鈴のお悩み相談から数週間経ち、クラス対抗戦当日。
アリーナの中心で浮かぶ鈴と一夏を、担任二人と共にモニター越しに眺める三人がいた。
「どうなると思いますか?」
「四分六で一夏負け」
「やれる事はやったと思うが……」
セシリアの問いに消極的な返答をする暁に不安そうな反応をする箒。
「一次移行は済んでるし、ここまでの特訓で一通り機体の特性は理解してるだろうけど、相手が相手だし、付け焼き刃でどこまでやれるかって感じだよな」
「ところでアイツらは一体何を話しているんだ?」
「「あー、それは多分」」
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「とりあえず、先にいくつか言わせてもらうわ」
「なんだよ?」
試合開始の合図を待ちながら、鈴が口を開く。
「あの時の言葉、紛らわしかったかもしれないけど、アタシからすれば告白のつもりだったの」
「……は? あ、アレってそういう意味だったのか!?」
「まあいいわよ。紛らわしい言い方したアタシも悪かったと思うから、だけど、ムカついたし悲しくもあった」
「……それは」
「でもいい、今は謝らないで。この試合でアンタにちゃんとそれをぶつける。それで全部チャラにして仲直りしたい」
「……そうか。じゃあ俺もちゃんと応えるよ。本気で戦って、ちゃんと答えを出す」
二人が会話を終えたところで、試合開始の合図が鳴る。
「さあ、行くわよ!!」
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「こ、告白だと!?」
「酢豚の話は聞いてるんでしょ? その辺の話をハッキリさせるんだってさ」
二人から細かい話の概要を聞いた箒が驚きの声を上げている。
「とはいえ、今回の鈴さんの様子を見るに告白の答えを貰おう、という雰囲気ではありませんし、すぐに二人の関係に発展があるとは限りませんから、安心していいと思いますわよ」
「そ、そうは言ってもだな!」
「うるさいぞ貴様ら! 黙って見れんのか!」
騒ぐ箒と元凶の二人が織斑先生によって一喝される。
モニターには、砂埃を上げながら、見えない何かを回避しようとする一夏の姿が映っていた。
「どういう事ですの? 鈴さんのISには射撃武器に相当する武装はありませんのに。一体何を?」
セシリアが首を傾げる。
「……見えない砲撃、ねぇ」
(なんか、聞き覚えのあるような無いような。どっかのアニメで……)
「……空気砲?」
暁が国民的アニメの代表的道具の名前を呟く。
「空気砲、と言ってもあのISには空気を放出するような装備はどこにもありませんわよ?」
「うん、だから可能性として考えられるのは、空間自体に圧力をかけてその圧力をエネルギーに衝撃を放ってる。って感じだと思う」
「なるほど、砲身も砲弾も見えない、となるとかなり厄介ですわね」
苦い顔でモニターを睨むセシリア。色々言ってはいたが、クラス代表である一夏に勝ってほしい気持ちもあるのだろう。
「対する一夏はどっかのタイミングで懐に入り込まないと反撃のしようも無い。どうしたものやら……ん?」
「どうかしました?」
「いや、なんか。ちょっと気になる事が……セシリア、ちょっとアリーナの方行くよ」
そう言って、無理やりセシリアの手を引っ張り歩き出す暁。
「ちょ、ちょっとまだ試合中ですのよ。それにどっちで見ても結果は変わりませんわよ!」
騒ぐセシリアを引きずるようモニタールームを出て行く。
「なんなんですの一体全体。何かあるのであればちゃんと言ってもらえれば」
アリーナへ向かう廊下の途中でセシリアが聞くが、暁は特に気にせず歩を進める。
「いや、杞憂なら良いんだけど、アリーナの外に何か見えた気がした。ドームをぶち抜いてどうこう出来るとは思わないけど、何かあったらすぐに対応できる位置にいたい」
「それならそうとあの場で言ってくれれば」
「俺の杞憂で試合を止めるようなことはしたくないから」
「なるほど、そ、それはそれとして、そろそろ手を離していただけませんか……?」
「あ、ごめん。とにかく急ごう」
若干頬を赤らめたセシリアを気にせずに走り出す暁と、腑に落ちない表情でそれを追いかけるセシリア。
そんな二人がアリーナに到着した直後、爆発音と同時にアリーナ全体が衝撃に揺れた。
「嫌な予感的中……」
防御シールドを突き破ったであろう謎のISが、アリーナ中央に着地していた。
「そんなこと言ってる場合じゃありませんわ」
「分かってる……よ!!」
言うが早いか、即座に片腕とメイスのみ展開し、中央にいるISへ投げつける。幸か不幸か、防御シールドを突き破って乱入してきたおかげで、観客席を覆っていた防御シールドも消失していた。
そのため、暁が投げたメイスは一直線にISの頭部を貫いた。
「無人機だ! 多分センサー類はやれたから後よろしく!」
そう言って、同じくISを展開して飛び上がっていたセシリアに通信を送る。
「人遣いの荒い人ですわね! 高くつきますわよ!」
そう言いながらも4基のビットとライフルを構え一斉掃射する。
その全ては射撃音と共に乱入してきたISに直撃し、活動を停止させた。
「ナーイス」
「全く、合わせる側の身にもなってもらいたいものですわ」
二人の手柄により、大した被害も出ずに終わった乱入事件であったが、それはそれとして勝手な行動をした事による織斑先生からの説教タイムがこの後迫っている事を二人はまだ知らない。
「うやむやになっちゃったわね……」
アリーナの真ん中で一連の騒動を見ていただけの乱入被害者二人がISを解除し立ち尽くしていた。
「あぁ……まあその、悪かったな。色々、それと」
「良いわよ。全部。謝罪は受け取るけど、返答とかそういうのはまだいい。アンタも急な話で答えなんかでないでしょ」
「まぁ、その、確かにそうだけど」
「アンタがちゃんと考えて私を選ぶにしてもそうじゃないにしても、その時がきた時に返事は貰うわ。でも、それまでに必ずしもキープ出来てるとは思わない事ね」
そう言ってニヤリと笑う鈴の表情は、少し悪そうで、腫れ物が落ちたようだった