インセクター羽蛾「え?オレが聖杯戦争に召喚されたんだって?」   作:妖怪もやし

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2話 ライダー君の呼びかけに応じて、参上してあげたよ。ヒャッヒャッヒャ

side インセクター羽蛾

 

 

「ひょ? ☆5以上のモンスターを召喚するには生贄が必要?」

 

「はい。 知らなかったんですか?」

 

「や、やだなぁ桜ちゃんってば。 知っていたに決まってるだろ? ジョークだよジョークゥ~」

 

「はぁ…」

 

 

 し、知らねー…。

 くそう、デッキを組みなおすか…。

 

 

 

「ん? なんか倉庫街で戦いが始まってるじゃないか。 騎士と騎士の戦いなんて、なんかロマンを感じるねぇ~」

 

「そうですね…」

 

「ひょひょ? なんか変なヤツが現れたぞ?」

 

「良いトコロだったのに、空気が読めない筋肉デブさんですね」

 

「そうだねぇ~。 あれ~。 なんかウザい事を言い始めたなぁ、コイツ」

 

「下らない…。 こんな呼びかけに応じるバカなんて居ませんよ」

 

「ここに居るよぉ~」

 

「え?」

 

「じゃ、行ってくるから。 魔力供給は頼んだよ」

 

「ちょ、ちょっとインセクター羽蛾さん!?  行っちゃった…。 あの人で大丈夫なのかな…」

 

 

 

 

side 衛宮切嗣

 

「聞けぇい! 日和見を決め込んでいる英霊共よ! 貴様らはこの誉れ高き騎士たちの戦いを見てもなお、姿も見せず、その力も振るわずにいると言うのか! 情けない、情けないのぅ! この征服王イスカンダルから見れば、貴様らの姿は実に小さく見える!」

 

 

 僕は狙撃銃を構え続けながら、苛立ちを抑えるのに懸命になっていた。

 ランサーのマスターを始末したいところだが、アサシンの暗躍が鬱陶しい。

 それに、アサシンが居なかったとしても、あのエルメロイを仕留めるのは簡単なことでは無い。

 まぁ、あの手段を使えば、典型的な魔術師であるヤツを葬る事も可能だがな。

 

 ライダーの妄言など論外だ。

 まともな性格のマスターとサーヴァントなら、あんな見え透いた挑発に乗る筈がない。

 下らない。

 これは戦争。

 そこにあるのは、石器時代から何も変わらない、血なまぐさい殺し合い。

 エゴの通し合いだ。

 それに、僕が召喚したサーヴァントの語る下らない騎士道や、征服王を名乗る侵略者のいう美学などはありはしないのだ。

 

 …その筈、なのだが…。

 

 

「ヒョーッヒョッヒョ! では、お言葉に甘えてきてあげたよ」

 

 

 馬鹿な…。

 正気か、あの男…。

 

 

 

「…セイバーにランサーよ。 この結界には不備があったようだな。 子供が迷い込むとは」

 

「いや…ライダー。 そう思いたい気持ちは分かるが、あれは本当にサーヴァントのようだ」

 

「…世も末だな」

 

「子供? 子供がこの戦争に迷い込んだのかい? それは大変だなぁ~。 一刻も早く保護してあげないと! ヒャッヒャッヒャ!!」

 

 

「「「お前のことだ」」」

 

 

「ぴょー!!」

 

 

 …頭痛がする。

 目の前でコントのようなやり取りをしている連中が、歴史に名を遺した英霊だと?

 それに、あのいかにも小物という雰囲気の小男…。

 僕自身、戦場の中で少年兵を幾度も見てきたが、あの男からはそういった迫力が微塵も感じられない。

 

 

「我を差し置いて王を名乗る不埒者が居たと思えば、道化が現れたか。 この聖杯戦争も底がしれたものだな」

 

「ほう、役者がさらに一人現れたか」

 

「ピョピョー? 道化なんてドコに居るんだい? オレさぁ、サーカスとかあんまり行ったこと無いんだよねぇ。 その道化さんに会って、一つ芸でも見せてほしいモノだよ」

 

 

 

 この眼鏡をつけた子供にしか見えないサーヴァントは、どこまで本気なんだ…。

 全てを投げだしてしまいそうになるのを懸命にこらえ、狙撃銃を構え警戒を続ける。

 

 

「道化、あまり調子に乗るな。 王の不興を買った道化がどうなるか、この極東の島国の者でも知っているだろう」

 

「あれあれー? 道化ってもしかしてオレの事なのかなー? 酷いことをいう金ピカさんだよ。 ヒャヒャヒャ」

 

「…貴様」

 

「…で、眼鏡の小僧と、金色の王よ。 一つ名乗りでもあげては貰えんか? コレでは話が進まぬ」

 

 

 脱線に脱線を重ねる展開にうんざりしたように、ライダーが問いかける。

 

 

 

「貴様ら雑種ごときに、我が名を名乗る必要はない」

 

「ケチな金ピカさんだなぁ~。 オレは堂々と名乗っておくよ。 オレはキャスターのサーヴァント、インセクター羽蛾サマだ! ヒャーヒャッヒャッヒャ!!! 恐れ入ったか!!」

 

「…知ってるか?」

 

「知るわけないだろ」

 

 

 顔を見合わせるセイバーとランサー。

 戦の最中に、さっきまで剣戟を繰り広げていた相手と知識の確認か。

 反吐がでるよ、騎士王サマ。

 

 

「キミ達さぁ~。 オレの事、舐めてない? オレさぁ、この国のチャンピオンなんだよね。 ヒャッヒャッヒャ! サインでもあげようか?」

 

「こんな小男が王か…。 この国も終わりだな」

 

「失礼だなぁ~。 良いよ、イケメンの騎士クン。 君を倒して、俺の存在の素晴らしさってヤツを証明してやるよ」

 

「やれるものならばやってみろ。 我が剣の錆にしてくれる。 セイバー、この戦い預けたぞ」

 

「ああ、構わないランサー。 場に相応しくない小物を排除してくれ」

 

 

 すっかり仲良しモードだな。

 だが、まあ良い。

 これでランサーがあの男を排除すれば、サーヴァントが一騎、脱落する。

 先日、アイリスフィールから一騎のサーヴァントが脱落したと知らされた。

 退場したのはバーサーカー。

 察するに、魔力量の多さによるマスターの自滅か…。

 だとすれば、あのキャスターを倒せば、合計で二騎のサーヴァントが消えることになる。

 これ自体は僕にとって理想的な展開。

 サーヴァント同士のなれ合いは目に余るがな…。

 

 そんな僕の想像は、半分だけ実現することになる。

 確かに今夜、さらに一騎のサーヴァントが脱落した。

 だが、そのサーヴァントはキャスターではなく…。

 

 

「ら、ランサーが死んだ!」

 

「ヒャーヒャッヒャッヒャ! 君たちさぁ~、歴戦の英霊の割には大したコト無いね。 『人は見かけじゃない』。 そんなコトさえ知らないんだからさぁ~! ピョピョー!!」

 

 

 事の流れを、再確認する。

 キャスターは「代打バッター」とかいうふざけた名前の蟲を呼び出し、ランサーはそれを容易く切り伏せた。

 途端に、代打バッターの死体から巨大な蟲が召喚されたのだ。

 ランサーは果敢に立ち向かったが、その強靭な皮膚に攻撃は通じない。

 その間にキャスターはさらなる蟲「ビック・アント」を呼び出し、巨大な蟲にそいつを食べさせたのだ。

 共食いによって力を増した巨大な蟲「インセクト女王」により、ランサーはあっけなく首を噛みちぎられ、絶命した。

 血しぶきが舞い、ランサーの身体が巨大な蟲にくわれていく。

 それを僕たちは呆然と見ていることしかできなかった。

 

 

「ひょひょー! これでバーサーカーに続き、ランサーまで倒しちゃったよ。 いやぁ~、オレって本当に強いなぁ~!!」

 

「ランサー…! ランサァー!!!」

 

「お、おいライダー、これって…」

 

「…ああ、あのキャスター、見た目通りの小物では無いようだな」

 

「つまらない戦力分析は終わったかい? さぁてと…」

 

 

 緑の服を着たキャスターは、眼鏡の位置を指で直し、サーヴァントたちに向き直る。

 

 

「女王様がまだ食べ足りないってさぁ! さーて、次は誰がエサになってくれるのかな? ヒャッヒャッヒャ!!」

 

 

 不敵な高笑いをするキャスターに、僕は自分の分析が甘かったことを再認識するのであった…。

 

 

 

 つづく。




 ランサー(真名ディルムッド・オディナ)  消滅
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