鋼鉄の咆哮_AZUR BREAKER 作:Bligh_Drunk
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最近、クルーガーの奴は前にも増して頭がおかしい。
奴は前に、[キューブ]を超えるエネルギーサンプルが手に入ったとかはしゃいでいたが... そんな代物があるんなら是非ともお目にかかりたいもんだ。…どうせハッタリだろうが...
添付されていた画像にあったのは、橙色をした眼玉のような鉱物。
クルーガーは美しいだの素晴らしいだの言ってるが、これのどこにそういう感想が浮かぶんだ? まったくもって理解できん。
仕方ない、進展が無い俺の研究の気分転換がてら、あいつの処にでも行ってみるか。
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……特に収穫は得られなかった。
ああ、それにしても腹が立つ。だいたい、俺の研究も◆◆◆◆さえ居なければ高く評価されていたはずなのに!!!
…どうにかして、奴を□□す良い方法はないものか...
―日記ファイル_13.book3―
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「"接続"は成功したみたいね。上手くいくかは50/50ってところだったけど。」
『随分と面倒な手を使ってくれたじゃない... こっちは、ボディを浪費した挙句にあなたの策のお膳立て役とはね。ま、事が運んだのなら私は用済みよね? それじゃ、失礼するわ。』
「そうね、あなたはあなたのやるべき役目がある。今はそれでいいわ。」
「……そう... 今はこれでいい。"アレ"が私達の元へ辿り着けば... ふふふっ!!」
………
……
…
~ ? ? ?
『穴』内部_鏡面海域(?)
<…あー、アルウス、[3rd]よ。そちらで何か見えたか?>
<えぇい! うるさい奴め!! これで何度目だその問いは?! 我の兵は何も見つけておらん!!!>
<我の兵でも収穫は無しだ。奴らめ、姿をくらませているだけか...あるいは此処にはなにも無いか。>
『穴』内部へと侵入して約6時間が経過...
アレスとテュランヌス部隊は鏡面海域内をただただ彷徨っていた。
夕暮れの固定背景をバックに何も無い海上を進んでいた。
そう、"何も無い"のである。
セイレーンの量産艦艇どころか、『駒』の存在すら見受けられない。
まっさらな海を、クルーズツアーと勘違いしているのではと疑うほどの静けさで。
<…拍子抜けだな... これがセイレーン側の戦略だとしたら随分奇抜だが。>
<そも、これは戦略って言えるのかぁ? 俺にはだだっ広い空き地にしか見えねぇぜ。>
「セイレーンの目的は、アタシらも正直よくわかってないんだ。ビスマルクとかなら、そこんとこもう少し詳しいかもしれないが...」
「…結局、私達も元は複製体... 記録されている情報にも限界がある。」
「鏡面海域自体がセイレーンによる実験のための"盤上"のようなものなので...『特異点』と呼ばれるものだと、また違うもののようですが。」
<…ほぉ...! そんなことも"可能"ってわけか!!>
<これはこれは...>
「こ、これは...」
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//Simulation_sequence[ Azur lane ]
//Simulation_sequence[ Red axis ]
#####
"盤上の駒"...とは、よく言ったもんだ。
確かに、今の今まで目の前には"何も無かった"。
現在、俺らの目の前には... まるで先程までそれが眼前で行われていたかのように戦闘している集団が"いきなり現れた"。
光学迷彩で隠れていたわけでもなく、電波妨害による情報欺瞞もなく... "そういう設定"であったかのように俺らの前に出てきた。
争っているのは"アズールレーン"と"レッドアクシズ"の『駒』と量産型の艦艇がわんさか。
こちらには目もくれず、尚も戦闘を続けている。
『これがセイレーンのやってる実験か?』
「どうでしょう... 何かの『再現』の可能性もあるかもしれませんが...」
「あー、あれは"違う"な。ティルピッツが前線に居る時点で違う。」
「重桜部隊には『赤城』さんに『加賀』さんも... …あ、『綾波』も居たです。」
「水面下も伊号艦や鉄血潜水艦でいっぱいだよ! 『駒』も何体か混ざってるね。」
「私や『飛龍』も居ますね。これは『再現』というよりも...」
『使える戦力をかき集めた、てとこか。』
戦闘音が一気に止んだ。
奴らは皆、"こちら"を向いていた。
[…どうやら、"新たな邪魔者"ガ現れたヨうね...]
[そのよウね、一先ズ"奴ら"から片づけルというのはドうかしら?]
[ソうだナ、"部外者"に戦いニ水を差されたクハないしな。]
…
……
………
<俺らは"共通の敵"らしいな? "狩られる側"は俺らだ...てな、どう考えるよお前ら。>
<たわけ、雑兵ごときが王者に逆らったところで足元にも及ばぬわ。>
<潔き力のぶつけ様としては多少評価はしよう。しかし、"勇敢"と"無謀"は全く違う。>
<…それを俺らが言っちゃうか? ま、あれで自分らが上だとデカい顔されるのも癪だ。いっちょやるか。>
「ヘッド...」
『まあ、見てろや。奴らもすぐに知ることにな...』
「いえ、戦力の心配はありませんが... できれば自分の『駒』は自分で始末したいです。」
『………』
<…もう始めてよろしいですか?>
『ああ、やってくれ...』
その光景は、あまりにも無惨にすぎた。
暮れなずむ蒼海を背に、集い集った"救世の力"の象徴達、その"鏡像"はただただ無力だった。
ユニオン艦隊は、自慢の航空戦力でもって攻め立てるが... アルウスの航空戦力だけで圧倒された。
蜜蜂の巣に大量のスズメバチが群がるが如く、蹂躙した。
重桜艦隊は、電撃進行にて雷撃戦を展開しようとしたが... 播磨,近江の砲撃豪雨にさらされ手も足も出なかった。
ロイヤル艦隊は、空母や戦艦を前面に出して迫ろうとしたが... ドレッドノートの音速魚雷の的となり次々と二つ折りにされていった。
鉄血艦隊は、潜水艦による奇襲から切り崩しにかかったが... そもそも潜水艦諸共、グロース・シュトラールらの光学兵器に撃ち抜かれた。
[そんナ... 私達が圧倒的に押サレてル...なンて...]
<はっ!! 貴様ら雑兵と王者たる我らには、それだけの差があるということよ、心して見るがいい!!!>
<所詮、人形ごときが相手では、重桜の魂とやらは分かりようもなかったか。>
[く... コんナの認めらレないわ...]
<いやぁ、相変わらず[3rd]と近江は遊びが無い...>
<今更だろそりゃあ。さぁて...粗方、片づいたようだが...>
周囲には散らばった残骸だけが漂う。
あれ程までに多くいた『駒』は、嘘のようにキレイさっぱり無くなった。
海域にも大きく"亀裂"が入り...
<おいでなすったな。>
夕陽のベールは剝げ落ち、その隙間から次々と海上を埋め尽くさんとセイレーン艦がなだれ込んできた。
絶望的とも言える状況下、この男はどうしているかと思えば...
『…いいじゃねぇか。』
[Arsenal_0009 → 自動戦闘モード]
途端に横にあったアーセナルから1つの影が飛び出す。
空に舞うそれは悪魔のように、照らし出された躯体は獣のように。
スカイボードを繰り出し、一気に加速。目の前、亀裂から迫る敵に向けて一直線に向かう。
一筋の閃光の如く、その光が爆発となって奴らを襲った。
<…あの日以来だな... ヘッドの"本領"が拝見出来るのは。>
「ヘッドの"本領"、です...?」
<そうよ、よく見ておけ小さき鋼鉄よ。あやつが真に暴れる様なぞそうそうに見られんぞ。>
<そんじゃまぁ、俺らも行くとするか?>
空間を支配するように、大気が揺れる。
悪魔の心臓が唸りを上げる。
耳障りな[ノイズ]が、領域に溢れ出る。
………
……
…
「ぜぇぇぇぇらぁぁぁぁッ!!!!」
見ろ! この荒ぶる狂気と一体に成り果てた姿を!!
生ける者がなんだ? 化け物がなんだ?
全てが、ただ邪魔でしかない。ならどうするか?
「ブっ潰す! ! !」
『Pawn』が砲弾ごと弾け飛ぶ、『Knight』は切り裂かれた装甲の穴から内部を抉られる。
『Bishop』は舳先から胴を穿たれ、『Queen』は大蠍の尾に甲板を叩き割られた。
『Rook』は光子の熱に飲まれ、『Assassin』達は衝撃の渦に磨り潰されていく...
……ただ、そこに在ったのは... 化け物共よりも、"化け物である物"...
渦巻くノイズの海に、鋼鉄[クロガネ]は咆える。
"俺達が『力』だ"
(見ているだけのこちらが身震いする程の威容、これが超兵器の"本質"ですか...!)
<ヒヨってんじゃねぇぞ、蒼龍!!! こっちが好き放題やってる間は、流石にそっちの面倒までは見きれねぇ!!>
『ッ!! 了解しました、播磨殿。 しかし、このままセイレーンの量産艦を相手していてもキリがありません!』
『[中枢ユニット]だ! この鏡面海域の制御を握ってるセイレーンがどっかに居る。そいつさえ、何とかすれば...!』
<[中枢ユニット]か、我々もそれらしき奴は探しているが...>
<情報戦の要であるヘッドが"あの"状態ではな... 我々でどうにかするしかあるまい。>
もうかれこれ5時間は連続戦闘が続いている。
決してテュランヌス側は不利と言える程に苦戦しているわけではない。
だが鏡面海域の特性上、現れる量産艦の数には際限が無く、直後に破壊された残骸すら押しのけて殺到する始末である。
生命体としてはあまりに非合理的な物量攻めだが、それがセイレーンであれば...なるほど"合理的"だと言わざるを得ない。
ここに来て双方、[膠着状態]の様相を見せていた。
依然として優位性はテュランヌス側が圧倒的だが、これではいつまで経っても"終わりが無い"。
無論、セイレーン連中が湧けなくなるまで戦闘続行も可能だが、時間は有限だ。とっとと中枢ユニットを破壊し、制圧してしまいたい所である。
だが、こちらはまだその[中枢ユニット]がどれかは分かっていない。
他の超兵器が情報戦等で劣っているというわけではないのだが、索敵に関しては究極超兵器すら凌駕する指揮能力を有する[アレス]が最も適しているのだ。
そのアレスが怪物と化しているため、現状は無理な話なのだが...
ふと件のアレスの方に注目すれば、いつの間にか今まで見てきた量産艦とは違う『異様の人型』がアレスの前に居た。
南極大陸エリアで確認されたタイプ、そのどれにも当てはまらない未確認の人型セイレーン。
間違いなく、あれが"中枢ユニット"であるのは明白だった。
『まずいです、早く私達も加勢に...』
無数に伸びた触手ユニット、大型の砲門がアレスに狙いを定めた。
強力なエネルギーの塊も次々と収束していく...
どうやっても、間に合う距離に味方はいない。
彼は...
「………うせろ。」
何の躊躇いも無く、今までと同じように、
―― 一閃。 紫電が走り過ぎる。
中枢ユニットの首が宙を舞う、彼女達では処理が追いつかない。
[_____]
言葉を発する間すらない。
瞬く間の終わり。
例えば...
[時間の流れはジェットコースターのように、緩やかに遅く、激しくもあっけなく終わる。]
…案外、そんな感じだったのかもしれない。
海域の中枢だったセイレーンの沈黙と同時に、今まで群がってきた量産艦も呼応するように停止した。
鏡面海域そのものも、制御が無くなったことにより機能停止,過剰リソース使用の過負荷で崩壊に向かいつつあった。
…結局、今回の探査では有力な情報は得られなかった。
残骸と抜け殻で埋められた海の上、アレスはただただ無言で甲板にてそれを見ているだけだった。
「……あれ、大丈夫なの?」
<『勝利の余韻』というヤツよ、放っておけ。最早、此処に用は無し。疾く我らの地へ戻るぞ。>
<そうだな... 必要な回収物も集まったことだ、確認された帰還路へ急ぐとしよう。>
『力』は示された。
想定を遥かに上回っていた。
セイレーンは、一体"奴ら"を使って何をするつもりなのか...
砕けた夕陽は語らない、偽りの海は答えない。
鋼鉄の獣達は、次の獲物を探すべく光の中へと消えていった...
『………ど、どうしよう、どうしよう。とんでもない物見ちゃったよ...』
『こ、これ、早く[指揮官]に知らせた方がいいんじゃない?』
『そうだ、早くここを出て...[指揮官]に知らせないと...!』
(改めて全体を見て)戦闘描写めっちゃ下手クソですやん。
いや... 今回は特に現在の戦闘能力の高さの表現を重視したかったんですが、見返したら予想以上のクソザコ文章力だった。
とはいえ、もうこれ以上にいい話が思いつくわけも無し、もういいや、ってなっちゃったよね。(反省皆無)