346プロの雑用バイト君   作:焼肉定食

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ふと小説情報を見たらお気に入りの数が50を越えているというとんでもないことになっていました…… ありがとうございます


7話 ギャルは優しい生き物

 

 今日の仕事は既に撮影を終えたアイドルを車で迎えに行って、事務所まで送り届けろとのことだ。

 

 俺は車を走らせながら先ほどのちひろさんとの会話を思い出す。

 

 

〜〜〜〜

 

 

「白石くん、今からアイドルの子をスタジオまで迎えに行ってもらってもいいですか?」

「はい、大丈夫ですよ。」

「助かります。それではスマホにスタジオの住所などを送信しておきますね♪」

「ありがとうございます。 アイドルの子を車に乗せたら事務所に帰ってくればいいんですね?」

「はい、それで大丈夫ですよ。 社用車の鍵を今渡しますね〜」

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 そんなこんなで今そのスタジオとやらに向かっている。 免許はまだとりたてで、しかもこんな大きな道を走るのは緊張するが今のところは問題なく走れている。

 

 

「……にしてもまさか迎えに行くアイドルが顔見知りとはなぁ、 でももし俺のこと忘れてたらどうしよう 」

 

 

 俺が今から迎えに行くアイドルの名前は城ヶ崎美嘉、大槻唯の2人だ。

 

 城ヶ崎さんは面接の日に少し会話したことがある。後の1人はどんな人なのか、見た目も年齢も全く知らない。

 

 

「……なんか知り合いみたいに話しかけて、相手が俺のこと普通に覚えてなかったらめちゃくちゃ恥ずかしいよなぁ…」

 

 

 城ヶ崎さんは少し話しただけでもわかるほどにギャルだ。 ギャルとはつまりパリピ。友達の数も俺とは比べ物にならないほど多いはずだ……

 もしかしたらほんの数分会話した俺のことなんて全く覚えていないかもしれない。

 

 

「ど、どんな風に話しかけるのが正解なんだ……」

 

 

 やばい、いつの間にか運転よりそっちの方が緊張してきた……。

 

 そんなことを考えながらも車は目的のスタジオへと着実に近づいていく。

 

 

 

 

 スタジオへと到着した俺は駐車場に車を止めると、緊張しながらも建物の中へと入っていった。

 

 うわ〜……なんか芸能界って感じだぁ…… たくさんスタッフさんがいて、大きな機材があって、めちゃくちゃ忙しそう。

 

 2人はもう撮影を終えて楽屋にいるらしいので、そこに迎えに行くことになっている。

 

 

 

「ここか……」

 

 

 扉には城ヶ崎美嘉様、大槻唯様と2人の名前が記された貼り紙があるので間違いないだろう。

 

 よし、ノックするぞ。

 

 

 コンコン コンコン

 

 

「はーい」

「346から来ました。送迎の者ですけど……」

「開いてるんで入っていいですよー」

「し、失礼します……」

 

 

 ガチャ  

 

 

「すいません、今撮影終わったばっかりでまだ衣装なので……って」

「こ、こんにちは」アハハ

「アンタどこかで……あっ!事務所の前で会った人!? 確か白石くん……?」

「あ、そうです。覚えててくれて嬉しいです。城ヶ崎さん」

「自己紹介したんだからそう簡単に忘れないって〜★ あれ?ここにいるってことはバイト受かったんだ! おめでとう!」

「あ、ありがとうございます!」

「また敬語になってるし〜」アハハ-

 

 

 城ヶ崎さん俺のこと覚えててくれたよ……めちゃくちゃいい人だ。

すごい話しやすい気もするし、これがギャルのコミュ力か……

 

 

「ちょいちょ〜い! なんか唯だけ除け者みたいじゃ〜ん! 美嘉ちゃんこの人紹介してよ〜」

 

 

 部屋の中にいたもう1人のギャルが、もう我慢できないと言った様子で声を上げた。

 

 

「あ、ごめんごめん。てかお互いに自己紹介しなよ」

「それもそっか! 大槻唯!美嘉ちゃんと同じでアイドルやってま〜す! よろしくね〜!」ニカッ

 

 

 ま、眩しいっ…… なんだろうこの圧倒的パリピ感は、太陽みたいな人だ……

 

 

「俺は白石幸輝です。えっと、346でアルバイトをしています、よろしくお願いします。」

「硬い硬いよ〜!もっと砕けた感じでいいって〜! よろしくねコーキちゃん!」

「こ、コーキちゃん!?」

「そ、幸輝だからコーキちゃん! イケてるっしょ〜?」

 

 

 ギャルすごい…… 距離感がおかしいって。てか下の名前で普通に呼んでくるんだけど……いや、普通に嬉しいんだけどね。

 

 

「てっきり唯はいつもの送迎のおじちゃんが来ると思ってたからビックリしちゃったよ〜 同年代の人が入ってくるんだもん!」

「確かに、アタシもびっくりしたよ。」

「だよね〜 てかコーキちゃん運転できるんだ〜! あれ?てことは年上?」

「あはは……18歳だよ。大学一年生」

「やば〜☆ 大学生だって〜!ねぇねぇ何でウチでバイト始めたの〜?」グイグイ

 

 

 近い近い! 大槻さん本当距離感おかしいって! コミュ力が高すぎる!

 それに今さら気づいたけど、2人とも衣装がちょっと過激じゃないかな? 露出が……

 

 

「どうかした?白石くん」

「い、いや……別に」

「え〜!なんか隠してない〜?」グイグイ

「別に隠してるわけでは……ていうか大槻さん近い、近いよ。ステイステイ……」

「ん〜? あ!」

 

 

 やば…気づかれたか?

 

 

「もしかして〜 唯と美嘉ちゃんの衣装姿に照れてんの〜?」ニヤニヤ

「えっ!?」

「………ま、まぁ」

「あはは〜! まぁ確かに今日の衣装はちょ〜っち攻めてるからな〜 コーキちゃん悩殺しちゃったか〜☆」

「ちょ、ちょっと唯……」

「しょ、しょうがないでしょ……ほとんど水着みたいなもんだし、 そりゃ照れるって!」

「ひ、開き直った!?」

「あはは〜☆ いいねいいね〜 コーキちゃん段々と硬さがとれてきたんじゃない〜?」

「え……」

 

 

 言われてみれば……なんか自然と会話できてたような気がする。 いつの間にか敬語じゃなくなってるし、女の子の前で素の自分で会話できてたな……

 

 

「唯のおかげだね〜! でも最初のガチガチに緊張してる感じよりは、今のコーキちゃんの方がいいよ!」

「唯ったら調子がいいんだから……」

「お、大槻さん……ありがとう!」

 

 

 すごい……大槻さんはコミュニケーションの達人だ! ギャルは偉大だ! ギャルは優しい!

俺のギャルへの偏見を改める必要があるな。

 

 

「それじゃあ車で事務所まで送迎するんで、今から駐車場に……」

「………」ジ-

「え、え?」

 

 

 城ヶ崎さんが俺のことをジッと見てくる。お、俺なんかやらかしてしまっただろうか……

 

 

「あの〜何か……?」

「いや、アタシたちまだ衣装だから……」

「……?」

「だ、だから〜 き、着替えなきゃいけないでしょ……?」

「それはそうだね……」

「あ〜もう! 私たち今から着替えるから一旦出て行ってもらわないと困るんだけど! 」

「……あ!」

 

 

 た、確かに……俺はバカか? 着替えるんなら俺がいたらダメに決まってるじゃん……

 

 

「はぁ〜 やっと伝わった?」

「ご、ごめん!すぐ出てくんで!」

「ほらほら〜 早く行かないと変態ちゃんになっちゃうぞ〜 それとも一緒に着替える?」

「えぇっ!?」

「ゆ、唯!余計なこと言わなくていいから!ほら!白石くんも早く出て行く!」

「わ、わっかりました〜!」

「あはは〜☆ ちょっとだけ待っててね〜」

 

 

 ガチャ! バタン!

 

 

 はぁ……我ながらデリカシーが無さすぎる。

 

 俺は自分の行動を反省しながら、部屋の中の2人が衣装から着替えるのを待つことにした。

 

 

 

「お待たせー!」

「あ、いや全然待ってない……」

 

 

 おー……制服ギャルだ。 でもなんかすごい似合ってるな。

 

 

「じゃあ駐車場に行こうか。車停めてるから」

「よろしくね」

「しゅっぱ〜つ☆」

 

 

 

 

 

 その後車に2人を乗せて走り出したが、2人がすごい話しかけてくるから会話が止まらない。特に大槻さん。

 

 

「ねぇねぇ?コーキちゃんなんでウチの事務所でアルバイトしようとしたん?」

「確かに、コンビニとかスーパーとか色々あるのになんでわざわざ芸能事務所のバイト? もしかして興味があったりするの?」

「いや、時給がすごい高かったから……」

「なにそれウケる★ 超シンプルな理由じゃん!」

「でもわかるよ〜 お金はたくさん欲しいよね〜 唯もちょっと今月は使いすぎちゃって困ってるんだ〜 夏に向けて色々買いたいものがあるのに〜!」プンプン

「……やっぱり女の子はファッションにお金すごく使うの?」

「そりゃそうっしょ!」

 

 

 大槻さんの力強い返答に城ヶ崎さんも、うんうんと首を動かしている。

 

 2人ともお洒落そうだもんな〜 俺なんかお洒落という言葉には程遠い位置に存在する人間だからなぁ…… そういえばバイト代入ったら何に使おうか考えてなかったなぁ。うーん……

 

 

 

「ねぇねぇコーキちゃん!大学生なんでしょ!」

「え、あぁうん。大学1年生。」

「じゃあじゃあ彼女とかいるの!?」

「……い、いないけど」

「え〜! いないの〜? 見た目も別に悪くないのに意外〜」

 

 

 それは褒められているのか……?

 

 

「俺、中学高校とずっと男子校だったんだ。だから彼女とかできたことなくてさ……」

「へぇ〜 そうだったんだ!」

「でも大学には女の子いるんだよね?」

「めちゃくちゃいた。 正直びっくりするほどに」

「じゃあ彼女つくるの?」

「……欲しいけどそんな簡単にできるのかな」

「唯のクラスメイト紹介してあげよっか?めっちゃギャルだけど☆」

「ま、マジで!?」

「うん、いっつも彼氏ほしー彼氏ほしーって呪文みたいに言ってるから」

 

 

 ま、マジかよ……とんでもないことになったぞ。 正直この2人のおかげでギャルも全然いいと思っている……

 ちょっと待てよ?そもそも女子高生と付き合ってもいいのか?逮捕とかされない? いや、清らかなお付き合いなら大丈夫か……?

 

 

「ちょっと……目が怖いよ。白石くん」

「はっ!」

「そんなギラついた目してたら女の子引いちゃうよ? あと唯は変な冗談言わない」

「じょ、冗談だったのか!?」

「あ、あはは〜 ちょっとしたジョークのつもりだったんだけど……ごめんね〜」

 

 

 なんてこった……これじゃあ俺が女子に飢えてる獣みたいじゃないか。 間違いではないけど。

 

 

 

「城ヶ崎さんはすごい恋愛経験豊富そうだよね……」

「えっ!?」

「だってさ〜美嘉ちゃん」ニヤニヤ

 

 

 絶対イケメンの彼氏とかいたことありそうだよね。 めっちゃ可愛いし、めっちゃいい人だし。

 

 

「ま、まぁね〜 それなりに経験は積んでるカナ〜」アハハ

「やっぱり!?」

「美嘉ちゃんラブレターとか貰ってるもんね〜」

「ゆ、唯!」

「ら、ラブレター!俺には縁のない話だな……」

「ま、まぁ白石くんもその内貰えるって〜 そ、そんなことよりさ!そろそろ事務所に着くんじゃない!?」

 

 

 露骨に話を逸らしたな……モテる女は自分から多くを語らないということだろうか。

 

 その後は妙にテンパっている城ヶ崎さんを、大槻さんが揶揄っているとすぐに事務所に到着した。

 

 

 

「とうちゃ〜く!」

「ありがとうね白石くん」

「え? あぁいや、仕事だからお礼なんて」

「いいのいいの!素直にお礼受け取っとけ〜☆ ありがとうね!」

「ど、どうしたしまして」

「じゃあ私たちは行くね?」

「またいつか会おうね〜!」

 

 

 手を振りながら歩いていく2人に向かって俺も手を振る。

 

 2人ともすごいいい人だったな…… ギャルは優しい。

 そんな2人のお陰もあってか、今日は結構自然に女子と会話できていたと思う。

 

 この調子で女の子との会話に慣れていけたらいいなと思いながら1人で駐車場を後にした。

 

 

 




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