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今日もまた搾乳された強田が、自己嫌悪に襲われながら朝食を食べていると、
「あー!」
強田がある魔法少女の姿を見て大声を上げるが、言われた魔法少女の方は、強田の姿が変わり過ぎたせいでもあるのか、ただ首を傾げるだけだった。
「どこかでお会いしましたか?」
「何が『どこかでお遭いしましたかー♪』じゃねぇ!そのムカつく大五郎ヘアー!1秒たりとも忘れた事がねぇ!」
「好きでやってるんだよこの髪型。と言うか、私があんたに何をした!?」
いくら問い詰められ……
「これを観てもまだそんな事を言えるかー!」
問い詰められた魔法少女が強田の超能力である事を思い出させられていた。
まだ男だった頃の強田が苦しそうに転がっていた。
「くっ……くっそぉー……」
強田の目の前にいる敵は、変わった髪形をした魔法少女とそれにしがみ付く金髪のチンピラであった。
「こいつっす!こいつが犯人っす!」
そう。このチンピラは魔法少女管理委員会に強田を売ったのだ。
だが、強過ぎる糞外道を目指す強田の辞書に、逃走や降伏の2文字は無い。気に入らない奴は、殴り倒して屈服させるのみなのだ。
「この野郎!」
が、一般人と魔法少女では理が違い過ぎた。
魔法少女は飛行や瞬間移動で強田の鉄パイプを楽々と躱し、手にした二丁拳銃で光弾を次々と命中させた。
「ぐおぉーーーーー!」
圧倒的な力の差を魅せ付けられた強田であったが、それでも強田の罵詈雑言は止まらない。
「罰ゲームの様な髪形をしてるくせに、随分卑怯な事をしてくれるじゃねぇか?空飛ぶブサイクさんよぉー!」
髪形を馬鹿にされた魔法少女は、怒りを圧し殺しながら冷静に言い返す。
「罰ゲーム?これは趣味だ。それに……私達が普段立っている戦場は、そんな綺麗事が通用する程楽じゃない」
そう。強田は、強過ぎる糞外道を目指すと言っておきながら、俗に言う飛び道具に頼った事は一切無かったのだ。
ナイフや鉄パイプと言った凶器を遠慮なく使用する事はあっても、強田の喧嘩は接近戦オンリー。遠くからじわじわ相手を傷つける事も無ければ、遠くで偉そうにしている無能が大嫌いだった。
「綺麗事?これは趣味だ。それに……そこの糞みたいな屑をボコったのは、これが初めてじゃねぇんだよ!」
指名されたチンピラが怯えながら魔法少女の背中に隠れ、魔法少女は手にした二丁拳銃を構えた。
「ボコった?まるで過去形だね?まだ……貴方が勝ったと決まった訳じゃないのに!」
魔法少女が光弾を発砲。光弾は姿を変えて手錠や足枷の代わりとなり、強田の自由を奪った。
それでも、強田の虚勢と罵詈雑言は止まらない。
「見た目も卑怯だが戦い方も卑怯か?通りで何時まで経っても勃たねぇ筈だよ!」
強田の悪口にツッコむのが疲れたのか、魔法少女が指を鳴らすと、警官達が強田の周りに転送された。
そして、テレパシーで事情を説明すると、警官達が何の疑問も無く強田を逮捕した。
全てを思い出した魔法少女は慌てふためいた。
「貴女!あの時の不良だったのぉー!?」
強田が昭和の漫画の様に自分の指を折りながら、自身の逮捕に貢献した魔法少女に近づいた。
「やっと思い出してくれたか?……再戦を指折り数えて待ってたぜ!」
だが、役員が飛び出して来て、2人の間に割って入る。
「ちょとちょっとちょっと!ダメダメ!魔法少女同士が戦ったら!」
強田が悔しそうに舌打ちしながら食堂を後にした。
魔法少女管理委員会が管理する建物の中には、魔法少女が超能力の練習をする為のスペースが有った。
魔法少女は、この中で自身の超能力を磨き、何時か現れる筈の巨大怪獣との戦いに備えるのだ。
が、強田は、自分を逮捕した魔法少女を発見したのを契機に、このスペースに物足りなさを感じていた。
「どうかしましたか?さっきからため息ばかり」
「この練習場……何所も御1人様なのか?」
対応した役員は、このままではバリエーションが増えない事に不満を持っていると勘違いし、他の魔法少女のデータや練習を観たらどうだと薦めるが、
「それって、唯のパクリじゃん」
「ではどうしろと?」
強田が狡賢そうな顔をしながら答えた。
「模擬戦だよ模擬戦」
役員は当然慌てる。
「駄目ですよそんなの!」
「何で駄目なんだい?」
「魔法少女は巨大怪獣対策の要!それを無駄に消費するなど、もってのほかです!」
強田は意地悪そうな顔で答える。
「模擬戦如きで壊れる様な軟弱が、あんなデカブツに勝てるとでも思う?」
強田の言い分も一理あるので、役員が返答に困った。
「それはぁ……ですが―――」
「そんなぬるい考えで勝てる相手―――」
その時、巨大怪獣出現アラートが鳴り響いた。
「ちっ!この話はまた後だ」
強田の出撃を確認すると、役員は安堵の溜息を吐いた。
モグラとプレコを同時に兼ね備える巨大怪獣が、地中で穴を掘りながら前進していた。
その姿に呆れる強田。
「ああいう何かに隠れながら戦う奴は、何時まで経ってもどうも好きになれねぇ……」
それを聞いた複数の魔法少女達が提案する。
「なら、転送で地上に引き摺り出そうか?」
強田の逮捕に貢献した魔法少女がさっきまで困り果てていたが、先程の提案を聞いて顔色が明るくなる。
「おー!それが良い!それが良いよ!」
その様子を視ていた強田は、少し考えたのち、珍しく管理委員会に意見を求めた。
「奴を地上に出せば、野次馬共を巻き込む事になるぜ?どうする?」
その間も、巨大怪獣は地中で穴を掘りながら前進していた。
そこで、ライラが避難状況の説明を求めた。
「避難が完了しているエリアは!?」
オペレーター達が避難完了エリアを次々と読み上げる。
それを聞いたライラが決断する。
「地上に引っ張り出せ!奴を丸裸にして一気に叩く!」
ライラの合図とともに動いた魔法少女達が巨大怪獣が掘った穴に瞬間移動で侵入。ターゲットを発見するや否や、問答無用で巨大怪獣を空中に転送した。
予想外の事態に慌てる巨大怪獣。
そこへ、強田のパンチが飛ぶ。
「でやぁー!」
だが、鎧の様に固くザラザラした鱗が非常に頑丈で、思った程の効果がない。
「くっ!地面の次は鱗か!?どんだけ色々な物を盾にすれば気が済むんだこいつは!?」
強田の逮捕に貢献した魔法少女も攻撃に加わるが、二丁拳銃から出る光弾も頑強な鱗に阻まれ効果無し。
「うわっ!?……硬い……」
強田の逮捕に貢献した魔法少女の蒼褪めた顔を見て、物凄く邪な考えが浮かぶ強田。
(ふふーん♪そう言う事?)
強田が殴打をやめて巨大怪獣の鼻先を両手で掴む。
慌てた巨大怪獣が両手の爪で追い払おうとするが、
「おーい♪そっち往ったぞぉー♪」
「へ?」
強田はなんと、自身を捕まえた魔法少女に向かって巨大怪獣を放り投げたのだ。
「えーーーーー!?」
魔法少女が二丁拳銃から光弾を連発するが、鱗が頑強過ぎてまるで効果無し。
そう。強田の逮捕に貢献した魔法少女は、二丁拳銃を武器とする事で様々な光弾による臨機応変な戦闘を獲得したが、その代償として、一撃で相手を倒す事が出来なくなって手数で勝負する事を余儀なくされたのだ。
結局、強田に投げ飛ばされた巨大怪獣を押し返す事が出来ず、回避すれば良いと言う考えが浮かばぬまま、シールドを張って防御して一緒に吹き飛ばされた。
強田に投げ飛ばされて仰向けに倒れた巨大怪獣は、うつ伏せに戻ろうと足掻くが、目の前の徐々に大きくなる光を見て瞼が全開になる。
巨大怪獣を地上に引き摺り出すのを担当していた魔法少女達が、瞬間移動で巨大怪獣の真上に出現し、大規模なビームの準備をしていたのだ。
強田の逮捕に貢献した魔法少女とその子が張ったシールドが、仰向けに倒れた巨大怪獣の下敷きになっているのに気付かずに……
「逝っけえぇー!」
「食らえぇーーーーー!」
「待ってえぇーーーーー(涙)」
魔法少女達が共同で放った極太ビームが、無防備となった巨大怪獣の腹に命中し、
「巨大怪獣、超能力許容限界値を突破します!」
炎上・爆散した。
「いやったぁーーーーー♪」
他の魔法少女達が喜ぶ中、強田以外が何かを忘れていた。
「何々?今日の私の運勢は最下位なの?」
強田の逮捕に貢献した魔法少女が、疲れ果てて大の字で倒れた。
巨大怪獣に止めを刺した魔法少女達が強田の逮捕に貢献した魔法少女に謝罪していた。
「いやー、ごめんごめん。まさかそこにいたとは」
「そこにいたとはじゃないわよ!危うく死ぬところだったんだからね!」
が、強田が謝罪している魔法少女達の弁解をした。
「仕方ないよ。最後の攻撃があの鱗に当たっていたら、結果が変わっていた可能性も在るしよ」
「じゃあ何か?吹っ飛んだ巨大怪獣を避けなかった私が悪いって言うの?」
強田がわざととぼけた?
「え?アレ避けれるの?」
強田の逮捕に貢献した魔法少女が怒って怒鳴り散らす。
「避けれるわぁー!忘れたの!?あの時の私の華麗な動きを!」
強田が強田の逮捕に貢献した魔法少女の肩を叩く。
「なら……共に申請しない?」
「神聖!?どこがよ!?」
「委員会に魔法少女同士の模擬戦が出来る様にって」
強田の逮捕に貢献した魔法少女は、自分が強田の罠にはまった事に気が付いた。
「え?模擬戦ってぇ……まさか……まさかよね?」
強田がとびっきりの笑顔で答える。
「いやー。同じ目的を持った者同士が、お互いと戦いながら切磋琢磨する。んーーーーー!良いシュチュエーションだねぇー♪」
「お前な。お前なー!いい加減にあの事は忘れろぉーーーーー!」
強田の逮捕に貢献した魔法少女が瞬間移動で逃走するが、強田も飛行や瞬間移動を駆使してそれを追った。