ん?
やあ、トレーナー君じゃないか。
一体どうしたんだい、こんな時に。
私は今カフェに実験を手伝ってもらうよう説得をしているところなんだが。
ああそうだ!
トレーナー君も手伝ってくれたまえ。
ほら、実験対象は1人より2人のほうがいいだろう?
それに成人男性とウマ娘の体のつくりは違うからねぇ。
もっと多角的に結果を見ることができると思うんだ。そう思わないかい?
え?
カフェをいじめるなって?
ひどいじゃないかトレーナー君。
君は一体誰のトレーナーなんだい?
カフェじゃなくて私のトレーナーだろう!
私の味方をしないでどうするんだ!
あっ!
君のせいでカフェが逃げてしまったじゃないか!
全く、どう責任をとってくれるんだい?
私の貴重な実験の機会をドブに捨ててくれたんだからね。
もちろん君が協力してくれるんだろう?
ほら、これを飲んでくれたまえよ。ぐいっと。
うんうんいい飲みっぷりだねぇ。
すぐに結果が出ると思うが……。
ふぅン? 髪の毛が桃色になっただけか。
つまり失敗ということだよ! あっはっは!
すぐに戻るのかって?
それはわからないな、何せ君が最初の被験体なのだからね。
さ、トレーナー君。
次はこの薬を……そういえば、何しに来たんだい?
何か用事があったから私のところに来たのだろう?
次のレースの確認かい? それなら別の日にしてくれと言っておいたはずだけどね。
えー!?
お弁当を作ってないだって!?
どうしてそんなひどいことをするんだい、君は!
私にごはんを食べさせてくれるのが君の役目だろう!
要らないって言ったって?
確かに言ったが、今日メッセージを送っただろう?
おにぎりの具は鮭にしてほしいと指定もしたじゃないか。
ふむ、確かに送ったのは3時ごろだったねぇ。
遅すぎるって?
いやいや、トレーナー君。それとこれとは話が違うだろう?
だってお弁当を作るのは朝じゃないか。
なら作ってないのはおかしいと思うんだ。
何でそんなため息を……当日に言うのが小学生みたいだって?
心外だなぁ!
私は小さな彼らと違ってたくさんの知識をもっている。
それに君たち以上に速く走れるんだよ?
小さい子供と一緒にしないでもらいたいねぇ。
で?
お弁当はどうするつもりなんだい、トレーナー君。
買ってくるって?
いやだよー! 君のお弁当が食べたいからメッセージを送ったんじゃないか!
私を餌付けしておいて食べ物を与えないのはひどいんじゃないかい?
ほら、作っておくれよー。
はーやーくー!
いい香りがしてくるねぇ。
たまごやきかい?
たくさん砂糖を入れておくれよ。私は甘いのが好きなんだ。
そう言えば、前もこうやって料理を作ってくれたことがあったねぇ。
懐かしいよ。
え?
今度の取材で昔のことを振り返るって?
ふぅン……それで、勝手に受けたのかい?
学園で受けてほしいと言われていたって、私は知らないよ。
時間を無駄には……えー!? お弁当を人質にするのは卑怯じゃないか!
鬼! 悪魔! それでも私のトレーナーなのかい!
今から振り返っておけば効率がいいって?
そうだねぇ、確かにそうかもしれないね。
なら、君がごはんを作っている間に思い出そうか。
――君と私の3年間をね。