IS ~悪魔の名を持つ機体~   作:湯呑み茶碗

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バルバトスの一次移行、という事で初期の状態から第4形態に変わった感じで想像して貰えるとわかりやすいです


暴走する悪魔

 砂埃が晴れた先には肩の装甲が追加され明らかに雰囲気の変わったバルバトスを纏う暁が立っていた。

 

(まさか……一次移行(ファースト・シフト)? あれだけの動きを、初期設定のみの機体で? いえそれより……あの雰囲気は一体……?)

 

 先程までの焦りや劣勢を隠すための飄々とした雰囲気とは真逆の、落ち着きと、試合では決して見ることの無い、()()を纏っていた。

 

(何かがおかしい)

 そう思い咄嗟に口を開く。

「試合中断ですわ! 様子が」

 そこまで言いかけた所で暁が動き出す。

 手に持っているメイスを地面に叩きつけ、再度砂埃を巻き上げる。そして、視界の悪い砂埃の中を蛇行しながら突き進む。

 

(どうにかして止めるしか……!)

 砂埃の中を音を頼りに撃つが、それがさらに砂埃を巻き上げ逆効果となってしまう。その上、砂埃の中を突き進みながらメイスを地面に擦っているため、砂埃は消える気配がない。

 セシリアのいる位置からでは一切暁の姿を認識できない。

 

「くっ……!」

 砂埃を払うためにライフルを撃とうと構えた瞬間ーー

 

「あ゛ぁぁあ!!」

 装甲のない肩にメイスがめり込む。グシャリという鈍い音と共に、抉り取られるような激痛が走り、地面へと叩きつけられる。

 ISには命の危機に晒されるほどの攻撃を受けた際に、装着者を守るための絶対防御というシステムがある。しかし、これはあくまで人体へ致命的なダメージを与えないためのものであり、これによって衝撃による痛みなどが無くなる訳では無い。

 

「かはっ…!!」

 

 背中からたたきつけられた事による一時的な呼吸困難と肩の激痛に意識が持ってかれそうになりながらも、なんとかバルバトスを視線に捉える。

 空中からメイスを構えたバルバトスが向かって来るのが見え、スラスターのエネルギーを放出し何とか回避した、はずだった。

 

「ぐぅっ……!?」

 退避しようとしたセシリアの足首を無理やり掴み、再度地面に叩きつける。限界まで速度を出していた所から急に足を掴まれたため、膝の間接が外れる。

 

 膝と肩の激痛に耐えながら何とか逃げようと這うセシリアを一切の手加減なく蹴り飛ばす。

 

「はぁっ……! はぁっ……! 落ち着いて……ください……!」

 

 地面に倒れ込みながら、完全に暴走している暁を何とか宥めようと声を振り絞るセシリアだが、彼の耳にはまるで届く様子がない。

 

「……殺さないと」

 

 足元に転がるセシリアの頭に向けてメイスを構え小さく呟く。

 完全に息の根を止めようと、ISの装着が解けたセシリアの頭目掛けてメイスを振り下ろす。

 

 グシャリという鈍い音……ではなく、鉄同士がぶつかり合ったような音。セシリアの頭がメイスに潰される事はなく、その巨大な鉄の塊は、人の背丈ほどある刀によって止められていた。

 

「何……やってんだ!」

 

 ISを装着したもう一人の男子操縦者、織斑一夏の握る刀によって弾き返される。

 そしてそれとほぼ同時のタイミングで、バルバトスのエネルギーが切れ、装着が解除される。

 

「……一夏?」

 

 生身になった暁が驚いたように、一夏と後ろで倒れているセシリアを交互に見る。

 

「マジか……」

「マジだよ……完全に殺そうとしてたよ……」

 いつも通りに戻った暁に対し、拍子抜けしたように応える一夏。

 

「……止めてくれたのか。ありがとう」

 フラフラとした足取りで一夏の方に近付き、少し高い位置にある彼の肩に手を置く。

「ほんとに……ありがとう」

「ああ、まあそこは気にしなくていいけど、とにかく」

「分かってる。彼女をとりあえず保健室に……」

 そこまで言いかけた所で力が抜けたようにその場に倒れ込む。

 

 試合をしていた2人が倒れてしまい、一人残された一夏。

 

「暁……? マジかよ……」

 

 

 




彼の暴走についてはおいおい説明予定
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