IS ~悪魔の名を持つ機体~   作:湯呑み茶碗

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 中々両主人公の出番を同じくらいにするのが難しい。


飛行訓練

 四月下旬

 

「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑、名瀬、オルコット。試しに飛んでみせろ」

 セシリアの肋骨も治り、ISの操縦も問題なく行える状態になっていた。完治前のコルセットを着けた状態でISを装着した際には暁が大笑いしていた。

 

「早くしろ。熟練したIS操縦者は展開(オープン)までに一秒とかからないぞ」

 織斑先生に急かされて意識を集中させる一夏。その間に暁とセシリアは既にISを展開している。バルバトスの待機形態は右手薬指に装着された指輪である。

 

「俺の方が早かったな」

「あら、展開に集中しすぎて周りも見えてなかったのかしら。私の方が明らかに早かったですわよ」

「そっちこそ周り見えてないんじゃないのか?」

 この光景も既にクラスの名物となりつつある。基本的にいつも一緒に行動してはこういった下らない事で言い合っている。そのため、クラスメイトからは痴話喧嘩と呼ばれているが、その度に本人達は否定している。

 

 そうこうしてる間に、一夏がISの展開を終え、二人の方へ寄ってくる。

 

「またやってるのかお前ら」

「「セシリア(暁さん)が悪い!」」

 

「さっさと飛べ、お前ら」

 

「「はい!」」

 言われて即座に飛び上がる二人。こういう息のあった所が痴話喧嘩と呼ばれる所以だろう。

 

 後ろから一夏がついてくる形で上昇し、二人が前に並び、一夏が後ろを追いかける形になる。

 

「自分の前方に角錐を展開させるイメージだっけ? わっかんねー……」

 一夏の言葉を聞いた二人が速度を落とし一夏に合わせる。

「一夏さん。イメージは所詮イメージ。自分がやりやすい方法を模索する方が建設的でしてよ」

「そう言われてもなぁ。大体、空を飛ぶ感覚自体がまだあやふやなんだよ。なんで浮いてるんだこれ」

「まあ、原理は別にして水中を浮いてるイメージで考えると分かりやすいと思うよ」

「理論については説明しても構いませんが、長くなりますわよ?」

「反重力翼と、流動派干渉の話になるからな。今聞いたら訳分からなくなって落ちるまである」

「慣れていないと会話しながら飛ぶのもままならないですものね」

「だな」

 二人揃って一夏に飛行についての説明をする。

「ホントに仲良いなお前ら」

「「仲良くない(ありませんわ)!!」」

 そんな事を話していると、三人の無線に織斑先生の声が入る。

「織斑、名瀬、オルコット、急降下と完全停止をしてみせろ。目標は地表十センチだ」

「了解です。では御二方、お先に」

 そう言って二人を置き去りにしてセシリアが地上に向かう。

「うまいもんだなぁ」

「十センチかぁ……着地しちゃダメなのか。ビタ止まり嫌いなんだよな」

 感心する一夏の隣でブツクサと言いながら、暁も急降下を始める。

 

 セシリアは完全停止まで完璧にこなしたが、暁はと言うと。

「あ、やっべ……!」

 地表との距離感覚を見誤り、停止後に着地。完全停止は失敗となった。

「名瀬、実践では空中での完全停止も必要になる。停止後に着地する癖をつけるな」

「はい……」

 失敗した暁にしたり顔でセシリアが寄ってくる。

「地に足着けてと言いますが、ホントに着けてしまってはいけませんわよ。スーパーヒーローに憧れでもおありかしらぁ?」

 毎度毎度、暁が何か失敗する度にこうして煽ってくる。それに対し暁も言い返すため、実践訓練の度にこうして口喧嘩をして、クラスメイトから冷やかされているのだ。

 だが今回の場合は、

「あれよりマシだろ……」

 地面に墜落した一夏を指さしながらそう言うだけに留まった。

「まあそれは確かに……」

 

 二人で一夏の方へ寄って行き声をかける。

「大丈夫かー?」

「お怪我はなくて?」

「あ、ああ。大丈夫だけど。人の心配をするならその顔はやめた方がいい……」

 揃ってニヤケ面で墜落の衝撃でできた穴に埋まった一夏を覗いていた。その顔は今にも吹き出しそうと言った表情だ。

 

「おい、馬鹿者ども。邪魔だ。失敗者を笑いたければ端でやれ」

 セシリアと暁を押しのけて一夏の前に織斑先生が立つ。

「織斑、武装を展開しろ。それくらいは自在に出来るようになっただろう」

「は、はあ」

「返事は「はい」だ」

「は、はいっ」

「よし。では始めろ」

 

 そう言われて周りに人がいないことを確認してから右手を握り込み、左手を添える。その後光が放出され、五秒ほどで一夏の手元に刀《雪片弐型》が展開されていた。

「遅い。0.5秒で展開できるようにしろ」

 

(それは酷くね……?)

 一夏の努力を目にしていたため、織斑先生の厳しい言葉に心の中で反論する暁。とはいえ、実践でこの速度では遅すぎることも分かっているため、口には出さない。

 

「名瀬、武装を展開しろ」

「はい」

 そう言われた暁は即座に手元にメイスを展開する。構えなどは特になく、少し手を前に出しただけだ。

 

「よし。その飲み込みの速さを飛行でもできるようにしろ」

「はい」

(えぇ……これでも褒めて貰えないのか……)

 心の中で再度文句を言うが、あまり顔に出すとバレるので我慢する。

「次にオルコット。武装を展開しろ」

 左手を肩の高さまで上げ、真横に腕を突き出す。一瞬の光とともにライフルが手元に展開される。

 

「さすがだな代表候補生。だがそのポーズはやめろ。真横に重心を向けて誰を撃つつもりだ」

「で、ですがこれは私のイメージをまとめるために必要な「直せ。いいな」

「はい」

 遮る形で言われ、しょぼくれながら返事をする。

「オルコットは近接用の武装、名瀬は射撃武装を展開しろ」

「えっ。あ、はいっ」

「了解です」

 普段使わない武装の展開を指示され戸惑うセシリアと、いつもの調子の暁。暁の方はメイスの収納(クローズ)とほぼ同じタイミングで滑腔砲を展開させるが、セシリアの方はと言うと、

「くっ……」

「まだか?」

「す、すぐです。ああ、もうっ! 《インターセプター》!」

 手こずった末に、武器の名前を叫びながら展開する。今までの展開を見ればわかる通り、脳内でイメージが完成させられるのならこんな方法は必要ない。普段使わない武装のため、こういった初心者用の方法に頼らざるを得なかったのだ。

 

「……何秒かかっている。お前は実戦でも相手に待ってもらう気か?」

「じ、実戦では近接の間合いには入らせません! ですから、問題ありませんわ!」

「俺、暴走する前から近接で一発あててた気がしまーす」

 既に滑腔砲を収納した暁が口を挟む。

「そういう事だ。普段使わない武装も即座に展開できるようになれ。いいな」

「はい」

 小さな声で返事をした後に、暁の方を睨む。

「おーこわ。名前を叫んで武装を展開するなんて、優等生様は戦隊ヒーローにでも憧れてるんですかねぇ?」

 こうしてまた口喧嘩が始まり、織斑先生から一喝される二人であった。




 そもそもこの二次創作の主人公は暁なんだから、暁と絡むキャラだけをフォーカスすればいい気がしてきた。
 追記:サブタイミスってて草。まだ鈴出てこないやん……
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