魔法科高校の狂犬   作:Rain one

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先月は遅れてすみません。

内容で少し時間が掛かりました。

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入学編STORY5

「エリカ。」

 

 

「よ!エリカ。」

 

 

孝一と達也はエリカとの約束の時間から十分程だは歩いて居たのだ。意外と早く追いついたな、とエリカは思ったのだ。

 

 

「孝一、達也くん、遅いわよ。」

 

 

「あ〜悪りいな、エリカ。」

 

 

「・・・悪かった。」

 

 

「達也くんは、ともかく孝一が謝るなんて、珍しいはね。」

 

 

「俺がそんなに、謝らないと、思ってんのか?」

 

 

「孝一は、昔からそう言い所があるから、誤解されるんだぞ?それに俺達は色々あって遅れたんだ、仕方が無いがエリカが待ち合わせ場所に、いなかったことは別問題だろ?」

 

 

「あぅ・・・ごめん。」

 

 

孝一と達也がエリカに気付いて話しかけて会話をすると変な表現だが大真面目な顔で微笑みかけられて、エリカは一矢も射返すことが出来なかった。

 

 

「・・・孝一は仕方ないけど達也くんってさ〜やっぱり、性格悪いって言われない?」

 

 

「言われてみればエリカの言う通りだな。お前とは付き合いがたまに性格が悪い所が感じる所があるんだが?」

 

 

エリカの発言に孝一が賛同する。すると達也が反応したのだ。

 

 

「心外だな。性格に文句を、つけられたことはない。人が悪いと言われたことならあるが。」

 

 

「同じじゃん!てか、そっちの方が酷いよ!」

 

 

荒く息遣いをつくエリカに達也が気にしたのだ。

 

 

「随分、疲れているようだが大丈夫か?」

 

 

「・・・達也君。絶対、性格が悪いって言われた事あるでしょ?」

 

 

「実はそうなんだ。」

 

 

「今までの流れ全否定なの!?」

 

 

「エリカこいつにそう言う類いのツッコミは意味がないぞ?」

 

 

エリカががっくりと膝をつくと孝一がエリカに達也に関してツッコミを入れたのだ。そして孝一達3人はそのまま第二体育館、通称闘技場に移動したのだ。そこで剣道部のデモンストレーションを見学することにしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

第二体育館で剣道部のレギュラー同士で模擬試合が行われたが一人の二年生の女子部員が二回り以上の大きい男子生徒相手に互角に渡り合って居た。力では無く、華麗な技で受け流している。観衆は彼女の技に目を奪われて居たが、彼女が殺陣のように鮮やかな一本を決めて一礼をするのと同時に不満に、隣から孝一とエリカが鼻を鳴らす音がして孝一が口を開いたのだ。

 

 

 

「っフン、くだらん。」

 

 

「そうね。」

 

 

「お気に召さないようだな、二人とも。」

 

 

「・・・だって、つまらないじゃない。手の内がわかっている格下相手に、見栄えを意識した立ち回りで予定通りの一本なんて。試合じゃなくて殺陣だよこれじゃ。」

 

 

「実戦じゃ到底、生き残れる可能性が限りなくゼロに近い。俺だったらすぐに決着をつけれるぞ。」

 

 

「まあ、確かにエリカの言う通りだがあくまで宣伝のための演武だ。それに孝一お前の言いたい事は分からんでもない。だが真剣勝負なんて物を他人においそれと見せられるものじゃないだろ?」

 

 

「そうだね・・・武術の真剣勝負は、要するに殺し合いだからね。」

 

 

「それもそうだが俺にして見れば鷹の目と殺りあってる方がまだ良い方だが?」

 

 

そんな話を三人でして居ると何やら争っている声が聞こえて来たので、視線を向けると男女の剣士が対峙して居たのだ。女の方は、さっきまで試合をして居た女子生徒だ。セミロングの黒髪が印象的な、なかなかの美少女だ。あの技にこのルックス、勧誘にはうってつけだろう。

 

 

「全く、孝一はともかくだけど達也君はああいうのが好みなの?」

 

 

「俺の好みじゃないし、そもそも俺には真由美さん達が居るから無理だぞ?」

 

 

「俺は俺だぞエリカ?それに俺はああ言うのは嫌いだぞ?」

 

 

エリカがそう言うと達也が反応して自分の好みじゃないと言うと孝一がエリカの発言にフォローする。しかし下の方ではなぜか言い争いが始めて居たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「剣術部の順番まで、まだ一時間以上あるわよ、桐原君!どうしてそれまでそれまで待てないの!?」

 

 

 

「心外だな、壬生。あんな未熟者相手じゃ、新入生に剣道部随一の実力が披露出来ないだろうから協力してやろうって言ってんだぜ?」

 

 

それからも二人は口論を続けるので孝一は何が起こる事を察知したのでこの争いを見届ける事にしたのだ。ある事を見て達也が思ったのだ。孝一が口を開いたのだ。

 

 

(切っ先を向け合っておいて、今更口論もなかろうに・・・。)

 

 

「おいおい、マジかよ。」

 

 

達也がそう思ったが当事者同士が疑問に答えるのは好都合だった。そして孝一はよろしくない状況に少しだけだが冷や汗を流して居た。

 

ーー当人たちにその気はなかったのだろうか。

 

 

「面白いことになってきたね♪さっきの茶番より、ずっと面白そうな対戦だわ、こりゃ。」

 

 

「エリカ、あいつらの事知ってんのか?」

 

 

「あの二人を知って居るのか?」

 

 

「達也くんはともかく孝一はもう少しくらい他の剣士のことを調べたりした方が良いわよ?」

 

 

「俺は剣士として鷹の目と世界に名だたる剣士との決着つける以外には興味が無いんでね。」

 

 

孝一と達也の問い掛けに即、応じたところを見ると独り言ではなかったらしい。孝一はエリカの発言に孝一はそう言い切ったのだ。

 

 

「女子の方は試合を見たことをあるのを、今、思い出した。壬生紗耶香。一昨年の中等部剣道大会女子部の会全国二位よ。当時は美少女剣士とか剣術小町とか随分、騒がれたは。」

 

 

「ほう。」

 

 

「男の方は桐原武明。こっちは一昨年の関東剣術大会中等部のチャンピオンよ。正真正銘の一位よ。」

 

 

「っふん、くだらん。この程度の腕前では俺の相手にもならんな。」

 

 

「それぞれの競技の実力者か・・・・。」

 

 

この学校でこそ二科生は落ちこぼれだが全人口比で見ればエリートなのだ。しかし孝一はどうやらかなり自分の剣の腕前を自身があるらしい。

 

 

「おっと、そろそろ始まるみたいよ。」

 

 

張り詰めた糸が限界に近づいているのは達也はもちろんだが孝一も感じ取れたのだ。

 

 

「心配するなよ、壬生。剣道部のデモだ、魔法は使わないでおいてやるよ。」

 

 

「剣技だけであたしに敵うと思っているの?魔法に頼り切りの剣術部の桐原君がただの剣技のみに磨きをかける剣道部の、このあたしに。」

 

 

「大きく出たな、壬生。だったら見せてやるよ。身体能力の限界を超えた次元で競い合う、剣術の剣技をな!」

 

 

それが、開始の合図となった。いきなりむき出しの頭目に目掛けて、竹刀を振り下ろす桐原。

 

竹刀と竹刀が激しく打ち鳴らされる。悲鳴は、二拍ほど遅れて生じた。見物人には、何が起こっているのか分からなかった。

 

 

ーーーー少数の、例外を除いては。

 

 

「・・・女子の剣道ってレベルが高かったんだな。あれが二位なら、一位はどれだけ凄いんだ?」

 

 

「おいおい、マジかよ俺の見当違いか?あんだけの腕前かよ。」

 

 

二人の剣捌きに、とりわけ紗耶香の技に感嘆の吐息を達也が漏らしそして孝一が二人の剣の腕前に驚きと自分の見当違いに隠せずには流石に隠し切れなかったのだ。

 

 

「・・・違う・・・。あたしの見た壬生紗耶香とは、まるで、別人。たった二年でこんなに腕を上げるなんて・・・。」

 

 

どこか好戦的な気配を放ちながらエリカが嘆く。孝一も達也もエリカもどちらかが有利かは、目に見えて分かっていた。

 

 

「おおぉぉぉぉ!」

 

 

この立ち合いで初めて、雄叫びを上げて桐原が突進した。両者、真っ向から竹刀を打ち下ろしたのだ。

 

 

「相打ちか?」

 

 

「違うな、ありゃ。」

 

 

「いや、互角じゃない。」

 

 

桐原の竹刀は紗耶香の左上腕を捉え、紗耶香の竹刀は桐原の右肩に食い込んでいる。

 

 

「くっ!」

 

 

「・・・途中で願いを変えようとした分、打ち負けたな。」

 

 

「達也の言う通りだな。しかしありゃ非常になりきれなかったな。」

 

 

「そうか、だから剣勢が鈍ったのね。完全に相打ちのタイミングだったのに・・・。結局、非常になれなかったのね。」

 

 

勝負あった、と見たのは孝一と達也たちだけではない。剣道部の面々は安堵の表情を浮かべている。

 

 

「・・・真剣なら致命傷よ。あたしの方は骨に届いていない。素直に負けを認めなさい。」

 

 

「は、ははは。」

 

 

そう宣言する紗耶香。突如、桐原が虚な笑い声を漏らした。

 

 

「真剣なら?俺の身体は、斬れていないぜ?壬生、お前、真剣勝負が望みか?だったら、お望み通り、『真剣』で相手をしてやるよ!」

 

 

桐原が、竹刀から離れた右手で、左手首の上を押さえた。見物人の間から悲鳴が上がった。ガラスを引っ掻いたような不快な騒音に耳を防ぐ観衆。一足跳びで間合いを詰め、左手一本で竹刀を振り下ろす桐原。だが、紗耶香は、その一撃を受けようとせず、大きく後方に跳び退った。かすめただけだ。それなのに、紗耶香の胴に、細い痕が走っている。

 

 

追撃をかける桐原。しかし、その眼前に、達也が割り込んだのだ。しかし桐原は追撃を辞めなかった。そして達也が飛び込む直前、腕組みをするように、左右にはめたCADへ一瞬で左右に指を走らせたのだ。それを見た孝一がこう叫んだのだ。

 

 

「磯撫!」

 

 

すると右目が潰れた人間によく似た顔に鋭く尖った角が生えた甲羅に海老に似た三本の尻尾を持った亀が出現して桐原の竹刀による攻撃を甲羅で防いだのだ。今度は、見物人の中に口を押さえる者が続出した。

 

 

乗り物酔いに似た症状が、急激に連鎖する。その代わり、不快な高周波音が消えていた。肉を打つ竹の音、は、鳴らなかった。生じた音は、板張りの床を鳴らす落下音。音と揺れから解放されたのだ。

 

 

何を起こっているのか確認する余裕をようやく取り戻した見物人たちが見たもの。それは投げ飛ばされた桐原の左手首を掴み肩口を膝で押さえ込んで居る達也と巨大な亀とその隣に孝一の姿だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ーー以上が剣道部乱入事件の顛末です。」

 

 

孝一と達也の前には三人の男女が居たのだ。向かって右に生徒会長、七草真由美で中央に、ある意味で孝一と達也の上司である風紀委員長の渡辺摩利であるそして左の男子生徒がおそらく、部活連会頭、十文字克人だろう。達也が十文字家の総領を見たのは、以外にもこの時が初めてだ。

 

 

身長は185cm前後。見上げるような大男、という訳ではない。だが分厚い胸板と広い肩幅、制服越しでも分かる、くっきりと隆起した筋肉。そういう肉体的な特徴だけでなく、人間を構成する諸要素を凝縮するだけ凝縮したような存在感の密度が、桁外れに濃厚な人物だ。

 

 

(巌の様な人だな・・・。)

 

 

(やれやれ俺が一番、苦手な人間だな、こりゃ。)

 

 

達也と孝一が十文字を見ながらそう考えていると十文字が口を開いて孝一と達也に尋ねると達也が答えたのだ。

 

 

「それで、取り押さえた桐原はどうした?」

 

 

「桐原先輩は鎖骨にひびが入っていたので、保健委員に引き渡しました。とはいえ、魔法ですぐに治療可能な程度の損傷でしたが、自分が取り押さえた際、非を認めておられたので、拘束の必要ないと判断しました。」

 

 

「ふむ・・・いいだろう。追訴は、摘発した者の判断に委ねられているのだからな。聞いての通りだ、十文字。風紀委員としては、今回の事件を懲罰委員会に追訴するつのりはない。」

 

 

「寛大な決定に感謝する。殺傷性の高い魔法をあんな場で使ったのだ。怪我人が出ずとも、本来なら停学処分もやむ得ないところ。それは本人も分かっているだろう。今回のことを教訓とするよう、よく言い聞かせておく。」

 

 

「頼んだぞ。」

 

 

「でも、剣道部はそれでいいの?」

 

 

「挑発に乗って喧嘩を買った時点で同罪だ。文句をつけられる筋合いがじゃない。」

 

 

それもそっかと、どこか他人事のように納得した様子の真由美。

 

 

「達也君それに孝一君、お疲れ様。初日から活躍するなんて流石ね♪」

 

 

婚約者の活躍ぶりに酔いしれているだけだったようで真由美は嬉しそうにするとそんな真由美を摩利が一瞥するが本人は知らんフリを決め込んでいる。その為、摩利が達也にどうにかしろと視線で訴えるが初日の森崎達との口論で自分を使って遊んでいた仕返しとばかりに達也も手は出さないでいる。

 

 

真由美と摩利の睨み合い?が終わるのを待って孝一と達也は退出の許可を得て、二人が部屋を後にしたのだ。その後ろ姿を十文字が静かに見ていた。

 

 

 

 

 

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入学式の日とは別のカフェで、六人は今日一日のことを話し合っていたのだ。因みに孝一、達也、深雪、エリカ、美月、レオ以外のメンバーはすでに家に帰っていたのだ。

 

 

「それ、お兄様の仕業よ。お兄様、キャスト・ジャミングをお使いになったでしょう?」

 

 

「ほう。」

 

 

「キャスト・ジャミング?」

 

 

「タネを明かせば、そうだな。」

 

 

「でもあれって、特殊な石が要るんじゃなっかたっけ?アンティ・・・アンティ何とか。」

 

 

「アンティナイトよ、エリカちゃん。」

 

 

「それそれ!」

 

 

「俺は持っていないよ。」

 

 

「えっ?でも、キャスト・ジャミングを使ったって・・・。」

 

 

「あー・・・。この話はオフレコで頼みたんだけど。」

 

 

達也が身を乗り出して小声を話しだす。みんなも同じように身を乗り出して耳を傾ける。

 

 

「正確には、キャスト・ジャミングじゃないんだ。俺の使ったのは、キャスト・ジャミングの理論を応用した特定魔法のジャミングなんだよ。」

 

 

「・・・それって、新しい魔法を理論的に編み出したってことじゃないの?」

 

 

関心、驚愕、賞賛というよりも呆れたようなニュアンスがエリカの声には含まれていた。しかし、孝一だけはマイペースにコーヒーを飲んでいたのだ。

 

 

「二つのCADを同時に使おうとするとサイオン波が干渉してほとんどの場合で魔法が発動しないことは知っているよね?」

 

 

「それでだ、二つのCADを同時に使用する際に発生するサイオンの干渉をキャスト・ジャミングと同じようにエリアへ発信する。一方のCADで妨害する魔法の起動式を展開しもう一方のCADでそれとは逆方向の起動式を展開しておけば各々のCADで展開した二種類の魔法と同種類の魔法発動をある程度妨害出来るんだ。

高周波ブレードのような常駐型の魔法でも魔法式の効果を永続的に維持することは出来ない。いつか必ず起動式を起動式を展開し直さなければならない。今回はちょうどそのタイミングを掴まえることが出来たという訳だ。」

 

 

達也の説明に孝一以外の皆が関心を持って聞いていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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その後、会話はお開きとなり孝一達はその場で解散すると孝一だけはある雑居ビルの前にやって来ていたのだ。そして雑居ビルの壁にカレコレ屋と書かれた看板が掲げられておりその下にある階段に孝一は上がって行ったのだ。そしてそこである部屋のドアの前に立つと孝一がドアを開けたのだ。そして孝一が喋りながら部屋に入ったのだ。

 

 

「おい、お前ら仕事の依頼だ!」

 

 

「いきなり、やって来た上にドアを蹴破るなよ!後でオーナーに俺が怒られるだろうが!」

 

 

「本当にいきなりですね。」

 

 

「確かに、そうだな。」

 

 

孝一が部屋に入るとそこには赤のメッシュが入った黒髪の少年と二本の角が生えた水色の髪の少女と尻尾と頭に狼の耳がある白髪の少年が居たのだ。因みに彼等を紹介すると黒髪の少年がカゲチヨ、水色の髪の少女がヒサメ、白色の少年がシディで訳あってリムル等八星魔王同様に彼等が別の世界から来てしまい孝一が裏で色々と手を回して彼等がこの国で過ごせるようにしたのだ。

 

 

「仕方ない無いだろ?お前らの戸籍やら住所やらを用意してやったのは誰だと思う?」

 

 

「何も、言い返せねーな。」

 

 

「仕方ないでしょう、カゲ。」

 

 

「そうだぞ、カゲチヨ。」

 

 

「仕事の話だお前達にはある組織の調査を、して欲しいんだ。」

 

 

「ある組織って、なんですか?」

 

 

「ブランシュという組織だ。ただあくまで調査で情報を集めるだけで、良いからな。良いな?」

 

 

「でも、そっちで調べれば良いだろ?」

 

 

孝一がカレコレ屋に仕事の依頼をするとヒサメが尋ねると孝一がブランシュの調査と情報を集めるだけで良いと言うとカゲチヨが孝一で調べれば良いと言うと孝一が言ったのだ。

 

 

「それに関しては無理だ。俺は七武海だからな下手にブランシュを調べれば色々と厄介なんだよ、分かったな?そのかわりに報酬は弾むからな。」

 

 

「分かったよ。」

 

 

「分かった。」

 

 

「分かった。」

 

孝一がそう言うとカゲチヨ達は納得して依頼を受ける事にしたのだ。その後、孝一は家に帰ったのだが祖母の晴子と母の真夜と姉の咲に説教される事になったのは別のお話である。

 

 

 

 

 

 

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一週間が過ぎたのだ。

 

 

 

 

新入部員勧誘週間は、孝一と達也は嵐の日々だった。その期間中に孝一は英美が少しやらかしをしたのを聞いて英美の所に行きそこで英美に少しお説教をしたのだ。風紀委員の中で、一番忙しかったのはこの二人であろう。

 

 

生徒会にオフはあっても非番は無い。そもそも交代制ではないのだがら深雪は今日も生徒会室でお仕事だ。孝一と達也は深雪と生徒会室に向かう途中、見覚えがある女生徒に声かけられたのだ。

 

 

「犬塚君、四葉君。」

 

 

孝一と達也と深雪は同時に振り返ったのだ。

 

 

「こんにちは。一応、はじめまして、って言った方がいいかな?」

 

 

「そうですね、はじめまして。四葉達也です。壬生先輩、ですよね。」

 

 

「はじめまして、犬塚孝一です。よろしくお願いします。」

 

 

「2ーE組、壬生紗耶香です。この前はありがとう。この前はありがとう。助けてもらったのに、お礼も言わないでごめんなさい。あの時のお礼も含めて、お話したいことがあるんだけど・・・今から少し、付き合って貰えないかな?」

 

 

「今は無理です。」

 

 

「俺も無理です。この後、実家の用事があるので。」

 

 

あっさりと拒否された紗耶香は、ムッと来るよりむしろ呆気にとられているようだった。

 

 

「十五分後ならば。」

 

 

「えっと、それじゃあ、カフェで待ってるから。」

 

 

詮索の暇もなく代替案を事務的な口調で提示されてすっかり調子を狂わされながらも、紗耶香は達也だけは約束を取り付けることを成功したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

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翌日、生徒会室での昼食風景も、最初の頃とはーーと言ってもまだ二週間も経ってもいないのだがーー様変わりして居た。ダイニングサーバーの出番がめっきり無くなったのである。摩利、深雪に続いて真由美もお弁当を作ってくるようになったからだ。

 

 

「本当は達也君に毎日、作ってあげたいんだけど・・・。」

 

 

「いいえ、お義姉さまにご足労はさせません!」

 

 

と、早くも嫁・小姑の密かな争いが起こっていた。そんなメンバーでお昼を取っている最中。

 

 

「そう言えば達也君。」

 

 

「何でしょうか、委員長。」

 

 

「昨日、二年の壬生を、カフェで言葉責めにしたというのは本当かい?」

 

 

「っぶ!」

 

 

「・・・先輩も年頃の淑女なんですから、『言葉責め』などという、はしたない言葉は使わない方がいいかと思いますが。」

 

 

「ハハハ、ありがとう。あたしのことを淑女扱いしてくれるのは、達也くんくらいのものだよ。」

 

 

「そうなんですか?自分の恋人をレディとして扱わないなんて・・・。先輩の彼氏は余り紳士的な方ではないようですね。」

 

 

「そんなことは!シュウは・・・。」

 

 

そこまで言いかけて、摩利は「しまった。」という顔で口をつぐんだ。

 

 

「・・・・・・・。」

 

 

「・・・何故、何も言わない?」

 

 

「・・・何かコメントをした方が良いですか?」

 

 

真由美と深雪は背を向けて、肩を震わせていた。そして孝一は咽せたのか咳き込んでいた。

 

 

「・・・・それで、剣道部の壬生を言葉責めにしたのは本当かい?」

 

 

「・・・・そんな事実はありませんよ。」

 

 

「おや、そうかい?壬生が顔を真っ赤にして恥じらっているところを目撃したものが居るんだが?」

 

 

「どういうことからしら、達也君?」

 

 

「いえ、あの・・・真由美さん?話を・・・。」

 

 

真由美は有無をいわせないプレッシャーを感じなんとか打開策を考えようとしていると不意に隣の席から冷気が漂って来たのは達也は感じた。

 

 

「お兄様・・・?一体、何をされていらっしゃたのかしら?」

 

 

気の所為では無かった。物理的に、かつ局所的に、室温が低下している。

 

 

「ま、魔法?」

 

 

あずさの呟きには怯えが混じっていた。

 

 

「あら、久しぶりに見たはね、深雪ちゃんのあれ。」

 

 

「人事のように言わないでください真由美さん・・・。」

 

 

「エイドスに対する干渉力がよっぽど強いんだな。」

 

 

真由美の呟きに、達也は苦笑いを浮かべた。切り捨てられた「超能力」の残り香でも、「現実」を変え得る程のエイドス干渉力。

 

 

「落ち着け、深雪。ちゃんと説明するから。まず、魔法を抑えろ。」

 

 

「申し訳ありません。」

 

 

兄の言葉に、深雪は恥ずかしげに目を伏せ、ゆっくり息を整える。室温の低下が止まっていくのを感じた。孝一の方もどうやら落ち着いたようだ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

(魔法の暴走は、未熟な証であると共に、卓越した才能の証でもある。)

 

 

実の所、この事こそが、達也が四葉家の次期当主となった理由でもあった。魔法戦闘において、達也は四葉の中でも幼い頃から抜きん出た才能を発揮していたが総合的な魔法力は深雪の方が上だ。因みに孝一も一時期だが、一部の分家から次期当主の候補になったが、孝一本人が七武海である事を辞退したのだ。

 

 

四葉家は他家とは違い長子または長男が家督を継ぐことが基本だが四葉家は例外で一族の若い世代の中から魔法力が一番、優秀な者が家督を継ぐ事になる。因みに日本では、男子優先長子相続制を取っているので基本的に男子が、優先的に家督を相続する事になっている。閑話休題。

 

 

しかし、深雪は今だに上手く魔法をコントロールが出来ずにいる。それに対し、孝一と達也は深雪以上に扱いの難しい固有魔法を中学生の時点でほぼ完全に自らの支配下に置いていた上に、孝一の方は犬塚公爵家に伝わる全ての古式魔法や血継限界と仙術と六道仙術に加えて人柱力として、尾獣全てを完全にコントロールしていたのだ。先程も言った通りに孝一は辞退しているのでこれにより達也が次期当主入りに決まったのだ。

 

 

「どうも、風紀委員会の活動は、生徒の反感を買っている面があるようですね。しかし、点数稼ぎに強引に摘発、等が本当にあるんですか?」

 

 

「そりゃ本当か、達也?」

 

 

「それは壬生の勘違いだ。思い込み、なのかもしれないが。風紀委員会は全くの名誉職で、メリットはほとんど無い。」

 

 

「・・・だけど、校内では高い権力を持っているのも、また、事実。特に学校の現体制に不満を持っている生徒から見れば学内秩序維持の実働部隊である風紀委員会は、権力の笠に着た走狗に見られることもあるの。正確には、そういう風に印象を操作して居るグループがいるんだけどね。」

 

 

真由美の回答には、達也も驚かずにはいられなかったようだ。達也が真由美に聞いたのだ。

 

 

「正体は分かっているんですか?」

 

 

「えっ?ううん、噂の出所なんて、そう簡単に特定できるものじゃないから・・・。」

 

 

「・・・張本人を突き止められば、止めさせることできるもんじゃないな。」

 

 

「俺は訊いているのは、特定の個人の正体ではなく、グループの正体なんですが、・・・例えば、『ブランシュ』のような組織とか?」

 

 

 

「やっぱり知ってたか・・・流石、達也君ね。」

 

 

 

するとそれまで黙っていた孝一が口を開いたのだ。それに続いて真由美が口を開くのだったのだ。

 

 

「相変わらず、耳が早いな、お前は。」

 

 

「いつから気づいていた?」

 

 

「新歓週間の時に何度か『トリコロール』のリストバンドを付けた奴を見かけました。」

 

 

「確かにブランシュに関してはどうにかしたいとは思っていたんだがな。」

 

 

すると孝一がその事である事を言ったのだ。

 

 

「その件に関しては俺の方で調査を進めてますよ。」

 

 

「え!?そうなの?」

 

 

「ええ、知り合いの何でも屋に依頼してブランシュの事を調べてもらっていますので。」

 

 

「それ本当?」

 

 

それから、ブランシュの事について少しだけだが話し合い生徒会室を後にしたのだ

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「すごい達也、学年でダントツの一位だよ!僕も頑張らなきゃ!」

 

 

「あらら、相変わらずだな、お前は。なあ、リムル。」

 

 

「ああ、そうだな。」

 

 

「俺はエリアを支配する領域魔法よりも直接対象物に魔法を作用させたり、一点に集中するタイプの魔法が得意だからな。」

 

 

 

今回のテストに関しては達也の得意分野だったのでこのテストに関しては深雪を抜いて一位になったのだ。因み深雪は二位で孝一は三位、リムルが四位でミリムが七位、ディーノが八位でリーナは五位で英美は六位である。

 

 

この部屋は実技を見学できるように壁に強化ガラスをはめて上から見下ろせるようになっていた。先にテストを済ませたA組をこちらを見ている。その中に深雪の姿を見つけると嬉しそうにこちらに手を振ってきた。達也が振り返すと隣にいた光井ほのかと北山雫も手を振っているのが見えた。

 

 

だが、先日の一件以来、達也に激しく対抗心を燃やして居る森崎は心穏やかではなかった。孝一と達也は内心こう思ったのだ。

 

 

(やれやれ、あれだけ威圧したのに、まだ懲りないのか?)

 

 

(あいつ、俺達に殺されそうになってもよくも、まあ、あれだけ対抗心を持とうとしてるな、俺達、七武海に喧嘩を売ったらどうなるか知らないのか?)

 

 

 

孝一と達也は森崎に対して睨みをきかせると森崎はどこかに行ってしまったのだ。

 

 

 

 

 

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『全校生徒の皆さん!』

 

 

「何だ何だ一体こりゃ!」

 

 

「チョッと落ち着きなさいただでさえアンタは暑苦しいだから。」

 

 

「・・・落ち着いた方が良いのはエリカちゃんも同じだと思うけど?」

 

 

授業が終わった直後の放課後の冒頭。ハウリング寸前の大音声が、スピーカーから飛び出した。

 

 

『私達は学内差別撤廃同盟『スリー・ハープズ』です。私達は生徒会と部活連に対し、対等な立場における交渉を要求します。』

 

 

「クックっ・・・。」

 

 

「フン。やれやれだ。」

 

 

「孝一、達也?」

 

 

「お前らどうしたんだ。」

 

 

「面白そうなのだ!」

 

 

「ZZZ〜。スピー。」

 

 

達也の笑みと孝一の呆れた表情を見て鋼リムルは困惑していた。そしてミリムは嬉しそうにしていたのだ。

 

 

「・・・何がそんなに可笑しかったんだ?それに孝一はなんでそんなに呆れて居るんだ?」

 

 

「これで笑わずにいられるか?お前はよく平気だな鋼。」

 

 

「こいつらの発想と考え事態は問題ない。だがやってる事自体が最低行為だぞ。」

 

 

「・・・『スリー・ハープズ』・・・平均という発想自体が区別を認めているんだがな。」

 

 

「平均?どう言う事?」

 

 

「????」

 

 

「どう言う事なのだ?」

 

 

「ZZZ〜。スピー。」

 

 

「three halves、つまり1.5・・・。要するに、『1』科と『2』科を平均して1.5って事、差別撤廃とか言っておきながら、一科とニ科の区別を存続させる事を前提にとした命名じゃないか。」

 

 

達也の説明にようやく意味を理解した鋼とリムルとミリムは呆れたのだ。すると孝一は達也は呼び出されたのだ。因みにディーノが横で堂々と寝て居る。

 

 

「おっと、お呼びが掛かったか。行くぞ、孝一。」

 

 

「ああ、分かってる。」

 

 

「あ、うん、気をつけて。」

 

 

そう言うとリムルとミリムは鋼は孝一と達也を見送ったのだ。

 

 

 

 

 




今回はここまでです。


次回はなるべく早く投稿します。

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