊んで光線を放ちながら手を引っ張ってくる。

 

 

「ちょっとアンタ!私との自己紹介がまだ済んでないでしょ!」

「え、あぁ……みんな、一回ちょっと離れようか……?」

「ふん!ロリコンにはピッタリの光景ね!アタシは的場梨沙よ」

「いやだから俺はロリコンじゃ……はぁ……俺は白石幸輝、よろしく」

「言っておくけどアンタがロリコンだろうとアタシはアンタに興味なんかないんだからね!アタシはパパ以外のオトナには興味ないのよ!」

「いや俺別に何も言ってないんだけど……」

「おーい、自己紹介が済んだなら早くサッカーしようぜー」

「幸輝……ロリコン……ってなに?……」

 

 

 なんて言うか、子どもは元気でマイペースだ……

 

 

 

 

 その後はとにかく子どもたちの要望のままに遊びまくった。

 サッカーもしたし、鬼ごっこもしたし、隠れんぼもしたし、缶蹴りなんかもした。

 

 俺はこんなに本気で遊んだのは久しぶりだったからめちゃくちゃ疲れたのに、子どもたちはずっと走り回っている。

 

 

「か、薫ちゃん……そろそろ疲れたりしないの……?」ハァ...ハァ...

「まだまだ疲れてないよ! 幸輝さんはもう疲れちゃった……?」

「………ま、まだまだ俺もいけるに決まってるじゃないか!」

「わーい! じゃあまだまだ遊ぼうね!」

 

 

 嘘です……めちゃくちゃ疲れてます。 でも疲れたとは言えなかった……

 

 なんで子どもは遊ぶ体力がこんなにあるのだろうか。 例えば俺とこの子たちがマラソンをすれば俺が勝つだろうけど、こんな風に遊んでいる時は必ず子どもより大人の方が先に疲れ果てる。 不思議なもんだな……

 

 

 そんなことを考えながらも遊び続けて気づけば空がオレンジ色になっていた。

 

 

「じゃあみんなそろそろ帰ろうか」

 

 

 俺が帰ろうと提案するとみんなは元気よく「はーい!」と返事をする。 もっと遊びたいとか言われるかと思ってたけど聞き分けのいい子たちでよかった。

 

 

「よし、それじゃあ車でお家まで送るから行こうか」

「「「はーい!」」」

 

 

 元気よく返事をした子どもたちを車に乗せて家まで送り届けていく。 まずは仁奈ちゃん、そして千佳ちゃん薫ちゃんと送り届けた。

 

 3人とも車から降りる時に「今日は遊んでくれてありがとう!」ってお礼を言ってきて本当にいい子たちだなぁと思った…

 

 それで後は晴と雪美ちゃんと梨沙ちゃんなんだけど……

 

 

「雪美ちゃん、梨沙ちゃんまだ寝てる?」

「………ぐっすり…」

「こんなに爆睡してる梨沙は珍しいな〜」

「2人とも梨沙ちゃんの家の場所とかわかる?」

「………そういや細かい場所は知らねぇな」

「………私も」

「となると本人に聞かなくちゃいけない訳だけど……お、雪美ちゃん着いたよ」

「………ありがとう」

 

 

 そんなことを言ってる間に雪美ちゃんの家に到着する。

 

 

「…………」コンコン

「ん?」

 

 

 雪美ちゃんが外から窓をつついているので窓を下ろす。

 

 

「……今日は……楽しかった…ありがとう」ニコ

「それはよかった。また今度遊ぼうね」

「………うん」

 

 

 うーん……いい子だ。

 

 

 その後も車を走らせる。

 

 

「晴〜 そろそろ梨沙ちゃん起こしてくれないか? もう2人だけになっちゃったし」

「そうだな〜 おーい梨沙〜!起きろ〜」

「ん〜 むにゃむにゃ……」

「ダメだ!起きねぇ!」

「いや、もう少し頑張ってよ!」

「え〜 ていうか幸輝が起こせばいいじゃんかよ…あ、そこ左な」

「左ね……俺が起こしたらなんか絵面がヤバくない……?」

「なんで?」

「いやほら、起こすために体を揺らそうとしたら体に触れなくちゃいけないじゃん。なんかヤバくない?」

「別に大丈夫だろ……そんなこと気にしてると本当にロリコンみてぇだぞ」

「まじか」

「おう、ほら〜 起きろ梨沙」

「んぇ……」

「お、そろそろ起きそうだな。そんでそろそろオレの家にも着くぞ。 そこ曲がったらもう出てくる」

「まじか」

 

 

 とうとう晴の家にも着いてしまった……

 

 

「おーい梨沙、いい加減起きろって。オレもう降りんぞ〜」ベシベシ

「い、いたい……いったいわね! あれ?」

「お、やっと起きたか! そんじゃ〜な〜 ヨダレ拭いとけよ? 幸輝、今日はあんがとな」

「うん、またね」

「え? 何……?アタシ寝てたの?」

 

 状況を把握できていない梨沙ちゃんを置いて晴は自分の家の中に入っていく。

 

 そして車の中は俺と梨沙ちゃんだけが取り残された……

 

 

「あ、あれ? ちょっと晴! 雪美は?仁奈は?他のみんなは!?」

「もう家に帰ったけど……」

「ま、まさか……」

「……?」

「あ、アタシと2人きりになるために仕組んだんじゃ……」

「んなわけないでしょ!」

「あ、アタシをどこに連れて行くのよ! も、もしかしてアンタの家に連れ込まれて……」

「普通にキミの家に送るだけだから!」

 

 

 とんでもないことを言い出したなこの子は…… てかめちゃくちゃ睨まれてる。

 

 

「はぁ……まぁいいわ。 アタシはセクシーだからアンタみたいなロリコンが虜になっちゃうのは仕方のないことよね」

「だから俺はロリコンじゃ……はぁ…で、梨沙ちゃんの家はどっち?」

 

 

 その後は梨沙ちゃんに小言を言われつつも、自宅への道を教えてもらいながら車を走らせていく。

 

 

「でさ〜 アタシこの前ロケで馬にベロベロ顔舐められちゃってさ〜 あの馬は絶対にロリコンよ!」

「馬にロリコンとかあるの?」

「まぁアタシぐらいセクシーだと馬もメロメロね! アンタもセクシーな女の子好きでしょ」

「え……い、いやぁ……嫌いではないかな〜」

「はぁ〜」

「な、なに……?」

「まぁ男ってそういう生き物だしね……」

「うっ……」

 

 

 こればっかりは仕方のないことなんだ梨沙ちゃん。男ならセクシーな女の子に興味があるのは普通なんだ……

 

 

「そういえばアンタ雪美と仲良さそうだったわね」

「え、そうかな?」

「別に、珍しいなと思っただけよ……あの子が人に自分から話しかけてるのが。懐かれてんのね…」

「懐いて……くれてるのかな? まぁそうなら嬉しいけど」

「やっぱりロリコンね」

「いやだから……」

「あははっ! あ、そろそろアタシの家着くから」

「りょーかい」

 

 

 的場さんが「ここでいいわよ」と言った場所で停車してドアを開ける。

 

 

「ほら、ついたよ」

「わかってるわよ……ねぇ」

「ん?」

「今日は楽しかったわ。ありがとね……それじゃ」

「あ、うん……それじゃ」

 

 

 的場さんはドアを閉めて家の方角へと歩いていく。

 

 まさかお礼を言われるとは思ってなかったな……

 

 

「事務所に車返さなきゃ」

 

 

 急に一人ぼっちになった車内でそう呟いて車を走らせる。さっきまで車内は賑やかだっただけに少し寂しい。

 

 

「はぁ……明日は筋肉痛だなぁ」

 

 

 まぁでも……俺も楽しかったからいいか。

 




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