346プロの雑用バイト君   作:焼肉定食

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 ハーメルンの機能に詳しくなく、皆様がくださった誤字報告というのを見逃していました。

 意図していなかったとはいえ報告を無視してしまう形になったことを謝罪させてください。すでに誤字報告を頂いた部分は修正をさせていただきました。

 誤字報告をくださったユーザーの皆様、ありがとうございました。






28話 自由人も程々に

 

 

「た、大変です! 一ノ瀬さんが失踪しちゃいました!」

「えぇっ!?」

 

 

 撮影現場に大きな声が響き渡る。

 

 なぜこんなことになったのか……話は数時間前にまで遡る。

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 

 

 今日はとあるアイドル3人の撮影があるということで、撮影場所への送迎をすることが俺の仕事だ。

 

 俺は現在事務所の駐車場で、今日撮影に行くというアイドルを待っている。

 

 

「えーっと、撮影場所までの道のりは……これでオッケーだな」

「やっほー、おまたせ〜★」

「城ヶ崎さん、久しぶり」

「久しぶり〜、白石くん」

 

 

 スマホで撮影場所までの道のりを確認していると、後ろからハキハキとした声の持ち主が俺の肩を叩いた。

 振り向くとそこには、派手な髪の毛と派手な服装をしたカリスマギャルの城ヶ崎美嘉さん。

 

 相変わらず目のやりどころに困ると言いますか……刺激の強い格好をしているなぁ。

 

 

 

「今日はよろしくね〜★ 車で送迎してくれるなんて本当に助かっちゃうよ」

「いやいや、それが俺の仕事だからね。これでお金を貰ってるんだからしっかりやらないと」

「お、いい心がけじゃん!」

「はっはっは〜! 俺の中にある仕事に対する真摯な気持ちを見抜くなんて城ヶ崎さんもなかなか……」

「あ、そういえばさ〜?」

「って……聞いてないし」ガクッ

 

 

「ん?あ、ごめん聞いてなかった〜」なんて軽く流して城ヶ崎さんは話を続ける。やはりギャルのコミュ力は侮れない……

 

 

 

「今日来る残り2人……知ってる?」

「名前は千川さんに聞いてるよ。えーっと確か一ノ瀬志希さんと、宮本フレデリカさんだよね?宮本さんは外国の人なのかな?」

「会ったこと……ある?」

「ないよ……?」

 

 

 ガシッ!

 

 

「うわぁ! ど、どうしたの!?」

 

 

 城ヶ崎さんは俺の両肩を掴むと真剣な顔で告げる。

 

 

「白石くん、多分今日はすっっっごく疲れると思うけど……頑張ってね」

「え、えぇ……?」

 

 

 そう話す城ヶ崎さんは冗談を言っているような表情ではなく、既に疲れているような、これから何が起きるのか悟っているような複雑な表情を浮かべていた。

 

 

 どういうことだろう……その2人が何か関係あるのは確かなんだろうけど……

 

 

 

「ちょっとちょっと〜! ミカちゃん!」バッ

「うぉっ!」

「わっ、ふ、フレちゃん!?」

 

 

 急に現れた金髪の女の子が、俺と城ヶ崎さんの間に割って入るようにして姿を現した。

 

 フレちゃん……ってことはこの人が宮本フレデリカさんなのかな?

 

 

「酷いよミカちゃん! フレちゃんというものがありながら、男を作っていたなんて!」

「は、はぁ?」

「ふ、フレちゃん、ちょっとタンマ。白石くん流石に初めからこのノリには着いていけてないからさ」

「アナタは誰なの!? アタシのミカちゃんを誑かすなんていい度胸してるね!」

「ちょ、ちょっと待ってください!俺と城ヶ崎さんは別に……!」

 

 

 な、なんてこった!宮本さんと城ヶ崎さんはそういう関係だったのか!?

 

 

「白石くーん、絶対何か勘違いしてるからね」

「勘違い!? アタシのこのミカちゃんへの想いも勘違いだっていうの!?」

「あーもうっ! フレちゃん!そろそろ寸劇は終わりに……!」

「酷いよ! アタシとミカちゃんの子どもはどうするのさ!」

「ママ〜っ! 匂い嗅がせて〜!」ギュッ

「ちょっ! し、志希ちゃんまで!」

 

 

 な、何だこれは……?

 

 突然現れた宮本さん(恐らく)と城ヶ崎さんが修羅場になり始めたと思ったら、木の陰から出てきたもう1人の女の子が城ヶ崎さんのことをママと読んで抱きつき匂いを嗅いでいる。

 

 いや、自分で言ってても意味がわからんぞ!

 

 

「ママ〜、捨てないで〜。ハスハス」

「こんなにもこの子はミカちゃんのことを愛しているのに、ミカちゃんはあの男と一緒になるつもりなのね!」

「あ〜! もうっ! 2人とも一旦ストップ、

ストップ〜ッ!!」

「もう何が何なのやら……」

 

 

 城ヶ崎さんは自分の体にしがみつく女の子を引き剥がしながら大声を出す。

 

 俺はすでに何が起こっているのか理解が追いつかずパニックだよ。

 

 

 

 

「じゃあお遊びはこの辺にしておいて、ちゃんと自己紹介しよっかな〜♪」

「は、はぁ……」

「アタシは宮デリカフレ本だよ〜♪」

「いや、宮本フレデリカさんですよね…?」

「えっ!? どうしてフレちゃんのこと知ってるの? もしかしてアタシのファンなの!?

やった〜♪」

「えっ、ち、違いますよ! 事前に千川さんに名前を伺ってて」

「ち、違うんだ……」ガ-ン

「あっ、いや、そういうつもりじゃ……え〜っと、その……」

「まぁフレちゃんも事前に名前聞いてるけどね〜。よろしくね〜白石クン♪」

「ッ〜〜〜!!」

「白石くん、真面目に話してたら疲れるから軽く流しといた方がいいよ……」

 

 

 宮本さんに翻弄される俺の方を城ヶ崎さんが優しく叩く。

 そのゲッソリとした顔を見るに城ヶ崎さんもかなり苦労をしているらしい……

 

 

 

「アタシは一ノ瀬志希だよ〜 クンクン、クンクン」

「な、なんですか……?」

 

 

 えっ……やだ、もしかして俺って臭いの?

 

 

「にゃはは〜!すっごい普通の匂い〜♪

こんなに普通の匂いってある〜? ある意味面白いかも〜」

「ふ、普通……?」

「ワ〜オ! 白石くんすごいね〜!普通だってさ! ちなみにシキちゃん、フレちゃんの匂いは〜?」

「ハスハス、ん〜? フレちゃんの匂い〜♪」

「わっはっは〜! そりゃそうだよね〜 何てったってフレちゃんはフレちゃんだから!」アハハ

 

 

「………」ジ-

「そ、そんな目でこっち見ないでよ……だから言ったでしょ、今日は疲れるよって」

 

 

 疲れるとは聞いてたけど、なんというかあまりにも自由すぎるぞこの2人。

 

 

「あの〜、そろそろ撮影場所に向かいましょうか……」

「は〜い♪」

「にゃはは〜 よろしくね〜」

「お願いね、白石くん」

 

 

 そうして車に乗り込んだ俺たち4人は撮影場所へと向かい始めたのだった。

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「いや〜、白石クン運転上手だね〜♪」

「ありがとうございます宮本さん、でも全然普通だと思いますよ」

「そうかな〜? あ、そういえば白石クンは何歳なの〜?」

「俺は18ですよ」

「じゃあフレちゃんの方が一つ上だね〜♪」

「へ〜、宮本さん19歳なんですか」

「そうそう! 因みにシキちゃんは〜?」

「白石クンと同じだね〜 アタシも今18歳だから……あれ、アタシって18歳だっけ?」

「いや、俺に聞かれても知らないですよ」

「志希ちゃんは18でしょ。自分の年齢くらい忘れるんじゃないの」

「にゃはは〜♪ じゃあこの中で美嘉ちゃんが1番年下だ〜」

「へいへ〜い! 後輩ちゃ〜ん!」ツンツン

「あぁもう! 両方からほっぺつつかないでよ!」

 

 

 後部座席では城ヶ崎さんを真ん中に置き、その左右を一ノ瀬さんと宮本さんが挟んで座っている。

 そうして今は、城ヶ崎さんが両サイドの自由人から頬を触られて揶揄われている。

 

 城ヶ崎さんには悪いけど、こっちに飛び火しないようにそのまま弄られといてもらうとしよう……

 

 

 

 そんなこんなで俺たちを乗せた車は、撮影場所の駐車場に到着する。

 

 

 

 

「着きましたよー」

「ありがとう白石くん、助かっちゃった」

「いえいえ」

「アタシたちは今から撮影だけど、白石くんはどうするの?」

「今日は城ヶ崎さん達を事務所まで送るように言われてるから、ここで待ってようかな」

「そっか……じゃあ気が向いたら撮影見に来てよ★ 多分関係者だから入れるからさ」

「そうだね、うん、後で見に行くよ」

「へへっ、じゃあアタシたちは行くね?

ほーら2人とも! 行くよ〜!」

「「は〜い!」」

 

 

 そして城ヶ崎さんは宮本さんと一ノ瀬さんを引き連れて撮影場所の中に入っていった。

 

 さっきは城ヶ崎さんが1番年下だとか言ってたけど、ああして見ると姉と妹2人みたいだな。

 

 いや、首根っこ摘まれてる一ノ瀬さんはもはやペットかな……

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 

 

「……暇だな」

 

 

 城ヶ崎さん達が車から出て行って1時間程が経過した。 流石に車の中で座っているだけなのにも飽きてきた。

 

 

「見に行ってみるか」

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「〜〜〜ッ!」

 

 

「どうかしたのかな?」

 

 

 少しだけ緊張をしながら撮影場所へと足を運ぶと、何やら現場が騒がしい。

 

 

「あの〜、どうかしたんですか?」

 

 

 

「た、大変です! 一ノ瀬さんが失踪しちゃいました!」

「えぇっ!?」

 

 

 撮影現場に大きな声が響き渡る。

 

 

 一ノ瀬さんが疾走……?実装……?質素……?

 

 えっ、失踪……!?

 

 

 

「じょ、城ヶ崎さん!」

「あ、白石くん」

「どういうことなの……? 一ノ瀬さんが失踪って」

「うん、まぁ、そのまんまの意味かな。これが初めてでもないんだよね」

「シキちゃんって趣味が失踪だからね〜」

「じょ、常習犯なのか、ていうか趣味が失踪!?」

「あはは、まぁちょっとクセのある子なんだよね。悪い子じゃないんだけどね?」

「んー、でも10分くらい前にはアタシと話してたしまだ近くにいると思うんだよね〜。フレちゃんが探してこよっか?」

「いや、アタシたちはアタシたちで撮影があるから無理だよ……」

 

 

 自分が探すと提案した宮本さんに城ヶ崎さんがそれは無理だと告げる。

 

 となるとここは……

 

 

「俺が行くよ! 見つけられるかはわからないけど」

「ごめんね白石くん、お願いできるかな」

「もちろん。でも見つけても戻ってこないこととかは……?」

「それは大丈夫だと思うよ〜。シキちゃんって失踪はするけど、見つかったら大人しく戻ってくることがほとんどだから」

 

 

 それなら大丈夫か。問題はどうやって一ノ瀬さんを見つけるのかだけど……

 

 

「一ノ瀬さんの行きそうな場所とかって……」

「場所はわかんないけど、シキちゃんをおびき寄せることならできるよ〜♪」

「ほ、本当ですか宮本さん!」

「ふっふっふっ、この一ノ瀬志希博士のフレちゃんにまっかせなさ〜い!」

 

 

 宮本さんは自信満々にそう宣言する。宮本さんと一ノ瀬さんは仲良しらしいから色々熟知しているのだろう。

 

 

 ふっ……勝ったな(確信)

 

 

 

「それでその方法って」

「うん、ミカちゃん!」

「え、アタシ?」

 

 

 

「服! 貸して!」

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「おーい、一ノ瀬さ〜ん。出ておいでー?」

 

 

 俺は今、撮影場所付近の街中で一ノ瀬さんを探して歩いている。

 

 別段何もおかしな点はない。ただ一つ……手に城ヶ崎さんが普段から使用している練習着を持っていることを除いて。

 

 

 〜〜〜〜

 

 

 

『はい……?』

『ミカちゃんの服! 貸して!』

『な、なんでっ!?』

 

 

 突然の服貸して宣言に城ヶ崎さんは驚愕の声を上げる。ただ城ヶ崎さんだけではなく、もちろん俺も驚いている。

 

 

『今日この後レッスンだから持ってるよね〜』

『も、持ってるけど、だからって何で……』

『そのミカちゃんの汗と匂いが染み付いたシャツでシキちゃんを釣り上げるんだよ!』

『あ、汗と匂いって……///』

『さぁ、ミカちゃん! お洋服プリーズ♪』

『い、いやいや! 無理だって! だってそれ白石くんに貸すってことでしょ!? 恥ずかしいし、変なコトされるかもしれないし!』

『ちょっと、俺はそんなことしないからね!』

 

 

 城ヶ崎さんは顔を真っ赤にして服貸して作戦に猛反対をする。

 

 恥ずかしいのはわかるけどこの緊急事態に俺が変なコトするわけないじゃないか……って、この言い方だと緊急事態じゃなければするみたいだけど、どっちにしろそんなコトしないけどね!

 

 

『ほほ〜う、変なコトって何なのかな〜?』

『うぇっ……!? そ、それは……///』

『男子の白石くんが! ミカちゃんのシャツを使って! 一体どんな変なコトをするのさ!?』グイグイ

『あ、あぅ……///』プシュ-

『そ、その辺にしとこうか宮本さん……

あと俺は何にもしないから』

『ごめんごめ〜ん♪ ミカちゃんが可愛い反応するからさ〜』

 

 

 確かに、さっきの城ヶ崎さんの反応は意外だったな。カリスマギャルでもああいう話は苦手なのかも……

 

 

 

『まぁ冗談はこの辺にしておいて真面目な話、ミカちゃんの匂いにならシキちゃんも寄ってくると思うんだよね〜』

『……わ、わかった……』

『えっ、い、いいんだ……ていうか本当にソレで一ノ瀬さんは寄ってくるんですか?』

『大丈夫だよ〜♪ シキちゃん匂いフェチだから』

『いやいくら匂いフェチでも……ていうかソレ城ヶ崎さんのじゃなくちゃいけないんですか? 例えば宮本さんのとか』

『あれあれ〜? もしかして白石クンはフレちゃんの服の方がいいのかな〜? んも〜っ!

しょうがないなぁ。じゃあ今来ている服を……』

『わーっ! ちょ、ちょっとタンマ! そんなことしなくていいですから!』

 

 

 わざとらしく服を脱ごうとするジェスチャーを取った宮本さんを制止しつつ、チラっと城ヶ崎さんのことを見ると、渋々と言った表情でカバンからシャツを取り出していた。

 

 そしてソレを恐る恐る俺の前に突き出す。

 

 

 

『は、はいっ…! 変なコトに使わないでね…』

『だから使わないよ!』

『そうだよ白石クン、変なコトするならシキちゃんを連れ戻してから……』

『だからしないから!』

 

 

 そして俺は城ヶ崎さんのシャツを受け取る。

 

 

『じゃあ白石クン、ミカちゃんの汗と匂いが染み込んだシャツを使ってシキちゃんを捕まえてくるのだ!』

『……わかりましたよ。この城ヶ崎さんの汗と匂いが染み込んだシャツを使って、絶対に一ノ瀬さんを連れ戻してきます!』

『わ、わざと言ってんでしょアンタたち!

あと洗濯してるからそんなに染み込んでないからね〜っ!!』

 

 

 

 〜〜〜〜

 

 

 

 とまぁ…そんなやり取りを経て、俺は城ヶ崎さんのシャツをこの手に握りしめている訳だ。         

 決して俺が無理やり奪い取ったとか、カバンの中から盗んできたとかそういう訳ではない。

 

 とは言え周りの人達がそんな事情を知る由もなく、その人達からすれば俺は今、女子用の練習着を手に持って走り回るただの変態に映っているかもしれない。

 だからこそ早めに一ノ瀬さんを見つけ出す必要がある訳だ。

 

 

「けど……本当にこれで一ノ瀬さん寄ってくるのかな?」

 

 

 さっきは宮本さんに押されてこの作戦に乗ってしまったが、よくよく考えたらこんな作戦で一ノ瀬さんが見つかるのか不安になってくる。

 

 だって犬じゃないんだからさ、こんなシャツ1枚の匂いを辿ってくるなんて……

 

 

「ん〜、ハスハス……美嘉ちゃんの匂いが〜」

「うわっ……マジで来た!?」

 

 

 それは突然のことだった。鼻をスンスンと鳴らした一ノ瀬さんが、フラフラとした足取りで俺の前に姿を現した。

 

 

「ん? キミは確か……」

「白石です」

「あ、そうそう♪ 白石クンだ〜 にゃはは〜

って……あれ? どうして白石クンから美嘉ちゃんの匂いが?」

「あ、それはコレですね」

「わおっ! それは美嘉ちゃんの服〜! ねぇねぇ白石クン、それシキちゃんに頂戴〜?」

「それは構いませんよ」

「やった〜♪」

「ただし、ちゃんと撮影に戻ってきたらの話です!」

「あ〜、そうくるんだ……」ニヤッ

 

 

 よしっ、これで撮影に戻ってきてくれるはずだよね。どうやら極度の匂いフェチというのも本当みたいだし、城ヶ崎さんのシャツという武器がある限り一ノ瀬さんは素直に従うはず…!

 

 

「うーん、いつもなら見つかってすぐ戻るんだけど……」

「えっ……?」

「にゃはは〜♪ やっぱり今日はこのままどっか行っちゃおうかな〜」

「えぇっ!?」

「だからそのシャツは白石クンが持って帰って変なコトに使いなよ〜」

「するか!……い、いやそうじゃなくて……それは駄目だって!」

「ん〜、でも今日は気分がなぁ〜」

 

 

 一ノ瀬さんはケロッとした表情でそう答える。

 

 こ、困ったぞ……見つかったら素直に帰ってくるはずなのに…! 気分屋とは聞いていたけどまさかここまでとは。

 

 

「シキちゃん1人いなくたって大丈夫だって〜」

「そ、そんなことないって…!」

「そんなことあるって〜、美嘉ちゃんとフレちゃんなら上手いことやってくれるよ〜」

「だ、だからって……」

「あ、なんなら白石クンと一緒に失踪しちゃう〜? 偶には白石クンも失踪しちゃえば……」

 

 

「いい加減にしろ!現場には戻らないと駄目だ!」

 

 

 シ-ン……

 

 

 あっ……やばい、つい……!

 

 

 

「ご、ごめん大きな声出して、でも俺は君を連れて帰らないワケにはいかないんだよ……」

「……どうして?」

「えっ……だ、だってさ、現場の人たちは今日一ノ瀬さんを撮影するために色々と準備をしてきてる訳で、その人達のこと裏切るようなことしちゃいけないと思うんだ」

「ふんふん」

「あ、あとは……一ノ瀬さんの写真を楽しみして待っているファンの人達がいるからさ、その人達のためにもかな……?」

「なるほど」

「後は、このシャツを貸してくれた城ヶ崎さんと、作戦を考えてくれた宮本さんのためにも……あっ」

 

 

 やばっ、城ヶ崎さんのシャツしわくちゃだ…

 

 

 

「にゃはは〜♪ いいよ、キミの熱意に負けたってことで……現場に戻るよ」

「えっ、ほ、本当!?」

「うん、ていうか戻らないって言うのはちょっとした冗談のつもりだったんだけどね〜」

「えっ……」

「まさか本気で怒られちゃうなんてね〜」

「ご、ごめんっ! 怖がらせちゃったかな……」

「全然〜♪ ちょっと貴重な体験で面白かったかも〜」

「そ、そうなの?」

 

 

 怒らられるのが面白かったなんて、やっぱり変わってるのかも。俺だったら怒られるなんて絶対嫌だし……

 

 

「ていうかキミは全然怖くないよ? あんまり人に怒るのとか向いてないタイプだよ〜」

「そ、そうかな……?」

「そうそう〜、あっ! 撮影現場には戻るから美嘉ちゃんのシャツはアタシが貰ってもいいんだよね〜」

「……も、もちろん!」

 

 

 まずい、なんだかシャツをプレゼントする流れになってしまったぞ。絶対そういうつもりで貸してくれた訳ではないだろうに……

 

 

「ん?もしかしてシャツを渡したくない感じかな〜?やっぱり家に持って帰って変なコトするつもりだったとか!」

「そ、そんな訳ないわ!」

「にゃはは〜♪ また怒った〜!」

 

 

 一ノ瀬さんは子どものように笑い、無邪気にはしゃぐ。

 

 なんだかいいように揶揄われているような気がするけど、まぁ……別にいいか。

 

 

 

「じゃあ2人で一緒に美嘉ちゃんのシャツで変なコトしよっか〜♪」

「俺にそんな特殊な性癖はない」

「いやいや〜、シキちゃんの見た感じだとキミは相当なムッツリスケベ……」

「そんなことないから! 早く戻るよ!」

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「と、いうわけで無事連れ戻してきました」

「ただいま〜♪」

「そ、それはいいんだけどさ白石くん……何でアタシのシャツは志希ちゃんが大事そうに抱きしめてるの…?」

「ごめん、流れでプレゼントすることになって……」

「えぇっ!?」

「んん〜いい匂い……後で2人で一緒にこのシャツで変なコトする約束したんだ〜」

「んなっ…///」

「わ〜お! フレちゃんも混ぜて〜♪」

「混ぜない!って!そんな約束はしていない!」

「あ、アンタっ…/// 本当に何もしてないでしょうねぇ!?」

「お、落ち着いてよ城ヶ崎さん……!本当に何もしてないから…!」

「そうそう、健全な青少年に自分の服を渡したミカちゃんがいけないんだよ」

「アンタが提案したんでしょうがぁぁぁ!!」

「ん〜、いい匂いだにゃ〜♪」

 

 

 か、カオスだ……

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 色々あったがその後は、戻ってきた一ノ瀬さんが恐ろしい速度で撮影を済ませたことで、無事本日の撮影は終了した。

 

 俺も見学していたけど圧巻の一言だった。あぁいう部分を見ると、一ノ瀬さんが天才であることを自覚させられる。

 

 

 そして今は、3人を事務所まで送り届けるために運転をしているのだが……

 

 

 

 

 

「いや〜ん♡ 白石クンったらアタシたちをどこに連れて行くつもりなの〜?」

「事務所ですけど!?」

「こんな美少女3人も車に乗せちゃってさ〜♪はっ…!も、もしかして……お持ち帰りするつもりなの!?」クワッ

「しません!」

「ありゃりゃ〜、断られちゃった〜♪」

「じゃあフレちゃんのことはシキちゃんがお持ち帰りする〜」

「えっ……きゅん…♡」

「お持ち帰りして〜、たくさん薬飲んでもらう〜♪」

「わ〜お♪ それじゃあフレちゃん実験台やないか〜い!」

「そうとも言う〜、にゃはは〜♪」

 

 

 車の中でも一ノ瀬さんと宮本さんの自由人っぷり&謎のハイテンションは変わらないわけで……

 

 

「ん〜、でも実験台ならそこに活きのいい男子がいまっせ〜?」

「確かに〜♪」

「えっ!?」

「ねぇ〜、白石クン……今度アタシのラボでさぁ……イ・イ・コ・ト……してみない?」

「わぁ〜、何かアダルティーな誘い方〜♪」

「ぜっっっったいに行かないから!」

「えぇ〜! そう言わずにさ〜!」

「こ、こらっ!運転中に肩を揺らすな…!」

 

 

 誘い方は確かにちょっとエロくてドキっとするけど、一ノ瀬さんのラボとか入ったら最後、絶対に無事で帰れる気がしない…!

 

 下手したら人造人間とかにされそう……

 

 

 

「じょ、城ヶ崎さんっ! 見てないで隣にいる一ノ瀬さんを止めてくれ〜!」

「……」ジト-

「じょ、城ヶ崎……さん…?」

「別にアタシが止めなくてもさ、また女の子のシャツでもプレゼントすればやめてくれるんじゃないの?」

「……怒ってる?」

「別に……」

「しゃ、シャツのことなら謝るからさぁ!」

「シャツを使って変なコトしたのも謝りなさい!」

「本当にごめんなさ……って、それはしてないわ!」

「わおっ! 完璧なツッコミ〜♪ ふんふんふふ〜ん♪」

「ねぇ〜、ちょっとだけでいいからさ〜!

ちょっと面白いお薬飲んでもらうだけだから〜!」

「……ふんっ」

 

 

「も、もうめちゃくちゃだ〜〜!!」

 

 

 

 とりあえず今後、一ノ瀬さんと宮本さんには注意することにしよう……

 

 

 

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