芳佳「リリィ?」梨璃「ウィッチ?」   作:ひえん

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バルクホルン「宮藤は何処だ!!」

 爆撃機から空中発進したストライクウィッチーズの面々は不気味な雲の前を飛ぶ。そして、隊長であるミーナが部下達に無線を飛ばした。

 

「この雲の内部に宮藤曹長と服部少尉がいる模様よ。すぐに合流と…したいところだけれど、問題が一つあるわ」

「どうしたんだ、中佐?」

 

 リベリオン陸軍のシャーロット・E・イェーガー大尉がそう質問を返す。すると、ミーナがこう答える。

 

「この雲の内部は猛烈な妨害電波が飛び交っていて無線は通信不能。よって、あの二人がどこを飛んでいるのか不明な状態よ」

「こんな狭い雲なのに?」

 

 ロマーニャ空軍のフランチェスカ・ルッキーニ少尉がその雲を見て小首を傾げる。

 

「ええ、その筈なのだけれど…とりあえず、情報はそれしかないわ。で、雲の中に入ったらあの二人を探す為に散開。二、三人で編隊を組んで捜索を行うわ。そして、二人もしくはどちらか一人を見つけたら、すぐに信号弾を撃ちあげて頂戴」

「了解!」

 

 そうして、ウィッチ達は不気味な雲へと向かう。

 

「うーん、これは…?」

「どうしたの、エイラ?」

 

 スオムス空軍のエイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉が懐から取り出したタロットカードをじっと見る。そして、その様子にオラーシャ出身のサーニャ・V・リトヴャク中尉がどうしたのかと声をかけた。

 

「いや、なんか厄介な事が起こりそうだなって」

「二人が無事だといいけど…」

「あー、そういうヤツでは無いみたいなんだけどな」

「どういう事?」

 

 ウィッチ達は雲へと飛び込んだ。

 

 

 

 

「梅様、無事でしたか」

「ああ、神琳も大丈夫そうだな」

 

 神琳が梅の姿を見つけて静かに駆け寄った。しかし、周囲に他のメンバーはいない様子である。だが、それでもたった一人よりはずっといい。

 

「あの後、他に誰か見たか?」

「いえ、爆撃と煙幕で完全に分断されてそれっきりです。無線もまだ駄目ですし…」

「仕方ないか」

 

 梅は溜息をつく。すると、神琳が何かに気付いて口を開く。

 

「梅様、三時上方。中型ネウロイ」

「おっと、不味いな」

 

 二人は慌てて木の陰に転がり込む。そして、恐る恐る上空の様子を確認する。

 

「見つかってはいないな」

「ええ」

「さて、どうするか…あ、やっぱりちと不味いぞ」

 

 刹那、響き渡る爆発音。敵の攻撃が至近に着弾、隣の木が音を立てて倒れる。

 

「見つかった、梅が引き付ける。援護任せた」

「はい!」

 

 そして、梅は駆ける。レアスキルの縮地を使って高速移動、相手の注意を引く。少なくとも、神琳が撃てる位置に相手を誘い込む必要がある。

 

「おいおい…あいつ、地上でいったい何キロ出してんだ?」

 

 敵から視認される程度の速さで梅が走っていると、突如として英語の話し声が聞こえてきた。驚いた梅は咄嗟に声の聞こえてきた方へと振り返る。すると、頭上で連続した発砲音。

 

「な、なんだ!?」

 

 上空に視線を向けると、そこには崩壊して散っていくネウロイの姿があった。あまりの早業に梅は唖然とした表情を浮かべる。

 

「よーし、よし…見て見て、シャーリー。全弾命中!」

「ああ、ナイスだ。ルッキーニ!」

 

 上空には二人のウィッチ、見るからに扶桑人ではない。神琳も驚いたように上を見ている。初めて見る扶桑以外の国のウィッチに二人のリリィは内心で困惑していた。そして、小柄で黒髪の少女がくるりと一回転すると、そのまま急降下するような勢いで降りてくる。

 

「どーも。ねー、芳佳知らない?」

 

 梅と神琳が突如現れた見知らぬウィッチに目を白黒させていると、もう一人のウィッチも降りてきた。

 

「おいおい、ルッキーニ。突然だと相手も驚くだろう。さて、私は501のイェーガー大尉だ。こっちはルッキーニ少尉。あー、君達はブリタニア語分かるか?」

 

 神琳が頷いて英語で答える。

 

「ええ、一応は」

「ああ、よかった。で、ちょっと聞きたいのだが…扶桑海軍の宮藤芳佳と服部静夏の二人を探しているんだ。知らないか?」

「知ってはいますが、今どこにいるのかはちょっと…」

「そうか、残念だ。で、ついでにもう一つ質問」

「何でしょう?」

「そこのもう一人の方はさっきめちゃくちゃ速く走っていたな。なんかの固有魔法か?そもそも、二人は陸戦ウィッチなのか?ストライカーユニットが無いみたいだが…」

 

 その問いに神琳と梅は顔を見合わせた。どうやら、この二人のウィッチはリリィの事を知らないらしい。そして、今度は梅が口を開く。

 

「ええと、自分達はその…ウィッチでは無くて…」

「何?さっきのはどう見ても魔法の類だろう」

「魔法ではあるんだけど…その、なんて言えばいいか…」

 

 今度はイェーガー大尉…シャーリーが驚いた顔を浮かべた。よく見ると、彼女達の持つ装備も妙だ…すると、ルッキーニが神琳の持つ装備を見て首を傾げながら言う。

 

「ねえ、なんで鍋なんて持ってんの?」

「な、鍋…?ええと、これは鍋じゃなくてCHARMという武器でして」

「ちゃーむ?なにそれ」

 

 ルッキーニは小首を傾げる。そして、シャーリーが梅と神琳の様子をじっと見て口を開く。

 

「なあ、ちょっと詳しく話を聞いてもいいか?どうにも事情が掴めない」

 

 

 

 

 

「情報通り、無線は駄目ですわね。リーネさん、そちらは?」

「こっちも駄目、雑音が酷くて…」

「仕方ないか…」

 

 ガリア空軍のペリーヌ・クロステルマン中尉とリネット・ビショップ曹長が雲の中を飛ぶ。二人は雲の中の状況に困惑しつつも周囲を警戒し、芳佳と静夏の姿を探していた。すると、リネット…リーネが地上で戦う人影を見つけた。

 

「ペリーヌさん、あそこに人が」

「陸戦ウィッチかしら?加勢しましょう」

 

 そして、二人は降下する。眼下で戦う人々を救う為に。

 

 

 

「よく考えると…私達だけとは珍しい組み合わせですわね、雨嘉さん」

「うん、確かに」

 

 楓は雨嘉と合流し、周囲を捜索していた。

 

「みんなどこに逃げたんだろう…」

「お手上げなら指揮所か出口を目指しているでしょうけれど…敵がこうも多いと迂闊に動けませんわ」

「私達だけ最前線で孤立…なんて事は無いよね?」

「考えたくはありませんわね…」

 

 木の幹を背にして二人は周囲を見回す…だが、草木で視界が悪い。いつ奇襲を受けるかという不安が無意識のうちにのしかかる。そして、草むらから物音…二人は咄嗟にCHARMの筒先を向けた。

 

「ネウロイ…!!」

「会いたくない時に限ってしっかり現れますわね!」

 

 がさりと草木が動くと、そこには小型ネウロイの姿があった。二人は現れた敵に対して即座に発砲。そして、撃たれたネウロイは一瞬怯む。

 

「接近戦に持ち込みますわ。雨嘉さん、援護を!」

「了解!」

 

 雨嘉はネウロイの脚部を狙い撃ち、相手の動きを止める。そして、その隙に楓は一気に距離を詰めた。

 

「喰らいなさい!」

 

 そうして、楓がそのままCHARMで斬りかかると、バッサリとネウロイの上半分が崩れ落ちた。そして、コアを持たない小型ネウロイはその損傷に耐えきれず、残りの部分も崩壊していく。

 

「やった、倒した」

「いいえ、喜んではいられませんわ。騒ぎを聞いてお客様が集まって来たみたいですわね」

 

 頬に嫌な汗が流れるのを感じながら楓はそう呟く。その視線の先には同じような形状のネウロイが複数。こちらは二人、相手が小さくともその数で包囲されれば最悪だ。二人は覚悟を決めたようにCHARMを構える。

 

「雨嘉さん、正面一点突破でこの場を抜け出しますわ」

「…大丈夫なの?」

「危険でも包囲されてからのタコ殴りよりはずっとマシですわ」

 

 そして、楓は発砲。目の前のネウロイに風穴を開けると、続けて雨嘉もその隣にいたネウロイに弾丸を叩き込む。途端に二人は駆け出す。相手に囲まれる前に動くのだ。そうして、ネウロイの群れを振り切ろうとそのまま正面の草むらを走り抜けたその時である。新手のネウロイの群れが正面上空に現れた。

 

「楓…!」

「後ろも敵、前も敵…これは厳しいですわね…」

 

 これは苦戦しそうだと楓は心の内で呟く。だが、頭上から機関銃の発砲音。

 

「何ですの!?」

「楓、上!!」

 

 途端に正面上空のネウロイが次々と撃墜されていく。そして、二人は銃弾の飛んできた方向へと視線を向けた。すると、そこには見た事もないウィッチが二人飛んでいた。そこから聞こえてくる言葉はどうやら英語らしい。見た目はヨーロッパ系、年も自分達と同年代といった感じだ。

 

「味方…ですわよね?」

「多分…でも、扶桑の人には見えない」

「まさか、国外からの増援?」

「どうなんだろう…でも、そう考えた方が辻褄は合うのかな」

 

 楓と雨嘉がそんな事を話し合っていると二人のウィッチがこちらへと降りてきた。そして、大きな銃を持ったウィッチが流暢なイギリス英語で話しかけてきた。

 

「501のリネット・ビショップ曹長とペリーヌ・クロステルマン中尉です。お二人とも、怪我はありませんか?」

「ええ、大丈夫ですわ」

「それならよかった。ええと、陸戦ウィッチの方でしょうか…?」

「まあ、そんなところです」

 

 リネットと名乗ったウィッチは楓の装備を見て首を傾げている。どうやら、リリィについては何も聞いていないのだろう。戦闘真っ只中なここで余計な事を話せば相手は混乱しかねない、はぐらかしていた方が得策だろう…と、楓は考えた。

 

「そうですか…戦闘は可能ですか?」

「ええ、可能です」

 

 一方、リーネは目の前の相手の装備や服装が妙だと思ったが、それと同時に相手の話し方がどこかペリーヌのようだとも考えていた。

 

「では、私達は上空の敵を落としますので、地上の敵をお願いできますか?」

「こちらこそお願いしますわ」

 

 そして、二人のウィッチは空へと飛び上がる。リネットと名乗ったウィッチは対物ライフルのような大きな銃を空中で平然と発射。そして、放たれた弾丸は寸分違わずにネウロイに直撃する。すると、それを見た雨嘉は思わず呟く。

 

「凄い…あんな大きな銃で何の支えも無く正確な射撃なんて…」

 

 だが、見惚れてはいられない。敵は目の前にいるのだ。雨嘉はCHARMをしっかりと保持し、その筒先をネウロイに向ける。前衛である楓の死角に回り込みそうな気配のネウロイを優先して撃つ。

 

「助かりますわ、雨嘉さん」

 

 後顧の憂いは既に無い、後衛は優秀な狙撃手。そして、先程と違って相手は正面に固まっている…これで安心して戦える。心の内でそう考えると、楓はCHARMを発砲。続いて勢いよく地面を蹴ると、一気に敵の懐に飛び込んで刃を振るう。一つ斬り伏せ、二つ目には弾丸を叩き込む。そして、振り返りざまに三つ目の相手へ銃撃。その奥にいる敵は雨嘉が黙らせた。これで残るは一匹。再び地を蹴ると、飛び掛かるような勢いでネウロイに肉薄。

 

「これで最後ですわ」

 

 そうして、CHARMを振り抜くと敵は瞬く間に崩れ去った。そして、楓は周囲を見回す。地上に敵影無し…これでようやく一息ついた。すると、頭上からバチバチと大きな音が鳴り、何かを叫ぶような声が響く。

 

「トネール!」

 

 楓の視線の先ではまるで雷のような光が輝き、上空を飛ぶ多数のネウロイが一斉に爆散するという光景が広がっていた。

 

「まさか、あれは電撃ですの…?ほんと無茶苦茶ですわね…」

 

 楓と雨嘉はただ口を開けて唖然としながらその光景を眺めていた。そして、ウィッチ二人は下に降りてくる。上の敵も倒し終えたのだろう。すると、先程電撃らしき閃光を放ったウィッチが何やらぼやいている…よく聞くとどうもフランス語らしい。不意に聞こえてきた母国語に楓の視線は自然とそちらへと向けられる。そのウィッチはどうやら髪の毛を気にしているようだ、静電気によってあちこちにはねているらしい。そして、楓はフランス語で話しかけた。

 

「よければお使いになります?」

「手鏡…あら、あなたガリア語を?」

 

 この世界のフランスはガリアというのだろうか、楓はそう考える。

 

「ええ、パリの生まれでして」

「まあ、それはそれは…ヨーロッパからこんな遠い扶桑でなんて偶然」

 

 どこか不機嫌そうだったそのウィッチの表情が笑顔に変わる。

 

「私、ペリーヌ・クロステルマンと申します」

「楓・J・ヌーベルですわ。以後、お見知りおきを」

「ええ、ヌーベルさん。それで…あなた方は陸戦ウィッチかしら?ストライカーユニットも無いし、その変わった武器も…」

 

 小首を傾げてペリーヌはそう質問してきた。現状、周囲に敵はいない…楓は本当の事を告げるか考える。一方、雨嘉はそんな二人の会話をぼんやりと見ていた。楓もそうだが、相手のウィッチもその立ち振る舞いを見る限りいい所の出らしい。そんな事を考えていると、もう一人のウィッチが話しかけてきた。

 

「ええと、ブリタニア語は分かりますか?」

「はい」

「私はブリタニア空軍のリネット・ビショップ曹長。よろしく」

「あ、えーと…王雨嘉です。さっきはありがとうございました」

「いえいえ、こちらこそ。それでちょっと聞きたい事がありまして」

「何でしょう?」

 

 雨嘉は小首を傾げる。

 

「実は人を探していて…扶桑海軍の宮藤曹長と服部少尉という人物を探していまして」

「宮藤曹長…?」

 

 芳佳と同じ名字だが、芳佳の階級は少尉だった筈だ。雨嘉は更に首を傾げる。

 

「ええと…宮藤芳佳という名前のウィッチなら知っています」

「そうそう、その人」

 

 どうやら芳佳の事で合っていたらしい。

 

「それで芳佳ちゃん…いえ、宮藤曹長と服部少尉がどこにいるかは分かりますか?」

「いえ、今日は姿を見ていないのでどこにいるかはちょっと…」

「そうですか…」

 

 そんな会話をしていると、近くの草むらがガサゴソと音を立てて動く。

 

「敵!?」

 

 四人の視線と武装の筒先がそちらへと向けられる。そして、何かが飛び出してきた。

 

「ああ、もう!何言っているのかさっぱりだ」

「鶴紗さん!?」

 

 そして、更にウィッチが二人現れる。

 

「あら、エイラさんにサーニャさん」

「あ、リーネにペリーヌ」

 

 鶴紗は勢いよく雨嘉の傍に転がり込む。そして、エイラと呼ばれたウィッチは鶴紗に向かって睨みながら何かを叫んでいる。

 

「鶴紗さん、何をやらかしたのかしら?」

「何にもやってないぞ、楓。それより何言ってんだ、アイツ」

「えーと…多分、フィンランド語かしら?サーニャをそういう目で見るな、聞いているのか…鶴紗さん?」

 

 謎のウィッチの発言を聴き取った楓はジト目で鶴紗を見る。

 

「え?いや、その…もう一人のウィッチの猫耳と尻尾がつい…」

 

 楓と雨嘉はもう一人の小柄なウィッチの姿を見る。その頭には猫の耳…使い魔が猫らしい。そして、鶴紗は大の猫好きである。ははーん、と楓は頷く。

 

「大方、いつも猫に向けてるような怪しげな視線で彼女を見たのでしょう。少しは自重なさいな」

「楓にだけは言われたくない」

「ちょっと、どういう意味ですの!?」

 

 一方、リーネはエイラを宥めていた。そして、ペリーヌは何か情報は無いかとエイラに聞く。

 

「茶番はともかく…何か掴めまして?」

 

 しかし、エイラは首を横に振った。

 

「いいや、何も。唯一接触したのが、そいつぐらい」

「困りましたわね。こちらもまだ情報無し」

 

 そんな話をしているとサーニャが鶴紗の方を見てポツリと呟く。

 

「さっきの人、出会った時には大けがしていたけど…」

「え?」

「ああ、そういえば…いつの間にか治っていたな。ニパみたいなやつだ」

 

 エイラも頷きながらそう語る。そして、その会話を聞いたリリィ二人は鶴紗をじっと見る。

 

「な、なんだよ」

「鶴紗、また無茶したの?」

「あれぐらい大した事無い。それに私の体はリジェネレーターで怪我ならすぐ治るのなんて知っているだろう?」

「それでも、無茶はしちゃ駄目」

 

 雨嘉が鶴紗の目を真っ直ぐ見据えて言う。

 

「そうですわ、鶴紗さん。次に無茶無謀したら三か月おやつ抜きにしましょうか」

「それは…困る」

 

 そんな会話をしていると、ウィッチ四人がやって来た。そして、ペリーヌから質問が飛んでくる。

 

「それでヌーベルさん。あなた方は本当にウィッチですの?」

「いいえ、私達はリリィ」

「リリィ?部隊名か何かで?」

「いいえ、説明するとちょっと長くなりますが…」

 

 

 

 

 

「おお、梨璃に夢結様。無事じゃったか」

「ミリアムさん。よかった…」

「他の皆は?」

「分からん、はぐれてそれっきりじゃ」

 

 たった一人孤立状態だったミリアムはやっと梨璃と夢結に合流する事が出来た。しかし、そこに他の仲間の姿は見当たらない。

 

「うーむ、どこに逃げたのやら…」

「さっき、宮藤さんと服部さんに会ったけれど…彼女達も他の一柳隊は見ていないと言っていたわね」

「困ったのう」

「そういえば…その時、ネウロイがヒュージの残骸を取り込んだとかそういう話を扶桑軍の伝令から聞いたわ」

 

 夢結の話にミリアムは信じられないといったような表情を浮かべる。

 

「ヒュージの残骸を…?なんて無茶苦茶な…」

「宮藤さんがネウロイは船も取り込んだ事があるって話もしていましたね」

「冗談…では無いのじゃろうな。しかし、ネウロイにそんな能力が…なんて面倒な」

 

 三人がそんな会話をしていると、近くで大きな音が鳴った…木が倒れる音だ。三人は音が聞こえた方向へCHARMの切先を向けた。

 

「さて、何が出るか…」

「お姉様、大丈夫でしょうか?」

「一度隠れて様子を見ましょう。こちらは三人になったけれど、まだ態勢が整っているとは言い難いわ。積極的な戦闘は避けた方がいい」

「了解です」

 

 夢結が指示を出し、三人は深い草むらに身を隠す。そうしていると、軽い地響きと足音のような音が近づいてくる。そして、その音の主が姿を現す…銀色の化け物、ネウロイではない。

 

「ミドル級ヒュージ…?まだ残っていたの」

 

 これなら現有戦力でも対処は可能だが…夢結がそう考えていると、突如エンジン音が響いた。三人は何事かと周囲を見回す…すると、風切り音が鳴り響く。

 

「何!?」

 

 彼女達の眼前を凄まじい勢いで何かが飛び抜けていったのだ。その刹那、金属がひしゃげる様な轟音が鳴り響く。

 

「て、鉄骨…!?」

 

 夢結は慌てて振り返る。すると、視線の先では人の背丈ぐらいの大きさがある建築資材等に使う鋼材がヒュージの胴体に突き刺さっていた。

 

「今飛んできたのって…まさか」

「ええ…音を立ててあの鉄骨が飛んできました…」

「な、何が起こったんじゃ!?」

 

 そして、機関銃の銃声が鳴り響く。それと共に見た事の無いウィッチが突っ込んでくる。

 

「邪魔だ!!」

 

 見知らぬウィッチがそう外国語で叫びながらヒュージに肉薄し、二丁の機関銃を発砲。至近距離で機銃弾を叩き込む。そして、ミドル級ヒュージはその弾の雨にたまらず倒れて動きを止める。一方、そのウィッチはすっかり動かなくなった相手を見て訝しむような表情を浮かべると、一度上昇。周囲を見回す素振りを見せた。

 そして、三人のリリィ達はその様子を静かに観察していた。突然現れた国籍不明のウィッチ…相手が何者でどんな目的でここに来たのか不明である。よって、迂闊に接触したらどんなトラブルに巻き込まれるか分からない。

 

「お姉様、あのウィッチの人は今何と言っていたのでしょう?外国語…?」

「そうね…ミリアムさんならよく分かると思うわ」

「え?それってどういう…」

「ああ、ドイツ語じゃよ。ヒュージに対して邪魔だ、とな」

 

 ドイツ出身のミリアムの発言に梨璃は驚いた表情を浮かべた。

 

「それってつまり、あの人はこの世界のドイツから来たって事?」

「ああ、おそらくな。じゃが、何故わざわざ扶桑に来たのか…それが分からん。あまり考えたくは無いが、他国が介入してきたという事だって考えられる」

「そんな…」

 

 すると、上空から何かを叫ぶ声が聞こえてきた。だが、その内容に三人のリリィは思わず仰天する。それは謎のウィッチが彼女達のよく知る人物の名を大声で呼んでいたからであった。

 

「何処だぁ!!宮藤!!!」

 

 




第501統合戦闘航空団ストライクウィッチーズのウィッチ達は鎌倉上空から未知の雲へと飛び込む。そして、雲の内部で芳佳と静夏の姿を探す。
だが、彼女達はそこで謎の力を使う少女達と遭遇した。
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