魔法科高校の狂犬   作:Rain one

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入学編STORY3

真由美と摩利は校門前での騒動が収まり一緒に会話をしながら歩いていたのだ。

 

 

「にしても、達也君はともかく孝一君は凄かったな。」

 

 

「そうね。でも彼は七武海に加盟してるし貴族でもあるから人としても貴族としても見過ごせなかったんだと思うよ?」

 

 

「あ〜たしかに。彼の性格上あり得るな。だが達也君と孝一君は風紀委員会に欲しいな。あの二人は何が何でもうちに欲しいからな。」

 

 

「そうね。あの二人は風紀委員会に所属してもらった方が良いわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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一方、校門前では孝一達がまだ居たのだ。因みに森崎達A組の殆どの生徒達は孝一に睨みと殺意を向けられたので脱兎の如く散り散りになって逃げ帰って行ったのだ。

 

 

「あの。庇ってくれてありがとうございました。大事にならなかったのはお兄さんのおかげです。」

 

 

「どういたしまして。あとお兄さんじゃやめてくれ。同じ一年生なんだから。」

 

 

「分かりました。じゃあどうお呼びすれば良いのですか?」

 

 

「とりあえず。達也で良いよ。」

 

 

「分かりました。それじゃ、その…」

 

 

「なんでしょうか?」

 

 

「駅までご一緒にどうでしょうか?」

 

 

拒む理由も拒める理由も無かったので達也は孝一の方に目を向けると達也の視線に気づいた孝一が答えたのだ。

 

 

「俺は構わね〜よ。どっちにしても俺は他人の意思を無理に変える事はしたく無いからな。」

 

 

「ありがとうございます。」

 

 

達也に一緒に帰って良いかと尋ねた女子生徒が勢いよく頭を下げたのだ。孝一達は駅の近くにあったテイクアウト式のお店で食べ物を買って自己紹介を済ませたのだ。

 

 

「にしても孝一さんと夏さんにリムルさんのさっきの動き凄かったですね。目にも止まらない速さであそこまで動けるなんて。」

 

 

「確かに人間離れした動きだった。」

 

 

彼等はテイクアウトした食べ物を食べながら会話をして居ると二人の少女は口を開いたのだ。彼女達の名前は光井ほのかと北山雫で上からほのか、雫の順番で喋ったのだ。するとリムルが答えたのだ。

 

 

「ああ、あれか。俺はあんな奴を見るとお仕置きしたくなる性分でね。だが、この二人は例外でこいつらは地雷を踏み抜いた瞬間に地雷を踏んだ奴ら本能的に攻撃を仕掛けるクセがあるからな。」

 

 

「仕方ないだろ。少しでも敵意や殺気を感じる遂、体が反応して攻撃しちまうだよ。」

 

 

「兄貴の場合は血の気が多いし俺と兄貴は七武海だからな。それに兄貴はその凶暴性と頭のイカれ具合に掛ければ七武海の右に出る者は居ないし実力も七武海の中でも一二を争う程の実力を誇るからな。」

 

 

リムルが答えて達也が孝一の方を見ながら言うと孝一は条件反射だと言い放つと夏が補足で孝一の事を説明するとほのか、雫、美月、レオ、鋼が驚いたのだ。

 

 

「「「「「は(((はい)))!?」」」」」

 

 

「まあその反応が普通よね。」

 

 

「確かに。これの見た目がだしね。」

 

 

「普段の振る舞いが原因ね。」

 

 

雫達の反応にリーナ、エリカそして奏がそれなりの反応を示したのだ。そして達也が気になって居たことを孝一に聞いたのだ。

 

 

「そう言えば孝一、少し気になっては居た事がある。リムル=テンペストのことだ。お前と夏ならリムル=テンペストの事を知っているはずだ。」

 

 

「あ〜その事か。それに関しては俺は答える事が出来ないな。」

 

 

「俺も兄貴と同じく答えれないな。」

 

 

「俺はリムル次第で答えるがそれ以上は言えん。」

 

 

「お前達がそう言うなら俺もこれ以上、聞くのは止めておくよ。」

 

 

達也の質問に孝一と夏は答えをはぐらかして答えなかったのだが孝一はリムルの意思次第で答えると言うと達也が孝一達の返答にそれ以上の事は追求をしなかったのだ。

 

 

「じゃあそろそろ帰るとするか。」

 

 

「まあ確かにそうするか。」

 

 

達也がそう言うと孝一はそう返答してその場で解散してそれぞれの家に帰っていったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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孝一達、三つ子とリーナは犬塚公爵邸に着き四人が屋敷に入るとそこには孝一達に祖母である安倍晴子が立って居たのだ。

 

 

「げ!婆さん!」

 

 

「孝一、あなた今日学校で問題を起こしたらしいはね。」

 

 

「俺は何もしてねえよ。そもそもの話、他の一科生が悪いんだよ!」

 

 

「それは本当かしら?」

 

 

「「「本当です。(よ)」」」

 

 

「本当みたいね。孝一、今回に関しては許しますが次同じことをしたら容赦なしに怒りますからね?貴方達もですよ?」

 

 

「「「「はい。」」」」

 

 

晴子の問いに孝一はそう答えると晴子が紅音と夏とリーナの方を見ると三人が孝一の発言を頷きながら肯定したのだ。そして晴子はそれを確認すると孝一に次は無いと告げると孝一達は返事をしたのだ。すると晴子が孝一にある事を言ったのだ。

 

 

「孝一すぐに部屋に向かいなさい。貴方にお客さんが来てるから。」

 

 

「分かったよ。」

 

 

晴子から伝言を伝えられて孝一はすぐに自室に向かったのだ。

 

 

「誰だ。俺に客ってのは。」

 

 

孝一はそう言いながらも自分の部屋に向かい扉のドアノブに手を掛けて扉を開けて部屋に入るとそこには見覚えのあるショートの紫に近い黒髪の少女と腰のあたりまでの長髪の金髪の少女が居たのだ。それを確認した孝一は二人に話しかけたのだ。

 

 

「何をしてるんだ愛梨、花音。」

 

 

「仕方ないじゃない。孝一、今日貴方学校の校門であんなに派手に騒動がおこしたんだからね。」

 

 

「え!そうなの?」

 

 

「あれは不可抗力だ。そもそもその件に関しては俺から起こした訳ではないだぞ?」

 

 

 

孝一は彼女達を名前で呼んだ黒髪の少女が花音で金髪の少女が愛梨である。そして孝一と花音の会話を聞いた愛梨が驚いたのだ。それもそうだが孝一は性格上、喧嘩を売られたら買う性格でもある為でもあるのだ。すると花音と愛梨は孝一の腕に抱きついたのだ。花音は第一高校の二年生の一科生で愛梨は第三高校の専科(一高における一科生)の生徒である。閑話休題。

 

 

「孝一、お願いだからあまり無茶しないでよ?」

 

 

「そうよ、貴方は昔から無茶をするから。」

 

 

「やれやれ、お前らな。」

 

 

孝一は彼女の行動に呆れながらも受け入れるとベットに移動して愛梨にある事を尋ねたのだ。

 

 

「そう言えば愛梨、どうしてここに居るんだ?今日は学校の筈だが。」

 

 

「ええ、学校が終わってすぐに家に帰って新幹線に乗って来たのよ。」

 

 

「愛梨、お前な。ま、しょうがないな。」

 

 

「もう!孝一、あたしもお願い!」

 

 

愛梨の発言を聞いた孝一は少し飽きれるが愛梨の頭を撫でながら抱き寄せると花音が孝一に体をくっつけると孝一は花音も抱き寄せたのだ。そして孝一は二人にある事を提案したのだ。

 

 

「なあ二人とも今日は一緒に寝るか?」

 

 

「え?良いの?」

 

 

「やったー!」

 

 

孝一の提案を聞いた二人は少し嬉しそうにしてパジャマに着替えて三人はすぐに翌日に備えて寝たのだ。

 

 

 

 

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翌日、愛梨は第三高校に登校する為に朝早く無事公爵邸を立ったのだ。孝一は愛梨を見送るとすぐに第一高校の制服に着替えて紅音と夏とリーナそして花音と一緒に第一高校に登校したのだ。

 

 

孝一とリーナはB組の教室に入ったのだ。既に達也とリムルと鋼と英美が登校して居たのだ。すると鋼が孝一達に話しかけて会話するとその中で少し遅めの新入生が来ると言う会話をして居ると担任の教師が入って来て遅めの同級生が入学して来たと告げると教師はその人物達に教室に入るように言ったのだ。入るように促された人物達が教室に入って来ると孝一とリムルはその姿を見て驚いたのだ。

 

 

そうその二人はリムルと同じ八星魔王であるミリムとディーノであったのだ。孝一とリムルは念話で二人と会話すると二人はどうやらリムルがこの第一高校に入学したと聞いて暇だからついで自分達もリムルと同様の理由を使って入学したのだ。さすがの孝一とリムルは念話で二人が第一高校に入学した理由に内心、呆れながらも仕方無しに孝一はリムルの護衛に加えてミリムとディーノの護衛をする事にしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

その後、孝一達は午前の授業を受けてから昼休みになったので孝一は達也と一緒に生徒会室に向かったのだ。生徒会室の前で深雪と合流して生徒会室のインターホンを押したのだ。するとインターホンのスピーカーから明るい歓迎の辞があり中に入るように言われて生徒会室に入室したのだ。

 

 

「いらっしゃい。遠慮しないで入って。」

 

 

中に入ると正面に笑顔を浮かべなら真由美が座って居たのだ。達也が少し心の中でぼやいて居たのだ。

 

 

(何がそんなに楽しいのだろうか?)

 

 

達也はそう考えていると真由美は手招きをしている。手を揃え、目を伏せ、深雪が礼儀作法のお手本のようなお辞儀を見せたのだ。

 

 

「ご丁寧にどうも。」

 

 

深雪のこの丁寧な姿勢に慣れている真由美は慣れている。しかし他の生徒会役員はそうはいかず、すっかり雰囲気に呑まれて同席している摩利もポーカーフェイスを崩しかけて居たのだ。

 

 

 

「どうぞお掛けになって。お話は、お食事をしながらにしましょう。お肉と魚と精進、どれか良いかな?」

 

 

達也と深雪は精進を選び孝一は魚料理を選んだのだ。そして孝一達は席に座ると真由美が口を開いたのだ。

 

 

 

「入学式でも紹介したけど念の為もう一度紹介しておくわね。私の隣に居るのが会計の市原鈴音、通称リンちゃん」

 

 

「私をそう呼ぶのは会長だけです。」

 

 

真由美がそう紹介するとリンちゃんこと市原鈴音がそう言うと真由美が続けたのだ。ちなみ此処での話だが達也は真由美の紹介で鈴音とは知り合いでそれ聞いた孝一と深雪は驚いたのだ。閑話休題。

 

 

「それから書記の中条あずさ、あーちゃんよ。」

 

 

「会長、、、お願いです。下級生の前であーちゃんは辞めて下さい!わたしにも立場というものがあります。」

 

 

彼女は真由美よりも小柄で童顔なので本人はそのつもりが無くても上目遣いの潤んだ瞳は拗ねて今にも泣き出しそうな子供に見える。真由美が続ける。

 

 

「もう一人、副会長のはんぞーくんを加えたメンバーが今期の生徒会役員です。」

 

 

「私は違うがな。」

 

 

「そうね。摩利は違うけど。あ、準備が出来たみたいね。」

 

 

 

料理がトレーに乗って出て来たのだ。が合計が六つ。一つ足りないと思ったら摩利がおもむろに弁当を取り出したのだ。それを見た達也が摩利に尋ねたのだ。

 

 

「そのお弁当は渡辺先輩がご自分でお作りになられたのですか?」

 

 

「そうだ、、、意外か?」

 

 

「いえ、少しもその手を見れば普段から料理をされているのが分かりますから。」

 

 

「私たちも明日からお弁当にしましょうか。」

 

 

「深雪の弁当はとても魅力的だが食べる場所がな。」

 

 

「そう言えばそうですね。まず場所を探さなければ。」

 

 

「まるで恋人同士の会話ですね。」

 

 

表情を一切変えず爆弾発言を繰り出した鈴音。それを聞いていた孝一がツッコミを入れたのだ。

 

 

「これには既に婚約者が居るのは分かってる事でしょう。」

 

 

「おいおい、ここには中条が居るんだぞ。」

 

 

「大丈夫よ摩利!もうあーちゃんには教えてあるから。」

 

 

「相変わらず行動が早いな君は。」

 

 

「教えたのが真由美さんですがね。」

 

 

「又旅、出て来て良いぞ。」

 

 

達也達がそう会話している横で孝一はある事を言ったのだ。それを聞いて居た彼等は孝一に視線を集中させる。すると煙が上がって出て来たのは蒼い霊焔に包まれ呪印のような水墨画に近い紋様で二つの尻尾をもったオッドアイの猫が現れたのだ。

 

 

「孝一君。この猫は?」

 

 

「ああ、こいつは二尾の又旅。尾獣の一体ですよ。」

 

 

 

孝一は尾獣の説明を生徒会のメンバーと達也と深雪にしたのだ。そして孝一達は食事をすると孝一は又旅に魚を与えて又旅は魚を食べ始めたのだ。孝一達は食事を楽しく過ごしたのだ。すると頃合いを見て真由美が切り出したのだ。

 

 

「そろそろ本題に入りましょうか。」

 

 

「そうですね。」

 

 

「それは深雪を生徒会に勧誘したいと言う話ですね?」

 

 

達也の問いは質問というより確認であった。因みに孝一は又旅を抱き抱えて又旅を撫でながら話を聞いていた。

 

 

「その通りよ、達也君。・・・深雪さん。貴方が生徒会に入って下さる事を希望します。」

 

 

深雪は何故か思い詰めた瞳をしていた。孝一はそれに気付いたが深雪が何を言いたいか察しがついたので何も言わずに聞く事にしたのだ。

 

 

「真由美さんは兄の入試の成績をご存知ですか?」

 

 

「ーーー!」

 

 

「ええ、もちろん知っているわよ。」

 

 

「ならば兄も一緒という訳には参りませんか?」

 

 

「フフッ、最初はね私もそう考えたの。」

 

 

「な!」

 

 

「マジかよ。」

 

まさか深雪がその様な事を考えて居たとは驚いた孝一は少なからずやはりか、と思い達也はそれを聞いて驚いて居たのだ。更に真由美の発言に達也が驚き孝一は呆れて居たのだが深雪は少し嬉しそうな顔をして居た。

 

 

「でもね?生徒会だけで新入生の主席と次席を独占するのはバランスが悪いのよ。」

 

 

「バランス?」

 

 

「どう言う事ですか?」

 

 

達也と孝一の疑問に摩利が答えたのだ。

 

 

「今年から風紀委員会でも一年生から優秀な生徒を確保するようにしたんだ。」

 

 

「・・・まさか。」

 

 

「要するに俺と達也は。」

 

 

「そう、達也君には次期風紀委員長として入ってもらい孝一君には達也君の補佐をしてもらいたいんだ。」

 

 

摩利は孝一と達也を無視して標的を深雪に変えたのだ。

 

 

「この学校では、各委員会の委員長も一部を除いては会長に任命権がある。そして私が務める風紀委員長がその例外の一つだ。」

 

 

「摩利はある意味で私の同格の権限を持って居るんです。」

 

 

「つまり、順当に行けば・・・君と達也君は同等の立場になるのだよ。」

 

 

摩利の言葉に深雪が反応したのだ。

 

 

「お兄様、私と一緒に良い学校にしましょう。」

 

 

深雪を使った巧みな説得に達也は折れるしかなかったがそれまで黙って居た孝一が口を開いたのだ。

 

 

「あの俺はどうして風紀委員会に入るんですか?」

 

 

「ああ、それか。」

 

 

孝一の問いに摩利が答えたのだ。

 

 

「それは君なら達也君の補佐に向いて居るし、そして何より七武海に名を連ねる君なら違反をする者達に対して抑止力となって貰う。まあ君は基本的には風紀委員員としてはどちらかと言えばお飾りに近いな。それと君は部活連枠で入ってもらう。」

 

 

「要するに俺は風紀委員会の番犬として風紀委員会に入って欲しいと?」

 

 

「ああ、そうだ。」

 

 

「仕方無いですね。」

 

 

摩利の説明に孝一は納得したのだ。

 

 

「ええと、それでは、深雪さんには書記として、達也君と孝一君には風紀委員として加わっていただくと言うことでよろしいですか?」

 

 

「はい、精一杯務めさせていただきますので、よろしくお願いします。」

 

 

ため息をつきたい衝動を抑え婚約者の顔を見れば満面の笑みを浮かべて居る。

 

 

(まったく、敵わないな)

 

 

(仕方があるまいやるしか無い。)

 

 

孝一と達也はそう思いながら達也は真由美にどう仕返しをするかを考えたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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達也は鋼に風紀委員会に入る事に伝えると鋼は自分の事の様に喜んでいたのだが一方、孝一は夏とリムルとミリムとディーノに風紀委員会に達也同様に伝えたのだ。

 

 

「面白いそうなのだ!私も入るのだ!」

 

 

「嫌、辞めてくれ。八星魔王のお前が入ったら入ったで大問題だ。」

 

 

「あー俺は面倒くさいから良いや。」

 

 

「ええー私も入りたかのだ。」

 

 

「ミリム、仕方無いだろこればかりだろ?」

 

 

「まあ兄貴が風紀委員に入ると何かしらの問題しか起きない方がおかしいからな。」

 

 

「ふん。好きに言っていろ。」

 

 

孝一はリムル達がそう会話をしていたのだ。ただ周囲は美形揃いの彼等に視線を集めるが彼等は七武海と八星魔王に名を連ねる存在でもあるためかどこ吹く風で本人達は一切、気にしていなかったのだ。因みにミリムとディーノもリムル同様に自身の正体を隠して第一高校に入学したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

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放課後

 

 

 

 

孝一と達也と深雪は再び生徒会室にやって来ていたのだ。中に入ると達也とほぼ同じくらいの身長の男子生徒が迎えたのだ。

 

 

「失礼します。」

 

 

「副会長の服部刑部です。四葉深雪さん、生徒会へようこそ。」

 

 

そのまま孝一と達也を完全に無視して席に戻ると背中越しにムッとした気配が伝わって来たが、一瞬で消える。何とか自制してくれたのだ。

 

 

「よっ、来たな。」

 

 

「いらっしゃい、深雪さん、達也君もご苦労様。早速だけど、あーちゃん、お願い。」

 

 

 

「・・・ハイ。」

 

 

こちらも既に諦めの境地なのだろう。一瞬哀しそうな目を伏せ、ぎこちない笑顔で頷くとあずさは深雪を端末へと誘導したのだ。

 

 

「じゃああたしらも移動しようか。」

 

 

「はあ。」

 

 

「どちらに?」

 

 

「風紀委員会本部にだよ。色々、見てもらいながらの方が分かりやすいだろうからね。この真下の部屋だ。とはいっても、中で繋がって居るんだど。」

 

 

「構造的に大丈夫ですか?」

 

 

「変わった造りですね。」

 

 

「私もそう思ったよ。」

 

 

そう言いながら、席を立つ。が、腰を浮かせたところで静止が入ったのだ。

 

 

「渡辺先輩、待ってください。」

 

 

「何だ、服部刑部少丞範蔵副会長。」

 

 

「フルネームで呼ばないで下さい。」

 

 

「じゃあ服部範蔵副会長。」

 

 

「服部刑部です!」

 

 

「それは名前じゃなくて官職だろお前の家の。」

 

 

と服部刑部と渡辺摩利によるコントのような会話が続くと真由美が間に入ったのだ。

 

 

「まあまあ摩利もはんぞーくんにも色々ろ譲れないものがあるんでしょう。」

 

 

「そこの一年生を風紀委員に任命するのは反対です。」

 

 

「何故だ?」

 

 

「風紀委員は学校の風紀を正す目的があります。たとえ今年の次席そして3位であろうと、内面に問題があれば務まるとは思えません。」

 

「その問題とは?」

 

 

「入学したての一年生が同じ十師族とは言えいきなり会長を下の名前を呼ぶのはありえません。」

 

 

「いや、ありえませんって。・・・別にいいだろそれぐらい。」

 

 

「これだけはありません。聞けば昨日、さっそく他の新入生と問題を起こしたとか。」

 

 

「それは。」

 

 

「とにかく、私は副会長として四葉達也と犬塚孝一の風紀委員就任に反対します。」

 

 

「待って、はんぞーくん。昨日の事は達也君と孝一君は悪いわけじゃn「ヒュン」え?」

 

 

真由美が言いかけると孝一が服部に対してクナイを投げると服部はすぐにそれを交わすと達也が次の攻撃に移行しようとした孝一を止めて服部にある事を告げたのだ。

 

 

「服部副会長、あまり孝一を怒らせないで下さい。こいつは七武海にその名を連ねる存在です。あまりこいつを甘く見て居ると痛い目に遭いますよ。それにそれだけ文句があるなら俺達と模擬戦をしませんか?」

 

 

「なに?」

 

 

「別に風紀委員になりたいわけではありませんが、十師族・四葉家の次期当主をある自分が、このような不甲斐ない思いを抱かせているようでは駄目だと思いましてそれに孝一の怒りを収めなきゃいけないといけませんから。」

 

 

「俺も模擬戦をやらせていただきますよ。俺も犬塚公爵家の嫡男として黙って居るわけにはいけませんからね。それに俺は侯爵卿としてそして公爵家の名を汚すわけにいけませんからね。」

 

 

「思い上がるなよ一年。・・・・いいだろう、上級生として少し指導してやる。」

 

 

服部は自分が負けることがありえないといった様子だ。

 

 

「では、生徒会長の権限により、この模擬戦を、正式な試合と認めます。」

 

 

「時間はこれより三十分後。場所は第三演習室、試合は非公開とし三人ともCADの使用を認める。」

 

 

真由美と摩利が厳かと形容して構わないと声で宣言するとあずさが慌しく端末を叩き始める。その間に孝一は自身が投げたクナイを回収したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「それで、自身はあるのか?」

 

 

息遣いが聞こえる距離で囁き声の問いかけ。

 

 

「服部は当校の五本指に入る使い手だ。どちらかと言えば集団戦向きで個人戦は得意ではいえないが、それでも一対一では勝てるヤツはほとんどいない。」

 

 

「義姉上。俺は七武海ですよ?それに俺はあの鷹の目とは世界最強の剣士の座を常に争っていますから、そんじゃそこら奴に負けては七武海の名折れですしそれにそれじゃ鷹の目とは最強の座を争えませんからね。」

 

 

「そうですよ、心配はいりませんよ。俺達の実力は摩利さんも知っているでしょう。」

 

 

「そうだったな。」

 

 

「じゃあ達也、先に俺がやって良いか?」

 

 

「ああ構いぞ。」

 

 

「お待たせしました。」

 

 

服部に準備が整ったので孝一は前に出たのだ。それを見た服部は口を開いたのだ。

 

 

「CADはどうした?」

 

 

「そんな物、俺には必要無いですよ。」

 

 

「どう言うことだ?」

 

 

「いずれ分かりますよ。」

 

 

「ふん。勝手に言っていろ。」

 

 

孝一と服部がそれぞれで定位置に着くが服部は孝一が一年生で二年生である自分に勝てないと考えていたのだがこの時、服部は孝一の事を舐めていたのだ。何せ孝一はあの天下の七武海の一人でその実力はその気になれば国の一個や二個を滅ぼす事すら出来る連中の集まりのためまた孝一もその実力は七武海の中でも一二を争う程の実力者なのである。そして摩利も二人が定位置に着いたのを確認すると口を開いたのだ。

 

 

「直接攻撃、間接攻撃を問わずに相手を死に至らしめる術式の禁止。回復不能な障害を与える術式も禁止。相手の肉体を直接損傷する術式も禁止。但し、捻挫以上の負傷を与えない直接攻撃は許可する。武器の使用は禁止。但し、素手による攻撃は許可する。蹴り技を使いければ靴を脱ぐ事。勝敗は一方が負けを認めるか審判が続行不可能と判断した場合に決する。双方、開始線まで下がり合図があるまでCADの起動しないことだ。このルールに従わない場合は、その時点で負けだ。あたしが力づくでも止めさせるから覚悟しておけ。以上だ。」

 

 

説明が終わり、静寂が完全なる支配権を確立したその瞬間。

 

 

「始め!」

 

 

火蓋が切って落とされたのだ。服部はスピード重視した単純な起動式は即座に展開を完了したのだが孝一は瞬身の術を使い第三演習室内の何ヵ所かにマーキングを一瞬で付けると服部の後ろに着くと服部本人が驚いたのだ。

 

 

「いつの間に!?」

 

 

「そんなの関係ありませんよ。」

 

 

「ええい。」

 

 

服部が魔法の起動式を構築すると孝一が飛雷神の術を発動して再び服部の背後に着くと服部の首に一撃を入れたのだ。すると摩利が宣言する。

 

 

「勝者、犬塚孝一!」

 

 

そして服部が起き上がり真由美と一緒に近づいて孝一にある事を聞いたのだ。

 

 

「孝一君。さっきは何をしたのかな?かなり一瞬で動いてたけど?」

 

 

「ええ説明しますよ。俺が発動したのは瞬身の術と飛雷神の術ですよ。」

 

 

「瞬身の術と飛雷神の術?犬塚君、何ですかその術は?」

 

 

孝一が術の名前を言うと鈴音が聞いたのだ。すると孝一が答えたのだ。

 

 

「瞬身の術は自身の体内にあるチャクラを使用して高速移動する古式魔法で飛雷神の術はあらかじめマーキングをしておいた場所に物体や人物を瞬間移動させる古式魔法ですよ。」

 

 

「そんな古式魔法があるなんて。」

 

 

「そりゃそうですよ。この術は俺達、犬塚公爵家のみ継承されて来ましたからね。全ての術が他の古式の大家や魔法師の家系にも漏らす事は厳禁になって居るので一部では古式の四葉家なんて呼ばれてるらしいですからね。まあ他の古式の家も同様ですが公爵家の場合はその傾向が他の家より強いですよ。」

 

 

「そうなのか?」

 

 

「達也、お前さんも知ってだだろ?」

 

 

孝一が術の事を説明するとあずさが驚いたように言うと孝一はその後、犬塚公爵家に伝わる古式魔法自体が下手したら国そのものを揺るがしかねないからと説明も付け加えてから達也にバットンタッチしたのだ。達也と服部が開始線まで下がると摩利から孝一の時と同様の説明をされると摩利が右腕を上げると同時に静寂が支配した瞬間に火蓋が切って落とされたのだ。

 

 

「始め。」

 

服部は孝一の時同様にスピードを重視した単純な起動式で起動して魔法の発動態勢に入るが服部は危うく悲鳴を上げそうになったのだ。理由は簡単だ達也が服部の視界を覆い尽くす程のすごい速度で迫ったのだ。しかし服部は慌てて魔法の座標を修正して魔法を放とうとするが魔法は不発に終わったのだ。起動式の処理に失敗したのではない達也の姿を消したのだ。

 

 

「後ろです。」

 

 

「!!」

 

 

「言ったでしょ。CADは必要無いと。」

 

 

「馬鹿な!今の動きは一体!?」

 

 

「正真正銘、肉体的なものですよ。」

 

 

服部は驚愕したのだ。魔法を使わずに魔法を使った同室の動きをするなど。

 

 

「服部先輩、なぜ俺がCADが不要と言ったか分かりますか?」

 

 

「!!?」

 

 

「余裕だと思っている者ほど、攻撃が単調になり読みやすいからですよ。」

 

 

服部は頭に冷水をかけられたようだった。つまり、自分の攻撃は全て読まれていたのだ。

 

 

「聞くところによると、あなたはニ科生の事を見下しているそうですね。」

 

 

「!!、・・・それは。」

 

 

「俺や孝一が風紀委員会に相応しくないのであれば、生徒の模範となるべき生徒会で差別を主張するあなたも相応しくないんじゃなくありませんか?」

 

 

「っぐ・・・。」

 

 

「それに、今のように魔法を使わず移動しなくても自己加速を使い座標をズラせば簡単にあなたの魔法を無効化できますよ、たとえニ科生でも。まあ自分を対象にした、単純な魔法限定ですが。」

 

 

「それは・・・。」

 

 

「実戦では『次』はありません。さっき後ろをとった時点であなたは死んでいました。」

 

 

「・・・黙れ!!」

 

 

服部がCADを操作する。

 

 

「これで終わりです。」

 

 

達也が一瞬で服部の後ろに回り込み基礎単一の振動系統の魔法を覆った腕で掌底を打ち込んだのだ。結果、服部の身体が崩れさる。

 

 

「勝者、四葉達也。」

 

 

この瞬間、服部は高校に入学して初めての模擬戦での敗北は、二人でしかも年下の一年生だったのだ。

 




本日はここまでです。


次回もお楽しみに〜。

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