珍奇!強制シーメール化事件   作:モッチー7

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第2話:魔法少女の日常について

強田は、魔法少女の日課の1つであるある装置の装着が死ぬ程嫌だった。

「こんな物をつけろと言うのか?野郎に……男にか?」

だが、魔法少女管理委員会役員は冷淡に答えた。

「仕方ありません。巨大怪獣との戦闘中に、アレをする為だけに退席されても困りますから」

でも納得出来ない強田。

「ふざけるな……俺は男だ!こんな物を付ける必要―――」

だが、アレをしたいと言う衝動が強田を襲った。

「ぐっ!?ぐう……」

隣にいた魔法少女が手慣れた手つきで例の装置を自分に装着した。

「しょうがないだろ。こう言う身体に成っちまったんだから」

「ぐっ……ぐっ……うわあぁーーーーー!」

強田が絶叫しながら例の装置を渋々装着する。

「はぁ、はぁ、はぁ……はあぁーーーーー!」

強田が歓喜の悲鳴を上げてしまい、慌てて正気に戻った。

「違う!俺は……俺はー!」

だが、例の装置の気持ち良さには勝てず、またしても歓喜の悲鳴を上げた。

「あっ!出、出るっ!出るのぉー!出るの……んあー!」

例の装置を回りくどく説明すると、乳房に溜まった尿意を解消する装置。

つまり「搾乳機」である。

 

強田の隣で搾乳していた魔法少女が、四つん這いになりながら項垂れる強田を見て呆れていた。

「しょうがないだろ。母乳を出さないと乳房の張りが強くて痛いんだから」

「俺は男だぞ……男が牛や山羊の様に牛乳を搾り取られるんだぞ……非常識にも程があるだろ!?」

「しょうがないだろ!私達は魔法少女なんだから!」

この様な短過ぎる説明では強田が納得しないと思った役員が補足説明を付け加える。

「隕石の欠片を取り込んで同化した影響で、貴女方の胸の辺りに、魔臓と呼ばれる新たなる臓器が生まれております。その魔臓のお陰で、魔法少女は多彩で無尽蔵な超能力を好きなだけ使用出来るのです。しかし」

「しかしだと!?こんな姿に変えただけでは飽き足らず、まだ何か有ると言うのかー!」

「魔臓が生み出す未知のエネルギー、通称『魔力』には、エストロゲンやプロゲステロン、プロラクチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、アスタキサンチン、ローヤルゼリー、ボロン、葉酸、カルシウム、鉄分、エラスチンペプチド、ビタミンPP、アルブチン、L-アスコルビン酸 2-グルコシド、グリチルリチン酸ジカリウム、フッ素と同様の効果も有しています」

言ってる意味が3分の1も解らない強田が首を傾げる。

「……どう言う意味だよ?」

「つまり、美容と健康と女性化と母乳生成に効果絶大と言う訳です」

この説明がかえって強田の怒りを煽った。

「3つ目と4つ目は明らかに不要だろ!」

「私達に言われても困るわよ!私達魔法少女はこう言う身体なんだから!」

と言って、魔法少女は強田のある事が気になった。

「それよりお前」

「あ?」

「その女らしくもない物、何時までぶら下げてる気だ?」

その途端、強田が魔法少女の胸倉を掴んだ。

「一生に決まってるだろ!これは……俺の最後の牙城なんだぞ!」

そう、魔法少女は老若男女関係無く、隕石の欠片と同化出来る可能性さえあれば、誰でも志願出来るのである。

更に言えば、魔法少女に成れるか否かを調べる為の血液検査も、実は挙手制である。

「なにぃー!あいつら騙しやがったなぁーーーーー!」

だが、魔法少女は強田の女気無さ過ぎな行動の方が気になっていた。

「それより、何時まで上半身裸なんだ?さっさと服を着るか衣装を生成しろよ」

「男にとって、上半身裸は恥ずかしい事じゃねぇんだよぉーーーーー!」

 

強田が更にある疑問にぶつかる。

「そう言えば」

「今度は何なんだ!?」

「何でこうもちょくちょく巨大怪獣がやって来るんだ?聞いた話だと、俺達の様な奴が―――」

「奴じゃなくて魔法少女!」

「俺達の様な奴が放つ超能力を浴びると死んじまうんだろ?」

「2回言いやがった」

「なのになんで……その事を解っていながら、そんなリスクを背負ってまで地上に出てくるんだ?」

魔法少女は言葉に詰まった。

「それは、そ……」

魔法少女管理委員会役員の1人であるライラ・アーニマールが代わりに答えた。

「それは、ダメージヘアー星人に直接訊くしかないわね」

「ダメージヘアーせいじん?」

「彼らが国連に送って来た動画を見る限りでは、彼らが巨大怪獣関連の事件の黒幕だと思われるわ」

「つまり、そいつを斃せば全てが終わるって事か?」

だが、事は強田が思っている程楽ではなかった。

「我々は既にダメージヘアー星人を何人か死に至らしめ、駄目押しの検死まで行っている」

「つまり……個人名ではなくチーム名って訳ね?」

「今はそう言う解釈で十分だろ?」

「で、そのチームは何の為に怪獣達を?」

その質問に対し、ライラは困り果てた顔をした。

「……一応、それらしい動画は送ってきているらしいが、聴き方によっては冗談に聞こえてしまうので、表向きは『理由不明』と言う事にしている」

「観せてくれないか?その動画」

「……後悔しても知らんぞ?」

ライラのパソコンに映し出されたのは、ダメージヘアー星人が提示した和平条件であった。

「お前達が頭髪のケアーを徹底的に怠ると言うのであれば、この星で暴れている怪獣を全て撤退させよう」

それは、強田の怒りの炎に油を注ぐに十分な内容だった。

「何だこれはぁ……これは完全にただの嫉妬じゃねぇか!?」

「あいつらに言ってくれ!私に言われても困る!」

ライラは、強田と魔法少女との口喧嘩を観ながら思う。

(本当は、あのワープホールを壊せば良いだけなのだが……)

魔法少女が強田に尻を噛まれた。

(今のあの子達の力では、まだこの推論は早いか?)

 

とある病院内でアナウンスがけたたましく鳴る。

「魔法少女管理委員会より避難命令が発出されました。看護師の指示に従って避難してください」

それを聞いた中年女性が文句を垂れる。

「どうして……怪獣が何だって言うのよ!」

その時、病院の近くで不気味な落下音が木霊した。

「何だ?何だ!?」

 

蛸と中年男性の頭部を同時に兼ね備える巨大怪獣が、周りにある物を次々に投げ飛ばした。

それを観ていた人々が慌てて逃走した。避難命令に文句を垂れていた中年女性も、それを観て大音量の悲鳴を上げた。

だが、少しばかり逃走が遅かったのか、投げ飛ばされた車にぶつかった病院から出た瓦礫が、逃走する人々の頭上に振りかかろうと言ていた。

「あーーーーー!あーーーーー!」

が、その瓦礫は、不自然な程宙に浮いていた。

「あーーーーー!……へ?」

駆け付けた魔法少女達が超能力で瓦礫を浮かべたからだ。

ついでに、魔法少女達も空を飛んでいた。

その1人である強田は、他の魔法少女達の戦闘衣装に違和感を覚えた。

「その!ロリが着そうなドレスみたいなの!何とかならんのか!」

魔法少女が強田にツッコミを入れた。

「お前こそその女気が無い恰好を何とかしろ。いやしくも少女なんだからさー」

魔法少女が使用する超能力の1つに物質生成が有るのだが、強田が生成した戦闘衣装は、他の魔法少女と違ってかなり武骨で不格好だった。

白いワイシャツに長ズボン、ブレストプレートに凶暴そうな鉄製のロンググローブとロングブーツと言う出で立ち。

他の魔法少女達がゲームやアニメに出てくるアイドルの様な戦闘衣装なので、強田の戦闘衣装は逆に目立つ。

ふと何かに気付いた強田が呆れた様に言い放った。

「そんな事より、お客様がお待ちだぜ?」

その間、蛸と中年男性の頭部を同時に兼ね備える巨大怪獣が周りにある物を次々と投げ飛ばし続けていた。

ターゲットを補足した強田は、他の魔法少女達とは真逆の事をした。

「おい!待てお前!近過ぎるって!」

「俺はなぁ!飛び道具って奴がどうも好きになれないんだよ!」

そうこうしている内に巨大怪獣の眼前に到着した強田。

「やはり喧嘩と言えば接近戦だよな?遠くで偉そうにって言うのは……」

巨大怪獣は強田まで投げ飛ばそうとするが、

「やっぱ性に合わねぇ!」

強田のアッパーが巨大怪獣の触腕を直撃。巨大怪獣は大袈裟に痛がった。

「デカいのは……図体だけかビビり!」

そこへ、魔法少女がピンク色のビームを放って応戦する。

「強田ぁー!お前、本当に近いって!」

が、強田は別に意味で呆れていた。

「持ってる棒までプの字ぽいな」

不利を実感した巨大怪獣は、作戦を変えて近くに有った車を投げつける事にした。

それを見た強田が更に呆れた。

「本当に図体以外は小さいな……お前も遠くで偉そうに攻撃するタイプな上に、騒いでるだけの野次馬共まで巻き込むとは……」

強田の目つきが変わり、本気モードになる。

「躾けなくちゃな!」

巨大怪獣に投げ飛ばされた車に乗っていた人々を瞬間転送で車から追い出すと、念力でその車を巨大怪獣に投げ返した。

どんどん悪化する戦局に困り果てる巨大怪獣の隙を見逃す事なく、次々とパンチやキックを決める強田。

強田の接近し過ぎに呆れつつも、他の魔法少女もビームや光弾などで巨大怪獣を攻撃する。

そして、魔法少女管理委員会アジア支部が勝利まであとわずかである事を告げる。

「巨大怪獣、超能力許容限界値を突破します!」

「でやあぁーーーーー!」

強田の駄目押しのパンチが命中した所で巨大怪獣が息絶え、派手に吹き飛ばされて海に叩き返されながら姿を消した。

 

巨大で凶悪な破壊者が魔法少女達に追い返されたのを観て歓喜する人々。

称賛された魔法少女達の1人である強田が照れ臭そうにしていたが、何気なく振り向いたら、瓦礫の下敷きになっている者を発見。瞬間移動で近づき念力で瓦礫をどかすと、掌から出る青い光で怪我を治療し傷を消していく。

「アフターケアーも完璧かよ?すげぇー!」

「出血が止まった!?」

「命の恩人だ」

それを聞いた強田が照れ臭そうに言い放った。

「うるせぇ!これが仕事なんだよ仕事!」

 

とここで、強田が魔法少女を辞めたくなる事態が発生した。

「サインください」

魔法少女は、ただでさえふっくらとした乳房を有する可愛らしい美少女の様な姿であるが、戦闘だけでなく医療や救助も完璧にこなす為、人々からは実用系アイドルと呼ばれてちやほやされているのある。

(早く来てくれ!後始末部隊ぃーーーーー!)

 

管理委員会が送り込んだ後始末部隊のお陰で、付き纏うオタク達をどうにかまけた強田達は、そのオタク達への陰口を叩いていた。

「はぁ……人々から称賛されるのは良いけど、あのブタ達は正直勘弁して欲しいわ」

「私達が立っているのは舞台じゃなくて戦地だと言うのに」

「ああいう人達が巨大怪獣に狙われたらと思うとゾッとするわ」

そんな中、強田が半壊したカーブミラーを発見。ムッとしながら念力でカーブミラーを叩き割った。

そして、強田を含めた魔法少女達はまたオタク達に絡まれるのを嫌って瞬間移動で基地に戻った。

 

その日の夜。

強田が個室のベットに八つ当たりをしていた。

「ざっけんなボケェー!クソ!クソ!クソー!なんでだ……なんでこの俺が、あんな気色悪いキモオタに追われなきゃなんねぇんだ……」

そして、かつての栄光を思い出して泣き崩れた。

「かつての俺なら……姿をさらしただけで楽々と追っ払えたのに……間違っている……あんな気色悪いキモオタに俺が!この俺がぁー!」

とは言ったものの、既に魔法少女に成ってしまったので、一生ふっくらとした乳房を有する可愛らしい美少女の様な姿と付き合わなければならない。

 

魔法少女・強田護の未来はどっちだ?

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