アグネスタキオンは超光速の夢を見るか   作:あぬびすびすこ

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 1+4話構成で進みます


Intermission:昼餉

 ククク……あの時は本当に笑ったよ。

 あんなに笑ったのはそれこそ子供の時ぐらいじゃないかな。

 トレーナーになりたいからといってモルモットでもいい、なんて。

 想像できるかい、君。

 

 しょうがなかったといってもだね、トレーナー君。

 限度ってものがあるだろう。限度ってものが。

 私の提示した薬を一気に3本飲み干すなんて、はっきり言っておかしくなったのかと思ったよ。

 いい被検体ができた、とも思ったけどね。その時は。

 

 恥ずかしいって?

 君が振り返れって言ったんじゃないか。私のせいじゃないよ。

 そもそも君のアクションがこういう結果を作ったんじゃないか。

 誇っていいと思うけどね。

 黄緑色に光っていたけれど。

 

 かなりいいデータは取れていたんだよ?

 光るのは副作用で、本当の効果は脚力の向上だったわけだし。

 実際君の脚力は平常時に比べれば上がっていただろう?

 まあ、羞恥と興奮が能力を底上げした可能性は否定できないが。

 

 しかしあんなに長く光るとは思わなかったよ。あの時は悪いことをしたと思っているんだ。

 本当さ。私は嘘は言わないよ。

 自分で飲んでみた時は足が淡く光る程度だったんだ。

 ウマ娘のもつ身体の頑強さをもう少し考慮するべきだったね。

 

 いいじゃないか、そんなに文句を言わないでくれよ。

 おかげで私の担当トレーナーになれたんだから。

 最初はモルモット以下、被検体Bとしか思っていなかったけどね。

 

 そりゃあそうだろう。

 だって君がモルモットでいいって言ったんじゃないか。

 私は君の言うことを信用してそのように扱ったまでさ。

 文句を言われる理由はないと思うけどね。

 もしこのことに何か言いたいならきちんと証明してほしいものだよ、その理由や根拠ってものを。

 

 なにぃー? めんどくさいって言ったな、君!

 心外だなあ全く!

 私は事実を言っただけじゃあないか。なのに面倒だとはどういうことなんだ。

 是非とも教えてくれよ、トレーナー君。何が面倒だって言うんだ?

 

 え? その反応だって?

 はぁー……なあトレーナー君。

 私の反応は至って普通だと思うんだけどね。

 話をしていたら急に面倒だって言われたらどう思う?

 わかるだろう、君ぃ。

 

 あー! まためんどくさいって言っただろう!

 なんだい君は!

 もう許さないぞ、トレーナー君。

 私のこの怒りは君を実験の対象にしてあらゆるデータをとることでしか解消できないよ。

 今日は午前で学園の項目は終わるからね。午後に時間をいくらでも使えるんだ。

 お昼を食べ終わったら覚悟しておくように。

 

 今更謝ったところでもう遅いぞ。

 第一なんだいその適当極まりない謝罪は。

 ごめんごめんだなんて、謝意を一切感じられないね。

 誠意ってものを見せるんじゃないのかい、普通は。

 さあ見せてごらんよ、誠意というやつを。

 

 お昼を一品増やすって?

 ……ほう?

 まさかとは思うけどね、トレーナー君。

 私が食べ物につられるようなウマ娘だと思っているのかい?

 そう考えているのなら君は少し私に対する印象を改めた方が……

 

 うん? デザートがあるだって? 買ってきたのかい? え、トレーナー君が作ったって?

 新しい茶葉も? サバラガムワだって?

 なんでそれをはやく言わないんだ!

 ほら、さっさとお昼ご飯を作ってくれよ。

 お湯を沸かすのも忘れないように。

 紅茶に入れる砂糖はどこにあるんだい?

 いつもの棚の中でいいのかな。

 ところでそのデザートは甘いものなんだろうね。デザートといいながら甘さ控えめなんてものは必要ないよ。

 前に食べたチーズケーキはチーズが強かったからね。もっと甘さがある物のほうが私は好みだよ。

 

 どうしたんだいトレーナー君、そんなに笑って。包丁とまな板でドラムロールが流れているよ。何かの儀式かい?

 そんなことしていないで、ほら、はやく作りたまえ。

 でないと先にデザートを拝借してしまうよ?

 

 

 

 

 

 ふぅ、ごちそうさま。

 うん。今日の茶葉は当たりだね。香りもいいし味もいい。

 次からストックしておいてくれよ。

 

 砂糖入れすぎて味がわからないだろうって?

 これでも君に言われて減らしているんだよ。

 ほら、きちんと溶解度を超えていないじゃないか。

 1口飲んでみるといい。

 

 どうだい、大丈夫だろう?

 おいおいどうしたんだそんなに慌てて自分の紅茶を飲んで。

 甘すぎるって? まあ、私は甘党だからね。

 

 うん、いい感じに糖分補給できた。

 今日の研究は朝の続きをするとしようかな。

 トレーナー君、早速この前のレポートをだね……。

 

 え? さっきの続き?

 えー!? まだ振り返りをするのかい!

 もういいじゃないか、出会いのところを思い出したんだから。

 

 確かに3年間をと言ったよ。

 しかしだね、トレーナー君。

 貴重な午後の時間が丸々空いているんだよ?

 やはり研究や実験に使いたいじゃないか。

 その取材はまだ先なんだろう?

 そもそも絶対に受けなければいけないものなのかい?

 

 ああ、なるほど。

 あの記者か……確かにそれなら、受ける義理はあるだろうね。

 

 うーーーーーーーん!

 仕方がないなあ!

 今日は研究を少しだけお休みにしようじゃないか。

 

 トレーナー君、紅茶を作っておくれよ。

 それを飲みながら少し話そう。

 そうだね……メイクデビューまでのことを思い出してみようか。

 あの時も中々どうして、色々あったものだねぇ……。




 口調を気にして書いていますが、参考にしているのがタキオンのストーリーと俳優のすずむしさんなので気を抜くとぼやきはじめます。
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