IS ~悪魔の名を持つ機体~   作:湯呑み茶碗

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保健室でどうにかできるレベルじゃないだろって言うツッコミについては、兵器扱う学校だし、一定レベルの怪我なら保健室で行けるやろっていう感じで。


保健室にて

「ん……」

「……良かった。目が覚めた」

「……随分と、痛めつけてくれましたわね……」

 目が覚めて開口一番に隣のベッドに座る暁をなじるセシリア。当然である。

「ごめん」

「……はぁ……そこは構いませんわ。決闘の申し込みは私がした事ですし、負けは負け。立場が逆だった可能性が無いわけでもありませんし」

 彼女の言うとおり、今回は暁の暴走によりこういった結果になったものの、セシリアの実力次第では暁や一夏が怪我を負っていた可能性は否定できない。そこは彼女自身も理解しているのだろう。

 

「ただ、一次移行後の貴方はまるで別人でしたわ。アレは一体?」

 試合の時点で何かおかしくなっている事には気づいていたセシリアだが、何を引き金にそれが起きたのかまでは分かっていなかった。

「あー、それはなんというか……結構言いづらいことなんだけど……まあ、アレだね。トラウマってやつが関係してるというかなんというか」

 言葉を詰まらせながら、なんとか誤魔化そうとする暁の様子から察したセシリアが言葉を遮る。

「言いづらいことでしたら今すぐでなくても、いつか話す気になった際に教えてくだされば構いませんわ」

「ありがとう。まあ、そういう事なら。ただ強いて言えることがあるなら、女性から身体的な危害を加えられた時にああなる。シールドバリアーとか絶対防御があれば大丈夫だとは思ってたけど、確信が持てなくて。だから出来れば試合はしたくなかったんだけど」

「それであそこまで無理に回避をしていたのですね。事情も知らずに決闘など、本当に申し訳ないことをしましたわ」

 

 初日とは打って変わって、しおらしいと言うか大人しい雰囲気のセシリアを見て首を傾げる。

「誰?」

「セシリア・オルコットですわ! 貴方がつい先程瀕死にしたイギリス代表候補生の!」

「いや、それは分かってるけど……まるで別人だから」

「それは……貴方に対する認識は試合の中で変わりましたし、自分自身の未熟さも嫌という程思い知ったからですわ」

「なるほど?」

 にしても変わりすぎじゃないか? と一瞬思った暁だが、今のセシリアの状態を見るに自分が何をやらかしたのか概ね理解し納得する。

 

「とにかく、今までの非礼を改めて謝罪致しますわ」

「気にしないでいいよ。やりすぎなくらいやり返しちゃったみたいだし、俺も色々言い過ぎたし、申し訳ない」

「では、仲直りですわね」

 そう言って痛めてない方の手を差し出すセシリア。

「そうだな。ところで」

 彼女の手を握り返しながら疑問に思ってたことを聞こうとする。

「クラス代表の話だけど、俺は試合内容に問題ありで失格だろうし。君は、そんな状態だし」

「というか私、自分の体が今どのような状態かまだ把握出来ていないのですが……」

 校医が席を外していて現状の説明がないため、不安そうにセシリアが聞き返す。

「一応命に関わったり、今後の生活とかIS操縦に支障が出ることは無いらしいけど、膝の脱臼と右の肋骨の粉砕骨折。あと複数の打撲。ホントごめん……」

「い、いえ、気にしなくていいのですよ。色々痛みはありますが、怪我の治りは早い方だと自負していますから!」

 深く頭を下げる暁に対しフォローを入れる。

 

「とはいえ、そうなると私も辞退する形になりますわね」

「辞退?」

「ええ、貴方との試合では私が勝ちましたし、試合は出来ませんが初心者の織斑さんに私が負ける訳ありませんから」

「はあ? いやいやいや、その有様で勝ちを主張するのはさすがにないでしょ」

 包帯だらけのセシリアを指さしながら否定する。こんな状態の相手から、まさか勝利宣言をされるとは思わなかったのだろう。

 

「当然ですわ! どう考えても試合としては私の勝ちだったでしょう! 肋骨が折れているのだから大きな声を出させないでくださるかしら!?」

「かぁーっ! これだからイギリス人の女は! 自分の負けを素直に認めることも出来ねぇのか!」

「んな!? まだ私の祖国のことを馬鹿にしてますの!? 仲直りの握手までしたというのに日本人というのはしつこいですわね!!」

「こっちの「うるさいぞ貴様ら!」

 暁が言い返そうとしたところで、保健室のドアが開く。そこには織斑先生と山田先生が立っていた。

 

 

 ―――――――――――――――――――

 

「問題は無いかと様子を見に来てみれば、名瀬、怪我人相手に喧嘩を売るな。オルコット、怪我人なら静かにしてろ。そもそも、保健室で騒ぐな」

「「すみません……」」

 

 ベッドの上でそこそこ長めの説教をされていた二人だが、そこに割り込むように山田先生がフォローを入れる。

 

「ところで、本題クラス代表の件なのですが、名瀬君は試合内容及び精神面の問題から、オルコットさんは対抗戦までに完治するのは難しいと考えて、クラス代表は残った織斑君という事になります。御二方とも構いませんか……?」

「「はい」」

「話の内容はそれだけだ。名瀬の件については追って話を聞く。二人とも安静にしておけ。口喧嘩なら静かにしろ。良いな?」

「「はい……」」

 蛇に睨まれた蛙のように縮こまった二人を横目に、教師陣が保健室を出ようとする。

 

「……お前のせいだからな」

「貴方のせいでしょう……!」

 

「何か言ったか?」

「「いえ何も!!」」

 お互いに責任を擦り付け合う二人を一喝し、二人の教師は保健室を出ていった。

 少ししてから、セシリアが口を開く。

「まあ、勝敗の事はともかく、貴方はこれからどうするんですの?」

「これからって?」

「その状態ではISを使う授業や、模擬戦などには参加が出来なくなってしまいますわよ?」

「そういう事か……。どうしたもんかね。辞めようにも国はそれを許しちゃくれないだろうし、回避に特化した戦い方をするしかないんじゃないかね、やっぱり」

「何とか克服できないものかしら。こう、トラウマそのものというよりは、相手を殺してしまわないようにできる……近接武器を一度外してみるとか!」

 考え込むセシリアを見て、不思議そうな顔をする暁。

「随分と考えてくれるんだな。自分の事殺しかけた相手のこと」

「い・ち・お・う、これから同じクラスのお友達となるわけですから、少しくらいはお手伝いしてあげようというお心遣いですわ」

「そりゃどうも……態々強調した言い方までしてくれて、ホントに良い性格してるな」

「貴方程ではありませんことよ」

「……はぁ、いやでも、ホントにありがとう。色々考えてくれて」

 煽り返してくるセシリアに、呆れながらも素直に礼を言う、こんな事になって尚、恐れずに接してくれるのは非常にありがたいことだった。

 

「良いんですのよ。一緒に考えましょう?」

 笑いながらそう答えるセシリア。

 

 

 とはいえ、二人の元々の性格もあって、この後も何度か喧嘩にはなったのだが

 




書いてて、セシリアこんな感じだったか? と自分でも思った
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