346プロの雑用バイト君   作:焼肉定食

23 / 77
あけましておめでとうございます。


23話 甘いものは程々に

 

「お礼をさせてください」

「……え?」

 

 

 ある日、仕事が終わって事務所の中のベンチに座ってスマホをいじっていた俺のもとへとありすちゃんが訪ねてきてそんなことを言い出した。

 

 

「お礼って……な、何で?」

「……先日の海辺での撮影時に…白石さんにはお世話になりましたから。そのお礼をまだしていません」

 

 

 あー……ありすちゃんが迷子になった時のやつか。 別に気にしなくていいのに。

 

 

「そんなお礼なんて……」

「い、いえ! こういうことはしっかりとするべきです! ね、文香さん!」

「……あ、はい…そうですね……」

 

 

 ありすちゃんの横にいる鷺沢さんが急に話を振られて慌てて答える。

 

 急に自分に話が振られて焦る気持ち……わかるよ鷺沢さん。

 

 

「その……私のお礼…受けてもらえませんか…?」

「ありすちゃん……」

 

 

 ……ありすちゃんがここまで言ってくれているのに断る方が失礼だろう。

 ここは素直にありすちゃんからのお礼を受けるとしよう。

 

 

「わかったよ。ありすちゃんのお礼受け取らせてもらうよ」

「ほ、本当ですか!」

「もちろん!」

「や、やった……! あ、こほん……それでお礼なんですけど」

「うん?」

 

 

「橘特製のいちごパスタを白石さんにご馳走したいと考えています!」フンス!

 

 

 

 いちご……パスタ…? なにそれ……?

 

 

 

「えーっと……ありすちゃんが手料理をご馳走してくれるってことなのかな…?」

「はい! 腕によりをかけて作らさせていただきます!」

 

 

 いちごパスタかぁ……ちょっと怖いけどありすちゃんがせっかく作ってくれるなら……ん?

 

 

「………」ジ-

 

 

 鷺沢さんがやめておけ……みたいな顔をしている。

 

 ……まじ?

 

 

「い、いやぁ……でもやっぱりいちごパスタは遠慮しておこうかな……」

「な、なぜです!?」

「え、えーっと……あ〜、そ、そう! 実はいちごパスタ食べさせてもらうよりしてほしいことがあってさ!」

「それは何ですか?」

 

 

 や、やばい……咄嗟にそんなこと言ったけどして欲しいこととか何にもないんだけどなぁ。

 

 

「そ、そうだな……あ! じゃあ今度一緒に遊びにでもいこうか!」

「え? それは私から白石さんへのお礼にならないのでは?」

「な、なるなる! 俺のリフレッシュにもなるし、何より俺がありすちゃんと遊びたいんだよ!」

「……!し、仕方ありませんね そういうことなら…是非ご一緒しましょう……」

 

 

 よ、よし……これでいちごパスタを回避できたぞ。

 

 

「それでは日程のご相談を……私も仕事や学校など都合がありますので」

「うん。 あ、鷺沢さんも一緒にどうかな?」

「わ、私もですか…?」

「もちろんです、文香さんなら大歓迎ですよ」

「で、では……ご一緒させていただきます…」

 

 

 そんなこんなでありすちゃんと鷺沢さんと今度お出かけすることになった。

 

 いちごパスタはまたの機会にということで……ごめんね、ありすちゃん。

 

 

「それで、どこに行きましょうか」

「どこに……」

 

 

 ん? 女の子と遊びに行くのってどこに行けばいいんだ……?

 俺そういうのしたことないぞ。

 

 ありすちゃんは小学生だから公園とか……いやでも大人っぽい子だし……

 

 

「白石さん、何かいい提案はありませんか?」

「え……いや〜 その……」

「恥ずかしながら私は男性とお出かけをして遊びに行ったことがないので……」

「…私もです……」

「いや……実は俺も…女の子と遊びに行く計画とか……立てたことないって……いうか…」

 

 

 ………………

 

 

「ど、どうするんですか…!?」

「……困りましたね…」

「それぞれの好きな物から決める…? 例えば鷺沢さんは本が好きだから本屋に行くとか…」

「本屋で何をするんですか…?」

「本を読む……」

 

 

 

「白石さん、真面目に考えてください」

「はい……」

 

 

 12歳の女の子に怒られてしまった。

 

 

「というか白石さんへのお礼なので白石さんの行きたいとこに行くべきです」

「……そうですね…」

「何か行きたい場所や食べたい物はないんですか?」

「そうだなぁ……」

 

 

 参った……何も思い浮かばない。 食いたいもんは焼肉とか寿司とかあるけど今回はそういうことじゃないだろうし……

 

 かと言って行きたい場所って言われてもなぁ……俺って東京は詳しくないし。

 

 

 あ、そうだ……!

 

 

「い、いちごの美味しいスイーツとか食べに行きたいかな」

「えっ!? し、白石さんもいちごがお好きなんですか!?」

「う、うん! 超好きだよ…! でも最近あんまり食べてなくってね……ありすちゃんいいお店とか知らないかな〜って」

「ま、任せてください! 今タブレットでサーチしますので!」フンフン!

 

 

 普段はクールな子だけど、ああいう時は年相応で可愛いよな。

 

 

「…お優しいんですね……」

「そ、そういうんじゃないですよ……本当に行きたい場所とかが思い浮かばなくって」

「……そうですか、ふふ…」

 

 

「白石さん!文香さん!これを見てください!」

「いいとこ見つかった?」

「はい!駅前にできた新しいデパートにあるスイーツ店で美味しいと評判のいちごのスイーツがあるらしいです!」キラキラ

「へーそっか……じゃあそこに行こうか!」

「はい!」

「…そうですね……」

 

 

 いちごにウキウキなありすちゃん。 あんなに楽しみにしている様子を見てるとこっちまで楽しみになってくるな。

 

 

「では日程のお話なんですが………」

 

 

 

 その後俺たちは3人で集まれる日を探して、その日に駅前で集合することに決めた。

 

 2人のお仕事やレッスンもそうだけど、俺のバイトも多すぎて日程を合わせるのはすっごく大変だった……

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

「ちょっと早く着きすぎたなぁ……」

 

 

 ありすちゃんたちと出かける当日、俺は集合場所の駅前にて1人寂しく2人を待っている。

 

 2人は今日の午前中に行われるレッスンを終えてそのままここに来るとのことだ。

 

 

「そろそろ時間だけど……お、きたきた」

 

「お待たせしました」

「……おはようございます…」

「いや、全然待ってないよ。俺も今来たところだから」

 

 

 人混みの中からありすちゃんと鷺沢さんが姿を現す。 これで3人無事揃って……

 

 

「いや〜 ここには数分前についてたんだけど白石くん見つけるのに手間とっちゃってね〜」

「なんでいるの…? 塩見さん……」

 

 

 現れたのはありすちゃんと鷺沢さんの2人だけではなかった。

 

 

「なにさ〜 しゅーこちゃんが来ちゃいけないって言うの〜?」

「い、いや……そんなこと言ってないけど!」

「実は……今日は周子さんたちと一緒のレッスンだったんです。 周子さんとは同じユニットに所属しているので」

「ふ、ふーん……あっちの2人も同じユニットの人…?」

「はい……」

 

 

 一緒にいるのは塩見さんだけじゃなくてあと2人いる。

 綺麗なお姉さんと2色の髪の毛の女の子だ。

 

 

「はじめまして、速水奏よ。あなたのことは文香たちから聞いたわ。よろしくね白石さん」

「よ、よろしくお願いします……」

「ふふっ…そんなに緊張しないで?」

「い、いえっ…! き、緊張している訳では……」

 

 

 速水さんはとっても大人っぽくて……あとすごく綺麗な人だ。 なんだか目を合わせることですら緊張する。

 

 

 

「ボクは二宮飛鳥。 スキに呼んでくれ……よろしく白石さん」

「え、あぁ……うん、よろしくね。えーっと……飛鳥ちゃん」

「フッ……ちゃんと来たか。 参ったな、あまりそんな風に呼ばれたことはないものでね……」

「えー? 割と色んな人が飛鳥ちゃんって呼んでな〜い?」

「……周子さん、急に会話に入ってこないでくれ…」

 

 

 もう1人の飛鳥ちゃんは少し小難しい話し方をする子だ。 まぁでも雰囲気的には……中学生くらいに見えるからあんまり緊張はしない。

 

 

 

「今日レッスン後にスイーツを食べに行くことが知られてしまい……着いていくと言って聞かないものですから……主に周子さんが」

「いや〜 アタシもスイーツ食べたくなっちゃってね〜ん」

「ごめんなさいね、勝手に着いてきてしまって……まずかったのなら私たちはここで帰るけど…」

「い、いえいえ…! 別にまずいなんてことはないですよ…! むしろ速水さんたちはいいんですか…? 俺がいても……」

「もちろんよ」

「後からやってきたボクらが先にありすたちと約束をしていたキミを追い出すなんて……ボクらはそこまで鬼畜ではないさ」

「あの…白石さん……大丈夫でしょうか?」

 

 

 ありすちゃんが心配そうな目で俺を見つめている。 急にこんなことになって申し訳ないと思っているのだろうか……

 

 

「全然大丈夫だよ。 それじゃあ6人で行きましょうか」

「あ、ありがとうございます!」

「じゃあ早速スイーツを食べに行こっか〜」

 

 

 塩見さんの掛け声に全員で返事をする。

 

 俺、ありすちゃん、鷺沢さん、塩見さん、速水さん、飛鳥ちゃん……かなりの大所帯になったけどそれはそれで楽しいだろうな……ってあれ?

 

 

「鷺沢さんいなくない…?」

「いえ、文香さんも一緒に来ていますけど……ほ、本当にいませんね…」

「まるで神隠しじゃないか」

 

 

 全員辺りをキョロキョロと見回すが鷺沢さんの姿は近くにない。

 

 

「あ! あそこにいるよ!」

 

 

 

 全員で塩見さんが指差した方角へ視線を向けると、人混みに流されてアワアワと狼狽えている鷺沢さんがそこにはいた。

 

 

「ふ、文香さん!?」

「あの子……また人混みに流されてるわ…」

「よ、よくあるんですか…!?」

「えぇ……文香はちょっと抜けているとこあるから…」

「文香ちゃんのそういうトコ、アタシは結構好きだよ」

「……そんな話より助けに行かなくていいのかい?」

「そうですよ! 文香さん!今助けに行きます!」

 

 

 ありすちゃんの声にハッとした俺たちは、全員で人混みに流されて行く鷺沢さんのもとへ向かい、何とか鷺沢さんの救助に成功した。

 

 

「…も、申し訳ありません……一度流されていると気づいた時には……すでに遅く…」ハァ...ハァ..

「流されてく文香ちゃん可愛かったわ〜」

「フッ…珍しく周子さんと同意見だよ」

 

 

 確かに、失礼かもしれないけどさっきの鷺沢さんは可愛かった……アワアワしてる感じが。

 

 

「文香、今日はあなたが最年長なんだからしっかりしないとダメよ?」

 

 

「えっ? 速水さんじゃないんですか?」

 

 

 

 あ、やべ……思わず声に出してしまった。え、だって鷺沢さんは19歳で……それで最年長ってことは……え、速水さん未成年なの?

 

 

「あ〜あ……奏ちゃんが気にしてることを…白石くんこれはあかんで〜」

「えっ!?」

「……私、そんなに老けて見えるかしら……」

「あ、いやちがっ…! そ、そう言うことじゃなくって……えーっと、速水さんすごく綺麗だったから大人っぽく見えて……でも決して老けてるとかじゃなくて…!」

「なんてね♪」

「えっ……」

「ふふっ、気にしないでちょうだい。そう言われるのは慣れっこなの」

 

 

 だ、騙された…?

 

 

 

「な、なんだ……焦った…」

「あはは〜 白石くんやっぱいい反応するわ〜」

「ていうか塩見さんが変なこと言うから……」

「え〜 アタシが悪いん…? しゅーこちゃん傷ついちゃった……ぐすんぐすん」

「……流石にそんなんじゃ騙されないよ?」

「ちぇ〜」

 

 

 そう言って塩見さんはペロッと舌を出す。相変わらず掴みどころのないというか油断のできない人だ。

 

 

 デパートへと向かいながらも会話は続く。

 

 

 

「ほら、奏ちゃん。白石くんに答え合わせしてあげて」

「そうね、私実は14歳なのよ」

「じゅっ! じゅうよん!?」

 

 

 14でそのスタイルにこの大人っぽい雰囲気なの!? ……い、いやいや…これもまた俺を騙そうとしているだけに違いない。

 

 

「流石にそれは……嘘ですよね…?」

「あら、どうしてそう思うの…?」

「えっ……」

「ねぇ…どうして私が14歳じゃないと思うの…?」ジッ...

 

 

 ど、どうしてって、どっからどう見ても14歳ではないでしょ……

 

 

 

「白石くんスケベやわ〜」

「えっ!?」

「えぇ、どこを見ていたかなんてバレバレよ?」フフッ

「女の子は視線に敏感やからね〜」

「さっきから3人で何の話をしているんですか?」

「あぁ、ありすちゃん。えっとな〜? 白石くんが奏ちゃんのおっp」

「ちょ、ちょっと待ったぁぁ! ありすちゃんに何てこと言おうとしてるのさ!」

「でも見てたんやろ?」

「……ありすちゃん、鷺沢さんと飛鳥ちゃんとお話ししておいで」

「は、はい」

 

 

 ありすちゃんの背中を押して前を歩く鷺沢さんと飛鳥ちゃんの下へと合流させる。

 

 

 

「そ、それで…?速水さんは本当は何歳なんですか?」

「話を無理やり軌道修正したな〜」

「さ、さぁ〜? 何のことやら……」

「本当は17よ」

「……それはマジなやつですか?」

「マジよ。マジで17歳」

 

 

 17歳かぁ……いや普通に俺より年下じゃんか。 正直20代だと思ってた……

 

 

「ちなみにアタシは18歳〜」

「え、同い年だ」

 

 

 塩見さんの方が速水さんより年上なのか……

 

 

「今アタシの方が年上なんだ〜とか考えてるでしょ」

「ま、まさか……」

「へ〜」ニヤニヤ

「ふふっ……白石さんってとってもチャーミングな人ね」

 

「皆さん、デパートに到着しましたよ」

 

 

 ありすちゃんにそう言われて前を向くと超デカい建物が……

 

 

「でっか……流石は都会のデパート……」

「さぁ、征こうか」

 

 

 俺たちは目的を果たすため巨大な建物の中へと進んでいった。

 

 

 

 

 

「ここです!」

「おぉ〜」

「…素敵な……お店ですね……」

 

 

 目的のお店はとても綺麗な内装で、俺1人では絶対に来ないようなオシャレな店だ……

 

 

「じゃあ行きましょうか」

「はいっ!」フンス

 

 

 

 

 店に入り席に着いた俺たちは各々メニューに目を通して何を注文するか悩んでいる。 さっきからありすちゃんは目がキラッキラと輝いている。

 

 それを見るだけで今日は来れてよかったと思う……けど俺は少しだけ居心地の悪さを感じていた。

 

 

 

「………」ソワソワ

「どしたん?白石くん、さっきからソワソワと落ち着きのない……」

「いやだって……俺以外お客は全員女性だから……少し居づらいというか」

「フッ……周りの視線なんて気にすることはないさ。自分の赴くままに行動すればいい」

「それはそうだけどさぁ……」

 

 

 周りに視線を配ると、若くてオシャレな女性が席に着いてスイーツを堪能している。

 俺以外の5人は完全に溶け込んでいるけど俺は完全に場違いな気がする。

 

 

「ぐぬぬぬ……」

「…どうかしましたか?……ありすちゃん…」

「ふ、2つまでメニューを絞ったんですけど……この2つは絞りきれませんっ…!」

「何と何で迷っているのかしら?」

「このいちごのパフェといちごのショートケーキです……どうしても決められません…」グヌヌ

 

 

 

「普段はクールなありすちゃんがいちご関係の時は熱くなるの可愛いな〜」ニヤニヤ

「周子さん、ありすはまだ12歳だ。そういう一面があるのは当然のことだよ」

「ならさ、俺がショートケーキを頼むからありすちゃんはパフェを頼みなよ。それで半分こすれば両方食べられるでしょ?」

「い、いいんですか…?」

「うん、ちょうど俺も何にするか決められなかったところだったんだ」

「わかりました! ここは白石さんの提案に乗らせていただきます…!」

 

 

 俺たちは店員さんを呼んで注文をする。 あとはメニューが運ばれてくるのを待つのみだ。

 

 

 

「でもアタシもよくあるから気持ちはわかるな〜 メニュー決められないの」

「俺もわかる……今日はいつもと違うモン食べようと思っててもなんだかんだいつもと同じやつ頼んじゃったりするよね」

「うわ〜 それわかるわ〜 アタシまさにそのタイプ」

「それがヒトのサガというものさ……」

「飛鳥ちゃんもか〜」

「……白石さん」

「ん?」

 

 

 飛鳥ちゃんは俺の目を見てゆっくりと語り出す。

 

 

「どうやらキミは子どもを名前でちゃん付け、自分と近い年齢かそれ以上の人を名字にさん付けで呼ぶみたいだね…」

「えっ…? あぁ……確かにそうかも…」

「だとしたら心外だな。キミはボクのことを飛鳥ちゃんと呼んだね。ボクはありすと同じ分類分けかい?」

「え?いや〜無意識にそう呼び分けてただけだから……」

「だとしたら尚のことタチが悪いじゃないか。キミからしたらボクは無意識のうちに子どもの方にカテゴライズされたことになる」

「えーっと……つまり…」

「ちゃん付けやめて〜ってことじゃない?」

「……そうなの?」

「さぁ…どうだろうね」

「じゃあ……飛鳥…?」

「まぁ…好きに呼んでくれ……フッ…」

 

 

 そう言って飛鳥ちゃ……飛鳥は満足げに微笑んだ。

 

 そういえば前に晴にも呼び捨てで呼んでくれって言われたなぁ……懐かしい。

 

 

「おまたせいたしました」

「おぉ〜 美味しそう〜♪」

「わぁ〜」キラキラ

「ふふっ……よかったですね…ありすちゃん」

 

 

 テーブルに届いた色とりどりのスイーツを見てありすちゃんは目を輝かせる。

 でも目を輝かせてるのはありすちゃんだけではなくて……他の4人も口角が自然と上がっている。

 

 

「じゃあ食べましょうか」

「はいっ!」

 

 

 俺たちはいただきますの挨拶を済ませると、それぞれ目の前にあるスイーツへとスプーンを伸ばす。

 

 

「……甘くて…美味しいです…」

「えぇ、これは美味しいわね……ふふっ」

「あぁ……自然と表情が緩んでしまうよ」

「飛鳥ちゃんニッコニコやな〜」

「美味しい物を食べて美味しいと思うのは自然の摂理さ。わざわざ隠すこともないだろう?」

「やはりいちごは美味しいです……この味はいちごパスタの参考になります」フンフン

 

 

 女性勢はスイーツを口に含んだ途端にキラキラとした顔で感想を語り出した。

 やっぱり女の子×スイーツの組み合わせは鉄板なんだなって。

 

 そんなことを考えながら俺も目の前にあるイチゴのショートケーキを2つに切り分けて片方を口に運ぶ。

 

 

 うーん……たしかに美味しいな。 いちごはジューシーで甘くてスポンジはフワッフワだ。

 

 

「あの、白石さん……どうですか?」

「うん? あぁ、すっごく美味しいよ!」

「そ、それなら……よかったです……えへへ」

「あ、そうだ。はいありすちゃん。ショートケーキの半分、口をつける前に2つに分けておいたから安心して」

「あっ……! す、すみません…私は口をつけたスプーンで食べてしまいました……」

「いいよいいよ、俺全然気にしないから!」

「わ、私は気にしますよっ…! か、間接……じゃないですか…///」ボソッ...

 

 

 ありすちゃんのパフェが入った器を受け取ろうとしたら、顔を真っ赤にしたありすちゃんに防がれた……

 

 

「そう…? じゃあパフェの残りもありすちゃんが食べちゃっていいよ」

「えっ…あ、いや……それは…ダメです。……わ、わかりました…///どうぞ…!」ズイッ

「えっ、いいの?」

「だ、大丈夫です…!私はもう覚悟を決めたので…!」

 

 

 ありすちゃんからパフェの器を押しつけられる。 顔は真っ赤だけど……ありすちゃん本人がいいって言ってるからいいんだよね…?

 

 

「じゃあ頂くよ」

「は、はい……どうぞ…」

 

 

 俺はパフェの器にスプーンを刺して中身を掬い取る。

 

 

「………」ジ-

 

 

 うっ……めっちゃ見られてる…食べづらい……けど。

 

 

「……」モグモグ

 

 

 うん、さっぱりとした生クリームに、味の強いほどよく酸味の効いた苺のソースがたっぷり絡んでいて……

 

 

 

「美味しい!」

「そ、そうですか……なら、よかったです…」

「うん、ありすちゃんもショートケーキ食べてよ。それもすごく美味しいからさ」

「も、もちろん…いただきます……」

 

 

 ありすちゃんは俺から受け取ったケーキをもそもそと食べる。 一方の俺もパフェの残りをスプーンで掬い取って食べ進めて完食した。

 

 

「ふぅ…ごちそうさまでした」

「白石くんさ」ボソボソ

「…? どうかした塩見さん…?」

「もうちょっと女心というかデリカシーを知らなきゃあかんね〜 ありすちゃんも子どもである前に1人のレディーなんだからさ…」ボソボソ

「え、やっぱり先に分けといたとはいえ俺の食いかけとか嫌だったかな……」

「そういことじゃないけど……まぁええか」

「……?」

 

 

 俺はその時塩見さんが何を伝えたかったらのかイマイチよくわからなかった……

 

 

〜〜〜〜

 

 

「「「ごちそうさまでしたー!」」」

 

 

 スイーツを食べ終えた俺たちは店をあとにして集合場所の駅前まで戻った。

 

 

 

「今日は急に押しかけてしまってごめんなさいね…」

「いえいえ、俺も人数が多くて楽しかったですから」

「そう言ってもらえると嬉しいわ。今日はありがとうね白石さん」

「キミとはまたいつか会う気がするよ……」

「じゃ、アタシらはこれで〜 じゃあね〜」

 

 

 速水さんと飛鳥と塩見さんはそう言ってその場から去っていった。

 

 

「じゃあ俺たちも解散しましょうか」

「……そうですね…今日はお招きいただき…ありがとうございました」

「あの……白石さん」

「あ、そうだ……ありすちゃん」

「え、はい?」

「今日はありすちゃんのお陰で美味しいスイーツが食べれたよ。本当にありがとうね」

「……ふふっ、またいつでも一緒に行きましょう。もちろん文香さんや皆さんも一緒にです…!」

「…はい……」ニコッ

「うん、また行こうか!」

 

 

 またいつか出かける約束をして俺たちは解散した。

 

 今日はとてもいい1日だった……

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。