鋼鉄の咆哮_AZUR BREAKER   作:Bligh_Drunk

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[最速への挑戦]...

俺が在った意味はただそれだけにあった。

旧き時代の思念を受け継ぎ、見事に俺は並ぶものの無い領域に至った!!


だが、結局あいつは... [ゼロ]の力は超えられなかった。


なんでだ!?


今となっても分からねぇ...
しかしだ、完全に諦めたわけじゃねぇ。


次にあいつと相対するんなら... 『最速』でもって殺してやる。


―記録:No.10100―

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A-9.吹き荒れし猛威

~鏡面海域

 シチリア島・南部域

 

 

<[グロー・ヘッド]へ[ホットロッド]より通達、外のセイレーン連中は粗方片付きましたぜ。>

『了解した。これより、基地内部の制圧に掛かる。お前は、引き続き外部の警戒をしろ。』

 

<了解。……しかし、気に食わねぇ... これも『再現』とかいうヤツの一部とでも言うつもりか?

偶然にしちゃあ、出来過ぎだぞ...>

 

 

 

-部隊オーダー-

 

・アレス_F/A-49

 

・蒼龍,綾波,U-96

 

・シュトゥルムヴィント

 

・[BB] イリノイ級x5

・[CV] 改ニミッツ級x5

・[CA] 改タイコンデロガ級x20

・[DD] Z99級x60

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舞台は再び、鏡面海域の中へと移った。

場所はザディアの御膝元... いや、こちら側ではイタリアのシチリア島の位置にあたるエリアとなる。

 

セイレーンの更なる情報を求め『穴』へ再侵入したテュランヌス部隊が辿り着いたのが此処である。

どうやら、セイレーン部隊はシチリア島の一帯を攻撃要塞として固め、その更に南のマルタ島に巨大な基地を構築しているらしい。

 

アレスは、基地にあると思われるセイレーンの情報を得るため、この鏡面海域の制御の奪取に取り掛かった。

すなわち、速攻でセイレーン部隊への強襲を仕掛けたのである。

 

海域には何故か駆逐艦型のエンフォーサータイプが居たが、開幕特攻したアレスが繰る[ホワイトソード]によって速攻で蜂の巣にされ没した。

しかも、そいつが鏡面海域の制御を担っていたらしく、鏡面海域の制御自体はあっさりとアレスの手中となった。

 

残ったのは、大本の制御を失った海上のセイレーン戦力のみ。

こうなってしまえば、後は通常艦部隊に処理を任せて問題無いだろう。

というわけで、寝返り電波砲で制御を奪った量産艦以外のセイレーン勢力はシュトゥルムヴィントらによってほぼ全て破壊された。

 

今回、本格的に使用した寝返り電波砲だが... セイレーンの制御下に無いA.I艦に対しては有効であることが既に実証済みなため、今後の戦闘においては使用頻度は多くなるだろう。やはり、使える手駒は多いに越したことはない。

 

 

しかし、そんな戦勝ムードが厚い部隊の中でシュトゥルムヴィントだけはこの"状況"が気に入らない、といった反応である。

いや... 正確にはこの"鏡面海域"自体が忌避すべき対象である。

 

テュランヌスにおいては当たり前の事だが、各超兵器に搭載されているA.Iには過去存在するほぼ全ての戦闘におけるデータが蓄積されている。それこそ、どこで戦い,どこで没したかにいたるまで事細かくである。

 

シュトゥルムヴィントにとってシチリア島の近海域とは、[シュトゥルムヴィント]として,第2世代の超兵器として最初の敗北を喫した"最悪の因縁の場所"である。

それがこの鏡面海域という最初の作戦行動域としてやって来たわけだから、作為的なものと見ない方がおかしい。

 

 

……もしもだ。ヘッドも薄々考えてはいた。

この事が、考えうる上で"最もあり得ない"可能性を指し示しているとすれば...

 

[セイレーン]ってのは、一体なんだ...?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~鏡面海域

 マルタ島_大型セイレーン基地

 

 

場所は変わってマルタ島のセイレーン基地、"こちら"の世界でマルタ島なのかはさておき...

ここには、アレスに他は一応の護衛役として綾波とU-96,主戦力として機兵部隊が攻略に入っている。

 

海上や上空に強力な戦力が揃っているのに対し、地上ともなると地形的にも投入できる戦力は限られてくる。

無論、不可能かと言われればそうでもなく、地盤に問題が無ければ陸上戦艦ごと空輸してくるというアホみたいなやり方も採れる。

だが実際にはそんなの無駄の極みなため、この島のような局所攻略には機兵で構成した部隊を使うのが基本戦術である。

時間は掛かるが確実な手段だ。

 

…だが、それを座して待っているほど悠長ではないのがこの男である。

機兵部隊に指示を送ると、我先にと基地内部へ突っ込んで行ってしまった。

当然彼1人にして置くわけにはいかないため、綾波・U-96も艤装を仮展開して後に続いた。

 

 

基地自体の制御は鏡面海域のものとは別になっているのか、内部のセキュリティなどはまだ生きていた。

侵入者を阻まんと、各所から自律兵器やらトラップやらが襲い掛かる。

 

しかし、兵器にしてもレーザートラップにしても...この男に対しては全てが無意味である。

 

「セイッ! フッ!! ハッ!!!」

 

超高速で通路内を縦横無尽に飛び回りながら手に構えたニンジャロッドで次々とセキュリティメカを斬り裂く様は、誰がどう見ても忍者そのものである。

 

その速さたるや、綾波らが艤装装着状態で追いつけるかどうかというところ。

彼女達の方からすれば、見失わないように後をついて行くのがやっとである。

まあ、アレスが通った箇所はマッピングされるため、位置が分からなくなるということは無いが。

 

 

 

セキュリティのほぼ全てが制圧し終わった頃、気がつけばアレスに追いついた時にはセイレーン基地のコンソールルームと思わしき場所に来ていた。

 

既にアレスは、端末類の精査を始めていた。

 

「ここが端末の制御室か... この端末は使えそうかい?」

「……駄目だな。おそらく、電力が供給されていない。」

 

使えないことは無いが、今のままでは無理らしい。

 

そう判断するや、途端にアレスは周囲を見回し始めた。

視覚オプションとして搭載されているオーグメントビジョンによる走査だ。

壁越しにあるエネルギーの痕跡なども、これを使えば容易にたどれる。

 

「ここか。」

 

床のある一点に着目したアレスは、そこに右手を当てるとパルムレーザーの出力を器用に抑えながら焼き切った。

内部が露出すると、素人目では絶対に分からないレベルで配線がびっしり詰まっているのが目に入ってくる。

 

「チッ... やっぱ、根元の配線がイカれてるくさいな。」

 

アレスは即座に中型の箱のような物を転送すると、配線を弄りだした。

転送したのは、比較的小型かつ高出力を実現したモバイルバッテリーである。

エレクトロンレーザーの運用に必要なエネルギーも余裕で賄える。

あまりに手際が良かった為、U-96は物凄く感心したように見ていた。

 

「…何か言いたいことでもあるのか?」

「いや...? 意外にもヒッパーみたいな機械いじりが得意なんだな、と思ってさ。」

「聞き捨てならねぇな。『ヒッパー』がどういう奴かはさておき、俺は電気工学・電子工学専攻だ。」

 

 

そうこうしている内に、中央の大型端末が起動する。どうやら、対処はうまくいったようだ。

すかさず、端末の前に立って何やら色々と操作をする。

 

「厄介なプロテクトが掛かってやがる。」

「解析不可能なレベルか?」

「暗号アルゴリズム自体は問題じゃない。問題なのは、その数だ。」

 

<[グロー・ヘッド]、鏡面海域内に新たな侵入者を確認。>

「こちらでも確認している。…30分だ、それだけあれば十分、いけるか?」

 

<わけもないですね、時間稼ぎはお手の物ってね。>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

………

 

~鏡面海域

 シチリア島・ティレニア海方面

 

 

「全員、異常は無いか?」

「今のところ変わった様子は無いみたい。指揮官は大丈夫?」

『こちらも特に問題は無い。早速だが、偵察を開始してくれ。』

「了解した、向こうの陸地に煙が上がっているな。何かがあるかもしれない、そこから調べてみよう。」

 

 

 

 

 

<面倒な連中が来やがったぜ... さて、どうするか?>

 

向こうの連中はこちらが配置しておいたセイレーン艦を撃破しつつ向かってくる。

確実に、人類側の勢力であるのは間違いない。

 

この時点での戦力評価としては... 『駒』の戦闘データよりは上であるのは確定している。

しかしながら、KAN-SENという存在の戦術データサンプルがまだ少ないということを加味すると、その評価は未知数。

 

もうすぐ、シチリア島に接近されてしまう。

 

<直接確かめるっきゃねぇわな。>

 

 

 

 

 

「今のでセイレーンも粗方片付いたな。」

「けど、なんだかおかしくなかった? やけに、統率された配置だったような...」

「!! 指揮官、前方に...戦、艦? とにかく、巨大な船が接近してくるわ!!」

「これは一体... 既存の量産艦でもこのサイズは見たことが無いぞ!」

 

『これは、いやまさか...?』

 

 

シチリア島の裏側から巨艦が姿を見せる。

 

おおよそ、本当に動いているのが信じられない程の巨体が、確かに目の前に現れた。

その馬鹿デカさから想像もつかない構造だが、快速の巡洋艦ほどの速度を出しながら大型の主砲がこちらを睨む。

どうやら、あちらは既に臨戦態勢の様だ。

 

「そこの大型艦!! こちらは、現在アズールレーン・ユニオン構成軍配下に入っている、特務混成部隊[NO-NAMEs]所属のエンタープライズ!! 対話する意思があるなら、応答を求む!!!」

 

<エンタープライズ、ねぇ... とりあえず、お前らに話すことは何も無ぇな。これから死ぬ奴らに、言ったところで無駄だろうよぉ?>

 

無機質にも聞こえる巨大艦からの無線内容は、一方的なまでの抹殺宣告だった。

間髪入れずに、こちらの声を遮るかのように巨艦は轟砲を響かせる。

 

 

 

<見せてもらうぜ、世界を救う力... [KAN-SEN]の持つ性能ってヤツをよぉッ!!!>

 

 

…"戦場の風"が吹く…




本来は戦闘まで入る予定だったのですが、尺的に微妙になったので一旦区切りました...

寝返り電波砲についてですが、元のそれは最早洗脳光線と言うべき性能ですが、本作ではあくまで外部ハック形式の対兵器仕様なので、生物などに対しては基本無能です。
(じゃないと、色々こわれる)

次でAエリアも最後になると思います。

展開自体はもう決まってるので、後は形に出来るかどうか...
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