346プロの雑用バイト君 作:焼肉定食
「「「王様だーれだ!!」」」
事務所の休憩所に黒埼さんと久川姉妹の声が響き、3人は順番に黒埼さんが手に握る割り箸を引いていく。次いで無表情の白雪さんが、そして最後に冷や汗をダラダラと垂れ流す俺が割り箸を引く。
……違う、王様じゃない。
自分の引いた割り箸の先端を確認するが王様の印は無い。その代わりに先端には3の文字が刻まれている。
「あっ! はーが王様だよっ! やったー!」
「はーちゃんが王の国とは……是非とも凪はその国に移住したいです」
王の印である先端が赤く塗りつぶされた割り箸を掲げる颯ちゃん。
とにかく俺はもう祈るしかない。自分が命令の対象にならないことを、そして仮にそうなったとしても黒埼さんに関わるような命令じゃないことを……
もしも黒埼さんと手を繋ぐ!みたいな命令を出されたら……俺は確実に白雪さんに殺されてしまう。
「んーっとね……まぁ一回目だし軽めのやつでいいよね!」
颯ちゃんの"軽め"という言葉を聞いて少しだけ安堵する。とりあえず一回目のターンは生き延びられる可能性が高そうだ……!
「じゃあ、1番と4番がハグする!!」
「あっ、私が1番だよ〜♪」
「凪が4番です。4番でエースです」
ダンッ!
「わっ! 白石さんどうかしたの? 急に机に頭ぶつけちゃって……」
「な、なんでもないよ……あはは」
あ゛っっっっぶねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
ちょっ! マジで危なかったんだけど!? これが軽めの命令って颯ちゃんはマジで言ってるのか!?
もしも指名されたのが俺と黒埼さんだったらと考えると……全身からサーッと血の気が引いていくのを感じる。
「ではどうぞ、凪お姉さんの胸に包まれなさい」バッ
「わ〜い、凪お姉ちゃ〜ん♪」ギュッ
冷や汗を垂らしながら青い顔をしている俺をよそに、目の前では腕を広げた凪ちゃんの懐に黒埼さんが飛び込むという百合百合しい光景が広がっていた。
いつもなら目の保養だとか思うかもしれないけど、今はそんなことを考えている余裕は俺には無い。
そしてハグを始めてから30秒くらいが経過した頃に2人は体を離して、黒埼さんは再び割り箸を手に握った。
「じゃあどんどんいくよ〜♪」
「次もはーが王様取っちゃうよ〜!」
「「「王様だ〜れだ!!」」」
「……」チラッ
……また王様じゃない。番号は1だ。
「あー、はー王様じゃなかった〜! 王様だれ〜?」
「ふっふっふっ、それは凪です」
凪ちゃんは静かに笑いながら、その手の中にある王の割り箸を見せびらかす。
……凪ちゃんが王様か。どんな命令をしてくるのか読めないな。
「ついに来ましたね凪の時代が。今からここは凪キングダムです」
「国名とかどうでもいいからっ! それより早く命令を言いなよ〜」
「そうですね……それならば」
頼むッ…! 俺を指名しないでくれ…!
「1番と」
ぐっ……! ま、まぁまだ大丈夫だ。黒埼さんが指名されなければ殺されることも無いッ!
「4番が」
「あっ、私4番だ〜♪」
「なにっ!?」
ま、まずい…! これは非常にまずいぞ…!
頼むッ! せめて肉体的な接触の無い命令にしてください凪王様っ!!
「……キス」
「ふぁっ!?」
ア、アウトォォォォォォ!!!! それは良くない! それだけはダメだって!! 確実に俺が殺されるよ!!
「の、モノマネをしてください」
「……は?」
えっ……モノマネ?
意味がわかっていないのは俺だけじゃないようで、俺以外の3人も不思議そうな表情を浮かべて凪ちゃんを眺めている。
「えーっと……凪ちゃん。私イマイチ意味が分かってないんだけれど、キスのモノマネってどいうことなのかな? キスをするフリをするってことなのかな?」
「えっ!そ、それはマズい!」
「あれ? もしかして白石さんが1番?」
「あっ……う、うん」
「……お前」ゴゴゴゴ
「ひぃっ!!」
や、やばいやばいやばい!! 白雪さんの背後にドス黒い怒りのオーラが浮かび上がってるんだけど!? なんか薄っすらと修羅みたいなのも見える気がするんだけど!!
「違います。キスではありません、鱚です」
「はい……?」
「……なー、それってもしかして魚の鱚?」
「流石はーちゃん、ご名答です」
え、えぇ……? 鱚って魚の鱚…?
いやいやいや、どんな命令が来るのか読めないとは言ったけどさ……流石に予想の斜め上すぎない?
「それではお二人とも、どうぞlet's鱚」
「ど、どうぞって言われても……」チラッ
「んー、どうしよっか」
チラリと視線をずらして黒埼さんと顔を見合わせる。これには流石の黒埼さんも困っているようで、そこにいつもの余裕を感じさせる笑みは無かった。
「えーっと……ぴ、ぴちぴち〜、ぴちぴちっ! こ、これでいいかな?」
「……いいですね」
「わ〜! ちとせちゃん可愛い〜!」
「お嬢様……」キュン
「な、なんかコレ恥ずかしいね……あはは」
黒埼さんは顔を赤くしながら、ぴちぴちと声を上げ手をヒラヒラと動かす。
確かに可愛い。でもこれは可愛い女の子がやるから可愛いのであって、俺みたいなのがやったら確実にドン引きされるやつだぞ。
「それでは白石さん、続いてlet's鱚をどうぞ」
「えぇ……俺もやんなきゃダメ?」
「鱚が嫌だというなら本物のキスでも……」
「ぴっ! ぴちぴちぴちぴちっっ!!! ぴちぴちぴちっ! ぴちっ! ぴち〜〜〜っっ!!!」
必死、その言葉が正にピッタリの表現だ。俺はとにかく必死でぴちぴちと奇声を発しながら手を振った。 あまりにも滑稽な光景だけど、俺は生きるために必死でやってるだけなんだ。
「わ、わぁ……」
「あ、あはは……」
「お前……」ドンビキ
うん、知ってる。そりゃ引くよね。 わかってたよ、わかってたから別に悲しくないし……泣きそうになんかなってないし……!
「いいですね、強い生命力を感じます」
何故か凪ちゃんだけには好評だった。
〜〜〜〜
「「「王様だ〜れだ!!」」」
本日3回目の掛け声が響く。俺の割り箸にはまたしても王様の印は無く、2番の文字が刻まれている。
「凪です。またまた凪がキングです」
「えーっ! なーズルいよー!」
「ふっふっふっ、コレはやはり凪キングダムを建国するしかないか」
またしても凪ちゃんが王様になった。でもさっきの凪ちゃんの出した命令を見る限りきっとまたヘンテコな命令を出してくるはずだから、俺が白雪さんに殺されるような事にはならないだろう。
「では命令を……」
「なー、次は普通のやつにしてよね?」
「むっ……はーちゃんにそう言われてしまっては仕方ないですね」
な、なんだとっ!? は、颯ちゃん……! 君っていう人は余計な事を……っ!
「では定番も定番の、ドキッとするイベントが起きるやつにしましょう」
「な、凪ちゃん?そういうのはちょっと……」
「2番と3番が手を繋ぐというのはどうでしょうか」
「ふぁっ!?」
ま、まずい……! 2番は俺だ…! つまり黒埼さんが3番だった場合、強制的に俺の死刑執行が確定してしまう!
「はーは1番だよ!」
「私は4番だよ〜♪」
……っ!? く、黒埼さんが4番だ! や、やったぞ! コレで最悪の事態は回避でき……
……ん? ちょっと待てよ。命令の内容は2番と3番が手を繋ぐ。俺は2番で颯ちゃんが1番で黒埼さんが4番……そして凪ちゃんが王様。
と、ということは……
「あれ? てことは……千夜ちゃんと白石さんが2番と3番だよね?」
「……その通りです。私が……3番です」
あっ、アウトォォォォォ!!! 別の意味でアウトだよぉぉぉ!!これはこれで殺されるって!!!
「ふふっ、千夜ちゃんと手を繋げるなんて白石さんラッキーだね〜♪」
「わ、わー……男女で手を繋ぐとか、はーなんかドキドキしてきたかも」
「ドキがムネムネ展開ですね」
「ちょ、ちょっと待って!? 流石にこの命令はよくないんじゃないかな〜って……」
「えー、でも王様の命令は絶対だよ?」
「ぐっ……!」
ぴ、ピンチだ……! まさかこんなピンチに陥るなんて……
ていうか白雪さんさっきから俯いて全然動かないの怖いんだけど!? あっ、でもよく見たらプルプル震えて……って完全に怒りで震えてるよねアレ!?
あんな状態の白雪さんと手を繋ぐとか……お、俺に明日は無いかもしれない……!
「し、白雪さん……?」
「お前……」ゴゴゴゴゴ
「そ、そんな目で俺を見られてもどうしようもないってば! ていうか俺が命令した訳じゃないからね!?」
「はーいはい♪ 見つめ合ってないで早く命令を実行しないとね〜♪」ニコニコ
「お、お嬢様!?」
ニコニコと楽しそうに笑う黒埼さんが白雪さんを俺の横の席に連れてくる。流石の白雪さんも黒埼さんには逆らえないようでされるがままだ。
「ほ〜ら、早く早く〜♪」ニマニマ
「ぐっ……! こ、このような辱めを……!」
「ほら白石さんもここは男らしくガバっていかなきゃ♪」
「ちょっ! く、黒埼さん…!」
黒埼さんは焦ったい俺たちの態度に痺れを切らしたのか、両方の手を掴んで力づくで引き合わせる。
ていうか完全に楽しんでるなこのお嬢様は!さっきからずっと面白いモノを見る目でニヤニヤとしてるし!
そして、その細い体のどこにそんなバカ力を隠しているんだっていうくらいの黒埼さんの強い力で無理やり引き合わせられた俺と白雪さんの手が……
ガシッ
──繋がってしまった。
「ぐっ…! お、お前……っ!」
「す、すみません! すみませんマジで! だから殺さないでくださいお願いします!」
「……はぁ、まぁ命令をしたのはお前ではないですし……別にいいです」
「あ、ありがとう白雪さん!」
「ただし妙な動きをすれば殺す」
「アッ…ハイ」
や、やったぜ…! 俺の無様な命乞いが伝わったのか何とか処刑を免れたぞ。
もちろん妙な動きなんてしようはずがない。何故なら俺は命を粗末にするような馬鹿ではないからな!
「それにお嬢様の身が穢れてしまうよりはマシです。お嬢様を守るためなら私は喜んで盾になりましょう」
「やっぱ俺の扱い酷いよね? そんな汚物みたいな言い方しないでも……」
「うるさい黙れ」
「アッ…ハイ」
ま、まぁこの際扱いの酷さについては置いておこう。命が助かっただけでも儲けもんだ。
……ん? ていうかコレいつまで繋いでいればいいんだろう。
「凪ちゃん。これいつまで続ければいいの?」
「何を言ってるんだお前、せいぜい次の命令が終わるくらいまででしょう」
「いえ、今日1日です」
「はぁっ!?」
ちょっ! こ、この子は真顔で何を言っているのかな!?
凪ちゃんの発言に大声を出して驚く俺。そして流石の白雪さんも声こそ出してはいないけど口をぽっかりと開けている。
「ちょっ! さ、流石に冗談だよね…?」
「もちろん本気ですよ。本気と書いてマジと読みます」
「い、いや一日中は無理だよ!?」
「ですが王の命令は絶対です」
凪ちゃんは真顔のまま淡々と答える。真顔だから冗談で言ってるのか本気なのかイマイチ分かりづらい。
「はぁ……白雪さんも何とか言ってやって……あだだだだだっ!?」
「い、1日……1日中……コイツと……っ」グググ
「ちょっ、白雪さん痛い痛い! そんな思いきり握りしめられると手が砕けるから!」
俺の手を握る白雪さんの手にとてつもなく強い力が込められる。思いきり握りしめられた俺の手からはメキメキと不穏な音が聞こえている。
わかるよ嫌なんだよね! 俺と一日中とか想像するだけで力が入るくらい嫌なんだよね! でもそれ以上力を込められ続けると俺の手が粉砕しちゃうからやめてくれないかな!?
「お、折れる! 折れるって白雪さん!」
「1日……1日中……」ブツブツ
「あだだだだだだだっ! マジで折れるぅ!」
「ハァ……ハァ……うふふっ♪ 嫌がる千夜ちゃん可愛いよぉ……」ハァ...ハァ...
「ち、ちとせちゃん目が怖いよ?」
黒埼さんは自分の体を両手でぎゅっと抱き寄せながら、顔を紅潮させ、はぁはぁと変態のような荒い息遣いのまま白雪さんのことを観察している。
やっぱり完全に楽しんでますこの人。
「さぁさぁ! この勢いで次の命令行っちゃうよ!」
「えっ!? マジで手はこのままなの!?」
「「王様だーれ……」」
「王様だーれだっ!!」
黒埼さんの大きな声で久川姉妹の声がかき消される。ちょっとハッスルしすぎじゃないかなあの人……
「あはっ♪ やーっと私が王様になれたよ」ニヤァ...
「げっ」
今回の王様は黒埼さんだ。大事そうに割り箸を抱えながらキラキラと目を輝かせている。
……すっごい嫌な予感がする。
「うーんとね……じゃあ1番と4番が30秒間見つめ合って、感想を言い合うってのはどう?」
「うげっ、俺4番じゃん……」
「はー1番じゃないよ〜」
「凪も違います」
えっ……と、いうことは……?
「……私が、1番です」
「ま、マジ……?」
「ふふっ、じゃあ2人とも見合って見合って〜? ちゃんと感想も言うんだよ?」ニマニマ
ぐ、偶然だよな……? まさか俺と白雪さんを狙い撃ちしたとかじゃあ……ないよね?
でもまぁ……今はとにかく出された命令に従うしかない。俺と白雪さんは渋々といった様子で向き合って互いの顔をジッと見つめ……いや、白雪さんはこれ完全に睨んでるな。
「……」ジ-
「……」ギロッ
うっ……白雪さんめっちゃ怒ってる。怒ってるけども……顔が良い。こんな不機嫌なのに顔が良いとか流石はアイドルだ。
シミやシワなど全く無い雪のような白い肌に、パッチリとした綺麗なパープルの瞳……うーん、顔が良い。
「はいそこまで♪ じゃあお互いの顔を見つめ合った感想をどうぞ〜」
どうぞ〜♪ って言われてもなぁ……か、感想とか難しいんだけど。ていうか恥ずかしいし。
「え、えーっと……その……き、綺麗なお顔をお持ちですね?」
「なぜ疑問系なんだ。 そういうお前は中々面白い顔をしていますね」
「えっ、どの辺が?」
「自分で考えてください」
俺は自分の顔を両手でペタペタと触ってパーツを確かめる。まぁ自分のことイケメンだとは思ってないし、むしろ何の特徴もない顔だと思ってたけど実は面白い顔なんだろうか…?
「白石さーん、そんなに顔引っ張ってると本当に面白い顔になっちゃうよ?」
「えっ?」
「うーむ……この辺を伸ばしたらもっと面白い顔になると凪は思うんですけど」グイ-
「ちょっ、いたたたっ! ひ、引っ張るな引っ張るな!」
「なんか楽しそう! はーもやる!」
「は、颯ちゃんまで!? い、いてててっ! ほ、ほっぺ千切れるから!」
そんな風に久川姉妹に絡まれる俺を一瞥した白雪さんは黒埼さんへと声をかけた。
「……お嬢様、お戯れもこの辺にしてそろそろ屋敷へ戻りましょう」
「えー? まだ遊び足りないよ〜」
「はぁ……当初の目的を思い出してください。明日までの課題が終了していません」
「ブー!」
「駄々をこねても駄目です」
すると黒埼さんは一度大きく息を吐いた後に、観念をしたのかゆっくりとその場から立ち上がって俺たちの方へとやってきた。
「白石さん、凪ちゃん、颯ちゃん。私たちそろそろ帰るね? これ以上遊んでたら本当に千夜ちゃんに怒られちゃうから」
「私はお嬢様のためを思って……」
「はいはい、わかってますよ〜」
ブーブーと子どものように駄々をこねる黒埼さんと、困ったように小さく息を吐いた白雪さん。なんだかんだで相性はバッチリだ。
「それじゃあね〜。次はもっと大人数で王様ゲームしようね♪」
「失礼します」
黒埼さんは手をフリフリと振って、白雪さんは思わず見惚れるほど綺麗な角度でのお辞儀をしてその場から立ち去っていく。
「言ってしまいましたね」
「うん……あーっ!」
「うぉっ!? ど、どうしたの颯ちゃん?」
「私たちも早く行かなきゃ! 今日は事務所に自主レッスンに来たんだった!」
そう言って颯ちゃんは超スピードで荷物をまとめると、凪ちゃんの手を握り俺のもとに戻ってくる。
「じゃあはーたち行くね、白石さん!」
「あ、うん。レッスン頑張ってね」
「ありがとう〜! ほら、なー行くよ!」
「待ってくださいはーちゃん。せっかく建国した凪キングダムが……王が国を捨てるなど……」
「そんなのどーでもいいから! ほら行くよ!」
颯ちゃんは再び椅子に座ろうとした凪ちゃんを力づくで引っ張ってレッスンルームの方へと走っていった。
そしてその場にぽつんと1人だけ取り残された俺。周りに誰もいなくなったことを確認して大きく息を吐く。
「はぁ……なんか疲れた」
「おい、お前」
「うぉぉっ!?」
急に後ろから名前を呼ばれた俺は辺な声を出して体を揺らす。震えた勢いそのままに後ろを振り向くと、そこにはさっき立ち去ったはずの白雪さんが立っていた。
「ど、どうしたの白雪さん?」
「いえ別に、ただお嬢様が机の上に忘れ物をしたので取りに来ただけです」
「あっ、そうなんだ」
そう言うと白雪さんは机の上に置きっぱなしになっていた筆箱のような物を手に取って、再びその場から立ち去ろうとする。
なんとなくそんな白雪さんの様子をボーッと見つめていると、俺の横を通り過ぎた辺りで白雪さんが歩みを止めた。
「おい」
「えっ?」
「頬が赤くなってます。見るに堪えないのでしっかりと冷やして治しておけ」
「あっ、本当だ」
俺はスマホを取り出して自分の顔を確認すると、確かに引っ張られた辺りの部分が薄っすらと赤くなっているように見えた。
「それと疲れているのなら、しっかりと入浴をして体を温めた後に充分な睡眠を取りなさい」
「あっ、うん……ありがとう?」
「……失礼します」
そう言って白雪さんは、俺の方に振り返ることもせずにその場から早足で立ち去っていった。
今のって……一応、心配してくれたってことだよな?
「ははっ」
確かに白雪さんは少しだけ俺に対する態度に棘がある感じだけど、なんだかんだで優しい人だってことを実感する。
「ふぅ……俺も帰るか」
黒埼さんたちに続いて俺もその場を後にする。今日はこのまま真っ直ぐ帰って、白雪さんのアドバイス通りにゆっくり風呂にでも浸かって沢山寝ることにしよう。
でも……なんだかんだで楽しかったけどさ、結局30分くらいしかまともに勉強してないけど大丈夫なのかな。
今度会った時はちゃんと勉強を教えよう……
感想、ご意見や評価等お待ちしています。