もしもジョージ・オーウェルがウマ娘の怪文書を書いたら 作:ryanzi
目が覚めると、そこは明日の昼過ぎのトレセンだった。
いや、私は目の前に広がるトレセンなど見たことがなかった。
あの白く壮麗なピラミッドの要塞はどこに行ったのだ?
そこには、ただ美しい、レンガ造りの建物があるだけだった。
これが真の姿、という謎の記憶が私の頭に湧きだしてくる。
そうだ、トレセンはもともとこんな姿だったじゃないか。
むしろ、あのピラミッドの姿が間違っていたのだ。
一体どうして、トレセン=ピラミッドなどという概念が生まれたのか?
思い出せなかった。昨日の記憶がなくなっていた。
いや、もうなくなっていたということもよくわからなくなっていた。
でも明日のことは知っている。イワシが土から生えてくるのだろう。
今日は消えていたのだから。学校の外を歩く者たちは、誰もがヘルメットを被っていた。
「あっ、トレーナー!」
私の担当バのトウカイテイオーが勢いよく向かってくる。
勢いがよすぎて、私を押し倒してしまう。
その瞬間、私は見た。ビルが、ありとあらゆる建物が、空から建っていた。
「トレーナー?どうしたの?」
「いや、何でもないよ。今日もテイオーは元気で可愛いな」
「えへへ~」
無邪気な笑顔を向ける彼女の頭を撫でる。
これからもこんな日常が続いて欲しい。
しかし、運命は非情であった。
クロマグロが降ってきた。マグロ、私たちは殺されてしまう。
マグロの針には毒があるのだ。
私はとっさにテイオーを庇おうとするが、遅かった。
彼女の背中に、マグロが刺さってしまった。
「と、トレーナー・・・」
「すまなかった・・・私が庇えなかったばかりに・・・」
「ううん、トレーナーに刺さらなくてよかったよ。
ボク、トレーナーが生きていてくれたら、それだけで幸せなんだ・・・」
「まだだ。まだ助かる。急いで保健室に・・・」
私は彼女を抱きかかえて、急ごうとした。
だが、地面から生えてきたイワシに何度もつまずきそうになる。
ああ、私はこのことを知っていたはずなのに。
加熱された室外機の熱がこちらにまで伝わってきていた。
こうしているうちに、だんだんと目が見えなくなってきた。
マグロは相も変わらず降り続けていた。
「もういいよ、トレーナー・・・あっちの方に行こう」
知らない道がそこにあった。
その道はトンネルに続いていた。その前にはバイロンが立っていた。
蛙が鳴いたので急いだ。嫌な気分だった。
トンネルに入ると、中は生暖かった。
そして、私とテイオーは穴の中に落ちて、足から溶けていく。
「トレーナー、最期にうまぴょいさせて・・・」
そう言って、彼女はズボンを脱がして、
私のにんじんを彼女のはちみーの湧きだすところに入れた。
二人が融け合う直前、私とテイオーはようやくうまぴょいし合うことができた。
これでいいのだ。頭の先まで融け合い、最期を迎えた。
月は満ちも欠けもしていなかった。ただ、そこに存在するだけだった。
全て私の所為だった。
私は月光の射し込む部屋で目が覚めた。
ラジオの隣に備えておいたプリンの期限は昨日で切れていた。
さきほどまでの夢は何だったのだろうか?
その原因がわかった。枕代わりにしてしまった本だ。
寡頭制うまぴょい主義の理論と実践 エマニュエル・ゴールドシップ
僕の妹のライスとカレンはとにもかくにもこんなにも可愛い アルガリア
こんな劇物をどうして枕代わりにしたのか、わからなかった。
ただ、私は夢の中でテイオーとうまぴょいしたのは確かだ。
その証拠に、私は夢精してしまっていた。
まあ、これくらいならそろぴょいには・・・
「そろぴょいしたんだね♡トレーナー♡」
おっと、どうやら駄目だったみたいだ。
まさかこれもそろぴょい扱いになってしまうとは。
「テイオー」
「うん♡」
「愛してるよ」
「ボクもだよ、トレーナー♡」
言えることはただ一つ。
明日の昼過ぎにマグロは降ってこないし、イワシも生えてこない。
そして、私は今、トウカイテイオーを愛していた。