346プロの雑用バイト君 作:焼肉定食
今日の仕事はひたすらお掃除お掃除。 窓を拭いたりゴミを集めたり箒で掃いたり、やることはたくさんあるぞ。
「この部屋は人がいないなぁ…ちゃっちゃと終わらせよう」
まずはゴミ箱に入ってるゴミを回収して……
ガタンッ!!
「え……?」
な、何か大きな音がしたんだけど…… え?何これ怖い。 あっちの方から音がしたんだけど……
「………」キョロキョロ
いややっぱり何もないけどなぁ……物が落ちたりしたのか……? あ、あそこにペンが落ちてる。 でもまさかこんなペン一つであんな音は……
「………」
「………え?」
ペンを拾うために屈んだら机の下に人がいたんだけど… え、え…? いや本当にこれどういう状況なの?
「……こ、こんにちは」
「フヒ...こ、こんにちは……」
あ、返事してくれた。
「………」ジ-
「………」ジ-
いや思わず挨拶したけどどうしようかこれ。 流石にビックリして言葉が出てこない。
でもめっちゃ目合ってるしこのまま無視するのも何かおかしいような……
「えーっと……俺は白石幸輝です。ここでバイトをしてる者です」
「あ、バイト……わ、私は星輝子……あ、アイドルをやってるぞ…フヒ」
やっぱアイドルの子か。 なんとなくそんな気はしてたけど。
「えーっと……星さんは何でそんなとこに?」
「さんはいらないぞ……ここが落ち着くからな、日陰はジメジメしてて…好きなんだ…」
「じゃあ輝子ちゃんでいいかな…?」
「な、名前にちゃん付けだと……そ、そんなのまるで…まるで……リア充みたいじゃねぇかぁ!! ヒャッハーー!!!」
「うおっ!?」
め、めちゃくちゃ豹変したんですけどこの子! え、何この変わりようは…… めちゃくちゃ激しい子になってるんだけど。
「ふぅ……す、すまない…取り乱しちゃって…フヒヒ」
「な、なんかすごいね……えーっと」
「さ、さっきので別に構わないぞ……」
「そ、そう? じゃあ輝子ちゃん、机の下を掃除するから一旦出て……それは…キノコ?」
「うん……私のトモダチだ……」
机の下ですごいキノコ育ててるんだけど……そしてそのキノコは友達。 個性ある346のアイドルの中でも相当個性的な部類だなこの子は。
「し、白石さんは……キノコ好き…か?」
「え? うんまぁ……普通に好きだよ。 美味しいし」
「じゃ、じゃあ仲良くしてやって…くれ…フヒ」
「それはいいけど、俺普通にキノコ食べちゃうよ?」
「あ、それは……別にいいんだ…。 美味しいからな…キノコくんは…」
いいのか……トモダチではあるけど別に食べること自体は嫌じゃないんだな。
「っと……輝子ちゃん、俺今仕事中だから掃除に戻らなきゃ」
「あ……うん。 お話してくれ…ありがとう……あ、小梅ちゃん」
「え? 小梅ちゃん?」
輝子ちゃんが俺の後ろに視線を向けてるから俺も振り返ってみると……
「………」ジ-
「うわっ!?」
金髪の髪の毛で片目が隠れている小さな女の子が俺のことをじーっと見つめて………いや、これ俺じゃなくて俺の頭の上を見てる…?
「あ、あの〜」
「その子……すごい怒ってる……」
「そ、その子って誰…? 俺の頭の上に誰か……」ソ-
「目…合わせない方がいいよ…」
「え……」ピタッ
え?何? なんなの? 怖いんだけどこの子は何を言ってるの…? もしかしてこの子には俺に見えてない何かが見えてるとでも…? お化け的なやつ…? 何それ怖いんですけど。
「この人に憑いててもあなたの目的は達成できないよ…… ほら、離れてね……」
今普通に憑いてるとか言ったよね? 完全に除霊的なことが始まってるんですけど……俺の頭の上で。
「もういいよ……」
「あ、ありがとう…? それで俺の頭の上には何が……」
「聞きたい?」
「あ、やっぱいいや…… えーっと、俺は白石幸輝っていうんだけど君は?」
「白坂…小梅です……あ、輝子ちゃんもいたんだね」
「フヒ...ずっとここにいたぞ、小梅ちゃん」
もそもそと輝子ちゃんが机の下から出てきて小梅ちゃんと話し始めたけど、会話の雰囲気からして知り合いみたいだな。
「小梅ちゃん……またゾンビ映画借りたのか…?」
「うん。面白そうなのがあったから…輝子ちゃんも見る…?」
「いいぞ……フヒ」
「白石さんは……ゾンビ好き…?」
「え、俺? うーん……ゾンビが出てくるゲームとかならしたことあるけど」
「可愛いよね……ゾンビ。えへへ……」
すごいな。こんな小さい子なのにゾンビが怖いどころか可愛いなんて……
キノコをトモダチだと言う子とゾンビが大好きな子。 個性が強いなぁ。
「あれ? 小梅ちゃんこの映画……15歳以上じゃないと見ちゃダメなやつじゃ……」
「……えへへ」
イタズラが見つかったように微笑む小梅ちゃん。 可愛い……
ガチャ
「カワイイボクが来ましたよ!!」
「あ、幸子ちゃん…」
「おはよう、幸子ちゃん…フヒ」
「おはよございますお二人共!今日もお元気そうで何よりですね」
輝子ちゃんと小梅ちゃんとは対照的なうるさ……元気な女の子が入ってきたな。
「おや、あなたは一体……」
「あ、俺はここのバイトの白石幸輝で……」
「もしかしてボクのファンの方ですか!?」
「え……?」
「ンモー、ボクの可愛さに引き寄せられてしまったんですねー! 何て罪な可愛さなんでしょうボクは……」
「お、おーい……」
「でも仕方ないですよね!カワイイボクがいけないんですよ! はぁ……可愛すぎるのも罪ですねぇ」ヤレヤレ
これはまたすごい個性的な……
「幸子ちゃん……こういうとこあるけど、すごくいい子だから……」
「あぁいや、別に怒ったりなんてしてないから大丈夫だよ」
小梅ちゃんがフォローを入れる。この3人は仲良しなんだろうな。
「ボクの名前は輿水幸子です! よろしくお願いしますね白石さん」
「俺の名前ちゃんと聞いてたんだ…」
「フフーン! こんなにカワイイボクに名前を覚えてもらえるなんて幸せ者ですね〜! もっと嬉しそうにしてください!」
「え…… わ、わーい…嬉しいなぁ〜」
「フフーン!」
すごいドヤ顔。 いやまぁカワイイことは確かなんだけどすごい自信家だな。
「ところで何の話をしていたんですか?」
「このDVDを見ようって……」
「幸子ちゃんも一緒に見るか…?フヒ」
「どれどれ……フギャー! こ、これって怖いやつじゃないですかぁ!」
フギャーて……リアクションいいなぁ。
「幸子ちゃんは怖い系苦手なのかな?」
「う……と、得意ではないですけど」
「幸子ちゃん……リアクションがいいから、私一緒に見るの好きだよ……えへへ」
「小梅ちゃん、そういうとこあるよな……フヒ」
小梅ちゃんは可愛い顔をして意外とSッ気があるのか。
「でも怖がるボクはカワイイから良しとしましょう」
「無敵のメンタリティだな」
「フフーン! ……ところで白石さんはなぜ事務所にいるんですか?」
「俺ここでバイトしてるんだ。社員さんとかじゃないからね? 俺まだ大学生だから」
「だ、大学生……だと……?」
「……輝子ちゃん?」
輝子ちゃんが急に下を向いてプルプルと震え出したんだけど……なにこれどういうこと?
「だ、大学生なんて……」プルプル
「しょ、輝子さん? 一体どうしちゃったんですか?」
「リア充の代表格みたいな奴らじゃねぇかァァァァ! ヒャッハーッッッッッ!!!」
「うぉ!」
「輝子さん落ち着いてください!」
「輝子ちゃん……スイッチ入っちゃった…」
「いやこれスイッチ入ったとかいうレベルなの!? 別人みたいになってるけど!」
「ゴォォォトゥゥゥヘェェェルゥッッ!! イエアアアアア!!」
いやいやいや……豹変しすぎでしょうよ。
「白石さんが刺激したんですから落ち着かせてください!」
「えぇ!? 俺が悪いの!?」
「えへへ……」
無茶な注文を投げかける幸子ちゃんに、何故か楽しそうな小梅ちゃん。 そして慌てる俺に叫ぶ輝子ちゃん……なんだこれ。
「えーっと…輝子ちゃん、俺別にリア充とかじゃないよ」
「な、なんだと……」
「俺……彼女とかいたことないし……」
「あっ……」
自分で言っておいてなんだけどめちゃくちゃ情け無ぇ…… 泣きそう。
「彼女……いたことないんだ…」
「うっ……」
「ま、まぁ気にすることないですよ! きっとその内できますよ! カワイイボクが慰めてあげてるんですからそう落ち込まないでください!」
何この雰囲気……年齢聞いてないけど恐らく年下であろう女の子にめっちゃ慰められてる…
めっちゃ恥ずかしい……
「ご、ごめん……少し…取り乱したみたいだ…」
「あ、戻った! ほらほら輝子ちゃん戻ったからもうその話はいいだろ2人とも!」
「おや、本当ですね! ンモー 急に大きな声を出すからビックリしたんですよ?輝子さん。」
「……話、そらしたね…」
さっきから小梅ちゃんがすごいチクチク俺の精神を攻撃してくるんだけど……やっぱSだよこの子。
「幸子ちゃん…輝子ちゃん、 これ早く見ようよ…」
「そ、そうだな……じゃあそろそろ行こうか…フヒ」
「うぇ〜 や、やっぱり見るんですかぁ〜」
「白石さんも……一緒に見る…?」
「あ〜 俺は無理だな。また今度ね」
上目遣いで話しかけてくる小梅ちゃんのお誘いを申し訳ないけど断る。
許しておくれ小梅ちゃん……
「そっか……じゃあまた今度ね…?」
「うん、見かけたらまた誘ってよ」
「えへへ……うん」
「じゃあ…行こうか? 2人とも……」
「小梅さん!見ている途中で驚かせてくるのは無しですからね!」
「…………」
「何か言ってくださいよぉ!」
楽しそうに会話をしながら3人は部屋から出ていった。
全員趣味も性格もバラバラだけど仲良しなのが伝わってきた……いい友情だ。
「ふふっ……楽しそうでしたね白石くん♪」
「せ、千川さんっ!? す、すいません! 決してサボっていた訳ではなくて!」
「いいんですよ全然。 3人とも楽しそうでしたし……むしろこれからも仲良くしてあげてください♪」
「そ、それはもちろん」
「それじゃあ私は失礼しますね? 1人の時はしっかりお願いしますよ」
「は、はい!」
ガチャ
「び、ビックリしたぁ……」
バイト中にくっちゃべってたこと怒られるかと思った……
それにしても個性の爆弾みたいな子が多いなぁここは。 面白いけど
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