346プロの雑用バイト君   作:焼肉定食

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 皆様のおかげでお気に入りの数が100を越えました〜 作品の評価というのもちょこちょこ頂けているようでありがたい話です。

 本当にありがとうございます!


9話 人生の先輩には敬意を払おう

 

 今日のバイトは事務所の内部にあるカフェにての仕事を手伝ってほしいとのことだ。

 

 俺は一人暮らしをするために最低限の料理は覚えてきたけど、いくらなんでもカフェでお客さまに提供できるようなレベルではない。

 そんな俺でもさすがに皿を洗ったり料理を運んだり注文を取ったりすることぐらいはできるので、今日はそういった類の雑用が俺の役割だ。

 

 今日このカフェの中で働いているのは3人で、俺とさっきからずっと厨房の奥で黙々と手を動かす料理長さんと……

 

 

「注文入りました〜! イチゴのケーキとコーヒーをお願いします!キャハッ!」

 

 

 このメイド服にウサミミのよなものを頭につけている女性、安部菜々さんと言うらしい。さっき自己紹介した時の衝撃は忘れられない……

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

「おはようございます! 本日ここのカフェでお手伝いをすることになってるバイトの白石といいます!」

「あ〜! あなたが白石くんですね〜 お話は伺っていますよ! 今日は一緒に頑張りましょうね!」

「はい! よろしくお願いします!」

「うんうん、最近の若い子は挨拶もしっかりしているんですね〜 元気なのはいいことですよ!」

「あ、ありがとうございます!」

 

 

 よし……やはり元気に挨拶をするといい第一印象が与えられるな。

 ていうか今この人最近の若い子って言ったけど大人の人なのかな? 見た目はすごく若々しいけど……

 

 

「あっちで仕込みをしているのがこのカフェのコックさんであり、リーダーの様な人です。私は料理長さんって呼んでます。無口だけど優しい人なのでわからないことがあったら遠慮なく聞いてくださいね! もちろん私に聞いてくれてもいいんですよ!」

「はい、よろしくお願いします!」

 

 

 俺が厨房の奥にいる料理長さんに挨拶と一礼をすると、無言ではあるが親指を立てて返事をしてくれた。 確かに無口だけどいい人そうだな……。

 

 

「そして私が! 歌って踊れる声優アイドル、ウサミンこと安部菜々です! キャハッ!」

「え?」

「…………キャ、キャハッ!」

 

 

 お、思わず変な声を出してしまった…… ちょっとインパクトが強すぎて、何?歌って踊れる声優アイドル? なんかすごいな……

 

 

「す、すみません…よろしくお願いします!安倍さん!」

「白石くんは18歳なんですよね? な、ナナは17歳なので敬語じゃなくて大丈夫ですよ!」

「え? 17歳なんですか? 」

「細かく言うと永遠の17歳ですけどね! キャハッ!」

 

 

 ……な、なんだかすごい人だ。 上手く言えないけどこの人はすごい(確信)

 

 

「え、えーと……じゃあ…な、菜々さん。」

「はいっ♪」

「さっそくで申し訳ないんですけど仕事の内容を教えてもらっても大丈夫ですか?」

「じゃあまずは、テーブルを拭くところからやってみましょうか! その後もやることは色々あるので遠慮せずに質問してくださいね!」

「わかりました」

「それじゃあ今日1日頑張りましょう!白石くん!」

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 そして今に至る。 カフェでの仕事は菜々さんが丁寧に教えてくれるのですぐに頭の中に入ってきた。

 

 そしてこのカフェで働いて気づいた特徴としては、結構アイドルの人たちが利用しているようだ。 さっきからアイドルっぽい可愛くて綺麗な人たちがたくさん出入りしている。例えば……

 

 

「そこのキミ〜 注文いいかな〜?」

「はい。ご注文の品は?」

「そうね〜……ってキミ新入り?見ない顔ねぇ」

「こ〜ら、店員くんに絡まないの早苗ちゃん」

「べ、別に絡んだりなんてしてないわよ瑞樹ちゃん!」

「ふーん……でももしかしてこういう若い子が好みなのかしら〜?」

「いや〜 あたしはもっと筋肉ゴリゴリの男が〜 って何言わせんのよ!」

「あの〜」

「あ、ごめんごめん。 じゃあ私は紅茶とサンドイッチを、瑞樹ちゃんも同じよね?」

「えぇ。楓ちゃんは?」

「……ここのコーヒーはこうひーん質、イマイチですかね……」

「今はダジャレ考えてる場合じゃないのよ。注文は?」

「あら……でしたら、コーヒーと私もサンドイッチを頂きましょうか。コーヒーを公費ーで落とす……」

「……お、お上手ですね」

「うふふっ」

 

 

 

 愉快で綺麗な大人の女性たちとか……

 

 

 

「わたくしこの前牛丼という物を食べたんですの♪ とっても美味しかったですわ」

「あら、桃華ちゃん……牛丼とは一体どんな食べ物なんですか?」

「雪乃さん。牛丼とは焼いた牛肉をご飯の上に乗せた食べ物ですわ」

「あら…星花さん、お詳しいんですのね。私も牛丼を食べてみたくなりましたわ……店員さん? 牛丼をご注文してもよろしいでしょうか?」

「当店に牛丼はございません」

「あらあら……」

「うふふ…雪乃さんったら……」

「うふふふふ……」

 

 

「あの〜 注文を……」

 

 

 

 高貴なオーラを放つお嬢様たちとか……

 

 

 

「すまない、注文をいいかな?」

「あ、はい。ご注文をどうぞ」

「ボクはコーヒーにサンドイッチを 蘭子、キミはどうする?」

「ふむ、我は禁断の果実を貰おうか」

「え、えぇ……?」

「すまない。彼女の言葉はわかりづらいかな?」

「い、いえ……禁断の果実…… く、果物ですか?」

「否」

「えぇ……うーん、は、ハンバーグとか?」

「……!ククク…我が言の葉を理解するとは…飛鳥、どうやら彼は「瞳」を持つ者のようね……」

「…………?」

「すまないね。彼女はこれでも喜んでいるんだ。 さっきの禁断の果実というのはハンバーグのことで当たりさ。 この言葉遣いには目を瞑ってくれ。 これがボクと彼女のカタチなのさ」フッ...

「か、かしこまりました〜……」

 

 

 謎の言語を発する変なヤツらとか……

 

 

 

 とにかくここのカフェには個性豊かな客がたくさん来店している。 というか346のアイドル層広すぎるし…… 個性が豊かすぎるよ!

 

 

 今日一緒に働いている菜々さんも個性豊かなアイドルの内の1人だろう。 基本的にはしっかりとした人間らしいが、アイドルとしてのキャラ付けのようなものがぶっ飛んでいる。

 

 

 

「え〜と……あのお皿は……あった! う〜ん…と、届かないぃ〜 ウサミン一生の不覚〜」

 

 

「あ、こんなところに落とし物が……うっ! こ、腰がぁ〜 うぬぬぬ……い、痛くなんかないですよ……なんたってナナは永遠の17歳なんですから!キャハッ!」

 

 

 なんというか菜々さんはほっとけない感じの人だな。しっかりしてはいるんだけど危なっかしい雰囲気というか……

 

 

 そんなこんなで個性豊かなお客様の相手は疲れたが、優しい菜々さんと料理長さんのおかげで特に問題なくその日の仕事を終えることができた。

 

 

 

「はぁ〜 終わった〜」

「お疲れ様です〜白石くん。 料理長さんも中々の仕事ぶりだと褒めてましたよ〜 またいつかよろしくって言ってました!」

「お疲れ様です菜々さん。 菜々さんと料理長さんが丁寧に優しく教えてくれたからですよ」

「いやいや〜 ここって結構忙しい時は忙しいじゃないですか。 だからナナもここに来てからしばらくは、レッスンとカフェのお仕事の両立でクタクタになってましたよ〜」

 

 

 そういえば菜々さんはアイドルでもあるのにカフェでの仕事もしているのか……

 

 

「菜々さんはどうしてアイドルなのにここでも働いているんですか?」

「そうですねぇ……最初はアイドルとしての仕事もほとんどなくて、ここで働かせてもらって生活をしていたんですよ」

「でも最近はアイドルとしての仕事が増えてきてるんですよね?体疲れちゃわないですか?」

「疲れることもありますよ? でもここでの仕事も楽しくてつい…… あとは初心を忘れるべからずってやつですかね…? なんちゃって」エヘヘ

 

 

 なるほど……菜々さんにとってはアイドルの仕事もここでの仕事も大切なモノらしい。 何故かはわからないが菜々さんの話はもっと聞いてみたくなる。

 

 

「菜々さんはどうしてアイドルに?」

「そうですねぇ…アイドルはすごいんですよ」

「え?」

「……ナナはずっとアイドルに憧れていたんです。 みんなに夢と希望を与える存在って素敵じゃないですか! だからアイドルの持つ力はすごいんです!」

「……確かにそうですね」

「それでメイドの仕事をしながら声優アイドルを夢見てきたんですけど、中々上手くいかずに時間だけが過ぎていって……でもそんなナナをプロデューサーさんが見つけてくれて…!やっと憧れのアイドルになれたんです!」

 

 

 菜々さんは心底嬉しそうに語る。 それだけで菜々さんにとってアイドルという存在が特別だということがわかる。

 

 

「だからナナはトップアイドルになって、アイドルのことが好きな人たちに夢と希望を届けたいんです!………って、なんか自分のことばかり熱く語っちゃってすいません…」アハハ

「いやいや、菜々さんの話面白いですよ。 なんか人生の先輩って感じで……夢を叶えた菜々さんはすごいと思います!」

「いや〜 照れますよぉ〜 ……って!ナナは永遠の17歳なんですから人生の先輩じゃありません! ノウッ!」

「あははっ」

 

 

 菜々さんはすごくかっこいい人であると同時に、すごく面白い人でもあるようだ。

 

 

「菜々さんみたいに目標に向かって全力で頑張る人ってすごいと思います。 俺なんて大学入学と同時に東京に来たものの、将来の目標なんて決まってなくて……お金がほしいからなんて理由でここのバイトを始めたんですよ」

「でも、白石くんみたいに将来何がしたいか決まってない人って多いと思いますよ?」

「そうですかね……」

「それにそのお金が欲しい!っていうのも立派な目標ですよ! だってそういうのって人それぞれじゃないですか」

「……そうですね」

 

 

 なんだろう……この菜々さんの圧倒的オカン力のようなものは。最初は少し変な人かと思ってたけど、すごいしっかりとしていてカッコいい人だ。

 

 

「ってなんだか話し込んじゃいましたね。 それじゃあナナはそろそろ……」

「お〜い! 菜々パイセ〜ン☆」

「あれ?はぁとちゃん?」

 

 

 は、はぁとちゃん……?

 

 

「お疲れ〜っす☆ こんなとこで何やってん……ってオイオイ、これもしかしてスキャンダルか……?逆ナンでもしたんすか☆」

「ち、違いますよ! もぅ〜」

「いや〜ん、怒らないで〜 はぁとのちょっとした冗談だぞ☆ 」

 

 

 なんだこの突然現れた変な格好をした女の人は…… 俺と菜々さんの真面目な雰囲気が一瞬にしてぶち壊されたぞ…

 

 

「ってオイ☆ 君は一体どこの誰? 」

「あ、俺は白石幸輝っていいます。 ここでバイトをしていて……」

「ふぅ〜ん……頑張って働けよ青少年! ちなみにはぁとは、アイドルのしゅが〜はぁとだぞ☆ ノートに50回は書き込めよ〜 はぁとからの宿題だぞ☆」

 

 

 濃ゆい……今日会ったアイドルであろう人たちや菜々さんも大分濃いがこの人はズバ抜けて濃ゆいな。

 

 

「ってこんなことしてる場合じゃない〜! 菜々パイセン! 早くレッスン行かないとベテトレちゃんがブチギレるぞ☆」

「あわわわ……!そ、それはまずいですね! では白石くん、ナナは行きますね!よかったら今度ナナが出るライブ見てくださ〜い!」

「あ、待ってくださいよ〜菜々パイセン!」

 

 

 菜々さんとそれを追いかけるしゅがーはぁとさんは足早にその場を去っていった。

 

 なんつーか嵐みたいな人たちだ。

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜、俺は自宅にてアイドルのことについて少しだけ調べていた。

 

 

「えーと……あ、あったあった。 安部菜々、身長146cm……やっぱ小さいな。 おぉ、公式プロフィールにも永遠の17歳って書いてあるぞ」

 

 

 菜々さんと話した影響か、俺はアイドルのことについて少しだけ興味を持ったようだ。

 

 

「にしても346には本当にたくさんアイドルがいるんだなぁ」

 

 

 俺が今まで関わってきたアイドルの子たちはどんなふうに歌って踊るのだろう…… どんなアイドルなんだろう。 ダメだ、一度考え出したら気になってしょうがない。

 

 今度アイドルのライブとかに行ってみようかな……

 

 




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